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計算に頼る功罪4/論文を引用して考える

それではどうしたらよいのか、という考察が続きます。

引用文献「子どもの数理解における部分ー全体スキーマの発達:整数について」栗山和広(2004) 九州保健福祉大学研究紀要 5
「こうした整数概念における部分ー全体スキーマの認知障害を克服することが、繰り上がりのある加算や繰り下がりのある減算を理解することの前提となると考えられる。」

まずはリクツがわからない子どもにリクツを認識させる。それを先に教えてら、繰り上がり繰り下がりの計算を教えたらよいのではないか、と提言されています。計算の方法を教える際に、いっしょくたに概念まを教える今のスタイルが授業の効果を上げていないのかもしれません。

「今後の課題として、子どものもつ数理解における認知障害について、さらに検討していくことが必要である。」

概念的知識を教えるためのシステム的な手立ては、今のところ決定打がない、とも読めます。これが書かれたのは2004年ですから、今も状況は同じでしょう。今後も3年生の半数は3桁の数の合成ができないことに変わりはないと思われます。

このままだと、現場の頑張りではらちがあかないように思えてきます。クラスに19人も概念がわからない子がいます。そして概念のバックグラウンドはそれぞれ違います。19通りの概念の観察と指導を考えるという作戦は現実離れしています。

いっそ逆転の発想をしてみたらどうでしょう。機械的に計算の方法を習得するのはそう難しいことではありません。数のセンスが長けてきたら、概念も入りやすくなります。19人の概念のスタート地点がそろってくることも十分考えられます。計算だけできてもダメ、計算くらいできなきゃダメ。いやいやそうではなくて、計算の手法を変えることで概念もわかるようにしましょうよ。(おわり)


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