ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(68)  2020/12/8(和訳)

ベルリンシャリテ ウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン
聞き手 コリーナ・ヘニッヒ

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単純に足りません。感染者数が横這いである、というのは良いニュースかもしれませんが、高い状態をキープしているかぎり、楽天的な見通しはつきません。しかも、先日は感染者の少し増加もみられました。

今日は、いつもよりも政治的な話題を多くしざる得ません。新型コロナウィルス拡大においての対策について、疫学的な視点からも長い目でみた効果について、ここでは勿論学校、というテーマも重要です。科学の新しい知見と、どのように新年を迎えることができるのか。どのような犠牲が払われようとしているのか。そして、具体的にクリスマスがどうすればよいのか。実践的な自主隔離と抗原ラピッドテストについても取り上げます。もちろん、ウィルス学的な話題がなければ、このポッドキャストの意味がありません。新しい免疫反応と無症状者に関する研究結果もお知らせします。今日は、XXLサイズの回となります。番組の長さをご覧になった方もいると思いますが、今日ももうすでに9ヶ月の間おつきあいいただいている、ベルリンのウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン氏にお話を伺います。聞き手はコリーナ・ヘニッヒです。

ドロステン先生、ミニロックダウンが失敗に終わりました。少なくとも、南ドイツ新聞はそう書いていましたが、連邦首相と健康相が今後の対策強化について検討、バイエルンは一足先に対策強化に踏みきっています。その前にも、少しおかしな副題、例えば、(大晦日の)花火、爆竹禁止であるとか、最終的には決断にすらいたりませんでしたが、、、もっと厳しい感染拡大対策をした他の国と比較しても、この、社会の一定の領域には厳しい規制をしない、というドイツの方針がこのような状況をうむだろう、ということは科学的な視点で予測できたことだったのでしょうか?

そうですね。科学者は常に発言していましたし、それは、私だけではなくて、他の学者もですが、そして、この数週間の間に、科学的な知識での進歩と改善もめざましくありましたが、この知識の改善点に関しては、政治にも受け入れられてはいましたが、きちんと理解されなかった。ここが、重要な点だと思うのです。政治家のなかに科学を悪用する政治家がいる、とい憶測をするわけではありませんが、それにしても、ここ数週間での基本的な流れとしては、科学者が事実を発言しにくい空気になっていたのは確かです。発言をすればメディアに叩かれ、標的にされる。科学者のなかには実際に攻撃された人もいますし、そのような空気になっていて、私の知っている学者のなかでも、今は何も言わないほうが良い、とおとなしくしていた人たちもいたのです。もちろん、科学者の一致した意見、というものはあって、それは政治にも受け入れられてはいました。理解もされたでしょうけれど、それを実行には移せていなかった。

ということは、、先生は、以前に、ウィルスと交渉することはできない、とおっしゃいましたが、ロックダウンによって部分的な抑制は可能です。クリスマスに緩和、ということになると、1月にまた最悪の状況に突入する可能性もあるのでしょうか。それとも、もうすでに今現時点でそのような状況にいるのでしょうか。

今、その状況にいる、と思います。少し、、これから、他の国が何をしたか、というのをみていけると思いますが、今、速攻で手を打たなければいけないことは確かです。このままの状態にはしておけません。この高い感染者数が少なくとも6、7週間続いているところから、クリスマスに突入する。何が起こりうるか、というと、もし、この期間で一区切りされて少し落ち着くとすれば、、、接触が、学校も職場でもなくてプライベートでもない

つまり、冬休み効果ですね。

そのような感じで接触がなくなる、そうなれば、冬休み効果ですが、そのようなことは考えにくいです。学校には冬休み効果はあるでしょう。しかし、ウィルスは他のところでも拡散していきますから、さらに、クリスマスには誰もが集まったり、会いにいったり、地理的な移動もありますし、親戚間を含め、新しい接触も増えます。友人間でもですね。何が起こるか、というのは明らかです。ここで感染者数が減少する、という可能性は、極めて低く、ここからまた増加する可能性のほうが明らかに大きい。そして、そこまでの発生率になってしまったら、もう簡単にはそこから脱出することはできなくなります。つまり、軽い接触制限などで、ですが、それよるも厳しい制限を取らざる得なくなるのです。もし、今、何もしなければ、1月末、2月にかけて、厳しいロックダウンをしなければいけなくなるでしょう。ここでまた膨大な経済的なダメージが発生します。もちろん、現在のこの緩い軽いロックダウンですらかなりのダメージを与えているのですから、、、毎週発生するコストだけでも、、どのくらいかはわかりませんが、物凄い額であることを聞いたことがあります。ですから、これからクリスマスまでに全てを総括していかなければいけません。学校の冬休み効果、仕事面でも休みを利用する、、なかなかそう受け入れることができないのもわかりますが、やはり、祭日を利用したロックダウンは避けて通れないものだと確信しています。これは、科学者が一致している意見で、国立科学アカデミー、レオポルディーナも今日その表明をすることになっています。声明書も出されますが、これは、科学からの明確な最後の警告、として理解していただけることを願います。科学の意見、団結した意見、お互いに意見交換をし、様々な分野から出てきている大きな危機感であり、感情論ではなく、現象の把握に基づく学術的な分析です。あらゆる方向、視点からみて、計算されています。ウィルス学者は、どのような診断が可能か、不可能か、ということを説明できますし、臨床現場からは、病院での状況の報告、疫学者、モデリングの専門家は、こんな感じだろう、という予測ではなくて、きちんとした方式とデータに基づくモデル計算を出していますから、もう数ヶ月の間も細部の調整をしながらやってきています。何を計算しているのか、という点では熟知しているのです。

このポッドキャストは収録ですから、これが放送された時点では、もうこの声明は出されていることになります。今、お聞きのみなさまももうすでに目を通されたかもしれません。この表明文は、警告を論理立てて、具体的にまとめられた内容で、先生も署名をされていますよね?

はい。しました。この声明書は、学術的なメタ分析ではなく、とても具体的でわかりやすく、それでも、明確に効果が定量化されていて、これはモデリングの結果と予測数値も入っている具体的な推奨なのです。この推奨は、政治的にも方向性を定める助けになるでしょう。しかし、もし、政治が別の決断をするのであれば、、、政治は科学に基づく決断をしない、と決めたことになります。推奨のなかには、14日に学校の就学義務を解除すること。つまり、この時点で保護者は学校に行かせるかどうか、という決断をすることが可能になります。クリスマスに親戚に会う予定があるのであれば、(自己隔離などで)その準備をする期間が持てるようになります。他にもかなり具体的な例が入っていますし、例えば、冬休みを1月10日まで延長する、など、これも家族によっては困難であることが考えられますが、これも今の状況から出された科学的な推奨案です。他には、12月24日以降、すべての店を閉める、ということも書かれています。1月10日までです。例外は、必要不可欠なもの、食料品や薬局など、です。

春のロックダウンの時のように、ですね。

そうです。あの時と同様です。クリスマスに誰にも会ってはいけない、といったことは書かれていませんが、クリスマス期間中の行動に関する推奨は出されていて、接触はしても良いけれど、その範囲を家族に限定して、その後もその範囲を守る。つまり、これがクリスマスの接触範囲、メンバーであるけれど、それ以上の接触は控える。クリスマスとその後年末にかけて、ロックダウン期間中は、接触をこの範囲に限定する。他の具体例は、高齢者に会う場合、その前に10日間の自主事前隔離期間を設けること。この10日間の事前隔離は、今の状況では必然です。そして、症状を感じたら、背中の痛みや頭痛なども含めてですが、これは典型的なCovid-19の症状でもありますが、勿論気管支の症状も、5日間の自主隔離をする。どんなことがあっても、です。この自主隔離は必ずされなければいけません。

それは、マスクをしたとしても、、ということですね。例えば、食料品を買いに行ったり。

そうです。抗原ラピッドテストは役に立つでしょう。今は家庭医でもそのようなテストをすることができますが、今のこのような状況での、つまりpassporting使用、証明のための検査目的では、結果の証明期間は、1日、です。ということは、このテストを家族に会うために使いたいのであれば、毎日テストしなければいけないことになります。勿論、その前に自主事前隔離をした場合は、その必要はありませんが、事前隔離の最終日にラピッドテストをすれば本当にウィルスフリーという状態で安心できるでしょう。これらは全てとても具体的な内容ですので、メディアにも真面目に受け取ってもらいたいですし、センセーショナルな報道にならないことを、科学者として願います。賛同している科学者の数はかなりの数です。そのなかから、また特定の人物が標的となって攻撃されないことを願います。私を含め、ですが。これがこの数週間の間で科学からの発言が公の場で注意深くなってしまった理由でもあるからです。

個人的にどのようにクリスマスを過ごすべきなのか、ということに関しては、後ほど触れるとして、まだ大きな全体的な対策について話を進めて行きたく思いますが、就学義務の政治的代案としてはホームスクーリング、ということになりますが、つまり、家から授業が受けれる、というものですが、勿論、これはウィルス学者が判断することではなく政治レベルで専門家の間で議論されるべきことですが、、、クリスマスの後はどうなるのでしょうか?さきほど、その間に数が減る、ということはほとんどないだろう、とおしゃっていましたが、学校はどうなるのでしょう? 新しいデータなどはでていますか?グループをどう変えるか、など

先ほどの、レオポルディーナの声明書のなかでも、科学者の意見は、学校の状況は深刻である、というところで一致しています。学校内での感染もある、ということを、しっかりと認識しなければいけないのです。そこから目を外らせるような意見が飛び交っていますが、イギリスからのとても良いデータでも、小学校の高学年からは、通常よりも感染率が高い。例えば、 REACT-1研究によると、、、これの比較になうような論文はドイツにはありませんが、ドイツで全く違う状況である、という理由は私には見当たりません。

REACT-1の説明を短くすると、、これはイギリスで行われたコホート研究ですね

これは、大規模な研究調査で、とても良いサンプルがでています。

この間、チーゼック先生にお話いただきました。子供の年齢は重要なファクターの一つですので、上がるにつれて感染が増加する、小さな子供ではあまり感染はみられない、小学高学年以上では増えていく、など。子供の場合の因子はこれまでにも取り上げましたが、単純に学校という場所では大勢が集まる、というところですよね。他の場所では制限されていても、学校では密に集まっている。子供がファクターなのではなくて、学校という状況です。

