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Machete Tactics-The Nightmare Has Begun

 2022年11月にリリースされたMachete Tacticsの1stアルバム。あまりにも素晴らしく、革新的なアルバムだったのでその魅力について語りたい。

①スラッシュ派生デスラッシュ

 デスラッシュには大きく分けて2種類いると思っていて、一つはモダンなメロデスを速くしたタイプと一つはスラッシュメタルにブルータリティを備えたタイプ。
 このバンドは後者にあたると考えていて、あくまで根幹はスラッシュメタル。そこにありとあらゆるジャンルの暴力性が注ぎ込まれていて、心の奥底にある獣性をくすぐられる。
 このバンドのブルータリティはデスメタルというより、その一歩手前のSepultura、Demolition Hammer、Solsticeあたりに由来している印象。節操なく暴れ出したくなるエッセンスがある。

②練りに練られたアレンジ

 無駄なリフや展開が一切ない。比較的シンプルな構成ながら、ただヘヴィでスピーディなリフをただ羅列しているのではなく、とてもアレンジが練り込まれていて聴いていて全く飽きない。マチェーテで次々と殺害していくが、その行動は知的で計画的。まさにMachete Tacticsなのである。

③研ぎ澄まされたサウンド

 やってみるとよく分かるのだがチューニングを2音半下げると、リフの輪郭を保つのはとても難しい。特にかなり速いBPMだと顕著である。実はここをクリアできているデスラッシュのアルバムというのはあまり存在しない。
 しかしこのアルバムはそこがクリアされている。まるでレギュラーチューニングで刻んでいるかのようにリフの輪郭は明確だ。これはメンバーの優れた技術とエンジニアリングの賜物だろう。
 実はここの部分が実に革新的だと思ったのである。2000年代のデスラッシュの中でも、ここまでリフの輪郭が明確なものはなかったのではないだろうか。まさに現代版にアップデートしたデスラッシュといっても過言ではない。

 というわけでデスラッシュファンはもちろん、スラッシュメタルファンにもおすすめな素晴らしいアルバムです。

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