相続で法律よりも難しいこと
仕事柄、相続税申告をお手伝いさせて頂く機会が多く、「相続」というキーワードには比較的良く触れる環境に身を置いています。
相続に直接関係する税金は、相続税です(贈与税もありますが)。
相続税は税目の中でも特殊性が強いと言われています。そのため、税理士の中でも相続分野に専門性の高い人でないと扱えない傾向にあると言われるほどです。
外科医の先生が心臓の手術をできないのと同じですね。
そんな相続税の申告をする際、税金計算や財産評価のような法律やルールに基づいた手続よりも難しいなぁと感じることがあります。
それは財産と同時に「想い」を繋ぐことです。
相続人のみなさんが仲良しのところは良いのですが、場合によっては揉めていたり仲が良くなかったりするケースも実際にあります。
個人的には、相続で税金が増えることよりも、相続が原因で関係性が悪化してしまうことを一番恐れています。そうならないように注意を払い、気遣いを行なっています。
(無駄な税金を発生させないこと自体は、相続税の専門家であればほとんどの人ができるでしょう)
関係性の悪化を起こさないために大切なことは、基本的なことですが「しっかりと意見に耳を傾けること」です。
専門家は専門的な知識があって依頼内容が明確であるが故に、ルールを重視して、その背景にある想いを軽視してしまうリスクがあります(もちろん優秀な方はそのあたりを一番大切にケアしているハズですが)。
例えば、税理士であれば税務申告をすることでお金を頂いていますので、極端に言えば、適切に相続税申告をすれば最低限の仕事は完了できます。しかし、それだとサービスとしては不十分です。
特に相続は人間性が出るなぁと感じます。
法律やルールを守ることは言わずもがな必要ですが、そのルールの上で大切にしないといけないのは被相続人(故人)と相続人(遺族)の想いではないかと考えています。
「円満な相続のためには、円滑な遺産分割を行い、納得のいく形で申告まで行う」
そんな姿勢が大切であり、ニュアンスが難しくマニュアル化しにくい部分だからこそ、サービスの質に差が出てくる部分でもあります。
そんなことで、相続は法律よりも円滑な人間関係(円満な相続)が難しいと感じています。個別性が強く、絶対的な答えがないからです。
非常に人間味のある仕事で、その分、満足を頂ければ感謝も大きくなる仕事かなと思います。
今回は、「相続で法律よりも難しいこと」というテーマでお伝えしました。