子供としてのファクターは、大人のものと同じです。

同じファクターである、ということですね。

そうです。これは、初期のデータからもわかっていたことですが、ウィルス量の違いは、かなり小さい子供との比較の際にしかありません。しかも、その差もごく僅かですから、これが臨床的な意味を持つのかどうかもわからないほどです。初期の頃は、その感染者登録数からの把握で、子供は感染しない、と思われていましたが、それは違うということが今ではわかっています。勿論、いまだに登録状況だけみると、子供の罹患率は低い、という印象が生じることは確かです。しかし、それも保育園児、小学校の低学年までで、小学生以上になると急激に増えてくるのです。これは、ドイツ国内のデータに置き換える時に修正しなければいけない点だと思うのですが、国内での発生率の年齢層の移行傾向をみてみると、ちょうど、この横這いが始まったくらいの時期から、6、7週間前からこの状態が続いていますが、これはロックダウンによるものと、その前と、その前は増加したカーブが平らになって、、そこからロックダウンが開始されましたが、そのころは、週頭に15000、週末には、20000ケースくらいあって、このなかで、どの年齢層がどのくらいの割合でいるのか。全体的な発生率ですが、これはエクセルで計算することができます。数はRKIからダウンロードできますから。そこからみてみると、傾向がわかります。まず、大学生。ここでの率はロックダウン中に急激に下がっています。若い成人の年齢層、ですね。大学に行っている人たちだけではなく、20代の社会人で、この年代は、よく飲みに行ったり、パーティーをしたり、遊ぶことが多い世代ですが、この層の減少がはっきりとみられました。因みに、夏の後に、パンデミックの拡大の原因だと責め立てられた世代ですが、、、その反対に、安定して増加している年齢層は、、これは興味深いのですが、小学校の高学年からの世代。この傾向はもうすでに小学生全体にみられて、7歳からこのような傾向がみられます。これ以上詳細には触れませんが、学校での増加と、保護者の年代での増加。そして、60歳から定年退職者まで。これはぱっとみた時に少し驚きですが、50代後半から65歳くらいまでの世代、定年前のこの世代に危機感が薄い。子供達も家から出て、自分たちにはあまり関係のないことだ、という意識からくるのかもしれませんが、

まだハイリスクにも属さないですし

そうですね、まだ完全にはハイリスクではありませんね。この世代には注意をしなければいけません。危険なのは学校だけではないのです。パンデミックを拡大しているのは、他のところにもある、ということ。まだ社会のなかで行き届いていないところです。勿論、学校でも感染は起こっていることは事実ですが、爆発的な増加ではありません。もし、学校がパンデミックの感染源であるとしたら、全体の発生率とは無関係に、爆発的な増加が学校で起こるはずなのです。国民全体がこのようなロックダウン状況で安定してる際の、いったりきたり、ピンポンのような効果。つまり、1人の子供が、家に持ち帰り、他の子供がまたどこかに運ぶ、というような。典型的な年齢間の学校のネットワークですが、発生率が一定に持続している際にはこのようなものが、爆発的ではないにしても、一定の増加傾向にある、というところには注意が必要です。学校での状況が重要であること、これは、レオポルディーナの声明にもありますが、年を越して学校が再開される際には、今のままただ学校を開ける、クリスマスを経て冬休みに入ったように、というようなことではいけません。学校のオーガナイズの面で明確に変えていく必要があります。

グループを分ける、ということについては、何度も話し合ってきました。交互の授業であるとか、小さなグループであるとか、このグループの大きさ、というところが重要になってきます。ここで強調したいのは、子供についてのテーマは理想論に走りがちですが、ここでグループというのは、子供に特別なリスクファクターがあるからではありません。地域的には、もうすでに学校の閉鎖はされていますが、レオポルディーナのグループ、先生も含めてですが、これを全国で均一なものにすることを求めていますよね?

うーん、均一にするかどうか、ということはまた政治的な決断ですし、発生率にも地域のばらつきはありますが、それでも、どんどん違いがなくなってきている、という自覚はしなければいけないでしょう。少し前までは確かに、まだどこでも同じようには拡がっていないという印象がありましたが、そこの差は縮まってきています。州ごとにみてみても、ここ数日で、東ドイツの地域でも追いついてきましたし、北ドイツはまだ少しは良い状況ではありますが、このままではないだろう、という兆しはもうみえていますし。

シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州とメクレンブルク=フォアポンメルン州も10万人/50のラインを超えてしまいましたし。

そうです、そうです。これに関しては、このポッドキャストでももうかなり前から、そうなるであろう、と言っていることです。いわゆる、地理的な拡散効果で、今後もクリスマスでまた混じり合うわけですから、もちろん、この影響を危惧するところですし、、、もしかしたら、移動の自粛も避けられないことなのかもしれません。家族でも、地理的に遠いところに住んでいる場合などは、今、このクリスマスの期間中に絶対に会わなければいけないのか、ということの再検討の価値はありますね。しかし、それ以上に重要なのは、科学的な視点から、何を推奨することができるのか。学校ではどうすれば良いのか。

これは、受け入れられ方の問題でもありますよね。特に学校などでは。目立った発生ケースがない学校、特に無症状者である場合は気が付きませんし、そのように目に見えない感染状況の際には、どうしてどこまでしなければいけないのか、という理解を得るのが難しいでしょう。それでも、このグループについて、どのように分ければ良いのか、交互の授業など、効果の違いに関する科学的なデータはあるのでしょうか?

それに関しては、2つとても興味深い社会学の分野からの論文があります。#コランバ大学と、マンハイム大学のものですが、因みに、3月のはじめにも、アナ・カイザー氏が指摘していた、学校の役割、学校のネットワークによる効果、学校が集合点である、という意味で、学校で起こる感染ケースは他のところで起こるものよりも危険である、という

それは、スペイン風邪からの教訓でしたよね

そうです。あの時は、スペイン風邪との類似点からあのような決断しなければいけませんでしたが、スペイン風邪は置いておいても、、インフルエンザでは学校は重要な感染スポットですが、これはエピデミックで、今のパンデミック型の感染拡大では、学校が他と同じような感染スポットであったとしても、全体にもたらす影響というものは大きいであろう、と考えられます。そして、今、第二波では特に重要です。さて、このチームの論文のなかで、興味深いシュミレーションがあるのですが、実際に何がどのような効果をもたらし、何を推奨することができるのか。学校の扱い、などですが、ここでは、大変興味深い経験値からの計算がされていて、パンデミックの前に集められた学校内での接触と接触様式の分析データで、イギリス、ドイツ、オランダとスウェーデンの調査ですが、ここでは、9学年生、14〜15歳が対象で、重点は、移民社会、という点にも置かれていました。この調査では、特にこのような移民というバックグラウンドがある環境での社会学的な分析をしたかったのですが、これは普通の学校の状況にも当てはめることができます。ここで、クラスを2つに分けたらどうなるか。2つに分ける、というのは学校側からみてもまだ可能な範囲でしょう。2つに分ける方法にはいくつかありますが、たとえば、午前中に1グループ、午後に1グループに授業する。それとも、交互形式、つまり、14日間1グループの授業が行われ、もう1つのグループは遠隔授業、次の14日間はグループをチェンジして行われる。様々なグループの分け方の考察が行われていて興味深いのですが、これらの様々な撰文方法のモデルはすべて現実的な方法ですが、まずは、アルファベット順。アルファベット順に2つのグループに分ける、というもの。ちなみに、このグループは、コホートと呼ばれます。次に、性別。男子生徒と女子生徒に分ける、というものですね。男女の数に差が出た場合には、何人か別のグループに行って同じ数にしました。そして、仮説的な仕分け。これは、もし、グループの行動様式を把握していた場合、、、この場合はその前に行動形式のデータ分析を事前にしていますからよくわかっていますが、午後の放課後の行動が一緒である子供達、ここでは、この点が重要なのですが、午後にどちらにしても一緒に行動する子供達でグループをつくりました。

性別でわけるよりも、友達同士を離さなくてもすみますね。

他にも、Network chain cohotingという方法で、友達が多い生徒を一人選んで、どの生徒と交流があるのか、ということを言ってもらい、指名された生徒のグループでも、また同様に放課後の交友関係を言ってもらって、それをクラスの半分の人数になるまで続ける。もう半分のグループは残った人たちです。これを、ネットワークチェーン・コホーティング、といいます。ここから、2つの点を分析しました。まずは、感染の頻度。これを7週間でシュミレーションしましたが、期間的には十分であるのと、その間に休みが間に入るだろう、ということで7週間です。そして、隔離率にはどのような影響を与えるのか。つまり、学校の運営への影響です。隔離される生徒が増えれば、学校は閉めたも同然の状態になりますので。それは避けたいことです。

そうなれば意味がないですものね。

そうなのです。感染防止、ということだけではなく、学校も維持したい。つまり、隔離を防ぎたい。ちなみに、この論文はとても具体的に様々な点について書かれていますので、読むのも大変興味深く、とてもわかりやすく書かれていて、社会学者や、モデリングの専門家でなくても理解できる内容です。勿論、疫学的なパラメーターが使用されていますので、この部分を無視してモデリングされているわけではありません。忠実にパラメーターに基づいて計算されています。

ウィルス全般の性質なども配慮されている、ということですね。

その通りです。文献から、第二次罹患率もわかりますので、シュミレーションではこの3〜27%の第二次罹患率が使われています。

つまり、次にどのくらいが感染するか、ということですね。

そうです。残念ながら、ここでは一部しか紹介できませんが、これを政治的な助言として参考にする場合には、いくつかのレベルで、政治関係者は真摯に受け止めて正しく読み込むことが重要です。しかし、どちらにしても、いわゆるランダム・コホーティングをしたとしても、適当にクラスを2つに分けたとしても、全くしないよりかは全然ましなのです。つまり、クラスを二等分にする、ということは、平均的に約半分の感染を防ぐことができる。他にも一般的に言えることは、14日間サイクルの交互型のほうが、1日のなかでの2シフト型、午前中、午後で分けるよりも良い。これは、経済的にも教育的にみてもあまり良くないかもしれません。本来であれば、毎日学校に行けることが望ましいとは思うのですが、感染生態学からみても、毎日子供達が学校にくる、という点で何が起こるか、ということは明らかです。1つのグループが14日間の隔離状態にある、というところからの効果が望めます。

