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ネットで知り合った相手の文章を調査して詐欺かどうかを判別する

割引あり

この記事の目的

国際ロマンス詐欺やSNS型投資詐欺などは、詐欺師が狙った獲物にフレンドリーに近づき、信頼関係を構築し、そして十分にグルーミングができたと判断された段階で投資に誘い込んだりお金の必要性を訴えたりしてきます。これらの詐欺はマニュアルで実行されており、出会い・信頼関係の構築から金銭要求までの各段階においてそのメッセージのパターンがあります。そのため、ネットで知り合った相手からのメッセージを調べることで、どの程度詐欺の可能性があるかを調べることが可能です。

この記事ではScam Rangerという詐欺メッセージのデータベースを使う方法と、生成AIを使った方法について紹介し、ネットユーザーが自身でSNSやデートサイトで知り合った相手のメッセージを検証するための参考となる方法を提供します。

但しここで完全なる結果を保証するものではありません。最終的には調べた本人がどう判断するかにかかってきます。

Scam Rangerとは

Scam Rangerは金融機関の詐欺防止で技術的に貢献している団体で、膨大な量の詐欺メッセージのデータからそのメッセージの危険度を判別するツールを提供しています。Scam Rangerの膨大な量のデータをもとに、ネットで知り合った相手のメッセージが詐欺のメッセージかどうかをリスクレベルと共に判定してくれます。但し、現段階(2024年8月)では日本語や韓国語、中国語など東アジア言語には対応していません。

Scam Rangerの使い方

https://scamranger.ai/Validateにアクセスする。
(1) 
 Scam Rangerで調べたい文章を検索ボックスにコピペする。
(2) VERIFYのボタンを押す。
(3)結果が表示される。

ScamRangerの結果の読み方

Scam Rangerは英語で結果を出してきますが、まずHigh(高リスク), Medium(中リスク), Low(低リスク)の3種類のリスクレベルのいずれかが表示されています。但し、ただのラブレターや挨拶のメッセージの場合、Lowとなる可能性もありますのでご注意ください。(LOWの判定を過信しない)リスクレベルの下には、Scam Rangerが勧める次のステップが書かれています。

英語が苦手な方は、ブラウザの翻訳機能を使って自動翻訳をしてみましょう。リスクレベルや、次の段階として何をすべきかといった内容は、AIによる直訳であっても意味が通じないことはないでしょう。

日本語で使うには?

出てきた解答はブラウザ上や翻訳アプリへのコピペで日本語にして読むことが出来ますが、それでは詐欺師が日本語で書いてきたメッセージはどうすればよいでしょうか。この種の詐欺のメッセージには一定の型があります。100%適用できるとは言えませんが、内容によってはことばづかいではなく文脈からの判定が可能なので、日本語のメッセージをGoogle翻訳や生成AIを使って英語に翻訳してからScamRangerで調べるという方法も可能です。

たとえば以下のような文章(投資勉強会詐欺のアシスタントの発言)があったとします。

現在FX市場は非常に活発で、毎週多くの経済指標が発表されています。山田先生の金融チームの分析によれば、明日のFX市場に良い取引チャンスがあります。
FX口座の準備がまだできていない方、XX取引所の投資コンサルタント、鈴木さんに連絡して、事前にFX口座を準備してチャンスをつかみましょう。
明日の取引指導をお待ちください。

https://www.chunichi.co.jp/article/891312

これをGoogle翻訳で英語にします。

Googleによる英訳
The FX market is currently very active, with many economic indicators being released every week. According to Professor Yamada's financial team analysis, there will be good trading opportunities in the FX market tomorrow. If you haven't yet prepared an FX account, contact Mr. Suzuki, an investment consultant at XX Exchange, to prepare an FX account in advance and seize the opportunity. Please wait for tomorrow's trading guidance.

https://translate.google.com/

英訳したものをScam Rangerにかけると、以下のような回答が出てきました。

Verification Result
Based on our analysis, the risk level of this message is HIGH risk scam and here are the next steps to verify the legitimacy of the message:

・Scam Type : Investment Scam
・Verify the sender: Research the company or cryptocurrency, check regulatory registration, reviews, and avoid red flags like guaranteed returns or pressure to invest quickly.
・Stay cautious: If the investment opportunity comes from someone you met online, practice extra caution and read about financial grooming and pig butchering scams.
・Don’t give any personal information: Don’t give any personal information, such as your bank account details or Social Security number, to unverified sources.

https://scamranger.ai/

再びGoogle翻訳で、今度は英語を日本語にします。

Googleによる日本語訳
検証結果
当社の分析によると、このメッセージのリスクレベルは高リスク詐欺です。

メッセージの正当性を確認するには、次の手順に従います。
・詐欺の種類: 投資詐欺

・送信者の確認: 会社または暗号通貨を調査し、規制登録やレビューを確認し、保証されたリターンや迅速な投資のプレッシャーなどの危険信号を回避します。
・注意を怠らない: 投資機会がオンラインで知り合った人からのものである場合は、細心の注意を払い、金融グルーミングや豚の屠殺詐欺について読んでください。
・個人情報を提供しない: 銀行口座の詳細や社会保障番号などの個人情報を、確認されていない情報源に提供しないでください。

https://translate.google.com/

いかがでしょうか? 日本語対応していなくても細かな表現ではなく文脈をを分析するのであれば、機械翻訳したものをScam Rangerにかけて調べることは可能です。投資詐欺のアシスタントの文章は英訳したものをScamRangerにかけてハイリスクの判定が出せました。是非、使ってみてください。

生成AIを使ってみる

学習させたデータをもとに、テキストや画像など新しいデータを生成する人工知能のことを生成AIといいます。OpenAIのChat GPT、GoogleのGemini、MicrosoftのCopilotなどが良く知られています。これらのチャット型の生成AIは、命令文(プロンプト)と解析させたい文章をAIに送ると、プロンプトの内容に従ってメッセージに関する解答を返してくれます。つまり、あなたがSNSで知り合った相手からのメッセージをプロンプトと一緒にAIに送ると、それが詐欺メッセージかどうかを判別させることができるのです。但し、プロンプト(命令)の出し方によって出力結果が異なります。

無料版の生成AIでも使えることが確認できているプロンプトはQiitaでも公開していますのでご参考に。

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