ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(21) 2020/3/25(和訳)

話 ベルリンシャリテ ウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン
聞き手 コリーナ・ヘニッヒ

2020/3/25

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「慎重な楽観」という言葉を、ロベルト・コッホ感染研究所は会見で使いました。 対策の成果が見え始めている、という報告があり、感染者数の増加が緩やかになりつつある兆しはみえるものの、まだもう少し様子を見る事が必要です。  昨日も、イースターの辺りにははっきりとするのではないか、という見解でしたが、今日もベルリンシャリテ ウィルス学教授 クリスティアン・ドロステン 教授に、様々なテーマのお話を伺いたいと思います。 聞き手はコリーナ・ヘニッヒです。
今日は、検査薬の種類について、そして免疫についてお聞きしたいと思います。

この場でも何度か、抗体検査についてはお話しいただいていますが、抗体検査は、軽症で(感染者として把握されずに)完治した場合などの抗体確認、既にどの位の割合が免疫を持っているのか、という把握をするためにも必要となってくる、ということと、広範囲でのランダムなウィルス検査についても取り上げてきました。  いままでのまとめを少ししますと、、、、現在ある検査方法に、PCR検査、ポリメラーゼ連鎖反応で、遺伝子サンプルを増幅させて反応させる、とありますが、 簡単に説明すると、、、どのような事をするのでしょうか。

この反応では、ウィルスのDNAを取り出して増幅させます。 これは、80年代後半に開発された方法で、今では分子生物学、ウィルス学の診断領域で広く使われている検査方法です。  これは、多くの分野では培養検査に取って代わったかたちでして普及していて、、、ウィルス学では、まだ培養実験は多くされますが、、、感度がよく、簡単で、はやい、という利点があるに加え、特定性がある、つまり、調べたいものを絞って検査できるのです。   遺伝子の一部を、分子的な量の、です、それを反応させて増幅させるのですが、例えば、新型コロナウィルスを調べたいのであれば、増幅させた新型コロナのDNA切り取って、、、20塩基くらいの長さで、、それをゲノム部分に結合させる。  この部分が完璧に一致しないといけないので、新型コロナだけを鑑別することができます。他のコロナウィルスなどでは反応はでません。

という事は、他の種類のコロナウィルスが間違って新型コロナだと検査されることはないのですね。

そうです。 4種類の風邪コロナウィルスでは反応がでません。  勿論、でては困りるのですけれど。 新型コロナを見分ける検査ですから。

この検査は、ウィルスの有無を調べることはできますが、免疫についてはわかりません。  例えば、感染してから暫く経った時点で、症状も治まってきた頃に(PCR)検査をしても、反応が出ない可能性があるのではないでしょうか。

この感染症では、はじめの1週間目に喉から取ったサンプルはかなりの感度でPCR検査に陽性反応しますが、2週間目は、そこまではっきりとした陽性反応が出ないことがあります。  その時点でまだかなり病症が出ていたとしても、喉からサンプルでは反応が出ない。 これは、検査の感度の問題じゃなくて、この時点で、ウィルスが喉から肺に移動していくので、喉のウィルス量が劇的に減少します。
今までの経験から、軽症、もしくは無症状の感染者でも、肺の中にはウィルスが検出されます。 これは、2〜3週間続きますので、重症化していない状態でも、肺のなかのウィルスをポリメラーゼ連鎖反応で確認することはできますが、、、多くの患者は、ウィルスをうまく肺から咳で放出する事が出来ないので、、、喉からサンプルをとる、という方法が通常使われます。  
もう一つ、まだこれは普及していない方法ですが、検便方法です。 便からはかなり長期間ウィルスは検出されます。肺のなかから検出される期間と同じくくらいの期間で、です。

でも、便のなかのウィルスには感染力はなかったのですよね。 そのような研究結果だったと(以前のポッドキャストから)記憶していますが

そうです。

ノロウィルスとは違う、ということですね

新型コロナの場合は、便のなかからウィルス(の断片)は検出され、反応も出ますが、感染力はありません。  どうしてわかるか、というと、このウィルスを細胞培養しても活性が認められなかったからです。

