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出口 治明『全世界史 上巻』(新潮文庫、2018年)を読みました。

世界史をものすごい勢いで解説してくれる書。高校時代世界史を取らなかった私にとってはありがたい本。日本語文献だけでなく海外の文献も元にしているようで出口さんの博覧強記ぶりも楽しめます。歴史学の最近の成果や出口さんの推測、グローバル・ヒストリー的な世界史と日本史の絡みも面白いです。フビライ・ハンの偉大さや元寇の真実などが印象的でした。

本書より…

クビライは海外の事情に通じており、日本と交易をするつもりで使節を送りました。ところが鎌倉幕府は、国際情勢も外交上の儀礼も知らずに使者を斬ってしまった。それが文永の役(一二七四)の発端でした。
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クビライは徹底的に能力を重視して、思想、宗教や信条とは関係なく、有能な人をひたすら登用しました。彼はダイバーシティ(多様な人材の活用)の権化のような人物でした。その典型的な政策が、科挙の廃止でした。
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しかし、実はモンゴルの歴史は、トルコ語やペルシャ語でも大量に残されていたのです。けれども誰も読んでいなかった。これを読み始めたのはソ連の学者です。彼らは中央アジアを領有したので、中央アジアの歴史を勉強し始めたのです。その内容は中国語で書かれたものとはかなり違っていました。そのことに世界中が気がついた。

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