恵方と茶屋遊び
多くの宗教的イベントは商業の利権によるものでした。
節分とは立春の前日で、立春とは二十四節気の第一節気。
冬から春に変わる時を一年の境としていたので、旧暦では立春を一年の始まりと定義する風習がありました。
その風習に照らし、節分には所謂、大晦日と同じ意義があり、豆をまいて鬼を祓う豆撒きも、大晦日の年越の大祓と同義のものであり、その年の締めにあたり、知らず知らずのうちに身に付いた罪穢れを祓う事により邪気を祓い、新年の開運招福を願う為の行事だったりします。
その時期になると、毎年恵方巻きについてお問い合わせを多数頂きます。
返答として、恵方巻きを買ってきて食べる事もありますが、その場合でも無言での丸かぶりにこだわっていません。
太巻きならば切って食べますし、細巻きならばそのまま食べる事もありますし、巻き寿司の形状に合わせます。
そもそも恵方とは、古来、歳徳神がいらっしゃる方角を指し、物事を行うにあたり、歳徳神の方向に向かって行えば吉とされてきました。
歳徳神の位置が毎年変わるため、それに従って恵方も年ごとに変わります。
恵方は誰かが決定するものではなく、古代からの暦によって、既に決まっているものです。
恵方として選ばれる方角は東北東、西南西、南南東、北北西の4種類で、5年周期で一巡するというサイクルを繰り返していくのです。
つまり、物事を行う際には、恵方を向いて行うものが吉、という事になり、これは恵方巻きという巻き寿司を食す向きに限った法則では無く、全ての行いについて当てはまる事なのです。
恵方巻きはたいして歴史が古い食べ物ではありません。
幾つか説がありますが、大阪の船場辺りの商家が中心となり、特に、その辺りの旦那衆がお茶屋遊びの中で恵方巻きという食し方を考案し、興じたという説が有力です。
お茶屋では、節分の日は「お化け」という遊びも恒例となっています。
芸妓や舞妓が、色んな格好をして踊ったり芸をしたりする、いわば隠し芸のような遊びですが、こういった節分のお遊びの中で生じたのが恵方巻きというわけです。
一部のお茶屋遊びに過ぎなかった恵方巻きが全国的に知名度を高めたきっかけは、広島県のセブンイレブンが恵方巻きを売り出した事に始まるとされます。
これを機に、1998年には全国展開が開始され、その後コンビニだけではく、スーパーやデパートでも恵方巻が販売されるようになっていきました。
こんな背景で生み出された恵方巻きですので、私が丸かじりを遵守していません。
尚、神社では節分祭が行われますが、その中では、豆まきと共に餅まきも行います。
そして、神社によっては、細巻き寿司を配る神社もあります。
何はともあれ、重要なのは、今年の歳神様がいらっしゃる恵方。
恵方を意識して、何事も決定し、行動していけば、物事がスムーズに進んでいくと思いますよ。
宗教的なように見せかけても、単なる流行りものであることが多く、中身を知ると全然ということも多いです。
見えない世界の理論も一緒に学び、変なものに惑わされないことも大切です。
これからも良い記事を書いていきます。