簡易検査場などで、検査キットを手渡され、自分でサンプルをとらなければいかない、ような場面をみましたが、どの位の正確さがサンプルの採取時に必要になるのでしょうか。 喉の奥まで入れなければいけないのですか。

喉の奥まで入れます。 方法は2つありますが、1つ目は鼻から綿棒を後鼻腔まで入れます。 この部分はとても痛いです。涙が出てきます。そして、もう少し入れて、上咽頭の部分からサンプルを取るのが一番確実です。  簡単なのは、喉からとる2つ目の方法ですが、これは、きちんと喉の上の方、口を開けると、まずは、硬口蓋がみえると思いますが、そのあたりではなくて、サンプルをとるのは、軟口蓋の更に奥の咽頭部分です。 ちょっととるのではなく、少し強く擦りとるような感じで粘膜とともに採取します。 粘膜細胞にはウィルスの断片が沢山入っていますから、それも一緒にとる事が望ましいです。

鼻からではなく、 喉から採取する際に、やり方が適切ではなかった場合などで、感度のよい検査薬でも、誤結果が出る、ということはありえますか。

幸い、PCR検査は、反応範囲にゆとりがありますので、全くウィルスの感知が出来ない、という事はないと思いますし、サンプルは2つ取りますので、統計的にも、1つ上手くいかなくても、もう一つがあるので、、、高い確率で正しい結果が出るでしょう。  ビデオや、写真での説明では、鼻に綿棒が少し刺さっている状態で説明されていて、このくらい(少しだけ)鼻に入れればいいのか、という印象を与えてしまうかもしれませんが、鼻の中の鼻水などを少し採取するくらいでは、、、足りません。   奥の方まで入れて、咽頭部分まで、です。

痛くなるところまで、、、、痛かったら、、そこが正しい場所、ということですね。

そこに行き着くまでは、、、ちょっと痛いですね

ドイツ国内での検査速度については、人によって違う経験をしているようです。州よっても違うでしょうが、、、例えば、ハンブルクなどのホットラインにも繋がらないところもあれば、スムーズに行われている州もあるようですが、、ドイツは、他の国と比べても検査の数が多いです。陰性の数も統計に反映するほど多くなってきていますが、、、広範囲でのサンプル取集なども考えられますか。 それとも、非現実的でしょうか。

確かに、検査してもらえない、ものすごく待たなければいけない、などの声も聞きます。 ホットラインにすら繋がらない、など。 しかし、このような声は、待ち時間が長くて憤っている人達の声なのでしょうから、、、全てがスムーズにいった際に、そのことをツイッターで呟く人は少ないでしょう。  とはいっても、待たせてしまうことは、、あります。しかし、 基本的には、スムーズにいきますし、次の日には結果が出ます。   忘れてはいけないのは、日中にサンプルが取られて、、、それがまずは運ばれなければいけないわけですね。 しかも、他にサンプルは沢山ありますし、 今現在、ものすごい数です。 それが、ラボに到着したとしても、その前にに到着している分から順番に検査しますから、、、検査が次の日の朝になる事もあるでしょう。 5時から始めた分は7時半までかかって、、、というような感じで。  少し時間がかかる事もあると思います。   それと、田舎のほうでは、サンプルはもう少し遠くまで運ばれなければいけませんし、そこのセンターからまた違うラボに送られるので、、、そこでまた時間がかかります。   この理解をしていただきたいです。 ロジスティックはありますし、ドイツの検査環境のキャパは大きいです。     (感染者と死亡率の)関連性を理解している人も私と同じ見方ですが、いろいろな国のデータと比較しても、この検査数のおかげで、ドイツは低い死亡率が出ていることを確信しています。  感染者数30000人に対して、死者数160、死亡率は0、5%です。 先週と比べると、少し上がりましたが、、、ここには時差がありますから、、、。  勿論、そろそろ、爆発的な感染周期からは脱出してきていると思っているのですが、興味深いことに、毎日届く新しいサンプル数が、ここ数日、増加していません。  ドイツが早くに検査体制を整えて数多くの検査をし、感染状態を把握しての対策、社会距離など、の効果が、今出始めていると実感しています。  この1週間くらいの間ですが、これも、やはり、もう1月の段階から全国のラボの体制を整えてこの規模の検査をする準備をしていたから、、、変化もすぐ数値に反映されるのです。