これは、グループに分ける、ということだけではなく、追加でおこる効果でもありますよね。家に待機する、という点で。

そうなのです。違う結果もみてみると、感染、という視点ではなく、この二等分されたクラス間での接触ですが、適当に偶然の配分で分けられたクラスと比較すると大変興味深いことがわかりました。どのくらいの接触頻度の削減がみられたのか。という比較ですが、接触行動様式がわかっているグループ、性別で分けたグループ、そしてnetwork chain cohortingで選ばれたグループでは、この偶然に分けられたモデルに対して、理想的に分けられたグループのグループ間での接触は17%の削減がみられた。ここからも、放課後の行動がどのような影響を与えるか、ということがわかると思います。ここのメッセージは、これが行われるべきであり、クラスを適当に二等分してはいけないく、放課後の接触範囲を配慮しなければいけない、ということです。

ということは、引き続きそこでの接触は可能だ、ということですよね。私は、自分のネットワークのなか、自分の仲間、友人と一緒のコホートで14日学校に行く。この14日の間は放課後も会っても良い。

放課後の接触は引き続き可能ですが、ただ、1つモデルでは、別のグループに感染が持ち込まれる可能性があるのに対して、他のモデルではそれがありません。というのも、クラスで一緒のグループは放課後も同じグループで行動するからです。性別での振り分けでは、57%の減少。大変大きい率ですが、これはもしかしたら、ここの対象が9学年生で、その頃はまだ放課後の活動が男女別になっているからかもしれません。この歳以上になると、彼女や彼ができたり、と違う交際範囲に広がるでしょう。

単純に交友関係でもですよね。 自分がどうだったか、、ということを考えてみると、、、もしかしたら、先生もそうだったかもしれませんが、たぶん、この2年後には性別で分ける、というのはあまり意味がないかもしれませんね。

そうですね。そこからはほとんど意味をなさないでしょう。このネットワークチェーンコホーティングは、性別で分けるよりも効果が高く、感染伝播の率を42%減少させることが可能ですが、効果は理想モデルには及びません。不確かなところも残るでしょう。 つまり、クラスの半分、選ばれなかった方のグループ、と言えば良いでしょうか。それでも、かなりの効果はあります。勿論、これをどう実行するのか、ということになってきますが、たぶん、年齢は関係なく、このネットワークチェーンコホーティングが良い方法なのではないか、と思います。

先ほど、7週間、という期間を挙げられていましたが、このレオポルディーナの声明文があり、この論文があり、モデリングされた数値をみていくと、クリスマスの後には現実的にみてどのくらいの数になるのでしょうか。ハンブルグでは、年頭にも休みがあるのですが、、その休みまで、いや、春、3月までこのままの状態でやっていく、ということになるのでしょうか。疫学的な視点からも

学校の休みはありますね。時期的な目安、というのをつくらなければいけないかもしれません。それが必要かどうか、というのはまた観察された数から判断されます。しかし、基本的には学校にこのような時期的な休みの枠がある、ということを利用しない手はありません。

しかし、多くの州では、イースターの休みです。そうなれば、かなり先の話です。もしかしたら、数が速く減少してきたら、イースターまでは必要ないかもしれませんね。根拠なく言っていますが。

そのような予測は今の時点ではできません。みていくしかないでしょう。ただ、学校だけが感染状況をつくっているわけではない、ということです。他にもたくさんの社会的な分野、この軽ロックダウン対策では徹底して制限できなかった部分、というものがあるはずです。例えば、ホームオフィス規定であるとか、ですが、レオポルディーナの声明文にもありますが、全ての職場で可能なかぎりテレワークに切り替えることを強く要求しています。これはアイルランドで厳しく制限されましたが、アイルランドは、IT分野でかなり進んでいる国だ、と聞きました。

公共交通機関も規制もドイツではされていませんでした。

アイルランドではかなり早い段階で、公共交通機関の使用率を25%まで抑えています。この部分もドイツではされていません。リスクがあるところというのは、学校だけではないのです。勿論、学校にはリスクがあり、感染にブレーキをかけるものではないことも確かですが、この伝説、どんどん広がっていった間違った情報をいい加減に正さなければいけなくて、REACT-1論文や、 イギリスのONS数でも明らかなように、学校は重要な一部であること。ここを理解すべきです。そして、これからどうすれば良いのか、ということを考えることが大切なのです。 先ほど、コホーティングのいくつかの方法を挙げましたが、部分的には決定的で、部分的にはそうでもありません。勿論、今、交互スタイルにするのか、14日間スタイルにするのか、という選択肢もありますが、これは、2つの感染条件によっても変わってくると思います。感染伝播の条件、つまり、感染が拡大していく際に好ましい条件ですが、例えば、高い基礎発生率であったり、学校でマスクをしない生徒が多かったり、このようなものは、コホーティング法に大きな影響を与え感染頻度を高めます。つまり、コホーティングで多くの感染は阻止できますが、隔離へ対してはあまり大きな効果はありません。多くの感染が起こっている状況では、常にどこかで隔離が行われているわけですから、どちらにしても、隔離の数は多いのです。 その反対のシナリオは、もっと興味深いもので、それは、私が夏にアイデアをしたためた際にも常に提案していたことですが、短期隔離、です。原則的にここでは私が当時、感覚的に提案したことが、定量的にだされています。それは、もし、基本的な条件が揃った場合、つまり、感染伝播が少なく、全員がマスクを着用し、全てがうまくいっている状態では、感染もあまり発生しないわけですから、この学校内でのコホーティングもほとんど全体の感染状況には影響しません。この状況下では、もし、2つのグループが偶然接触してしまう、ということが起こったとしても、感染伝播も比較的はやく止まるでしょう。しかし、隔離、という面では大きな影響を与えます。そして、コホーティングがあまり上手くいかなかった場合を想定すると、もう一つのグループに感染が伝播してしまうわけです。そうすると、両方のグループを隔離しなければいけなくなります。この場合、どちらにしてもそれ以上は感染は拡がらない状態ですので、これは無駄というか、不当な処置とも言えると思うものの、14日間の隔離はされるのです。そして最終的には学校全体が閉鎖されてしまう。そこでの私からの、短い隔離と抗原ラピッドテストというコンビネーションの考案、学校を閉鎖することなく持続させる方法、現在の隔離規定に対するものです。

これはすでに政治的な考案としてもだされていました。

この考案はもうでていますが、まだ実行には移されていません。しかし、今、このレオポルディーナの推奨とともにもう一度、学校をこれからどうするのか、ということを考えるきっかけにはなるのではないでしょうか。そして、これをできるだけ全国均一で行う。ここもレオポルディーナが強く念を押している点です。ドイツ全国規模で、統一された規約、第一に理解と均一に重点を置き、その次のラインで、州ごとの違いがある、と。

理解と統一性によって国民が受け入れやすくなるからでしょうか。

そうです。承諾です。誰もが理解する、ということですが、対策では、わかりやすさと実行のしやすさも重要です。なぜなら、全てを保健所だけでコントロールするのは無理になっているからです。今、他のところで闘っていますから。追跡調査だけでも精一杯です。この運営においての変化、学校もそうですし、家族、家庭医など、、全てにおいてここの、三角関係、というか、お互いによく話し合っていく必要があり、一緒にどのようにやっていくかをみつけていかなければいけないでしょう。

もう一度、具体的な実践についてですが、例として9学年のモデリングがあり、年齢構造と感染状況の関係もでました。小学校はそのままで、それ以上の学校での対策を考える、などという科学的な考案はあるのでしょうか?それとも、全ての学校で行われるべきなのでしょうか?

 私は、イギリスからの数字を見る限り、、、何度も言いますが、これが単純に交絡因子もない状況で出された優れた数値である、ということ。例えば、ドイツでは、生徒達は頻繁に検査なしの隔離をさせられていて、それは統計に含まれませんし、 子供は年齢が下がれば下がるほど、症状が出ないのですから、症状重視の検査対策だと、みつからない感染も勿論あるのです。 このような点は、イギリスの調査では系統的に除外されて交絡因子も少ないのですが、これをみると、小学校の高学年からかなりの率に上がっていきます。小学校中学年では移行影響がみられます。 実用的な解決法をみつけなければいけないと思うのです。小学校の高学年からはじまるのであれば、ここで手を打つ。どこかの部分で制限したくないのであれば、小学校の低学年と幼稚園で、ということになるでしょう。

そうなれば、春のシチュエーションと比較して、少し保護者の負担を少なくすることができると思います。年齢の高い生徒は常に誰かが側にいなければいけない、というわけではありませんので。ホームスクーリングではもっとサポートが必要ですが、そこでも大人が常にそばについていなければいけない、ということではありません。保育園児や小学校の低学年では状況が違います。この、広範囲における科学的な推奨は、ドイツ全土における均一な対策を持って感染数を抑えるために必要なものであり、厳しいロックダウンの後でも、すぐに全てを緩和することはできませんので、それから、次第に地域別の調整ができるようになるのではないでしょうか。

そうですね。この政治的な動き、州対全土、はそこまで具体的ではありません。しかし、レオポリディーナの声明書は、均一で、明確なルールが必要だ、としています。勿論、学校に関してだけではありません。これはほんの一部です。他にもたくさんの感染拡大に影響のある社会的な側面があります。他の国がどのようにしているのか、ということをみるのは興味深いです。先ほど、少しアイルランドの交通公共機関の例を出しましたが、オーストリアからも学べることがあります。オーストリアでも、高い発生数のために2段階のロックダウンに踏み切りました。そこでもドイツのように軽いロックダウンからはじめています。

