増川宏一『碁打ち・将棋指しの誕生』(平凡社ライブラリー、1996年)を読みました。

碁と将棋は日本の遊戯文化の中心ですが意外とその起源や普及については知られていないというお話しです。貴族や僧侶の間に普及し、政治的な手段にも用いられながら、徳川家康による擁護を受け碁打ち・将棋指しという身分として制度化されます。明治時代にこの制度が解体されほんとうの意味での碁と将棋の民主化が始まったというのはなかなか面白いです。起源も中国とされますがそこら辺も割とアバウトです。こんなに身近なのに意外とわかっていないというのが面白かったです。歴史研究が貴族の日記に依存しているというのもなかなか乙なものですね。この本も読み始めてから20年以上かけてようやく読み終わりました。なんと遅読な私でしょうか。

本書より…

公家達は博奕を禁止する側の立場にもかかわらず、賭博に関して全く罪悪感がみられず、むしろ勝負に興趣を添えるものとして楽しんでいる。

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