がんをめぐる冒険(53)ウィッグ問題① ウィッグ50万円~の衝撃

 がんと言えば「がん」→「抗がん剤」→「ハゲる」。
一番つらいのはビジュアルが変わることではないでしょうか。私も、手術よりも抗がん剤治療で脱毛することを宣告されたことのほうがダメージは大きかったです。おなかの手術あとはお風呂でも入らない限り見えないけれど、頭はどこから見てもすぐわかる。しかも髪が伸びるまでずっとこの辛ビジュアルと対峙しなきゃいけない、しかも結構な長い期間です。
 まぁ、そんなことを言えるのも、がんを摘出してひと段落しているからなのですが、女性にとってかなり屈辱的です。私は20年腰まで長さのあるスーパーロングだったので、髪を手放さなきゃならないのはなかなかのロスでした。

 2度目の手術を終えて、まずは友達の美容院で髪を肩までのボブにカット。髪を短くしないと、ウィッグの装着イメージも難しいからです。
腸の癒着を防ぐ意味もかねて、ウィッグ探しに街に出ました。大手のウィッグ屋さんは百貨店や病院、銀座の路面店に店があり、
「がんの治療中の方には医療用のウィッグをオススメしています」
と見せてくれたのは人毛のウィッグ。
ショートヘアで最低ラインが50万円!!
 メンテナンスに出している間のスペアが必要だからと一度に2個買わせるという、阿漕な商売(?!)。抜け毛が始まってからでは間に合わないので今のうちに全部揃えていたほうがいいですよとオススメというか、煽られる。髪を失ったらどうなるのかなんて全く想像がつかないので、言われると「そうかぁ」と頷くばかり。購入すれば、ヘアカット無料、ウィッグのシャンプーとメンテナンスは割引きで受けられるという……。
とはいえ50万円、高すぎて手が出ない。

 しかもマダム感のあるヘアスタイル。かぶってみたらコントに出てくる「大阪のおばちゃん」。この前取材した宮川花子師匠もびっくりなほど、素晴らしくオバサン……いや、おばさんだからこそ、病気だからこそババくさくなりたくないのに。値段といいデザインといい、凹む要素満載。
そこで、ほかの選択肢を探すことにしました!

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?