緩やかに始めた、ということですね。

そう、緩く、です。しかし、この軽いロックダウンのなかでも、特定の部分に関しては、ドイツとは違うかたちを取っています。オーストリアでは、11月の上旬に軽いロックダウンが始まって、そこですでに夜の外出禁止令がだされています。そのような時間に外を歩かなければいけない理由はありませんから。ギムナジウムの高学年は閉鎖され、つまり、在宅授業です。ここでこれでは十分ではないことに気がつき、ここからもっと厳しい外出制限がされ、全ての学校が閉鎖されました。この点がドイツでは見落とされていることが多いと思うのです。もう一度繰り返しますが、私は学校を閉鎖することを勧めているのではありません。学校を持続させていくことが大変重要であることはわかっています。特にこのテーマではそうですし、他のテーマに関しても、常に100%の効果がある対策である必要はありません。全てにおいて達成されている必要はないのです。70〜80%があれば足ります。ここで考えなければいけないのは、どの領域でもうすでに対策が行われているのか。他の国との比較でも、例えば、公共交通機関に関しては、ドイツではまだ何もされていません。ここの改善はできます。他のところ、もうすでに70、80%の制限をしているところに、残りの20、30%を付け足す、というのではなく、まだされていないところに注目すべきです。大変コストのかかることであることはわかっていますし、このような対策に対して国民の従順な理解が得られなくなっているのも事実でしょう。従わない人は一定数必ずいます。その人たちを説得することは不可能です。ですから、このような対策の制御をする際には、どの部分を一番はじめに収穫できるのか、というところをみていかなければいけないのです。ドイツ国内の学校では、マスクの着用以外ほとんど何もされていないわけですから、全体的な対策のなかに、この低く垂れ下がっている実の部分があり、それを1月に収穫せざる得なくなるでしょう。小学校はそのままで、クラスの分離をどうするか、というところなどを考えていかなければいけません。

オーストリアに目を向けると、緩くはじめ、それから強くブレーキを踏んだ、というところでは、全体的な科学的意見と一致します。ブレーキをかけるタイミングが遅れれば遅れるだけ、ブレーキをかける度合いを強くしなければいけない、つまり緩ければ緩いほど、長引く、ということですよね。

そうです。もう一度、坂を下っているトラック、という像を想像した時に、100メートルくらい走ったのちに速度が落ちていないことに気が付いたら、もう一度ブレーキを踏まなければいけませんね。しかし、そのまま軽くブレーキを踏んだままにしても意味がなく、トラックの速度はさがることなく、加速していくことでしょう。このような状況が今のドイツの発生率です。停止どころか、ここ数日でまた増加しています。

ゲッティンゲンのモデリングで、状況をコントロールできる状態に戻すのに、どのくらいの接触削減が必要なのか、という計算がされていますが、正直なところ、ある点を超えてしまったら、永久機関のようである、と書かれていて、つまり、自ら動き続けるシステムになる、ということです。保健所が制御不可能になり、感染のチェーンを追跡できなくなったら、臨界点に到着し、そこからは感染者数の増加を止めることができなく、ウィルスの後を追いかけるように検査するしかなくなってしまいます。保健所の対処よりも感染伝播がより速く、広く拡がっていきます。モデリングは、時には予報として捉えられると思いますが、実際にはそこまで先までの計算ができないために正確な意味での予報ではありません。モデリングは、どうしてパンデミックがこのような動きをするのか、どのパラメーターを調整するべきなのか、改善の余地のあるところを探す術なのです。とは言っても、このモデリング研究では、具体的な数値が出されています。それを見ていきたく思いますが、どのくらいの接触削減が行われれば、臨界点から何%脱出することが可能なのか。様々なシナリオでのパーセントが出されています。20%、40%、60%。このモデリングの数値は、現在の討論の参考資料として使えるのでしょうか?

これは、ヴィオラ・プリーゼマンの最新論文です。大変具体的な論文で、シナリオ研究です。このモデル研究では、様々なシナリオを想定します。ここには、彼女がここ数週間、公で発言していた様々な点が書かれていますが、大変複雑な研究です。ここから、何を参考にすることができるのか、という点では、私には理解に必要な視野が足りないかもしれません。私は理論学者ではありませんので。

ヴィオラ・プリーゼマン氏は物理学者ですよね。

そうです。そして、私は医学者です。常にこのような論文を、尊敬と驚嘆を持って読んでいますが、この論文で重要な点は、シナリオの想定、つまり、シナリオのバリエーションですが、これが、10月から11月頭に対策の決断がせまられ、ロックダウンが始まった時期に一致する、というところです。発生率が下がり、保健所がまた追跡調査をすることができるようになったら、という想定で、ここでは違う計算をしなけれいけません。決め手なのは、、、数をドイツの計算方法でだすと、、、ドイツの保健所は、1週間の発生率が10万人中の70まで対処できる。比較的多めに見積もってますが、この範囲だと、感染のコントロールも可能になり、10万人中の7まで抑え込むことが可能になりますが、 どちらにしても、保健所の対応範囲以内に下げることが必然です。

ゆとりの幅をつくるためですね。

そうです。重要なのは、ギリギリのところではなくて、明らかにそれ以下でなければいけない、ということ、つまり、かなり下に抑え込むところまでブレーキをかけていかなければいけない。そこまで下がれば、、ここでモデルのパラメーターでみていきますが、若干の波や変化があったとしても、、その発生率であれば長期間に渡ってのコントロールが可能です。再度のロックダウンの心配はなくなります。他のシナリオ、別のチームによるものですが、そのシナリオでは、残念ながら、何度もロックダウンを繰り返さなければいけない計算です。実際の保健所のキャパは私たちにはわかりません。1週間の発生率が、35か、50/10万人、というのは推測でしかありません。保健所に誰かが立って、1ケースにつき職員が必要とした時間などをカウントした数ではなく、大雑把な推測なのです。

地域によっても違いますよね。ファックスの前に立って待っている気の毒な職員の図をみたことがあります。ここでかなりの遅れが生じますし、其々の環境の差もあるでしょう。良く言うならば、、数を十分に下げることができれば、再度のロックダウンは必要なくなる、ということですね。ある一定の域まで下げれれば、そこからのコントロールが可能である、と。

そういうことです。ですから、この数は魅力的なのです。なぜなら、他のモデリング研究からも、そこまで辿り着ことができれば、そのRT値まで下げることができれば、医療や感染制御は勿論のこと、経済にも良い効果が得られる、ということはわかっています。ロックダウン下で経済をまわしていきたくありませんし、通常運営をしたいわけです。他にも取り上げたい論文は、これは、ヘルムホルツと IFOの共同論文ですが、ここでは、いわゆる Sweet Spotが、0、7〜0、8の領域である

R値が、ということですね。

そうです。ヴィオラ・プレーゼマンは、シチュエーションの推奨値として0、7をあげていますが、これはドイツでのロックダウン開始時に一致します。ここでは、ドイツのシチュエーションの把握のために 規定やマニュアルを明確にしたかった、とあります。レオポルディーナの推奨論文にも0、7〜0、8とあるのも、根拠のない数値ではないのです。ここからもおわかりのように、舞台裏での学者間のコミュニケーションはきちんととられています。

しかし、この数値は、発生率、つまり新規感染者数がかなり抑えられた時点からのものですよね。

そうです。発生率を速く抑えるには接触を75%まで削減しなければいけなく、そこから基本的な減少をしていくことができます。つまり、マスクの着用を継続し、40%の他の対策です。しかし、これはかなり抽象的ですし、効果がどのくらいか、ということははっきりとはわかりません。レオポルディーナ論文では、他のドイツに関する興味深い学術研究の引用もされていて、3月、4月のロックダウンの際に63%の接触削減がおこなわれています。しかし、現在の削減率は43%。これでは単純に足りない。他の国、例えばアイルランドなどをみてみても、秋のロックダウンでは、明らかにそれよりも大きく接触削減が行われました。ドイツでももっとされなければいけません。

先ほど出たシナリオは、20%の削減、40%と60%の削減でしたが、先生は、今、75%がされなければいけない、と

断ち切るためには、です。

ヴィオラ・プリーゼマンは、対策に対して科学的な視点から厳しい強化を政治へ要求している科学者のひとりです。純粋に数値だけをみてみても、今手が打たれなければいけないことは明らかです。先ほど、レオポルディーナの署名者の輪のなかにも、国民に声が届かない、と感じている人がいて、発言するたびに攻撃される、と。それは、外部からのみではなくて、科学分野の内部からもであって、様々な人が様々な主張をする。ウィルス学の分野からは、今現在、そのように他の学者を攻撃するような意見を主張するケースは思い当たりませんが、他の分野では、自分は違う意見である、ということを大きく掲げる学者もでてきます。 今、戦略を変えなければいけませんが、変える、ということは、厳しい対策を要求することでも、いままでの対策を全て投げ出すことでもないと思うのです。しかし、変える、ということが実際に何を意味するのか、が明確ではないことも多いように感じます。今、もうすでに6つもの仮説論文を公開した著者グループがありますが、そこでのテーマは、どのように政治的戦略が動いていくのか。接触全般の削減から、これが実際には何なのか、という思考までの繋がりを解明することを試みていますが、これは、保健科学の分野のもので、チームにはウィルス学者、疫学者などは入っていなくて、保健科学者のチームです。弁護士、政治学者、医療社会学者と介護マネージメントが参加しています。8名の男性と1名の女性が、代表である、マティアス・シュラッペ、そして、ゲルト・グレスケ、彼のことを保健科学者としてご存知の方も多いかと思いますが、そこで書かれていることは、例えば、ロベルト・コッホ研究所で発表される数には意味がない。発生率、という言葉も誤解を招くものであり、取りこぼし率、つまり、無症状の感染者のファクターにより、実際の感染者数はこれよりも2倍から6倍の大きさである。これは何を意味しているのでしょうか?