イースターが一つの節目で、、、そこで政治家も含め、もう一度対策の見直しろ調整をする必要がある、とおっしゃっていましたが、、、、広範囲でのランダムな検査、、、、まだ未発見の感染者を探す、という意味での検査をするキャパはまだあるのでしょうか。

今の時点で、、、意味がないのは、広範囲でPCR検査をすることです。 そうですね、、、例えば、1000人ランダムに、別に検査をする必要がないのに検査する、というような。  今、既に、検査が必要な人が多くいますから、そのようなキャパはありません。  しかし、もう少しで検査できるようになるのは、、、、こちらの方が意味があって、興味深い検査なのですが、そのような広範囲のランダムな抗体検査、です。   これは、全く別の検査方法です。私達が感染すると、抗体ができるまでに10日ほどかかります。 そして、その抗体は、日が経つにつれてもっと安定してきます。 はじめは、少しですが、2〜3週間後には安定した抗体が血中にあります。 これを、血液検査、違う技術の検査ですが、、、エライザ検査、というもので、酵素免疫検査、ですね、これで、患者の血中に抗体が認められるか、ということを調べます。  この場合、症状が重症だったか、軽症だったか、それとも無症状だったか、ということは関係ありません。  もし、感染者全員に症状が出るのであれば、感染者数の把握で十分ですし、PCR検査の結果をベースにできますが、 その点に関しては、いまのところ使えそうなデータがまだありません。 中国の論文にも、説得力のあるデータはでていないのです。  どのくらい、自覚がなく感染している(していた)人がいるのか。  この免疫検査で、どのくらいのひとが、無症状、少し喉が痛い、くらいの症状で完治して免疫がついているのか、の把握ができるのです。 この人達も、パンデミックが終息するのに必要な全体の60〜70%の免疫グループにカウントされるわけですから。

集団免疫、ですね

その通りです。  この集団免疫に、この自覚なく感染していた人達も含まれるので、この、静かな免疫、知らないうちに出来た免疫をどのくらいの割合が持っているのか。  これを調べるために、ドイツ全体で調査がはじまるところです。  この数が、今現在の感染者数と死者数に並んで、3つ目の大切な数となるのです。 この数値をつかって、今後の疫学シュミレートモデルの計算などをしていきます。この数値があることで、さらに具体的で正確な予測をすることができます。
この抗体検査薬は、つい最近開発されたもので、つくれる会社が少ないために、データ収集に必要なだけの数をつくり、ラボで大量に検査できるまで、、もう少しかかります。  小規模の検査をラボでする事もできますが、、、私の研究所ではもう既に1月半ばから抗体を検査することができますが、小規模です。 これを、免疫染色検査、と言います。  まず、培養細胞にウィルスを感染させ、細胞が破裂して死ぬ前に感染を止めます。 その状態では、細胞内にウィルスのプロテインが沢山入っています。 この細胞は、はじめから、ガラスの上で培養するか、後から貼り付けるか、のどちらかの方法で、顕微鏡で観察できる状態にします。 貼り付けるのであれば、 シャーレから取り出して、ガラスの板に、、、アセトンなどを使って貼りますが、 それを乾かすと、ガラスの上には、、、皆さんもご存知でしょうね、顕微鏡に使う、、、アレです。生物の授業で使ったことがある。このガラスの上には、とても薄い、ウィルスのプロテインのみが、、

