元永知宏『プロ野球を選ばなかった怪物たち』(イースト・プレス、2018年)を読みました。

日生の杉浦、慶応の志村など野球選手として圧倒的な力量がありドラフト1位確実とされながらプロを選ばなかった人たちのルポ。プロを選ばなかった理由は、覚悟ができなかった、他のキャリアの方が魅力的だった、そこまでの能力がないと思った、家族の助言など人さまざまで多くの方はその後は何らかの形で野球に携わります。野球が好きということを一生持ち続けられるのは素晴らしいことですね。パナソニックで執行役員まで上り詰めた鍛冶舎巧さんの話はちょっと仙人みたいですごかったです。野球の技術だけではなく人間としてのあり方が問われている気がします。

本書より…

「2年後、3年後にはプロでと思って社会人に入ってくる選手もたくさんいます。プロに行きたいというだけでなく、自分の野球を追求しようという向上心がある人は長く続いています。」
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監督をつとめていた枚方ボーイズの選手が大勢入学してきたこと、ベンチ入りメンバーを大阪出身の選手が占めていたこともあって、「大阪第二代表」と揶揄する声も聞こえてきた。ときには「大阪へ帰れ」という心ないヤジも飛んできた。そんなとき、鍛冶舎は選手にこう話した。
「微笑み返ししなさい。あのファンは相手チームが大好きなんだと思うぞ。きみの手でファンに変えてみろよ。ヤジにも笑顔でお返ししろ」

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