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13年目のライカM6

1998年11月、ライカM3を購入した。最初にM型ライカを買う時、どの機種にするか悩むのは万人が同じかもしれない。自分がM3を買った頃、M6というのはあまり評判がよくない印象であった。ライカがライカであったのはM4までというのがいろいろなところで書かれていて(M5は形状が異なるのでここでは別扱い)、M4-2以降の評価は低かった気がする。実際に縦位置での撮影では距離計が反射して見にくいのは事実であった。

ブラックのM型ライカはカッコいい。今もそうだが当時も非常に高価でとても買えるものではなかった。クロームのライカM3を使用しているうちに、自分もいつか黒いのを手に入れたいと潜在意識の中で思っていたが、経済的にはとても無理な話であった。後輩Afの友人のピカピカのブラックペイントのM4を見せてもらったりしたが(本当にピカピカだった気がする)、それはただのイベントで現実性のある話ではなかった。

↑ 2008/6 ライカM6, Voigtländer COLOR-SKOPAR 28mm F3.5, RVP100  西沢渓谷

可能性があったのは、ブラッククロームのM6であった。メーターが内蔵されたライカを1台欲しいというのもあった。

自分の父親は、1993年から赤坂で日本料理店(赤坂よし田)を経営していた(昨年閉店した)。そのため週末には家族で赤坂に行くことが多く、時間ができた時にはアカサカカメラをよく覗いていた。アカサカカメラの社長の川越さんは、赤坂よし田によく昼食を食べに来てくれる常連であったこともあり、1999年に眼鏡付きSUMMARON35mmF2.8を購入した時にお世話になっていた。

↑ 2008/8 ライカM6, Voigtländer COLOR-SKOPAR 28mm F3.5, RVP100  新宿御苑

2008年4月末の休日に赤坂に行った時、いつも通りアカサカカメラを覗いてみると、ブラッククロームのライカM6、ライツウェッツラーの初期型がガラスの向こうから自分の方をじっと見ていた。たまらず出してもらった。動作を確認する。店員さんがしれっとブラックのズミクロンを出してくる。装着して操作する。我慢することはできなかった…。ズミクロンはショーケースに戻っていった…。

M6を買ったのだから28mmを常用レンズとしたいが、当時所有していたのはM3で使用するために購入したシルバークロームのCOLOR-SKOPAR 28mm F3.5であった。本当はエルマリート28mmが欲しいのだが買う余裕はなく、どうしようかなと思いつつ、そのまま黒白で使用していた。

↑ 2015/2 ライカM6, UW ROKKOR-PG 18mm F9.5, RVP100 銀座

しばらくして夏になった。後輩Afが銀座・中古カメラ市で、ブラックのVoigtländer COLOR-SKOPAR 28mm F3.5が出ていると連絡をくれた。同じレンズは所有していたが、黒い28mmレンズをリーズナブルに入手するあまりないチャンスだったので、迷わず購入した。結局これが長らく常用レンズとなることになった。

↑ 2016/5 ライカM6, Voigtländer NOKTON 35mm F1.2 Aspherical,    Neopan 100 Acros 新宿

2016年5月、後輩Afと渋谷の東急東横店で中古カメラ市を見た後、代々木に移動して南新宿から歩きながら写真を撮ろうとしたところ、M6のメーターが反応しない。バッテリーが切れたかと思い、交換しても反応なし。メーターが死んでしまったかもしれないと落胆した。

撮影自体は後輩AfのMPで露出を測ってもらいながら行ったので事なきを得た。翌週、アカサカカメラに入院した。直らない可能性もあるとのことで、メータードライカの電気的故障リスクを実感させられた。直ることを祈った。

翌週アカサカカメラから連絡があった。分解して清掃したら難なく直ったとの話であった。うれしかった…。

↑ 2016/6 ライカM6, Voigtländer NOKTON 35mm F1.2 Aspherical,    RVP100 妙楽寺

ブラッククロームのライカは、ペイントのように剥がれて真鍮の地が出てきてカッコよくなるようなことはないが、微妙に摩耗してきたところがガンメタリックのようないい感じになり、これが結構カッコいい。

↑ 2017/8 ライカM6, Voigtländer COLOR-SKOPAR 28mm F3.5, RVP100,     成田山新勝寺

ライカM6の操作感触がM3やM2と比較してどうだ、とかいろいろ言われているけど、これは個人的に感じていることであるが、国産のフィルムカメラに比べると圧倒的にM6の操作感触は「イイ」と感じる。最近は使用者も世代交代し、M6の評価は高まっているようだ。

↑ 2017/10 ライカM6, C Biogon T*2,8/35 ZM, Neopan 100 Acros 国道駅

それにしても1985年製のこのカメラが、製造後35年も経過しているようには見えないところがイイ。最新型のカメラを購入して、それが大して使う機会もなく古くなっていくというような強迫観念から解放されていて、ざわついた気持ちにならない。あとは自分がいい写真を撮れればよいのだが…。

↑ 2019/9 ライカM6, ThambarM f2.2/90mm, Acros 井の頭公園

謝辞:いつもいろいろなレンズを貸し出してくれる後輩のAfクンに感謝いたします。


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