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山口県湯田温泉で初めて一人で居酒屋に入った話

僕はお一人様が好きである。基本移動は一人が良い。待ち合わせをしたり、人と行動を合わせたりするのが嫌なのだ。しかし、今まで一人で居酒屋に入ったことはなかった。

なぜなら一人、外で飲むのはコスパが悪いから。どうせ一人で飲むならば、家でリラックスしながら飲む方がよい。

もう一つは恥ずかしいから。居酒屋で一人で飲むのは粋でかっこいいと思っており、自分のイメージと合わないのだ。

今までの最高は中華屋でビールを頼むまで。一人カラオケ、一人焼肉もない。


今回、初めて山口に泊まった。山口に行ったことはある。一昨年筑波の先輩、森門さんの結婚式で、小倉に泊まった際、門司港から下関まで歩いたのだ。唐戸市場でのお寿司は美味かった。この時ももちろん一人でだ。

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外でお寿司とビールを飲んだ。美味しかった。


今回宿泊したのは、湯田温泉ユウベルホテル松政。湯田温泉のホテルから、楽天トラベルの口コミを見て決めた宿だ。価格は普通のビジネスホテルかそれ以下で予約できた。


この日は北九州からの移動日。チェアマンにお誘いいただき、松下村塾を見学してから、14時にチェックインすることとなった。

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松下村塾は本物で現存している。


湯田温泉ユウベルホテル松政。想像以上に立派な宿でビックリした。フロントで「すみません、予定よりだいぶ早いんですけど部屋に入れますか?」と聞くとラッキーなことにもう入れるという。カギを渡されるかと思いきや、フロントの男性からスタッフの若い女性にカギが渡り、その女性スタッフが案内してくれるようだ。

少し歩いて、「あちらのエレベーターにお乗り下さい。」くらいの案内かと思っていたら、歩きながら館の説明をしてくれる。僕が宿泊するのはフロントのある館とは別の雅館というところらしい。「どこまで案内してくれるのかな?」と思っているうちに、雅館へ移動しエレベーターまで来た。女性スタッフがボタンを押すと、「これって部屋まで案内してくれるんですか?」と聞いた。ご案内するとの回答。「それって、宿泊客がピークの時間とか大変じゃないですか?」と聞くと、その時間帯はパッパと手際良く案内をするらしい。

時間に余裕がある為、僕はこの女性スタッフから、最大限丁寧なご案内をしてもらっているということだ。こんな僕に対してなんだか申し訳ないな、なんか恥ずかしいな、と思うと同時に、恐らく20代前半であろう女性スタッフのお姉さんが好きになってしまいそうだった。男というのは女性に優しくされると、「あれ、俺の事好きなんじゃねえか?」と簡単に勘違いしてしまうのである。

一緒にエレベーターに乗り、といっても2階なので一瞬なのだが、なんだか僕は勝手にドキドキしてしまった。そして、とうとう部屋に着いた。和室である。そして広い広すぎる。「あーせっかくだからと和室のプランを予約したのか」と思い出すと同時に、温泉旅館×和室×広い部屋×若いお姉さん=少しエッチなことを妄想してしまった。男というのは、和室=エロい と思っているのである。

そんな妄想していると、「お布団は何時ごろご準備致しましょうか?」と聞かれ、「へ?何、お布団?」一瞬更にエロいことを考えてしまった。布団を敷いてもらうサービスがあるとは想像していなかったので、一瞬戸惑うと「ご夕食で外出されますよね、例えば19時~20時とかいかがですか?」と聞かれ「ん?今晩特に飯の予定を立ててないな、時間も全く決めてないし、、、」と思い、「まだ決めてないので、時間は連絡しますね」と伝え、お姉さんは、膝立ちで「ごゆっくりお休みください。失礼致します」とふすまを閉めた。「はい、ありがとうございましたー」と言うとやっと一人になった。

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The温泉旅館て感じの和室。


「なんだか部屋入るだけで疲れたな。それにしても落ち着かないな」と思うと同時に、「飯どうするか、、、」。選択肢としては、誰かを誘う、一人で食べる、コンビニ飯を部屋で食べる。結局僕は、一人で食べるを選んだ。

