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Ⅵ-#1 プログラム・バランスシートとは

1.プロジェクト型の学びと学校

 プロジェクト型の学びプロジェクト型の学び(Project Based Learning, PBL)をはじめ、子ども達が相互に協力しあいながら、各教科での学びを相互に関連づけて、社会で必要とされている一つのテーマを追究する課題発見・解決型の学習に世界的の注目が集まっています。
 ところが現在の学校に、新たにプロジェクト型のプログラムを導入しようとしても、反発を受ける可能性は少なくありません。すでに学校のカリキュラムは過密状態で時間的にも、精神的にもゆとりがないためです。
 しかしだからといって、あきらめる必要はないと筆者は考えています。むしろ様々な教育・経営課題に受け身で対応するために、かえって効率も悪くなってしまっているのが現在の学校なのではないかと筆者は考えています。
 プロジェクト型の学習は一般に教員にも準備と手間がかかります。けれども例えば、小中一貫教育とコミュニティ・スクールの枠組みを活用するかたちでプログラムを計画して、地域がある程度主体性を発揮するかたちで実施し、「総合的な学習の時間」の一部をその活動に充てたらどうでしょうか?
 これらの施策要求に個別に対応するよりも、効率が良いのはもちろん、プログラム導入によって働き方改革に貢献することも夢ではありません。

2.「プログラム・バランスシート」とは

 そんな欲張りな期待に応えるために開発したのが、プログラム・バランスシートです。このシートは簿記の基礎になっている財務諸表の考え方にヒントを得て、学校の活動を総体的に把握してよい循環を作ろうというものです。(後で詳しく解説します)

プログラム・バランスシートを導入によって期待される効果は下記6点です。 
①プログラムの導入によって、どこにどのくらいの負担が生じるかを検討することができる。
②逆にプログラムの導入によって、削減できる活動についても整理することができる
③プログラムの導入によって、どのような教育効果を期待しているかを定義できる
④プログラムの導入がどのような主要目的外の効果(外部効果)を生むか検討してみることができる。
⑤プログラムの実施がそれ以降の動機づけにつながるかどうかを想定・確認できる。
⑥以上のサイクルを可視化して学校内外で共有することで、プログラム導入後もそれを持続的に改善し続けるための見通しが得られる。


次回以降、シートの発想と内容について解説していきます。

(次回に続く)