日本はUFOのホットスポットだ

 映画の『ガメラ3』では、
どうして巨大生物が日本列島ばかりを襲ふのかについて議論する場面がある。
 ガメラが、宇宙から飛来したレギオンといふ巨大生物との戦ひで、地球のマナ(生命エネルギー)を大量に消費してしまひ、ちゃうど日本列島の上にマナの空白が生じた。そのためにギャオスが日本に群がって来たといふ話だった。
 ギャオスは、超古代文明の時代に造られた・人類を駆逐する人工生物である。
 人類の文明が地球環境を破壊する水準まで発達すると、世界各地に休眠卵として展開してゐたギャオスは目覚めるのである。
 ガメラはギャオスに対抗するために造られた。
 ただ、ガメラの場合、生物工学で作られた人工生物ではなく、人間が器としてのガメラを生物工学と機械工学の混合によって造った後、その中にマナを呼び寄せて生命体とした、マナイムズの産物だ。
 だから、ガメラは一種のサイボーグなのである。

 遠隔操作装置としての勾玉がガメラの操縦者にふさはしい処女(をとめ)を選ぶ。この乙女は、ガメラを操るといふより心を通はせてゐる。だから、彼女はガメラの痛みや苦悩に共感することになる。
 ガメラは、この勾玉を破壊して人間との絆を断ち切らうとした。地球のマナから生まれたガメラは、地球の守護神として覚醒したからだ。
 人間は、明らかに、地球の敵である。
 それでも、ガメラはどうしても人間との絆を完全に断ち切ることができない。交信した少女の心を通じて人間を理解したからだ。
 ギャオスが人間の少女と交はってギャオスの変異体イリスを生み出した。その少女はイリスの操縦者であるのだが、ときが来ればイリスはその少女を体内に吸収して進化をするやうに設定された人工生物である。人の遺伝子を取り入れて進化したイリスは、たった一体で人類を駆逐できる悪魔となる。

 ガメラは人間のために、イリスとの死闘に挑む。命を懸けて人類にとっての悪魔の誕生を阻止しようとするガメラは、人間にとっては天使である。
 けれども、ガメラがギャオスやイリスと戦ふたびに、烈しい戦闘に巻き込まれて何万、何十万といふ人が死ぬ。それを見て、自衛隊は、ギャオスやイリスの脅威も忘れて、ガメラの掃討に乗り出す。


 UFOブームっていつもアメリカ発やね。
 属国民としては、大いに盛り上げるべきなのかな?

 空にケムトレールがなくて、ただの飛行機雲であるとしたら、さびしいことだ。
 アメリカが流した「公式情報」に触発されて、UFOといふ古い器、今では即席焼きそばの名前となってゐるUFOに新しい夢を注ぎ込まうとする人も多いだらう。
 けれども、わたしは、さらに気落ちすることに、空には、龍もUFOも飛んでないと思ふ。


 誰の目にも確実に飛翔(と)んでゐるのは、ガメラだけである。


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