家庭教師メインの中学受験~家庭教師の私ができること~

 近年ますます中学受験が加熱する中で、大手塾に通いながら個別指導塾や家庭教師を補助的・サブで利用するパターンをよく見聞きします。私自身も家庭教師をしながらそういった案件を多く手がける中で、本音は家庭教師をメインにして塾をサブにするという形が私の中ではベストなんじゃないか、と思っています。この記事では、家庭教師をメインに据えた中学受験のメリットについて、家庭教師がどのような点でご家庭やお子さんにプラスがあるのかを、私が出来ることを示しながら説明します。あくまで個人的な意見ですので、そのあたりはご容赦下さい。

(1)中学受験に家庭教師を利用する最大の魅力
①受験を一緒に戦ってくれる
 受験を一緒に戦うのは、大手塾でも個人塾でも同じだと思います。しかし、おそらくお客様目線、特にご家庭目線から見たときの一緒に戦っている感が強いことが家庭教師の最大の特徴だと思います。家庭教師は基本的にご自宅にお伺いして指導をするため、ほとんど毎回お客様とお話をします。そのため、やはりご家庭との距離が近く、綿密に現状や悩みを共有することができます。そういう点で、子どもとだけでなく、ご家庭との接点が多く、一緒に戦っている感が強いと考えられます。
 また、私の場合はメールやLINEなどで常にお客様とのコミュニケーションを取っています。毎日のように親御さんから愚痴にも近い連絡が来ることもありますが、それらも当然誠実に対応します。何かあった時にすぐに相談しやすい関係を作りたいですし、信頼関係を築くことが家庭教師として何よりも重要な財産になるからです。また、こちらからアプローチするのは大手塾との大きな差になると考えているからという側面もあります。
 中学受験をするご家庭は孤独な戦いです。その時に、一緒に戦ってくるパートナーがいること、成績面や情報面は当然のことながら、精神的な面で何より心強いのではないかと思います。そしてこれは、ご自宅にお伺いして頻繁にご家庭との接点がある家庭教師ならではの魅力だと思います。

②中学受験の先を含めて長期的な目線で指導してくれる
 これは家庭教師のタイプにもよると思いますが、基本的に家庭教師は小学生から高校生までを幅広く教えている人が多いです。もちろん中学受験を専門にしている人もたくさんいますが、特に地方ではある程度幅広く指導をしている場合が多いです。
 このような幅広く教えている家庭教師の強みの一つは、小・中・高校の長いスパンでどう指導するかを描けることです。大手塾の多くが中学受験を専門に扱っていることが多く、悪く言えばそこにしか目線がいっていないことが多いです。その点から、長期的な目線で指導ができる家庭教師がつくことで、大手塾とは違う視点で受験や勉強を考えることができると思います。
 そして何より、その都度の受験で行き当たりばったりで塾を選んだりすることなく、長期的な受験計画をプロデュースしてくれます。これによって、子どももご家庭も先行きに不安がなくなることも大きなメリットです。

(2)指導面
①受験に必要なポイントに絞って教えてくれる
 塾のテキストは、段階的に作られてはいるもののトップ層でも十分にやりがいがある内容になっています。そのため、中~下位層の子たちにとっては全てを理解して解けるようになるのは正直厳しいところがあります。しかし、我が子がテキストのどこまでを理解すればいいか、そのためにどこはできなくてもいいのかが正確にわからないと、できないことへの不安が募るばかりだと思います。
 プロの家庭教師は、大手塾のテキストには精通していることが多いですし、様々な生徒の事例とデータ、実際の入試問題を踏まえて、どこまでができればいいかを正確に把握しています。また、志望校に合わせてどういう形で出るかも知っているし、その子の性格や能力も把握しているので、合格点獲得のために必要な部分にも絞ったアプローチができます。ですので、具体的に一問一問について、これはできないといけない、これはできなくてもいい、これはできると差がつけられるといったラベリングをしながら勉強を進められるため、子どももどれを解けないといけないかを明確に認識できます。私自身も「この形は志望校によく出る」とか「これは確か3年前に志望校で出題されている」とかをコメントしながら問題のレベルのラベリングをしていきます。

