ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(44) 2020/5/28(和訳)

話 ベルリンシャリテ ウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン
聞き手 コリーナ・ヘニッヒ

2020/5/28

—————————————————

6月末まで、連邦と州は接触制限を続ける意向でいます。対策的にはそうですが、実際には、かなりの差がでてきているところです。私達は、「虎とのダンス」の真っ只中ですが、この状況ですべきことは何でしょうか。虎を飼い慣らし、流行をコントロールするにはどうすればよいのでしょうか? 今日は、分散について話し合いたく思います。聞きなれない定義ですが、内容的には明確です。ウィルスは、均等に拡がるのか、不均一なのか。 大声で歌う、荒い息、激しい呼吸、大勢が集まる寒い部屋。これらを科学的に分析し、虎とのダンスにどんな影響を与えるのか。 今日も、ベルリンのウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン氏にお話を伺います。聞き手はコリーナ・ヘニッヒです。

テーマに入る前に、前回話題になった、ビルト紙が先生の論文に対して掲げた批判についての続きが、、、今度はヨーロッパの専門家を巻き込んでの再攻撃が始まりましたが、これは何だったのでしょうか。

あれから2つ、新たな攻撃が私個人や論文に対してされました。1つ目は昨日で、イギリスの著名な統計学者が、私の論文に関する論文を書いたのですが、考えてみてください。プレプリントに関する論文ですよ? この理由は、彼も政府のアドバイザーで高名な専門家だからだと思うのですが、書いてある内容は根本的には正しいです。しかし、この間も言ったように、プレプリントで使った統計方法は、とりあえず行った荒いデータ処理です。ここで、わざと荒いままにしたのは、統計によって出てきた数値が重要なのではなくて、データそのものが内容的に重要だからなのです。今、行われている修正作業も、データそのものにフォーカスされています。この説明はまたします。近日中にでるでしょう。

デービット・シュピーゲルハルター氏ですね。

そうです。デービット・シュピーゲルハルターです。デービットも、メディアで起こっていることを知った時には大変困惑していました。彼にはそんな意図はなかったと思います。彼の指摘は、純粋に学術的なものであって、他の多くの場合と同じように善かれと思ってしてくれたことです。昨日、本当に、こんなことになってしまって申し訳なく思っている、という善意のメールを送ってくれました。そして、ツイッターでも異議の表明をしています。これが、攻撃の第一弾。 第二弾は、不誠実極まりなくて、イタリア、ベルギー、オランダ、イギリスなどの、協賛パートナーのジャーナリストに電話して問い詰める、ということをしました。そこから、ベルギーの新聞に、EU委員会、私がここのメンバーだ、ということになっていますが、、、ここで、ドロステン論文が議論を醸し出した、と。そのような記事が載ることに発展しました。全く事実無根ですが。まずこれはEU委員会ではなくて、運営委員会、つまり、ヨーロッパの研究組合の運営組織です。そこには、ヨーロッパの専門家が集まって、EUに申請した研究や現在進行中の研究の予算などについて話し合うのですが、主なプロジェクトは、臨床試験と現状の観察です。定期的にビデオ会議が行われます。 現在、直接会うことは出来ませんから、ビデオ会議で顔を合わせることになるのですが、その会議が、プレプリントを出した1週間後位にあったのです。その際に、委員会のメンバーのなかにも、論文を出した専門家がいたので、子供の感染力について少し話しあいました。テーマはそれでした。討論、というよりは、普通の学術的なディスカッション、です。この場合ならどのような統計方法が適しているか、など。皆、抱えている問題同じですから。
学術データというものは、壮絶な時間との戦いのなかで分析されて、統計に使えるものが揃ってない事も多々あります。実際にそうなのです。ベースの構造がしっかりと整理されていない場合でも統計を出す事もできますが、結果は誤解生むものになるでしょう。あるチームが、世帯内接触の観察データをまとめましたが、そこには子供のデータはありませんでした。そしてそこから、子供は子供に感染させない、と。しかし、著者はわかっていたのです。ロックダウン中は学校が閉校している為に正確なデータは集められない、ということを。子供が家からでなかったら、外から家ウィルス持ち帰える事などあり得ないからです。子供の感染がないのは、奇跡でもなんでもないのです。この事は承知の上で、結果は発表する。しかし、統計は出さない。出しても、結果は不確かですから。 この論文の対比として、私達の論文が引き合いにだされたのです。正直なところ、同じようにお世辞にも良く整理されてはいない急いでまとめられたデータです。しかし、私達は、データは莫大な量だから一部のデータの乱れも薄まるだろうし、せっかく、データをまとめるにであれば、同時にざっくりと統計も出しておこう、と。ここで、統計をそもそも出した方がいいのか、やめた方がいいのか。それが、ディスカッションの核となるテーマだったのです。ビルト紙が言うような、「クリスティアン、君のやっている事は時期尚早だ」とか、「君の統計は政治に影響する」などという発言は、この会議中には出てきていません。もしそうなら、馬鹿馬鹿しい事です。私達は全員、自分達が政治に影響力を持っている事を自覚しています。この委員会のメンバーは全員トップに立つ専門家で、それぞれの国の政治のアドバイザーをしています。そして、皆、同じ不安を抱えているのです。皆、政治的なアドバイスをする際には、まだデータが不確かだからまだ何かを言うのは早すぎる、とコメントします。これは私も常にしてきたことですが。しかし、この事実は、センセーションを売り物にする新聞的には退屈な内容なのでしょう。そこで、よくわからない話にすり替える。これが問題なのです。今回、研究共同事業体のコーディネーターである、ヘルマン・ゴーセンスが、同じようにジャーナリストに押しかけられて、よくわからないまま問答尋問され直後に、「私はこの発言を撤回します。このリサーチのサポートは今後一切しません。」と、表明しています。報道には、報道倫理というものがあり、このような表明があった場合は内容を使用してはいけない筈ですが、それを報道しました。ヘルマンは、びっくりして直ぐに連絡をしてきて、「突然インタビューされたんだ。今後どうなるかわからない。手に負えなくなるんじゃないかと、思う。こんなことになってしまって、大変申し訳ない」と。
学術論文のなかでの統計は重要だ、という事はわかりましたし、研究内で行った統計が荒かった、ということもわかっています。細かいところでの統計は、このデータには必要ないのですが、このサブ的な統計部分の議論が、メインになってしまいました。しかし、この統計部分の批判は、論文の内容そのものを否定するものではないのです。この研究内容は、統計がなくても十分そのまま通用します。勿論それでも、修正したバージョンはオンライン上で発表します。多分、今日中にできるのではないかと思います。ここまでメディアや新聞に悪用されると、しざる得ません。勿論、最終バージョン、提出する論文内容の原稿ではありません。それにはもう少し時間をかけなければいけませんから。
今週は、ビルト紙への怒りだけで終わってしまいました。たくさんの時間が無駄になり、研究に大きな影響を与えてきています。 しかし、このように、きちんと公で説明する事は重要ですし、論文内容をきちんとみれば、統計分析の有無に関係なく、データ自身の重要性がわかる事と思います。特に、世帯接触調査のなかで調査された初期の無症状の子供たちのデータは貴重です。この子供達は、通常は、学校や保育施設に通っていただろう、と思われる健康な子供達です。病気になって入院していた子供達ではなく、テストセンターや、保健所が自宅に出向いて検査した世帯調査の一環のテストでの結果で、その子供達のウィルス濃度が、大人の同じ位状況の大人達と同じだったのですから。

