#3 冷たい素焼きの壺の水
インドの農村でおしえてもらった、同じ水を素焼きの壺に入れておくと味も温度も変わるのはなぜなのだろう?
この2つの疑問のうち「味」については比較的容易に想像がつく。
インドの水は掘り抜き井戸の水であっても鉱物の臭いがする。
きっと鉄をはじめとする鉱物がかなり溶けこんでいるのだ。
そして素焼きにはきっと鉱物を吸着する働きがあって、それでおいしくなるというわけだ。
そういえば「日本の常滑焼や中国の紫砂壺の急須でお茶を入れるとおいしくなる」と聞いたことがある。浄水器にもセラミックが使われていることがある。それと同じ原理だ。
けれども温度についてはどうだろう?
そのときに思ったのは「きっと陶器はプラスチックより断熱性が高いから」という仮説だ。
場所は昼間と夜の寒暖差が激しい内陸部。断熱性が高ければ、夜間の冷気約温度が持続する。主に水を使うのは昼間なので、冷たくなっているように感じているだけなんじゃないか・・・と私は考えた。
けれどもこの仮説はあえなく棄却された。
素焼きの壺で保管された水は、朝であっても夜であっても、常に金属やプラスチックで保管された壺の水より冷たかったからだ。
結局理由はわからなかった・・・とはいえ、別に陶器や壺の研究をしていたわけではない。
そして当時はネットで検索するという選択肢もなかった。
結果、なんでかなぁ?とおもいつつも、しばらくこの経験は記憶の片隅に追いやられていた。
ところがしばらくして、この疑問は思わぬところから氷解することとなった。
(次回につづく)