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てるるな話 第五葉 落ち葉の哀

少しの風が、肌を通り過ぎていく。
少しの風は、少しずつ冷たくなっていく。
空は、なにか考え事をしているようで。秋。紅葉。あたしは、落ち葉。


落ち葉赤色や黄色になるあたしたち。それは、冷たい冬の前に、わずかでも世界を暖かく色づかせたいから。風景の、暖炉。
その暖炉を感じるために、人々はあたしたちを観に、訪れてくれる。家族や友人と来てくれたり、一人で来てくれたり。
一人で来てくれる人は、必ずなにかをかかえている。ため息があたしたちにかかり、あたしたちは、自らの色で、その人を包み込む。暖かいでしょ、あなた。その涙で、あたしたちの色も、輝くの。

恋人たちも、たくさん来てくれる。
素敵ね、きれいね、そういった言葉や、恋人たちが出してくれる仲睦まじい空気で、あたしたちは役目を終える。
赤色や黄色だったあたしたち、地面に落ち、茶色に変色していって、土にかえる。恋人たちのおかげで、あたしたちの命に、悔いは残らない。



あ! また一組、恋人の二人が来たわ。かわいらしい、愛の天使。

さあ、おいで、あたしたちの所に、おいで。





「てるる子、うんこだよ! うんこが落ちてるよ!」

「ホントだ。いっぱいうんこが落ちてるね」




落ち葉の、哀。







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