早速、何食おうか と考える。「ラーメンは昼食ったしな、しかも布団を敷いてもらう為に、最低でも1時間くらい空けないといけないのか。温泉街なので、一人で居酒屋行ってみるか」とここで初めて一人居酒屋を体験してみることにした。新しいことをするのは大変だ。早速時間を決めて、フロントに連絡し、お店を検索すればよいのだが、一人居酒屋 という一大決心で疲れた為、30分くらいお昼寝することにした。人は決断を先延ばしにするのである。

押入れを開くと布団があった。でも布団はお姉さんが敷いてくれるはず。布団を敷いてもらうのに、先に敷いてしまったらいけないような気がして、布団は触らず、代わりに座布団を出した。結果、座布団を3枚並べ、その上に横になった。掛け布団もないので、服の上から浴衣をかけた。「なんかよくわかんないことしてるな。普通に狭いホテルの方が落ち着くな」と考えていると、なかなか眠れなかった。当たり前だ、人は、座布団の上に浴衣をかけて寝る という人体構造になっていない。

お昼寝後、部屋で仕事を行い、とうとう時間と店を決めることにした。まず時間は20時~21時に決めた。19時から山口朝日放送で石川佳純選手の特番があるからだ。それを見てから食事にいくことにした。

早速食べログで、湯田温泉、居酒屋 で検索する。だめだ選びきれない。湯田温泉、居酒屋、一人で入りやすい で検索。食べログの評価と、口コミ、写真を見ながら気になるお店を、お気に入りに保存していく。5個のお店を保存した。そこからひとつに絞り切れない。実際に店の外観を見て決めることにした。

そして、20時。とうとう出発の時間だ。まずお店に行くと思いきや、僕は本屋に向かった。松下村塾に行ったので、吉田松陰を勉強しようと思ったのだ。しかし、吉田松陰に関する本は、部屋でKindle unlimitedでダウンロードした。つまり本屋に行く意味はないのだが、もし居酒屋に行っても雰囲気に耐え切れず、すぐに出てしまい、21時前に部屋に戻ったら、布団を敷いているお姉さんと鉢合わせてしまい、「え?もう帰って来たということは、この人温泉街来てるのに、誰かと食事の予定すらないの?一人で温泉街を楽しむことすらできないの?」と思われるのが嫌なので、本屋で少しでも時間を使う、ということだ。

実際本屋では、吉田松陰の本をパラパラと立ち読みし、「よし、とうとう行くか」と気合を入れて居酒屋に向かったのである。

気合を入れたのだが内心ドキドキしている。前職でクレーム報告に行くくらいドキドキしている。歩きながら何度もラーメン屋にしようかなと迷ったが、その度に気合を入れ直し歩いた。

数分歩いていると、候補の店があった。外観からでは全くよく分からない。「まずは湯田温泉の雰囲気を味合わわないと」と理由をつけて、次の店に行く。人は何かにつけて勝手な理由を考え、決断を先延ばしにするのだ。

歩いていると、お一人様はほとんどいない。楽しそうなサラリーマン達と、楽しそうな若い旅行者達ばかりだ。「この町は仲間と楽しむような場所なんだ。一人で歩くのはなんか恥ずかしい。」と思いながら、2個目の候補の店が左前に見えた。

ゆっくり歩きながら、店の様子を見ると、カウンターがあり、客が2名、奥にはテーブルがある。というのを確認しつつ、そのまま歩いた。「客が少なかったから、入れそうかな」と思いつつ、適当にゆっくり歩く。誰も僕のことを見ていないのだが、全く違和感がないように、左に曲がってから、スムーズにUターンをした。そう僕は、先程スルーした店に行くことにしたのだ。

店につき、あたかもここに行くことに決めてましたよ、一人居酒屋慣れていますよ、という感じで、ドアを開けた。「いらっしゃいませー、お好きな席にどうぞ」店員さんは、40歳くらい?の男性と、30歳くらい?の女性2名だった。

