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坂部 恵『かたり―物語の文法』(ちくま学芸文庫、2008年)を読みました。

「かたり」と「はなし」の違いから日本人の時空間の認識について洞察した一冊。内容はなかなか難しかったですが言葉と時空間認識には関係性があると気づきレイコフを読んだときのような驚きがありました。

本書より…

(1)「はなしにならない」という表現は、日常ごく普通に使われるものだが、一方、それにひきくらべて、「かたりにならない」という表現は存在しない。このことは、「はなしにならない」<はなし>はありうるが、「かたりにならない」<かたり>は一種の形容矛盾で、そうしたものは元来ありえないという暗黙の了解が存することを意味する事柄と見なすことができるだろう。いいかえれば、それは、起承転結のまとまりを失った「はなしにならない」<はなし>がありうるのに対して、<かたり>はそもそも起承転結のまとまりを欠いてはおよそ<かたり>として存立しえないことを意味すると考えられるのである。

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