うーん、取りこぼし率とこのファクターはもうすでの前からわかっていることであって、新しい情報ではありません。これは、感染致命割合と致命率の安定した数値がわかった時点でこれははっきりしています。この関係性から計算することは容易にできます。

つまり、感染しているけれども、病気になっていない人たち、無症状であったり、ごく軽い症状しかでていなかったりする人たちと、本当に罹患した患者の致命率の違い、ということですね

そうです。この 感染致命割合に辿りついた経過はありますが、ドイツでは、約1%であると言えるでしょう。以前のポッドキャストでもこれについては何度も説明していることですが、主な柱となるものは、抗体保有者調査で、ここから取りこぼし率を出すことができます。これは、6〜8です。このポッドキャストでも5月から何度も言ってますから、全く承知の情報でしょう。これらの数値が定量化されていない、という主張をするのは危険だと感じます。つまり、取りこぼし率がある、というのは、RKIの数は全て間違いで、何をやっているのかもはっきりとせず医療も混乱し、対策自体も間違っていて、数値も全く別な計算方法でださなければいけない、というようにも聞こえます。このような感染状況も全く違う説明がされなければいけない、と。先ほどの、批判がたくさんある、というのは本当にそうです。RKIの数のどこが、教科書に書いていること違う、というのでしょうか? どのように計算されなければいけないのか、そして、発生率や有病率、といった の定義は何か? RKIのデータは、サーベイランスデータで、集計されて報告され、このようなサーベイランスデータ、つまり、疾患監視のデータは、常に継続的なデータです。疫学の教科書のはじめの1章だけではなく、きちんと読んだなら、発生率の純粋に理論的な場合と理想的な場合だけではなく、疫学の分野では、この不確かな点、そして現実をもきちんととらえられていることがわかるはずです。これは、感染疫学なのですから、本当にきちんと最後まで教科書を読んでいただきたい。第1章だけ読んで騒ぎ立て、ポレミックな書き方をされた文章を読むと、初めからメディアからセンセーショナルなものとして取り上げられることを目的としているのではないか、とさえ疑ってしまいます。実際に、メディアでも大きく取り上げられましたし、しまいには政治にも届き、そこで科学の分野にも対抗する意見があるのだ、と反論の資料としてだされてしまっています。しかし、実際にはそのようなことはありません。そのような意見はごくごく僅かなのです。政治ジャーナリズムにありがちなとてもアグレシブな表現の仕方で、対策の一部は、隠蔽であり、 ベルガモ・ナラティブは、市民社会的な責任に置き換えられなければいけない、と。これはもう政治的な意見としか聞こえません。科学は、建設的な案を出すべきなのです。 これが、私がこの論文で、、、この前のバージョンもそうですが、納得行かない点です。案自体をみてみると、とても薄っぺらいですし、良い案だと思えるものをあげるとすれば、もっとハイリスクグループを守るべきだ、というもの。これは正しいです。これに反対するひとはいないでしょう。しかし、このような案、というものは、具体的な実行案として挙げるべきであって、それがここでは欠如しています。つまり、それをどのように実際に実行していくのか、ということがはっきりとされていなければ、科学的な論文や説で説明できなければ、ほとんど役にたちません。このように、細かい詳細を熟知していない人たちが、政治家に、科学は科学者同士でも同意していなくて、科学を信頼することはできない、という印象を与えてしまう

ハイリスクの保護は、ここでは戦略変更としてあげられていますが、この前のバーションの論文では、 危機介入チームによる介護施設の指導、というものが入っていました。それでも、ここの推奨案のページをみてみると、先ほど、この論文内のロベルト・コッホ研究所を激しく批判する部分を引用されていましたが、違う部分には、我々は議論の機会をつくり、議論のプロセスをつくっていきたい、とあります。また、数に関しては、ドイツ国内でコホート調査が行われていないところを指摘、つまり、ランダムに選ばれた国民を症状とは関係なく定期的にPCRで検査して統計をとる、というものですが、以前にイギリスでの同じような調査についてはここでもお話しました。これは意味がある考察でしょうか?

そうですね。これは、正しく、そして意味がある考察です。批判ばかりしているのではなく、先に進まなけれいけません。コホート研究として、ここで定義されているものは、正確には正しい定義ではありません。論文の違う箇所には、抗体保有者調査とありますが、これをコホート研究として認めるわけにはいきません。これは間違いです。きちんとデザインされた研究はコホート研究ですが、この場合のコホート研究はどちらにせよ正しい定義ではありません。勿論、ここで著者が何を言わんとしているのか、ということはわかります。著者は、単純に臨床研究、臨床観察、歪みがない、つまりきちんとコントロールされた状態で定量的に調整されたものを要求しているのでしょう。そのような研究はイギリスでされています。さて、推奨に戻ると、、イギリスでは、公の保健機関と学術的な科学分野とのシステム化された科学的連帯体制があります。ここでは、保健所や、RKIなどを指すものでなく、大学や学術的な研究機関がイギリスではここ数年でシステム化されました。ドイツではまだです。これをまずはされなければいけません。しかし、その時期は今、このようなパンデミックの最中ではないでしょう。問題の解決策を掲示することなく、誰かに罪をなすりつけたり、誰かのせいにするのは何の役にもたちません。解決案は、、イギリスがその点では私たちよりも進んでいる、ということをまずは認めることです。今現在の状況からは抜け出す助けにはなりませんが、ドイツの州によっては始められているところもあります。この調査からデータもでるでしょう。しかし、ここではそこまでシステム化されていませんから、そこの改善はされなければいけませんし、研究というものは、常に何年もかかりますから、今のパンデミックには何の役にもたたないのです。しかし、イギリスは社会構造的にそこまでドイツと異なるわけではありませんから、ここから必要な情報は取り出すべきです。これによって、この章もこれで解決です。これ以上、騒ぎ立てることもありません。この他にもこの論文のなかで、スキャンダラスに表現されている部分がありますが、この著者が代案としてあげているところです。

例えば、どのようなことでしょうか?

定量的な認識がありますが、先ほども言ったように、この著者の定量的な理解、というものはあまり良いとはいえません。しかし、理解に苦しむところもなくはないのです。例えば、エピデミック下での集団形成での感染拡大から、散発的な拡大についての説明ですが、散発的な拡大は、無症状や気づかれることのない感染、という理解がされ、知らずのうちに拡がっていく、というイメージにつながります。ここでも、曖昧な関係性を持って取りこぼし率つ繋げられていますが、この文章を何度も読み返してみると、著者達が何を言わんとしているのか、ということが理解できます。彼らの想像するものは、人々が2つの異なる経路で感染を伝播している。1つめには、大きなアウトブレークによるもの。この例として、精肉工場のアウトブレークが出され、、、それよりも小さなものもあげられていますが、そのようなアウトブレークです。そして、これをエピデミック、あるいは、集団型、と呼んでいますが、もう一つは、静かに散発的に起こるもの。気づかない、もしくは無症状の場合です。ここではっきりと言いますが、これは全く間違っています。これは単純に間違った考え方です。ここでは、文献も読まれていませんし、参考文献からの引用もありません。このウィルスが、無症状の場合には違う感染伝播の形式をとる、ということはないのです。このウィルスの拡大の特徴はもうすでに理解され性質も把握されています。もうこの半年で理論的には網羅されているのです。多くの科学者が網羅しています。このウィルスは現在、この、集団免疫がない状況では、爆発的な力を持って拡がっていく。何も手を打たなければ。ここでは、症状が出ていようとも、無症状であろうとも、そんなことは関係ありません。30%、いや、20%かもしれませんが、そのくらいの無症状者が全ての年齢層の平均値でいると考えられますが、生徒に多く、高齢者には少ない。これははっきりとしています。しかし、症状があるのと、ないのと、の間に拡大の力学的な違いはありません。ですから、全く把握できていない取りこぼし率はないのです。それは計算することができますし、忍び寄る、散発的な拡大もありません。この散発的、とのがどのような意味で使われているかは知りませんが。

これは法的な定義ではないですよね。散発的、というのは。

違います。散発的、というのは、言い回し的なものであって、定義、ではありません。感染伝播の力学的な状況の説明の際には、伝播行動の定量的な表現が必要です。例えば、再生産値、とものがあり、免疫、免疫閾値があって、残念ながら理解されていないのは、過分散、という性質です。拡大は、R値の平均から、様々な疾患の比較が可能です。季節的なインフルエンザとパンデミック型 Covid-19感染症も、このRの平均値の偏りで比較できます。

つまり、分散からのクラスターの意味合いですね。

そうです。 Covid-19の性質はこの過分散で説明することができ、拡散のメインがクラスター、集団でおこるものである、ということ。インドの大きな研究がサイエンス誌に掲載された時点で、これは本当にマイルストーン的なものだったのですが、遅くてもこの時点で、エピデミックを野放しにすると、クラスターは形成される。エピデミックが進むとクラスターが消える、ということはありません。現在の感染者登録をみても、感染が放散しているようにみえるのは、そのような印象を受けるだけであって、この感染症の感染メカニズム的にはそうではありません。この感染伝播をそのままにすればするほど、科学的な論文で裏付けがあるように、過分散がおこる。このウィルスは、常に症状者と無症状者がミックスされたクラスターによって拡がります。ですから、この仮定論文のなかの、集団型と散発型との分類は、全く根拠のないものです。このようなことを科学的なテーマにした、というところで完全な失敗と言えるでしょう。

この論文、この40ページから、本当に何が言いたいのか、ということを明確に読み取ることは困難であるように思えます。私もそう感じました。きちんと最後まで読みましたが、著者のなかには著名人も入っています。マティアス・シュラッペとゲルト・グレスケは保健専門委員であったこともありますし、素人としては、定義や数値が多く出てくるので、きちんと詳細までまとめられた論文である、という印象も持つのではないでしょうか。もうひとつだけもう一度、著者達は、取りこぼし率をあげ、ロベルト・コッホ研究所の数値を批判していますが、多くの点が繰り返されていて、問題は、地域によって検査数にばらつきがある、と。検査頻度と、陽性率などがどのような意味を持つか、ということはこの場でも何度も説明してきたことですが、ここで独自の方式が開発されたようです。 Notification-Indexと呼ばれるものですが、数学的にはどうなのでしょうか?

