元永 知宏『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社、2018年)を読みました。

荒木大輔は当時テレビで見ていましたがその背後のストーリーを知ることができました。調布リトルで世界一となったエリートが早実1年の夏にスーパースターになるとその後は高校野球界で伝説的な存在になります。子供の頃から修羅場を経験しているからか甲子園でも冷静にピッチングをしていたとのことですがそこまでは当時子供だった私には読み取れませんでした。
プロ野球選手になってからの苦労話なども詳細に描かれており一時代を作った大ちゃんを追想できるのはなかなか幸福なことです。報徳→近鉄の金村のアスリートとしてのポテンシャルの凄さも再体験できました。懐かしいなあ。

本書より…

「ストレートのスピードは130キロの後半だけど、カーブは相変わらずよかった。でも大輔の一番いいところは、気持ちをコントロールすることです。最近はよく『ギアを上げる』という言い方をしますが、ピンチになったときにいきなりすごいボールを投げることができた」試合での経験が乏しいピッチャーは常に全力で投げる。数多くの修羅場を踏んだ荒木は打たれてもいい場面と抑えなければ行けない場面を見極めて、ピッチングを変えた。「それは場数を踏まなければできないことです。当時、高校生でできるピッチャーはいなかった。試合で勝利を重ねるうちに、効率のいい勝ち方を覚えたんでしょうね」

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