居場所がほしい人への手紙

 世の中にはじつに多種多様な人がいる。なかには、筆者に人生相談をしようとする人さえ。筆者は、自分でいうことでもないが、孤独な人間で、あまり友人もおらず、仕事上のつながりで人と交友を深めたりすることもほとんどない。たまにオフラインのイベントで登壇するくらいなのだが、近頃よく質問されることがある。

 「自分の居場所がなくてさみしい。居場所をつくるには、いったいどうしたらよいのか。」

 孤独な人間にそれを尋ねる質問者もいかがなものかと思うが、いちおう真摯に答えるようにしている。「ちゃぶ台をひっくり返すような返答で恐縮だが、居場所なんていらないのではないか――」と。ところが、ことば足らずで申し訳ないことに、あまりその返答の真意が伝わっていないように思われる(あるいは、期待していた答ではなかったか)。

 今回はせっかくなので「居場所がなくてさみしい(だからどうにかしたい)」と感じる人のために、そんな寂寥感とどのように向き合えばよいのか、自分なりの考えを書いて、伝えておきたい。

 居場所がなくてつらい人、誰ともかかわりあいになれずむなしい人、孤独にさいなまれるすべての人のために回答したい。また、自分にいって聞かせるつもりで書いた。

 『居場所なんて、つくろうとしない方がいいですよ。なぜなら……
 

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