これは、修正率のようなものだ、と理解すればよいでしょう。ここでは、この感染症の特徴でもある過分散の原理などは無視され、単純にRKIの数字が間違っているから、私たちが修正率を提案してあげますよ、という。この修正率は、、、

不均一性マーカー、という名前です。

そうです。ここでは、不均一性マーカーと名付けられていますが、これもこの論文内での典型的なスタイルですが、修正するのは極めて簡単である、と書かれています。しかし、ここに至った経過などについては全く説明されていません。まず、この不均一性マーカーでは、2つの事が混同されてしまっています。何%の感染がクラスターから来るのか、何%の散発的におこるのか。これを、項の分母にします。その他にも、感染登録数であったり、検査数と陽性率との関係であったり、ですね。この分母に対して、クラスターケースと散発ケースの関係がくるので、大変単純なものだ、ということのようですが、この関係は、さらに約分できる、と。クラスター感染者÷散発感染者。数学的な原理はこのようなものです。そして、散発ケースがでるとリスクが高くなり、リスクインデックス、でしょうか。ここの解釈は難しいです。まず、このようなことは定義できない、ということと、登録時の障害をみても、クラスター感染者と散発感染者の関係を割り出すことはできません。この数字は今の時点で出す事は不可能です。ここが問題なのですが、ここにはそのように書いてあります。このように放散した感染状況である、と、多くの人が理論的に理解したように思うかもしれませんがこれは事実ではありません。これは、今、人々が単純にどこで感染したか、ということをはっきりと言えなくなっているからであって、そのくらいたくさんの感染のチャンスがある、ということなのです。追跡するのが不可能です。しかし、追跡ができない、ということと、この現象が存在しない、ということとは全く別物です。

そして、軽度の高頻度接触も多くあるわけですし。例えば、バスのなか、など。

そうですね。この不均一性インデックスの解釈も部分的には間違っています。例えば、なんらかの対策によって社会接触を削減したとしましょう。日常生活で、最大5人までしか会ってはいけない、など。この場合、クラスターの発生は少なくなります。クラスターのためには、最小限の感染者が周辺にいることが必要です。ここで、この反対の散発的な伝播ですが、この著者がここで言っているような、つまり、クラスターではなく頻度が高い感染です。これは、この方式からはよりリスクが高い、と割り出されます。しかし、実際には、ロックダウン対策がされているわけです。つまり、感染のコントロールをしようとしています。野放しのエピデミックの場合は、クラスター、大きなクラスターを生みます。この点に関しても、この修正率は真逆で間違っています。これはまた後に言いますが、、、この基本的な全体像、エピデミック的な爆発的クラスター形成と、散発的内密的、あるいは無症状的な感染伝播、という分類がそもそも間違っているのです。ですから、継続的な感染者登録数を使う、だれもが、これが継続的で未完了なものであることはわかっていますが、それ以上の数値はないのです。しかし、これでは間違った方向にむかった修正をすることになってしまいます。

この論文にはもっとたくさんのことが書いてありますが、もうこの辺りにしたほうが良いかもしれません。しかし、最後に、この論文から参考にできることなどはありますか?

うーん、感情的な表現スタイルを無視するとすれば、、、ハイリスクのグループの保護に集中すべき、というのは勿論その通りです。しかし、そのためには、そのグループを一番先に予防接種しなければいけないでしょう。残念ながら、この感染症で一番重要なのは、感染の大部分が、症状の出始め、もしくは無症状期に起こる、という点なのです。ですから、この部分での良かれと思って出される助言も、そこまで役には立たない。例えば介護施設でなどですが。確かに、抗原ラピッドテストの導入で改善されるでしょうが、まだそこまで供給できていません。そして、常にウィルスは隙をみつけて入ってきます。このウィルスが、、、これは感染力学、そして自然の摂理ですが、社会的環境のなかでどのように移動するのか。どの期間、症状の開始に対してどのタイミングでどのくらいの範囲で環境別にどれだけの量が放出されるのか、ということは、このウィルスで決まっていることで、そう簡単には変わりません。このデータを使わなければいけません。まず、ウィルスの行動は、直感的なものではありません。直線的型の感染伝播率が高くない感染症で考えても意味がありません。ここは、数学とモデリングを信用するしかないのです。そうしないと、暗闇のなかでの手探り状態です。たしかに、日常生活のなかで、感染防止に必然な政治的な介入との折り合いがつかずに苛立つ場面もあるでしょう。誰もが大変です。この非薬学的介入をしたい人などいませんが、このウィルスの感染伝播の特性をみても、唯一効果があるものは、唯一、まだワクチンがない状態で大切なことは、基礎発生率を低くすることと、それを持続することの他ないのです。この、非薬学的介入を持って、ハイリスクグループを守ろうとしても、ウィルスには常に負けることでしょう。

ワクチン開発からの最新ニュースは多くの人にとって希望の光でした。可能性としては、このハイリスクグループは介護施設だけにいるわけではなく、全土に散らばっていて、実際のところ、ワクチン、そして良い治療薬とのコンビネーションでのみ重症化を防ぐことができるのだと思います。イギリスでは、もうすでに予防接種が始まりました。しかし、ドイツでの状況としては、予防接種協会が推奨する分担をもっても、78歳の基礎疾患を持つ場合でも、予防接種をうけられるまでにはまだ数ヶ月かかる、ということです。というのも、まずは80歳、80歳以上が優先され、介護施設の入居者、そして介護士と医療スタッフと続きますが、これだけではありません。推奨対象は専門協会が判断しますが、ここで同意がされると思われますか?

プロセスの最中です。私は、比較的早く同意につながるのではないか、と思っています。しかし、STIKOの会長である、トーマス・メルテンスの発言のように、まずは、全てがオープンになってからの同意である、と思います。つまり、承認されたワクチンの決断ですが、他の点、例えば、発注できる規模などです。これらの情報はまだ揃っていません。ですから、 STIKOをはじめとする、委員会が特別ゆっくりだ、ということではないのです。全てがはっきりしたら、速攻で対応されるでしょう。私たち一般人の理解というものには歪みがあり、これは、政治から発信される情報からの影響でもあると思います。つまり、政治が、「ワクチンができたからもう大丈夫」と発表し、それをメディアがひっきりなしに拡散した。その際に、少し忘れられてしまったことは、第一弾のワクチンには量に限りがあることと、一体どの辺りの時期でのことの話をしているのか、という点です。1月末に国民の大部分が予防接種できることにはなりません。これは単純に達成できないことです。ですから、現実をしっかりと受け入れ、しばらくの間は、非薬学的介入をもって対策するしかないのです。ワクチンの今後可能な接種率では、パンデミックを抑え込むことは不可能です。ここで言っておかなければいけませんが、これから夏にかけてワクチンの接種希望者が増えるにつれて、社会的な問題も発生していく、ということ。これは私の予測です。納品数、承認状況、これらはまだ少し先の話ですが、私の予測は、夏のどこかの時点で、高いハイリスクを持つ人たちの予防接種接種を安定してすることができるようになるのではないか、ということ。そのようになれば、非薬学的介入を持続するように社会に理解を求めるのは難しくなってくるでしょう。

つまり、今行われている対策、ということですね。

そうです。ある時点で、解除しなければなくなると思います。社会的に、政治的にも、目的の妥協点を探し、その方向に向かわなければいけないが、国民はハイリスクで構成されているのではなく、経済からもなりたっているわけで、全ての部分が尊重されなければいけないのです。イベントを禁止したり、観客数の制限などもできなくなるでしょうし、勿論、次の選挙にも緊迫する立場が影響するはずです。ある時点で、全土で今までになかったような大きな規模な感染があるでしょう。夏が来れば温度効果もあり、この間の夏のように現在の介入対策を持ってしても良い状態にはなると思います。夏が終われば、そこから現時点とは比較にならない莫大な感染者数になる。それは、健康で普通の若い世代、リスク因子がない世代です。例えば子供もこの時点で広範囲で感染し、保護者も感染します。リスク因子を持たない若い成人も、です。この時点で、ドイツの集中治療病床には、今までとは違う重症者で溢れるでしょう。つまり、全く健康で、突然重症化した人たちで、です。今でもそのような人たちは時々いますが、それが、かなりの率で起こるようになる。それまでに、なんとかして、薬学的な進展、重症時の治療、ハイリスクではない患者の治療面が改善されなければいけません。 勿論、予防接種は続きますし、この感染が浸透していくのと同時に、予防接種によって徐々に落ち着いては来るでしょう。しかし、それでも感染してしまった場合の為に、それまでには、抗体の用意、つまり、モノクロナール抗体ミックスの承認がされていなければいけません。使用にはタイミングが重要ですが、つまり、患者にはっきりとした症状がでていて、検査結果もあり、もうすでに入院しているか、入院直前で、数カ所のリスク特性がみあたる場合。この場合は、残念ながらかなり高額な抗体製品で治療されなければいけません。それまでに需要が上がり価格が下がることを願いますが。これよりも疾患経過が進んだ状態では、免疫治療が必要になってきます。つまり成分ですが、強い炎症性のある集中治療時の疾患経過において必要な抗体も安くはありません。簡単に言うと、肺をなんとかする、ということです。この分野の研究も進められなければいけません。そして、政治的な登録経路から保健省まで改善されなければいけません。もう次の問題はすぐそこにあるのです。 まだ、これに関しては世間では話題になってはいませんが、私にははっきりと目の前にみえます。ここで言えることは、来年の春までにハイリスクの予防接種をし終わり、国民のリスクを排除し、パンデミックの終息を宣言する、ということにはならないのです。残念ながらそこまで簡単なことではありません。

それでも、まずはワクチンが次の一歩ですよね。NDR Infoの違うポッドキャスト、シナプセンで、それについてニューヨークのワクチン開発の教授フローリアン・クラマー氏にお話を伺いました。たくさんの質問には、先生や、チーゼック先生はワクチン開発者ではないために、そこまで詳しい答えはいただけません。先生方はウィルス学者ですので。

日曜日にジョギング中に聞いていました。素晴らしかったですね。あの回は本当に良い回だったと思います。オーストリア気質とアメリカの精巧さ。まあ、反対かもしれませんが。反対でもあってるでしょう。これはおすすめのポッドキャストです。

ワクチンの治験などに関してもたくさんの質問にお答えいただきました。例えば、ご自身も治験者として、 BioNTech /Pfizer社の治験に参加した、など。クラマー先生は、ニューヨークで研究されていますが、ポッドキャストはドイツ語です。あ、彼の場合は、オーストリア語、と言ったほうが良いでしょうか。ドロステン先生、最後に、クリスマスについてみていきたく思いますが、その前にウィルス学的な点で少し。以前のポッドキャストでも、免疫反応については何度も取り上げてきました。これは、罹患した際に、重症化するかどうか、という重要な分かれ道になる点であり、ワクチンのあとでもどのくらいウィルスの拡大があるかどうか、という重要な点でもあります。重症化も防げるのか、それとも感染防止のみなのか。そして、まだ解明されていないところは、無症状者の免疫応対です。症状者よりも形成される抗体とT細胞の数が少ないのか、重症化の可能性はどうか。比較はできるのか、長期間に渡る防御効果はどうなのか。ドロステン先生、私たちは定量化しながらみていくことを学びました。つまり、T細胞の量が多ければ、抗ウィルス効果がある、などという簡単なものではない、ということ、なぜなら免疫応対がフォーカスされたものではなく、時には全く逆効果のプロセスを引き起こすこともあるからです。先日、シンガポールから発表された論文がありますが、ここでは、症状者と無症状者の間の免疫応対の比較を試みています。そして結果をだしました。これは参考にできますか?

