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生田 幸士『世界初をつくり続ける東大教授の 「自分の壁」を越える授業』(ダイヤモンド社、2013年)を読みました。

ロボット工学、特にMEMS/マイクロマシン、マイクロ・ナノ光造形法で世界的に著名な生田先生による独創の方法論。外からの評価を気にしていると真の独創は生まれません。頭ではわかっていても実践は難しいもの。そこを本書では自分の殻を破る方法(「バカ」になる方法)をわかりやすく解説してくれています。独創は誰にでも可能でそれには方法があるというメッセージは強烈でした。研究者やイノベーターは必読の書です。

なお、生田先生は東大を定年で退職された後、昨年より阪大で教えられています。(私と同じフロアにいらっしゃいます。)阪大アツいなあ…

本書より…

大勢の人が注目する分野には目もくれず、誰ひとり見向きもしないような場所で、伸び伸びと研究してきた。あえてカッコつけた言い方をするなら、新しい「モノ」をつくるのではなく、新しいジャンルをつくってきた。そんな自負を持っています。
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だってそうでしょう。ブルー・オーシャン、つまり新しい市場とは「探す」ものではなく、自らの手で「つくる」ものなのです。
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もっというなら「他人と違うからこそ、価値があるのだ」というメッセージです。いくら他人の後追いをしても、ほんとうのイノベーションはできない。みんなと違うことを考えて、みんなと違う道を切り拓いていってこそ、世界に衝撃を与えることができるのだと。
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しかし、そのチャレンジがほんとうに新しいものであるなら、理解者は必ず現れます。
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「自分はどんな世の中を実現したいのか?」
「いま世の中には、なにが不足しているのか?」
というように、将来のあるべき姿から考えていく。それがグランド・チャレンジであり、コンセプトの発想になります。
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「いい研究とは、10人中8人が反対する研究である」
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誰ひとりやっていないことにチャレンジするからこそ、独創が生まれる。むずかしいことは考えず、ただ自分だけの道を歩んでいけば、それはすなわち独創なのです。
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生田君、きみはまだわかっていない。もっと純粋に研究を楽しんで、もっともっと研究に没頭しなさい。論文のことなんか忘れてしまうくらい、目の前の研究にワーッとのめり込んで、バカになりなさい。恥も外聞もなくして馬鹿になれたとき、ようやく突き抜けられる。論文なんかあとからついてくるんだから、と。
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プレゼンとは、そして論文とは、自らの成果を過不足なく発表するだけでは意味がなく、聞き手や読み手の感動を引き出すべきものなのです。
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でも、確実にいえるのはその経験は絶対に無駄じゃない、ということです。大切なのは、それらの経験をすべて動員しながら「次」を「めざすことです。過去の経験を無駄なものにしてしまうのか、次に役立てるのかは、自分次第なのだと考えてください。
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その中で印象的だったのが「能捨」という仏教用語です。それなりに優秀な人はなにをやらせてもある程度のところまではいく。どんな分野に手を伸ばしても、一定以上の結果を出せる。でも、それだと「そこそこ」の結果で終わってしまう、もう一歩先に進みたかったら、なにかを捨てなきゃいけない。それが「能捨」だというんですね。
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人は自分でも気づかないうちに、自分のアイデンティティに関わるくらい大切なものを捨ててしまうことがあります。結局のところ「なにを捨てるのか?」という問いは、「なにを残すのか?」を考えることなんですね。

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