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西遊記と方位の基本

YouTubeで読み上げを行っています。


三蔵法師が、たくさんの仲間と共に、西に向かう物語。



タイトルにも入っている「西」という文字。
作者はなぜゴールを西に設定したのか。
あなたは考えたことはありますか?

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古代中国には方位を用いる術が発展し、軍略や政略として用いられてきました。古代人にとって方位は重要な意味があるものであり、文化的な教養でもあります。



もちろん、「三蔵法師たちが西を目指す」ことにも大切なメッセージが込められています。方位がわかると、なぜ作者が「旅の過程」を描いたのかが理解できるようになります。





方位術は氣の学問なので、正しく実践すれば、運がいいな・・・と感じることが増えますよ。


でも方位術はとっつきにくい部分もあると思うので、今回は西遊記のストーリーをなぞりながら簡単に説明していきます。

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西遊記のあらすじ



西遊記は、中国で16世紀の明の時代に大成した、語り口調の物語。
幾多の苦難を乗り越えて、天竺(西)に貴重な経を取りに行くことを目指します。




主な登場人物の紹介をします。



唐の僧・三蔵法師

前世で天界にいた時は釈迦の弟子でしたが、仏法を軽んじたため下界に落とされました。観音菩薩の命を受けて天竺へと取経の旅へ遣わされます。

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サルの神・孫悟空

天界の乗っ取りをもくろみ、妖怪を引き連れて反乱を起こしますが、釈迦の策で五行山に五百年間拘束されていました。
罪を償うべく三蔵の弟子として同行し、取経の旅を支えます。

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イノシシの妖仙・猪八戒

天界から地上へと落とされた際、雌豚の胎内に入ってしまったため、容姿が豚となります。転生後は悪事を重ね、人間の女性と結婚しましたが、先んじて三蔵に同行していた悟空と一騎討ちをしたのち旅に加わりました。

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神仙・沙悟浄

天界から川に追放され、そこで人を襲う妖怪となり、赤い髪に青黒い肌となりました。川の妖怪・カッパとして描かれるのは日本独自です。悟空と八戒との間を取り持つ役。

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三蔵法師の白馬・玉龍。

父・竜王の竜宮で宝珠を焼き死罪を言い渡されていました。作中では三蔵が乗っている馬に化身しています。


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釈迦

仏教でいちばん偉い人。別名・仏陀(ブッダ)。
紀元前5世紀前後の実在の人物で、当時は一国の王子でしたが29歳ですべてを捨てて修行の旅に出ました。
死後、解脱してからは、多くの古典物語に登場する愛されボスとして君臨。西遊記でも三蔵法師たちを影から見守ります。観音菩薩は、釈迦の「叡智の部分」であると言われています。

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そして、西遊記のメインストーリーは、彼らが西(目的地)向かう過程です。名目は贖罪の旅ですが、最後は罪を許されています。



これを言い換えると、西遊記は三蔵法師たちが生まれてから死ぬまでの、人生の過程を描いた物語です。なので、三蔵法師はゴールの天竺で肉体を脱ぎ捨て、精神だけの姿になりました。





方位の持つ意味


ここで話が変わり、方位の持つ意味をお伝えします。

少し長くなりますけど、ついてきてくださいね。

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古代人は、五行論の観点で、物事は5つのものに属すと考え、方位も東西南北と中央の5つに分けていました。
また、色も、赤青黒白黄と5つにわけました。そのため、5つに分けたものを図にすると、それぞれ色や方位に同じ場所が生まれ、関連があると考えていました。


また陰陽の観点で、生と死、肉体と精神などの2分類も行っており、5つの図に当てはめていました。

上記の図でいえば、東西の横線は肉体の出発から終わり南北の縦線は精神の出発から終わりについても意味していました、




東は青。肉体の出発を意味します。

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南は赤。精神の出発を意味します。

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中央は黄。これは大地の色で、地球を表します。

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西は白。肉体の死を表します。

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北は黒。精神の死を表します。

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東:青=肉体の出発

南:赤=精神の出発

中央(交点):黄=今いる世界

西:白=肉体の死

北:黒=精神の死


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つまり、肉体は広大な宇宙を東から西に旅し、霊魂は南から北へ旅するわけです。

ゆえに死んで魂が帰るところは北方となり、死人の枕は北枕とします。肉体は西へ去り、極楽浄土へ旅するわけです。


そして西方は白、北方は黒ですが、ここから葬式に際してはすべて白と黒でまとめるというしきたりが生まれました。これは仏教の考え方です。
皆さまも慣例として受け継いでいますが、日本における冠婚葬祭のしきたりはこの辺りから生まれているものも多いです。




ちなみに、東に枕を向けて寝ると肉体に生気が入り、朝はすっきりと元気に目覚めることができるので、ぜひお試しくださいね。

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ここで改めて、先ほどの文の引用をします。

これを言い換えると、西遊記は三蔵法師たちが生まれてから死ぬまでの、人生の過程を描いた物語です。なので、三蔵法師はゴールの天竺で肉体を脱ぎ捨て、精神だけの姿になりました。


おわかりいただけたでしょうか。

西遊記は、東から西に向かって旅をしています。これは、肉体の誕生から死までの旅路です。きちんと方位術にのっとった設計でストーリーが組まれていたのですね。
中国の古典は方位の教養があると格段に面白くなりますよ。





おわりに



西遊記のストーリーを意訳すると、三蔵法師たちはそれぞれ因果(カルマ)を持って生まれ、死に向かって旅をしながら因縁を精算し、ゴール(天竺)に辿りついた時には罪が許されていました。



この旅の中で、三蔵法師たちは多くの戦いを体験しながら、仲間との友情を深め、諦めずに努力し、そして勝利してきました。



彼らの旅の過程は、読者の人生そのものを暗示しています。だから西遊記は多くの共感を呼び、国境を超えて愛され続けてきたのです。



そして、方位術は教養だけではなく、実践として使えば個人や集団の運勢を上げることができます。
方位術の有名どころは風水や奇門遁甲ですが、きちんと勉強しようと思うと膨大な時間とお金がかかりますから、まずはnoteで雰囲気を掴んでいきましょう。根本的な理論についても深く学べます。一緒に頑張りましょう。


これからも良い記事を書いていきます。