ブルベア両面ショートをオプションで実行する最適解をバックテストで探す

ブルベア両面ショートは、3倍ブルや3倍ベアETFの減価が大きいことを利用して、それをショートすることによって利益を出す、革新的な方法です。勝率は高いのですが、もちろん損失がでることもあります。

両面ショートの1つの大きな問題は、この方法がショートを使うことにあります。ショートは最大利益が100%、最大損失が無限大ですから、そのことによる弊害はかなり大きいことになります。継続的に利益を出すには、常にリバランスしなければなりませんが、毎日リバランスしてしまうと、デイリーレバレッジの減価を取ることができません。

このような「比較的短期のリバランス」が利益のもとになっているのでしたら、オプションを使って損失を限定してある程度ショートの欠点を補うことができるのではないか、というのが今回の趣旨になります。

ショートをオプションで行う方法

基本的には、ショートはプット買いかコール売りで実現することができます。行使価格(ストライク)の高いプット買いと低い売りを組み合わせたプットスプレッド買い、または同様のコール売りとコール買いを組み合わせたコールスプレッド売りで行うのが良いと思われます。

プット買い

プット買いについては、下の無料部分でも触れました。プット買いは、「通常」の方法は、持っている株に対して、保険として行使価格で必ず売ることができる権利を買うものです。株がどれだけ下げても、行使価格で売ることができますから、暴落の保険として働きます。そのかわりプレミアムを保険料として支払う必要があります。もし株が下がらなかったら、買い側はプレミアム分損しますし、売り側は得することになります。

もしプットを単体で買った場合は、逆に株が行使価格より下がったときに、それを補うようにプットの値段が上がっていきます。つまり、プット買いはショートの代わりになります。しかも、行使価格より下がらなかったときはプレミアムを支払うだけですから、損は限定されていることになります。

プレミアムは、時間とともに減価していくので、時間は敵になります。

なお、プット買いは、株価がストライクよりも低い値段で行使日を迎えた場合、株を「売る」ことになります。通常証券会社は自動的に持っている株を売ってしまいます。株を持っていない場合は、その株のショートポジションが作られます。そのような状況が好ましくない場合は行使日より前にプットを売る必要があります。

例として、SQQQのプットを買う場合の、損益グラフを下に示します。SQQQの今の価格は41.8ドル、12月16日行使日の行使価格(ストライク)$40のプットは$1.8くらいです。プレミアムを1.8ドル払えば、ストライク価格$40以下では株価が下落するとともに、大きくプットの価格が上昇していきます。最大損失はプレミアム分だけ、最大利益気は株価がゼロになったときで、現在の株価分がすべて手に入りますが、プレミアムの1.8ドルは差し引く必要があります。損益分岐点は株価が38.2ドルまで下がったときで、それよりも上ならばプット買いは損だったということになります。

プット買いまとめ。

  • 株が下がるとプットの値段は上がる。プット買いはその分利益がでる。株がゼロになるまで利益は増え続ける。ときには掛け金(プレミアム)にたいして数十倍の利益をもたらすこともある。

  • 行使日までに行使価格より下がらなかった場合は、プレミアム分損する。

  • 時間とともに価格は減価していく。

  • 最大損失はプレミアム価格。最大利益は株価がゼロになったときで、プットを買った時点での株価ープレミアム

  • 必ずプレミアムを支払う必要があるので、勝率は下がる。

  • 行使日に、株価が行使価格を下回った場合は、通常プットを売る必要がある。

コール売り

コール売りに関しては、上の記事で以前カバードコール売りを説明しました。株をある値段で「買う」権利を、その時のプレミアム価格で売ることになります。プット買いと反対で、プレミアム分の収入が必ず手に入ることになります。しかし、行使価格を上回ってしまった場合、最大損失は無限大まであり得ます。株の後ろ盾のある、「カバードコール」は、損失分を株の上げがカバーしてくれますから問題はありません。しかし、後ろ盾なしで行う、いわゆる「裸(Naked)」コール売りは大変危険な方法だといわれています。コール売りはその分勝率はプット買いより高くなりますし、プレミアムが時間とともに減価するので、そのショートは時間を味方につけることになり、「株価が動かずに時間が過ぎていく」ときに利益がでる、という利点もあります。

コール売りの場合、株価が行使価格を上回って行使日を迎えた場合、持っている株は売られてしまいます。株を持っていなかった場合は、やはりショートポジションが作られます。

株が上がると、掛け金の何倍もの損失がでることがあるので注意する必要があります。

下にSQQQのコール売りの例を書いておきます。現在のSQQQの価格は$41.8。12月16日行使日のストライク45のコールは$1.55です。これを売ればプレミアム収入1.55ドルが入ります。最大損失は株が無限大まで上げた時で、無限大の損失があります。

  • 行使日までに行使価格より上がらなかった場合、プレミアム分得する。

  • 時間とともにプレミアムは減価していき、その分利益になる。

  • 最大損失は無限大

  • 必ずプレミアム収入があるので、勝率は高い。

  • 行使日に、株価が行使価格を上回った場合はコールを買い戻す必要がある。

プットスプレッド買い(Long put spread)

プットスプレッドは、プット買いとプット売りを組み合わせ、双方の利点と欠点を補う方法です。全体が株が下げる方向に賭けることになるときは、プットスプレッド「買い」、もしくは、ロングプットスプレッドといいます。これはプット売りをプット買いよりも低いストライクで行う時に実現できます。

例えば、SQQQ(現価格$41.8)で次のような買い方をします。

  • SQQQプット、12月16日行使日ストライク42買い($2.77)。

  • SQQQプット、12月16日行使日ストライク38売り($1.00)。

つまり、最大利益を少し諦める代わりに、プレミアムにかかるコストを下げます。全体のプレミアムは買い側から売り側をひいたものになり、$1.77までさがります。利益損失カーブは以下のようになります。

プットスプレッド買いまとめ

  • 最大利益と最大損失が限定されている。

  • 最大利益>最大損失になるように買うことが多いが、その場合は相場がヨコヨコのときには損をする。

コールスプレッド売り(Short call spread)

ここから先は

6,713字 / 1画像

¥ 4,500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?