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note7 黄泉の国 火之迦具土神

黄泉の国 火之神迦具土神(かぐつちのかみ) 原文

https://stand.fm/episodes/5f41c0de0ae6b0a6c222a149


黄泉の国 火之迦具土神 解説 

https://stand.fm/episodes/5f46583b2c5b2403d739ef20


いとしい伊邪那美命がお隠れになり、伊邪那岐命が
「いとしい、いとしい最愛の妻を、ただ一人の子供に引きかえるとは悔しくて仕方ない」と言われて、伊邪那美命の枕もとに腹ばいになり、足もとに腹ばいになり泣き悲しみます。

そのときにその御涙からお生まれになられた神は、大和の天香具山(あめのかぐやま)のふもとの丘の上、木の元におられる泣澤女神(なきさわめのかみ)という神です。


 お亡くなりになった伊邪那美命は、出雲国(島根県東部)と伯耆国(ほうきのくに)(鳥取県西部)との境のある日婆(ひば)の山に葬りました。


 ここにおいて伊邪那岐命は、腰に帯びておられた十つかみある長い剣(つるぎ)を抜いて、その御子の火之迦具土神の首を斬ってしまわれました。

するとその長い剣の先についた血が、清らかな多くの岩石の群れに飛び散って、お生まれになった神の名は石さく神(いわさくのかみ)のと根さく神(ねさくのかみ)と言います。この二柱の神は、岩石を裂くほどの威力のある神です。


次に岩石の霊威を表す石筒之男神(いわつつのおのかみ)がお生まれになりました。

さらにその御剣のつばについた血も、清らかな多くの岩石の群れに飛び散って、お生まれになった神の名は、甕速日神(みかはやひのかみ)と樋速日神(ひはやひのかみ)です。この二柱の神は、火の根源である太陽をたたえた神です。


次に建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)がお生まれになりました。またの名は、建布都神(たけふつのかみ)、豊布都神(とよふつのかみ)とも言います。この神は勇猛な雷(いかずち)の男神という意味で、剣の威力をたたえたものです。

次々と御剣のつかに集まった血が指の間からもれ流れて、お生まれになった神の名は闇淤加美神(くらおかみのかみ)と闇御津羽神(くらみつはのかみ)です。この二柱の神は、渓谷の水を掌る神です。

以上の石さく神から闇御津羽神まで合わせて八柱は、御剣によってお生まれになった神々です。

また、殺された火之迦具土神の

頭からは、正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次に胸からは淤ど山津見神(おどやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次に腹からは奥山津見神(おくやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次に陰部(みほと)からは闇山津見神(くらやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次に左の手からは志芸山津見神(しぎやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次に左の足からは原山津見神(はらやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次き右の手からは羽山津見神(はやまつみのかみ)がお生まれになりました。

次に右の足からは戸山津見神(とやまつみのかみ)がお生まれになりました。


以上、正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ)より戸山津見神まで合わせて八柱です。

そしてこの時、伊邪那岐命が火之迦具土神をお斬りになった御剣の名前は、天之尾羽張(あめのおはばり)、またの名前を伊都之尾羽張(いつのおはばり)と言います。

ここまでが原文の解説になります。

(原文については stand.fmのラジオの音声を聞いてみてください。)

さて、この部分は古事記の中でも特に荒唐無稽な表現と言えるかと思います。
そもそもわが子を斬って神が誕生するのはどうしてでしょうか?

ここでは2つの解釈をお伝えします。

伊邪那岐命はいとしい大切な妻であります伊邪那美命が、子供一人と引きかえに死んでしまわれたことを悔しがり、腹ばいになりながら悔しがって泣くわけです。
この時の伊邪那岐命の御心は、奥様である伊邪那美命が亡くなったことを悲しむとともに、その原因となった火之迦具土神を憎み、恨むんでいるのです。
神道ではこの憎み、恨む気持ち(ほかに妬み・不平・不満・不足など)を異心(ことごころ)と言います。
この憎む心は、伊邪那岐命の御心に映っている火之迦具土神そのものなのかもしれません。伊邪那岐命の御心は憎む異心に占領されてしまいました。それゆえに、その憎む異心(この場合は火之迦具土神)を斬ることで祓ったのです。
神社でもご神事のときにはまずはじめにお祓いをします。これはいろいろな穢れた心、つまり異心を祓っているのです。
ここで間違えてはならないのは、斬ったのは目の前の火之迦具土神ではなく、あくまでも伊邪那岐命の内面の自らの心に映っている火之迦具土神であるということです。
眼前の存在世界は、一切が自らの心の反映なのです。すべては、自らの一心から生まれています。
ですから、私たちは、同じものを見ていても、その心境によってそれぞれ異なった感じ方をしているのです。
ここでは、火之迦具土神を斬ることで伊邪那岐命の大本の御心を清めたと解釈しています。

別の解釈としては、
言霊の原理では、火之迦具土神の言霊は「ン」になります。
五十音はすべて陰陽に分けられますが、「ン」については陰陽がありません。
「ン」は、父韻と母音(ぼおん)をどう結ばせたら産むことができるでしょうか。つまり産めるはずがないのです。
本来産めるはずのない「ン」を産んだことで、伊邪那美命の役割は終わったのです。これを死と表現しているというのです。

今回はここまでです。

ありがとうございました🌈

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