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『日本橋魚市塲沿革紀要』を原典で読む Part 5: 日本橋魚市場の「板舟」

今回は、日本橋で市場が開かれた後商人たちがどのように魚を売っていたのかに関する部分を読みます。

按スルニ魚商人ハ各自戸板ヲ設ケ(後チ板舟ト稱シ俎ノ裏面ニ浅キ縁リノ如キモノ貼リ圍ヒ其内ニ浅サ寸斗リノ鹽水ヲ㶆留シ齎ラシ來レル生魚ヲ平扁ニ活ケ蓄ヘ新鮮溌剌ノ勢ヲ示シ街売セシヨリ其俎ノ裏面ノ形ヲ畧シ船ニモ類似スルヲ以テ字シテ之レヲ板舟ト唱ヘ來シカ)...

魚商人は各自戸板を設けて(後に板舟と称してまな板の裏面に浅いへりのようなものを貼って囲い、その中に少し塩水をためて生魚を平たく活けて新鮮さを示して売っていた。ここから、まな板の裏面の形を船にも似たものとしてこれを板舟と呼んできた)…

江戸の地誌『江戸名所図会』に見られる魚を陳列している戸板状の台が「板舟」です。多くは有力商人が所有していたようです。「板舟」は一枚ごとに販売権が付帯しており、これを一枚から数枚借りて商いをする小規模商人も多かったとされます。

江戸名所図会:日本橋魚市

江戸名所図会を実際に見てみましょう。これを拡大すると板状のものに鯛?などが並べられています。帳簿らしきものを書いている人やものを運んでいる人など色々な姿が見られますね

「板舟」は一枚ごとに販売権が付帯しており、これを一枚から数枚借りて商いをする小規模商人も多かったとされます。

この性質を持っていたことから、他の要因とも絡みながら日本橋魚市場では色々な事件が起きます。それは次のPart以降に…。

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