コートを脱ぎ、カウンターの入り口側の端に座る。早速メニューを見る。実はこの店は定食があると食べログに書いていた。定食を一人で食べるのは経験済みなので、なにも恥ずかしくない。とりあえず、ドリンクのメニューを見て瓶ビールを頼むことにした。僕は、生ビールより瓶ビールの方が好きなのだ。理由は、瓶ビールってなんか粋じゃないですか。また、小さいグラスで、一気に飲むことが出来ないのが好きなのである。なので、瓶ビールを頼んだのに、ジョッキを出してくる店に遭遇すると、「いや、小さいグラスで飲むから瓶ビールなんだよ。ジョッキだったら生ビール頼むわ」と毎回イラっとしている。

瓶ビールは、アサヒとキリンがあり、僕はアサヒを選んだ。ちなみに一番好きなのはサッポロだ。そして家では金麦を飲んでいる。メニューを見ると定食が見当たらない。「あれ、刺身定食とかもありかなと考えていたのに」と思っていると瓶ビールがカウンターに置かれた。定食が見当たらないという少しパニック状態で、「注文お願いします」と言い、おススメと書かれていた刺身3種盛りと、長州鶏のチキンチキンゴボウ を頼んだ。

おススメを頼むという無難な選択をして少し後悔しながらビールをちびちび飲む。右手奥にあるテレビでは、お笑い第7世代の四千頭身が海外ロケの番組だ。男性店長?さんは調理をし、女性のお姉さんは接客をしながらおじさま達と話している。

僕は特にファンでもない、四千頭身の海外ロケとスマホで吉田松陰の本を読みながら、ビールを飲んでいた。すると刺身が来た。見た目は特段美味そうではない。食べてみると「まあこんなもんか」という感じの味だった。

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その後、長州鶏のチキンチキンゴボウというよくわからない料理が来た。食べてみると「これは美味い!」甘めのタレに鶏肉とゴボウがマッチしている。

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瓶ビールと料理の量を調節しながら飲み食いし、やっと落ち着いてきたので店内を観察することにした。僕が入ってから少し客が増え、お姉さんはずっとおじさま達の相手をしている。途中おじさまは「○○知ってる?」みたいなことをお姉さんに聞く。「え、分かんない!」と厨房を振り向いて「知ってる?」と店長?に聞いたりしている。

その時に、「え?それ知らないの?」と自分が知っていて人が知らないことを馬鹿にしがちな、僕の悪い部分、てるいでなく、通称わるいが一瞬出てきた。と同時に「このお姉さんは想像よりも若いのかもしれない」とまじまじと顔を見つつ、「いや、もしかしたら、このお姉さんはわざと知らないふりをしているのではないか?おっさん達は適当に立てておけば、勝手に喜ぶということを実践しているだけなのか」と考えた。

「お姉さんはプロなんだな」と、語弊はあるが「女性はアホなフリしてる方がモテるもんだな」と思いつつ、「せっかくだから日本酒でも飲むか」と日本酒メニューを見る。

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ぶっちゃけよくわかんなかった為、説明書きをよく読んだ。メニューをくなまく見た後、プーチン大統領が絶賛!!というフレーズが気になった。まさか日本酒メニューにプーチン大統領が出てくるとは。と言いつつ、結果、東洋美人純米吟醸50半合を頼んだ。プーチン大統領絶賛の東洋美人が高かったのでやめた。そして、「山口に来たからフグだフグ!」ということで、フグの唐揚げを頼んだ。

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東洋美人とフグを食べつつ(どちらも美味かった)、一人で居酒屋来たからには、店長さんやおじさま達との会話に挑戦しようと思ったが、店長さんは忙しく調理、お姉さんはおじさまの接客中、最後に「別におっさんとしゃべりたくねえしな、無理することはねえな」ということで、誰とも会話をせずに「お会計お願いします」と3,280円を払い、初の居酒屋一人酒は幕を閉じた。時間は21時半だ。

「なんか少し大人になった気がするな」と満足感、優越感、自己肯定感に浸りながら、旅館に戻る。戻りながら「あ、お布団が敷かれているはずだ。」お姉さんが敷いてくれたお布団にワクワクしながら部屋の扉を開ける。


しかし、そこには、ただ空いているスペースに布団が敷かれているだけだった。「これなら俺が自分で敷いたわ」と期待していただけにガックリして、寂しく大浴場に向かった。

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