いままでのこのような短期間での免疫観察研究の欠点は、感染のタイミングが配慮されていなかった、というところですが、これはそう簡単にはいかないことです。というのも、無症状者の感染タイミングをどうやって探し出せるというのでしょうか。そのような背景からの矛盾点が文献ではいくつかあって、例えば、症状者のほうがより多くのT細胞反応度がある、など。

つまり、免疫防御機能の白血球ですね。

そうです。ここから考えられることは、もしかしたら、T細胞はあまり良くないものかもしれない、ということ。しかし、同じように、抗原刺激がより多く起こっている、とも考えられます。症状が出ている場合は、ウィルスの量も多い、ということなので、免疫反応も大きい。これらを判断するのは大変難しく、両方の解釈が可能です。そこで、このシンガポールの論文がでました。

シンガポールの出稼ぎ労働者の調査ですね。

これは、シンガポールでも第一波中に比較的有名になった問題で、出稼ぎ労働者の宿泊施設でのアウトブレークです。シンガポールには、このように貧困地域から一時的にシンガポールに出稼ぎに出てくる労働者がいます。この労働者たちは、単独でやってくることが多く、多くは若い男性で、数年間シンガポールの工事現場、レストラン、飲食業やサーボス業で働くのです。その間、出来るだけ安く寝泊まりする為に、このような宿泊設備があるのですが、そのような場所で起こったアウトブレークの研究調査がされました。478名の入居者を観察し、はじめと2週間後、そして6週間後に採血し、抗体の状態を調べられています。誰に抗体ができていたか。誰が感染していたのか。はじめは、131名が血清陽性、つまり抗体が検出され、そのなかの4、6%だけに症状が出ていました。観察は続けられて、1週間目から6週間目までの間、さらなる171名にいわゆるセロコンバージョンがみられたのです。つまり、0週間目には抗体はなく、6週間目にはあった、ということですが、これはこの期間に感染したであろう、ということを意味します。このなかから、約5、5%が症状者でした。どうして症状者の数が少ないのか、ということは簡単に説明できます。この労働者たちは若い男性ですから、症状者率が高い高齢者とは疾患プロフィールが違うのです。そして、多分、このなかにはきちんと症状を伝えなかった人もいたのではないか、とも思います。このような交絡因子はどんな研究にも発生しますが、どちらにしても、ここではこの無症状者、つまり、抗体はできているが症状がなかった人たちを対象に、彼らの免疫応対、特にT細胞を調査しています。抗体は全員にできていました。これは検査ではっきりしています。これが基礎条件です。 しかし、T細胞応対はどうなのか。特別に良いのか悪いのか。これは、実際、疾患経過が良いか悪いか、というこの決めてにもなることです。ここでは、このT細胞がどのように動くのか、4つの異なる点が観察され、簡単に説明すると、患者全員、この場合、無症状、もしくは極軽い症状が出ていた患者ですが、ここでのT細胞の反応は通常通りでした。反応度は高く、全ての細胞がウィルスに立ち向かっています。T細胞の数も多く、全てがウィルスに反応しています。そこから、症状者で同じ観察がされていますが、このコホート内には症状がでていた人が少なかった為に、入院患者で検査されていますが、検査のタイミングは無症状者の場合と同じです。つまり、症状がある入院患者は、勿論いつ感染したのか、ということは明確です。ここで、同じ期間の区切りで採血し、同じラボで検査されています。そこでは同じ反応が認められ、つまり、症状者も無症状者も同じ反応パターンだった。ただ1つの違いは、T細胞の活性度が、無症状者の場合は大体3ヶ月後には下がってきていました。それに対して症状者の場合は、6〜7ヶ月持続しています。

どのような意味なのでしょうか?

これは、症状者の場合にはT細胞が長く活動する、ということです。しかし、完治後につくられたメモリーT細胞の数が少なく、最終的には同じ量だったというところからも、これ自体はあまり重要なことではありません。つまり、メモリー細胞はここでは特化して測られてはいませんので、この両方のグループが同じように免疫記憶を持っている可能性はありますし、2年後くらいにまたこのウィルスに感染した場合には、その前の感染が、無症状であったか、症状があったかということには関係なく、免疫記憶が発動してB細胞への連絡が行き抗体が構成される、ということも十分考えられます。この場合は、他の風土病のコロナウィルスのような軽い疾患経過になるでしょう。しかし、(風土病の場合は)これが子供の時に起こっていて、重症化しない、ということです。

つまり、免疫が似たように長く続く、ということですね。しかし、その逆説的に、症状が出ない人たちというのは、免疫応対が症状が出る人よりも効果的である、と考えることはできないのでしょうか?

より効果的、 というのは難しいところですね。ここには違う次元があって、この論文内でも試みられてはいますが、少し速くやりすぎた、という印象です。細部まで技術的に突き詰められていませんので、免疫学者はあまり納得しないでしょう。しかし、根本的な点、つまり、T細胞活性が良いか悪いか、というところでは十分です。ここから、もう少し掘り下げて、サイントカイン分泌についても調査されています。つまり、サイントカインは、免疫細胞との連絡機能を持ったものですが、ここでも解釈ができます。ここにも良いサイントカインと悪いサイントカインがあって、少し詳しく言うと、T細胞の中の反応パターンを刺激するサントカインで、これはこのような気管支や急性ウィルス感染症などに必要なものです。これが、インターフェロンγと、インターロイキン2TNF-αで、いわゆる TH1反応プロフィールとして存在し、これがあることが望まれます。それに対して、存在する THC2反応プロフィールは、このような疾患の際には望まれません。これが必要な疾患タイプもあります。

ここで炎症プロセスの調整がされるのですね。

そうです。根本的には、T細胞がどちらの方向にに行くか、ということで、T細胞は全体の免疫プロセス調整ステーションなのです。それから他にあるものは、これは、サントカインパターンではあるのですが、これは細胞から展開されて運ばれていきます。またT細胞に反応する細胞はそれ自体も免疫細胞です。特に炎症的な特徴パターン、炎症性パターン、 そこに、またサントカインマーカー、インターロイキン6とIL1βがあり、これらを測りますが、著者は全血から計測しています。つまり、血液サンプルを用いて、ウィルスに対するT細胞を通じてのサントカイン反応はどうなのか。これは、ミックスしたシグナルで、T細胞からくるものと、T細胞のシグナルに反応する他の血中の免疫細胞からくるもの、と。このミックスシグナルが計測されています。基本的には、このT細胞シグナルは無症状者にも沢山ある、ということです。ここから、T細胞応対があるべきかたちでされている、ということがあわかりますが、症状者からはそれに比べると量的には少ない。しかし、炎症性サントカイン、これはT細胞からくる必要はありませんが、それは症状者に多くみたれました。

つまり、炎症プロセスを引き起こすものですね。

そうです。ここからまた先に行って、、、ここで1回目の検査と2回目の検査も相互関係をみて知りたいことは、刺激されたT細胞からどのくらいのサイントカインシグナルがこちらとあちらのクオリティで出てくるのか、ということですが、ここが興味深く、症状者と無症状者を比較すると、無症状者のサイントカイイ応対は比較的均一です。そして、T細胞が反応すればするほど、サントカイン応対が返ってきます。この間の大きさのバランスはとれていて、良い相互関係を保っていると言えるでしょう。お互いに反応しあっている、ということです。それに比べて、症状患者では少し違います。症状が出ている患者からは、場合によっては反応するT細胞の量が少なく、強いサントカイン応対があります。そして、頻繁にそれは炎症性サイントカイン応対のみです。時には、少ないT細胞が過反応し、特に他の免疫細胞への刺激を行うのです。著者は、ここで、協調と非協調、という定義で説明をしていますが、T細胞からくる応対の連動は、無症状者の場合のほうが、症状患者よりも協調されている。どうして疾患を患うのか、ウィルスが長く滞在し、肺にもダメージがおこるのか、という理由のひとつに、このT細胞の悪い協調性があげられると思います。勿論、ケースによっては、全体的なT細胞応対の量に差がありますので、ここから次回の感染の際に起こりうる免疫経過の予測をすることはできません。新型コロナは他の風コロナウィルスト同様に風土病になっていきますから、これが悪い予測である、ということではないのです。そうではなくて、どちらかというと、今の疾患経過を説明する現象だと言えます。しかし、今後の予測は悪いとは言えなく、次の感染が軽くすむ、という可能性もあるからです。

メモリー細胞が反応すれば、ということですね。

そうです。それが理由です。

最後に、日常的なところに戻りたく思います。今、少しウィルス学の分野でのお話をしていただきましたが、無症状者、というのはこのパンデミックのなかで重要なキーワードでもあり、その対応も、です。これからクリスマスになる際に、先ほどもレオポルディーナに推奨の際にも出た事前隔離ですが、高齢者の親戚と会う際には理論的には常に残留リスクが伴います。つまり、家族全員が自主隔離をして、誰とも会わないように努め、スーパーに買い物に行くくらいにおさえたとして、先ほど、10日間が理想的で、推奨されるものだ、と仰いましたが、それでもリスクは残ります。潜伏期間は14日である可能性もありますので。ここで抗原ラピッドテストが使えますか?クリスマスシーズンでも?

レオポルディーナ声明文も、これは推奨でしかありません。ガイドラインなどのようなものではなく、例えば、RKIのガイドラインのような性質のものではないのです。

これはプライベートの域の推奨の話なので、、、、私たちはどのように行動するのが良いのでしょうか?