外殻がない、遺伝子タンパク質ですか

遺伝子、ではなくて、殻でもなくて、、、ヌクレオカプシドプロテイン、ウィルスの主成分です。そこに、完治した人の血清を加えます。 もし、血清中に抗体が出来ていたのであれば、それがプロテインに付着します。  これをまた別な方法で確認することができて、別に購入することができる抗体、例えば、人間のモノクロナール抗体や免疫グロブリン、これに緑の蛍光色の色が付いていて、蛍光顕微鏡でみると、抗体があった場合は緑に光ります。  この方法は、少し面倒な方法で、エライザで自動的にできる工程を、全て手動でやらなければいけませんし、研究員が顕微鏡の前に座って、一つ一つ観察していかなければいけないので、陽性か陰性か、そして、薄めたり、血清を1:10 とか、1:100とかですね、抗体は沢山あるか、、、、そういう作業は手間がかかります。    この方法は、データを集める目的での、1000人単位の検査にはむきません。 特定の地区とか、一定の年齢層、とかを調べる際に、  顕微鏡の作業が20〜30秒くらい、一度に5〜6、10人、出来るとしても、単純計算しても、、、大変です。 サンプルの準備と交換の時間もありますし。 この作業を何週間もしないといけない、、となると、不可能ですので、自動のエライザが必要、ということになります。

それが、これから、ということですね。  この調査には先生も関わることになりますか?  エライザのプレプリントなどはありますか?

ドイツの有名な会社と共同開発をしていて、開発時もそうですが、検証段階でのサポートをしました。 ラボで行われる抗体検査と比べてどうか、など。 ラボでの検査は、はっきりと何がどのようにどんな結果が出るかが明確ですが、エライザでは、色のついた破片が出てくるだけですので。  検証テストは重要ですが、それはもう終了しています。  もう、ゴーサインは出していますので、これから大量につくってもらうだけとなっています。   この会社以外でも、開発中のところはあって、そこからもサポート依頼が来ていますが、もちろん、協力します。

そのようなエライザは、アレルギーテストでみたことがあると思うのですが、、、、抗体の数、というのは重要でしょうか。個人差はありますか。どの位の数の抗体がつくられているべきなのでしょうか。

個人差はあります。  抗体は、力価、で測ることができます。 活性濃度ですね、抗体の陽性反応がでた時に、それを薄めます。例えば、1:2 に、です。 そこでも陽性だったら、次は1:4、1:8、1:16 、、、、といった感じに薄めていって、最終的には、1:1000位まで薄めて、どこで陽性反応がでなくなるか。 この、どこで陽性反応がでなくなるのか、とうのが、力価、です。 抗体の単位です。  しかし、誰かの抗体が、もう一人より、倍の力価を持っていたとしても、その人の抗体数が倍か、というとそうではないので、、、、そう簡単ではないのです。 これは、単純な濃度の問題ではなくて、結合力、でもあります。    例えば、二人、同じ濃度の抗体を持っているとしましょう。  でも、片方の力価が、もう片方の倍、ということもあるのです。   これは、この患者の抗体が、強く、より多くウィルスと結合する、ということを意味しています。   どうしてでしょうか。 これは大変興味深い答えなのですが、抗体ができる初期の段階では、ゆるい結合をする抗体が出来始めます。  様々なプロテインとくっつくタイプです。 そこから、親和性成熟、というプロセスがはじまり、、これは、結合性、とだけでは説明できなくて、、違う要素も含まれるのですが、、そうですね、貪欲性、とでも言っておきましょうか。  どの位貪欲に抗体がウィルスのプロテインに付着するか、この、貪欲さが、日に日に増していき、数週間たつともっと増えます。   新しい抗体は、弱い親和性を持っていて、数週間待つと、強い親和性を持ちます。  これは、効果、というより、最適化のプロセスです。  抗体ができ始めて、ウィルスを退治し始める最中に、抗体をつくる細胞間で選別されて、一番効果的な抗体をつくる細胞のみが残っていく。 そういう意味でも、抗体検査には、抗原も使います。 抗原は、ウィルスのプロテインですが、ここで、つくられた抗体が良い抗体なのか、親和性の高い抗体なのかどうかを、調べるのです。   もう、、、、こうなると、話している内容は、講義レベルですね。 笑