②その子が解ける解法探してきてくれる
 塾での指導では、基本的に1つの問題について1つの解法を教えることが多いです。これは塾がそれまで蓄積したノウハウからそのレベルの生徒に最も適合した解法を教えているからです。しかし、必ずしも全ての子にとって最適の解き方とは限らないものです。
 塾の解き方ではわからないという子どもの悩みは多いです。家庭教師をしている私としては、常にいくつかの解き方を準備しています。それでも納得しないときは、別のやり方を探してきて、わかるまで、出来るまで徹底して適合するやり方を探しますし、教えます。その子にあったやり方を見繕っていくのは、家庭教師の魅力の一つだと思います。

(3)親子関係
①子どもと親の間に入ってくれる
 中学受験において親子関係は難しい部分の一つです。難解な内容と苛烈な競争にさらされる子どもたちはストレスを感じますし、親御さんは不安を感じたり子どもの態度に腹が立ったり。それに加えて、反抗期が被ってくるとなかなか手がつけられないほど難しい問題になってしまうこともあります。
 そういった時に、親子関係にプラスして家庭教師が入ることで緩衝材になることがよくあります。親には言えないけど家庭教師には言える、子どもには言えないけど家庭教師には言える。そういう逃げ道があることで、親子関係が良好に保てることもあります。たしかに塾や学校の先生も親身になってくれますが、ご自宅に伺って子どもと同じ回数だけ親御さんにも顔を合わせているからこその距離感があると思いますし、より近い存在だと思います。これが家庭教師の魅力の一つでもあります。

②子どもの気持ちを整理してくれる
 完全マンツーマン指導なので、一人ひとりの生徒とじっくり時間をかけて話がいつでもできるのも家庭教師の魅力の一つです。そして、そこで何を語るのか、そこで生徒にどういう変化をもたらすのかは、家庭教師の腕の見せ所ところです。私自身、こういう時はこう言おうというネタ的なものを持っていますし、模試の結果などを一緒に見て分析して、そのこの受験計画的にどうなのかという話もできるので、地に足ついて受験に臨むことができます。

③子どもに言いにくいことも代わりに言ってくれる
 親子関係の中ではいろいろな要素がぶつかって、受験を優先するのか、学校生活や友人関係を優先するのかなどの立場的に言いにくいこともあります。その中で、家庭教師だからこそ強く言えたりすることが、特に受験関係では多かったりします。それを、親御さんに代わって強く諭すこともよくあります。
 例えば先日、生徒がiPadのゲームをしたいと親御さんに漏らしたらしく、私に相談がありました。どうやら女子のグループであるゲームが流行っているらしく、やっていないその子はなかなか話に入れないと。親の立場としては、受験も友人関係も気になるところで、どうすればいいですか、という相談でした。私ははっきりと本人にゲームはすべきでないと断言しました。ゲームを今始めたら勉強の邪魔だし、仮に落ちた時に絶対に後悔する、と。そもそも、そう言った女子グループの感じから離れるために中学受験している側面がある以上、矛盾していると強く諭しました。もちろん親御さんが言うこともできるのですが、やはり家庭教師が言ったほうがこの件については子どもも素直に聞けるし、何より色々なことが総合的に捗ります。こうやって役割分担しながら子どもと関われるのも家庭教師の魅力です。

