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計算に頼る功罪3/論文を引用して考える

合成分解は難しい。できない子どもは1年たってもできないままだ、という話の続きです。

「子どもの数理解における部分ー全体スキーマの発達:整数について」栗山和広(2004) 九州保健福祉大学研究紀要 5

なぜ合成分解が難しいのかという理由を、この論文は次のように考察しています。

「それではなぜ整数の合成課題と分解課題の理解は難しいのであろうか。」「その背景には数に関する概念的知識と手続き的知識とが統合されないで、分離したままで理解されていることに理由があると思われる。」

ちょっと難しくなってきました。この場合の手続き的知識とは、数の並びを覚えることです。1から順に数字が並んでいて、例えば57番目が空欄になっていたときに、間違えずに57と入れらるイメージです。概念的知識とは、例えば100円のものを2つ買ったら200円になるといった、ちょっと考えればわかりそうな知恵です。

数の並びを知識として知っていても、知っている数を生かす知恵につながっていないことがダメなんじゃないか?とこの論文は分析しているわけです。

実際、30円を2人で分けたらいくらずつになるか?という問いに、サッと答えられる2年生は少ないと思います。生活の中で大きな数に触れるチャンスはお金くらいしかありませんから、お金を触るの場数を踏んでないことが概念的知識に致命傷を負わせているようにも思えます。

論文は、それではどうしたらよいのか、という話に続いていきます。

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