私達は好奇心旺盛ですよ。勉強したいです。

質問に戻りますが、、、抗体の違い、ですね。 力価、と、その背景にある、親和性、そして、もうひとつの要素があります。  抗体は、ウィルスのプロテインのどこか適当なところに付着するか、効果的で効き目がある特定の場所に付着することができます。  ウィルスは、細胞内に入り込むためには、レセプターが必要です。 それがないと、ウィルスは細胞内に入ることができません。 入り込まないうちは、私達の健康への影響もありません。               抗体が、どこか適当にウィルスの表面にくっついているとしましょう。 この数すべてをエライザはカウントしますが、実は、このなかに、ほんとうに重要な場所、ウィルスの外殻の特定の場所をブロックする、ウィルスが細胞内のレセプターと結合する場所に集中的につく抗体がいるのです。

特別に効果を発揮する抗体ですね。

そうですね。特別にウィルスを邪魔する、抗体です。  感染を激しく阻止する抗体です。  この感染を中和する状態をつくる抗体を、中和抗体、と呼びます。  この、特別な抗体を、その他大勢の抗体と区別するためにはまた別の検査が必要です。  中和検査、と呼ばれるものですが、それは、このように行われます。    まず、患者の血清をとって、どのような反応をするか観察します。 ウィルスと培養細胞を一緒にしたものと、そこに血清を加えたものを比較しながら、経過の観察をしていくのです。   ここでも、また力価検査をすることもできて、1:2、1:8、1:16 と、薄めていきますが、ここでは、通常の抗体の力価とは関係なく、違う濃度を測ることができます。 それが中和抗体の力価です。 これらの数値は、比例しない場合もあります。  例えば、ある患者は、抗体自体の数は少なくても、中和抗体の数は多い。中和力価が高い、わけですね。 中和力価が高くて、通常の抗体力価が低い、このような事もありえます。 この患者とっては良い状況です。 同じように、この反対もあるのです。 抗体は沢山あるのに、 中和抗体の数が少ない。 どうして、このような差が出るのか、、、はわかりません。 個人差は大きいです。

エライザを導入して抗体検査を実践する際に、、どのような対象になりますか。一般人ですか、それとも、医療関係者ですか。

エライザは、唯一(大掛かりな調査をするために)実践可能な方法です。 もう既に、自然完治しているのかどうかを調べるための。 ここでは、ワクチンの際の抗体検査とは区別しますが、、、、これは、感染していたのか、いないのか。という検査です。  この結果を出すためには、単純なエライザで十分なのです。 ここでは、力価や、中和抗体の有無、など、、、それは必要ないです。  抗体が、あるか、ないか、これだけです。  なぜかというと、 自然治癒した際は、抗体だけがウィルスを殺した訳ではないからです。 この場合、身体免疫システムは、別な次元、細胞免疫、のレベルで活性化しています。  抗体検査では、これは間接的に検査されます。                                    細胞免疫には、2種類あって、、、、ヘルパーT細胞と、エフェクターT細胞ですが、 ヘルパーT細胞は、B細胞も助けます。B細胞は、抗体をつくる細胞です。 この二つのT細胞は、通常の抗体検査ではあまり検査できません。 検査ができない訳ではないのですが、複雑な工程です。   免疫ができたからどうか、ということを確認するためには、どこか一ヶ所機能した免疫を検査できればいいので、、、簡単な抗体検査で十分なのです。   患者は完治しているのですから、これが なんらかの免疫機能が働いた、という証拠です。  どこの部分での免疫機能か、というパラメーターは必要ありません。
もちろん、場合によっては、詳しく知りたい時にあります。 どの部分の免疫機能が活性化されたか。  ワクチン開発などでは、それはとても重要な要素です。 強い中和抗体を使ったりしますから。