④愚痴を聞いてくれる
 中学受験に挑むご家庭の不安や不満が尽きません。それにも関わらず、子どもは危機感がなくてよけい腹が立つ、不安になるというのは、中学受験生の親御さんの多くが感じることではないでしょうか。そういった気になることがあればすぐに相談できるのが家庭教師のいいところでもあります。何より、顔の知らない先生に相談できるのではなくて、毎週のように顔を合わせている関係の家庭教師だからこそこぼせる愚痴もあると思います。
 親御さんの中には、こんなにいつも愚痴っていては先生に迷惑じゃないか、と思う方もいるかも(実際よく言われます)しれませんが、こちらからすると大切なコミュニケーションですし、信頼構築には必要だと個人的には思っています。何より、愚痴れる間柄だと長期の指導につながりやすいので、こちらとしてはすごくありがたいんです。

(4)環境面
①塾の利用法をアドバイスしてくれる
 中学受験の場合、家庭教師が受け持つ多くの生徒は大手塾と併用しています。それゆえに、家庭教師は大手塾の情報を多く持っています。私のお世話になっている会社では研修で大手塾の特徴についての情報共有があるほどです。ですので、家庭教師は大手塾を様々な情報をもとに客観的に評価して、その特徴からお子さんとの相性などを鑑みて、どう利用すべきかをアドバイスできます。
 また、その塾がどのような戦略で生徒の成績を上げていくのかを熟知しているので、それをどう活用するのかを数年単位で見通して、塾に入るタイミングや辞めるタイミング、転塾先のアドバイスもできます。

②塾の宿題などの勉強スケジュールを提案・管理してくれる
 中学受験は親の負担が重いとよく言われます。これは費用面などから言われることもありますが、一番は塾の勉強をご家庭で管理する必要があるからだと思います。また、弱点と思われるところを補強するために勉強の計画を別で立てる必要もあり、手探りで勉強スケジュールを組んでいく大変さがあると思います。
 この大変な勉強スケジュールを家庭教師に頼って組んでもらうことはよくあります。私も現在受け持っている小6生のスケジュールは、1日単位で何をするのかを全て指定しています。もちろん指導時間内に生徒と相談しながらスケジュールは組みますが、この負担がないだけでもご家庭的には大きいのではないでしょうか?また、実際にその勉強計画をやったかやらないかはやはりご家庭も関わることなのですが、そこに家庭教師が入っているだけでも負担感が違うと思います。

③色々な情報を提供してくれる
 中学受験では情報収集も重要です。志望校、オープンスクール、塾、模試、入試日程、勉強の内容や勉強法など多くの情報をキャッチしなくてはなりません。これらはご家庭だけで受け取っていくのは大変ですし、漏れがないか不安になると思います。
 家庭教師は情報屋でもあります。お客様に必要だと思う情報をいつでも与えられるようにいつも準備しています。私の場合だと、大事な模試やオープンスクールについては確認して念押しをして漏れがないようにしますし、他塾の模試や志望校に通っている生徒から聞いたことなども提供しています。わかる範囲ですが、志望校が持っている指定校推薦などの情報もこっそり教えています。

(5)まとめ
 ここまで家庭教師のメリットを挙げてきました。まとめると、やはりご家庭との距離が近いこと、これが家庭教師の最大特徴にして最大のメリットだと思います。尊敬する家庭教師の先生に、

「生徒の家庭教師だけではなくて、そのご家庭の家庭教師になりなさい」

という言葉をかけられたことがあります。この言葉を胸に日々指導をしています。

最後に、あえてデメリットをあげましょう。これは大きく2つで、

・競争相手がいない
・費用が高い

だと思います。前者は仕方がないところで、これがないと勉強しない負けん気が強い子なんかはやはり集団塾が合っていると思います。ただ反対にマイペースな子は家庭教師向きだと思います。
 後者については、一般的にそう思われているし、力のある先生はある程度の料金は必要です。ちなみに私の場合は4000円/時間ほどを頂いていて、これは地域では最高値だし、一般的にも安くはないと思います。ただし、大手塾の一部では入試直前期や季節講習などの料金は家庭教師の費用を超えることはざらにあります。受験にかかる費用をトータルで考えて比べてみるのが一番だと思います。

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