プライベートでの推奨域に関して言えることは、このレオポルディーナのステートメントでは、今行われている改定も配慮しての内容、つまり、隔離期間が14日間から10日間に短縮されても良い、というもので、ここでは血液感染をするHIVのように全ての伝播を阻止しなければいけない、というものではない、という理解からです。14日が10日になることで失うものもありますが、全体的にみるとすり抜けるケースの数というものはそこまで多くはありません。100の隔離がない状態で発生する伝播のなかで、5、10、それか15くらいでしょう。これはまだ許容範囲です。それでも、大部分の感染伝播は抑えこむことができます。ここで先ほども取り上げたモデリング研究の域にはいりますが、40%の接触削減、というのが、大体この冬の伝播削減になるでしょう。これが、この隔離と接触削減によって行われるものです。厳しいシナリオ、75%の接触削減であっても、まだこの隔離で大丈夫だと思います。つまり、10日間の隔離の相互関係はぼんやりしてはいますが、この隔離の目的は感染を防ぐ、ということであって、勿論、実践的に考えて、クリスマスにハイリスクの人に会おうとする場合、自分と自分の家族が10日間の事前隔離をしても、そのなかに症状が出ていない人がいる可能性はありますし、グループの人数が多くなれば多くなるほど、そのなかに感染者がいる可能性が大きくなる、ということは自覚するべきでしょう。五人家族で隔離した場合でも、そのなかの1人は陽性で症状がでる。

同時に感染した可能性も、ということですね。

しかし、この10日間の事前隔離を全員が同時にした場合、最悪な場合、スタートも同時ということになりますが、この場合、10日後に無症状者であっても抗原テストでウィルスの検出がされるはずです。タイミング的にはそうなります。隔離の最後のほうで毎朝テストをする、ということですね。

1日に一回しなければいけないのが、状況が1日の間で変わるから、ですね。

そうです。これが、抗原ラポッドテストの結果での注意点です。レオポリディーナでも念をおしていますが、このテストの陰性の保証期間は、症状に関係なく1日、です。この期間内ではマックスの安全性が保証されます。10日間の隔離をした場合、最後の数日間、毎朝、抗原テストをすれば、本当にウィルスを持っていないという確認をすることができますが、残留リスクなしに生活することは不可能です。全員が感染を防ごうと努力しても、家族に会いに行く途中で交通事故に遭う可能性だってありますし、このようなリスクは日常生活で多々ありますから、勿論、自己責任の域だということになります。法的に決められている範囲で行動していたし、禁止されていることはしなかったのに、感染してしまった、というような考え方はできません。これがよく誤解されるところですが、科学、そして政治は基準を定めることはできますが、この残留リスクを完璧に取り除くことはできないのです。

クリスマス期間、そして日常でも、ですね。例えば、インフルエンザでも、子供が高齢者に感染させてしまう、とうことがあります。この抗原テストもまだグレーゾーン、という領域のような気がします。保健省は、このテストは訓練されたスタッフがするべきだ、と言っています。これに関しては、州ごとに決められることですが、医師のみが使用できる、という点はなくなりました。つまり、教師などは、自分でテストしても良いことになっています。これで使いやすくなったと思いますし、学校や保育施設でも抗原テストは使われる予定になっていますが、知り合いに医師がいたり、テストを調達できる保健省の知人がいたりしたら、これをクリスマスの間に使えますよね。しかし、私が自分でこのテストをした場合、偽陽性になる可能性、つまり、検査方法からかなりの感度があるPCRに比べて、ということですが。

勿論、すべての陽性反応は、PCR検査で承認されなければいけません。つまり、抗原テストで陽性になった場合は、病院に行き、ラピッドテストで陽性になったので、検査してほしい、と申し出る必要があります。ここで、PCRの結果が陰性であれば、偽陽性であった、ということです。PCRの結果のほうが正しいので。私の周りで起こったことなのですが、知人、彼は医師ですが、喉が痛かったので、この抗原テストで検査したそうなのです。結果は微陽性でした。うっすらと線が出ていましたが、私は、「他の医者のところなどにまだテストがあるかもしれないから、もう一度検査したみたらどうか」とすすめて、もう一度検査したところ陰性でした。このようなことはありえます。これは教科書的には正しい方法ではないので、はっきりとした結果をだすためには、PCRで検査しなければいけませんが。因みに、この知人もPCRもしましたが、それでもこのテストは、実際にすぐにはPCRができない時のオリエンテーションになるでしょう。ここでは、どのくらいはやく、違うメーカーの抗原テストを入手することができるか。経験上、偽陽性反応の半分は、何度やっても同じ結果がでる、ということが多いのです。特に同じメーカーのテストではそうなる可能性があります。これは、偶然で起こる場合だけではなく、ある一定の条件下でおこり、例えば、特定の細菌を鼻のなかに持っているひとはそのような反応が起こる場合があって、

それはメーカーとは無関係で、ということですか

これは、証明できるものではないのですが、理由づけとなるモデルはあります。ですから、もし、陽性になってしまった場合は、PCRで証明してもらうこと。そうしなければはっきりとした結果はわかりません。

最後に、他の抗原テストの使用例を考えてみたいと思います。クリスマスも視野にいれて、クリスマス前に風邪みたいな症状がでる可能性はあります。症状が出始めて少しだって、周りの人もこの感じだと普通の風邪なのではないか、と言っているし、私自身もたぶん風邪だ、と感じる場合。でも、はっきりとはわかりません。正しい判断としては、風邪のような症状の場合は在宅待機する。普通の風邪だ、という判断ができる気がしても、です。しかし、このような場合にこの抗原テストが少し役にたったりしますか?症状重視の抗原テストの使用については、このポッドキャストでも話あったことですが、これは大変重要なパンデミックの道具です。しかし、もし、4〜5日前から風邪のような症状がでていたとして、抗原テストでは信頼できる結果がでるものなのでしょうか?

どの場合は、きちんと経過、何日目か、というところをみなければいけません。まず、症状は抗原テストをする際の一番適した方向づけです。新しく症状がでた場合、どんな症状でも構いませんが、鼻水でも、喉の痛みでも、咳や頭痛、それか頭痛と筋肉痛だけで他の症状はない、なども典型的な初期症状です。そのようなタイミングでテストした場合、かなりの高確率です。つまり、この時点でもし検査結果が陰性であったら、それは新型コロナではない、ということ。これは、病気ではない、という意味ではありません。しかし、他にも似たような症状がでるウィルスや病原体はありますし、もしかしたら、脱水症状かもしれません。実際に、スポーツの後でも勘違いするような症状がでることだってあるのです。ここが難しいところです。症状だと勘違いしてしまうこともありますが、それでも、症状がでてきたな、と感じて検査をして陰性であれば、かなりの確率で本当に陰性である。人生には残留リスクはありますし、このテストにも残留リスクはあります。ウィルスを持っていても、偽陰性がでたケースもありますが、これは大変稀なケースです。稀、というのは、100のうちの1、2ケース、ということですが、つまり、100人中10人とかのレベルではなく、どちらかというと、100人中の2〜3人に運が悪ければ、偽反応がでる。その場合は、次の日にもう一度検査することをおすすめします。もし、結果が2回とも偽反応だった場合、かなり高い確率で、Covid-19感染症の初期症状ではない、と考えられます。ここで、何が初期症状なのか。どこまでの保証があるのか。これに関しては、多くの人から、、、保健所からも問い合わせがきましたので、1週間目について文献をみてみました。このようなテストを使った研究論文です。例えば、診断結果でサンプルを分別し、症状が出てから4日目、もしくは、初日から7日目までのサンプルと、7日以降のサンプル。24の論文をみてみましたが、そのなかで、9つプレプリントの分野、つまりまだ公には発表されていないものですが、そのなかでも信頼できる内容もあります。勿論、内容を判断する際にはそれなりの選別眼が必要ですが、、、9つ論文をみつけました。 私の全体的な印象は、第1週目のはじめのタイミングが、かなり良いテスト結果が望める、ということ。症状が出始めた初日よりも良いです。全体的なまとめですが、初日は、2日目、3日目に比べるとそこまで確率は高くありません。私の推奨は、初日に検査をして結果を疑うのであれば、つまり、結果が陰性であったのにも関わらず症状が持続する場合、しかも悪化している場合には、次の日にもう一度テストする。そこで陽性反応がでるかもしれません。 週の後半での反応もそこまで悪いわけではない印象をうけます。研究によっては、少し感度が下がる結果がでていますが、その差は大変少ないです。全体的には、このテストは、症状が出てから7日目までは、かなりの率、95%以上の感度です。第1週で91%しかなかったテストであっても、第1週の後半での結果はそこまで悪くはありませんでした。もちろん、前半よりも良くもありませんが、そこまでの差はありません。その理由はいくつか考えられますが、もしかしたら、第1週の後半では軽い抗体生成がされ始めて、この影響から偽陰性になる、というもの。もしくは、単純に1週間目の最後にはウィルス量が下がってきて反応がでないくなる。これが、この9つの論文からうける印象でもあります。ウィルス量が決めてですから、ウィルス量が少なくなれば、結果も陰性がでます。第1週間目の最後のほうでウィルス量が減少することはわかっていますので、このような説明がつきます。 他にもここから導き出される良いメッセージは、、、ウィルス量が少なくなれば、感染性も少なくなる、ということです。このテストでは感染性を検査したいわけで、この人から周りに感染するリスクはあるかどうか、ということを調べるテストです。ですから、ここで私の個人的な経験上と文献から、第一週目での検査にはこのテストは適している、と言えます。その結果も信用できるものです。勿論、残留リスク、不確かなところが残るのは仕方がないことですが、症状があってテストが陰性だった場合は、何か違う疾患である可能性が高いです。

そして、様々な対策をコンビネーションする、ということですね。つまり、クリスマスで集まった際には、距離を取り、換気を十分にして、他にも気をつけなければいけない、とわかっていることは全てする。

そこでおすすめできるのは、このレオポルディーナの論文です。そこには、いくつかの大変役にたつ日常生活における案が書かれていますのが、内容は全く学術的に難しいものではありません。

まだ、クリスマスまでは2週間ありますが、ドロステン先生との今年のポッドキャストは最終回です。ということもあって、今回はXXLの長い回でしたが、短い冬休みを挟んで、新年にまた再開したく思います。そのときには、ワクチンセンターやワクチンなどについて新しい情報があるのではないかと思っています。ありがとうございました。良いクリスマスをお迎えください。








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