ワクチン開発ですね。

そうですね。開発と臨床試験の段階など、です。 その際には、動物実験などで確認して、人間でも確認します。

では、前にもお話し頂いたように、受動性免疫、完治した患者の抗体を使う、という事ですね。

いや、、、いまの話は、能動的免疫の話だったのですが、、、能動的ワクチン、ですね、このようなワクチンへの反応はどうか、ということを検証します。 そして、その後にも、良い中和抗体ができているか、どうか。   このように、ほかの免疫機能にも目を向けます。 T細胞はあるか、メモリーB細胞はあるか、ヘルパーT細胞の応対はどうか、B細胞は長く存在するか、、、など。   このような検査は、ワクチンの臨床試験ではしますが、通常の免疫確認、完治後に免疫ができたかできないか、という場合にはしません。  勿論、先程、言っていたような、受動的免疫をつける、ということも方法として可能です。 完治した人から血清をとり、それを使うさいには、それを患者に使う前に、中和検査をします。 この献血された血清が、ウィルスを中和するかどうか、です。

ワクチンの開発は、大きなテーマですので、またの機会にお願いしたいと思いますが、、、、、抗体についてわかればわかるほど、効果のあるワクチンが開発される、ということですね。    2〜3ヶ月後位に、、、このような抗体検査ができるようになるでしょうか。 とはいっても、それは、私が薬局で買える、というものではないんですよね。 子供をおじいちゃんおばあちゃんのところに連れて行こうと思った時に、少し前にちょっとゴホゴホいってたな、、、あれは新型コロナだったのだろうか、、じゃあ、ちょっと、テストしてみようか、というような。   誰のためのテストになるのでしょうか。

もうすでに、そのような自動検査機は研究所にありますし、もう少し大きな検査機も2週間後に来ます。 他の研究所でも同じタイミングで始めますから、2〜3ヶ月待たなくてもいいです。  家庭医が血を採取して送って検査させることができます。この結果はある程度の期間持続するものです。 完治したか、ということですから。 ですので、結果はそこまではやく出なくてもいいのです。      どういう時に、検査するか。  それは、おじいちゃんおばあちゃんのところに行くだけではなくて、医療関係者が、職場復帰できるか、しかも、防染対策をそこまでしなくてもいい状態になるわけで、、、免疫ができていますからね、これは大変重要なポイントです、。 救急外来、など。
質問の中で触れられていた点、、、、そのようなテストが薬局で買えるようになるか、ということですが、そのようなテストは既に薬局やeBayで購入でき、大体中国製のテストで、違う方法で抗体を検査します。  しかし、、、いまの段階では、、、注意が必要です。  まだ、良い検証結果がでていません。  研究所でも、数社のそのようなテストの検証試験をしている最中ですので、もう少しで論文をまとめることができるとおもいます。 

手軽なテストが手に入る日がくる可能性はある、ということですね。  まずは、医療関係者、医師、看護師、介護士、救急隊員、、、、など、そして、薬局も薬剤師、スーパーの店員、社会システムで必然な職種の人たちを優先的に検査する、ということでしょうか。 それと、志願者、、、リスナーからもたくさんそのようなメールが来るのですが、もし、自分が免疫を持っているのであれば、役にたちたい、と。そのようなことは考えられますか?

そうですね。そのようなことは考えられると思います。 そういうことは、オーガナイズされなければいけませんけれど。 正直、まだそのようなことを、、考えたことはなかったので、、、今、思いついたことでお答えしていますが、、そのようなことは考えられるでしょうね。 そういう志願の受付先、実際に援助が必要なところで活躍してもらえるように。 もちろん、まずは自分のところで志願者を募ると思いますけれど。  自分に免疫があるのであれば、できることはたくさんあるでしょう。前線での仕事、、特別な資格が必要な医療分野ではなく、人との接触が多いところ、などで、、、、、考えられますね。

2〜3週間後には、もっとよくわかりますね。 全体を把握することによって、今後の感染の拡大を食い止めるための案がうまれると思います。  今日も少し長くお話しをしていただきました。 また明日も役に立つ情報をお待ちしています。ありがとうございました。


ベルリンシャリテ
ウィルス研究所 教授 クリスチアン・ドロステン

https://virologie-ccm.charite.de/en/metas/person_detail/person/address_detail/drosten/


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