見出し画像

【エマージング探求】 ポーランドズロチ、欧州随一の高金利通貨、まだ上昇の余地あり!

1. ポーランドズロチ相場推移

(ユーロズロチレート推移)

(XE Currencyチャートからの引用)
ズロチは、ロシアによるウクライナ侵攻以降、対ユーロで5.0近くまで売り込まれたが、その後、ウクライナ軍の攻勢を受け、侵攻前の4.5を上回る水準まで、急回復している。

(ズロチ円チャート)

(XE Currencyチャートからの引用)
 ズロチ円は、コロナ禍により、一時25円台前半まで下落したが、その後は、基本的には、右肩上がりの上昇を続けており、2015年来の高値を記録している。

2. ポーランドのインフレ率と金融政策

(ポーランドのインフレ率)

(Trading Economicsからの引用)
 ポーランドのインフレ率は、コロナ禍以降、一時20%に迫る水準まで上昇したが、その後は、ポーランド中銀による金融引締策が功を奏し、足元では、13%まで低下してきている。

(ポーランドの政策金利推移)

(Trading Economicsからの引用)
 ポーランド中銀は、コロナ以降のインフレ率急騰を抑えるため、段階的な利上げを実施し、現在は、2003年以来の6.75%まで、金利を引き上げている。

3.ポーランドズロチの潜在力と課題

(ポーランドの失業率推移)

(CEICからの引用)
ポーランドの失業率は、2000年代初頭、一時20%を超える水準まで悪化していたが、その後は、右肩下がりで低下を続け、現在は、5%台半ばまで低下している。

(ポーランドの成長率推移)


(Trading Economicsからの引用)
ポーランドは、EU加盟国であり、NATO加盟国である一方、以前の失業率の高さや財政赤字の大きさからユーロ導入は果たせていない。一方で、その経済成長率は、2010年代、2%程度の成長率を続けた後、直近では、5%近い水準まで成長率を上げてきており、GDP比5%を超える高水準の財政赤字が課題となっているが、コントロール可能な水準に止まっており、今後も、ポーランドへの継続的な資本流入が期待できる。
特にズロチ相場は、欧州内で屈指の高金利国である魅力を生かし、対円でも、右肩上がりの上昇を続けており、現在は、2015年以来の33円台まで、上昇してきている。今後も地政学リスクへの懸念は残るものの、インフレ抑制のため、現在の引き締め政策の継続が予想されており、ズロチ高地合いが続くものと予想する。

前回記事はこちら

               20230607執筆 為替アナリスト 林 哲久

いいなと思ったら応援しよう!