オンラインで発表という事は、シャリテのHP上ですか。

そうです。まずは、HPにあげます。前段階の原稿もあげていた同じところです。議論の解決に繋がると良いのですが。

最終版の論文がでましたら、またこのポッドキャストで取り上げたく思います。統計の細かさと、全体への影響など。この話題はこの辺りにしたいと思います。まだまだ沢山テーマはありますし。 例えば、スーパースプレッダーと、スーパースプレッディング現象がどのような影響をエピデミックにもたらすのか。その結果どうなるのか。キーワードは、ばらつきです。ウィルスが、多くの人に伝播する為にはどのような条件が必要なのでしょうか。この話を今日はしたいと思います。そのようなニュースがここ数日報道されていますが、オストフリースラントのレストランでの集団感染や、フランクフルトの教会でミサ、など。流行初期に遡ってみてみても、イシュグルの山小屋でパーティーをしていたスキー客がドイツ帰国後に感染が始まったのも、典型的なスーパースプレッディングのスタート点ではなかったでしょうか。

そうだと思います。スーパースプレッディング自体は、そこから大きなアウトブレイクになるとは限りません。アウトブレイクはスーパースプレッディングなしでも起きます。パーティーや、居酒屋や、合唱の練習などで起こるアウトブレイクが、典型的なスーパースプレッディングではないのです。スーパースプレッディングとはそれとは違うものです。その説明をしたいと思います。
新型コロナの流行初期には、このウィルスがスーパースプレッディングの要素を持っているのかどうかはわかっていませんでした。そうではないだろう、と考える要素は充分にあって、旧型SARSとは増殖の仕方が違う、というのもその理由の一つです。 このスーパースプレッディング、という定義は、それ以前から、現象自体は感染疫学では知られていたものの、一般に認知される事になったのは、2003年のSARS-1の流行時です。ここで、突然大勢の人がその事について話すようになりました。大きな集団感染、小さな集団感染、平行する小さな感染のチェーンではそこまで効率がよくなく、エピデミックでの急速な感染拡大は、スーパースプレッディングイベントによって拡がっていきます。スーパースプレッディングイベントは、必ずしも、イシュグルのような、50人、200人の集団感染が起こる必要はなくて、高い感染力を持つ感染者が平均値を上回る数の二次感染を引き起こす事です。定義、というよりも、実際 の現象にはこれが近いでしょう。スーパースプレッディングというのは、科学的に決まった定義ではなく、正式には、感染伝播現象での過分散、ということです。

ばらつき、ということですね。

そうです。不均等、ここがポイントです。簡単に言うと、少数の感染者が、大勢に感染させ、その以外の感染者は殆ど感染させない。 この偏り、不均等です。簡単な計算をしてみることができると思いますが、これは、過分散とは何か、そしてこの感染症で頻繁にスーパースプレッディングイベントになる理由はなにか、ということです。 ここで、もう一度言いますが、均等に拡散していき、過分散しないタイプの感染症でも、大きなアウトブレイクを引き起こす事はあります。しかし、それは、スーパースプレッディングとは呼びません。スーパースプレッディングは、典型的な過分散の性質を持つ感染症でのみです。過分散は、その伝播が、R0値より大きい。R値は決まった数値で、新型コロナの場合は、Rは2です。論文によっては、2〜3、5とするものもありますが、これは環境にも関係しますので、2、としておきましょう。 ということは、感染者1人が、2人に感染させる。自然とそうなります。1人が、2人に、です。4人に感染させたり、1人にしか感染させなかったり、という事がないとしたら、ここには分散はありません。ばらつきがない、ということです。過分散とは、平均値から大幅な変動がある事を言います。かなりのズレなので、統計的には外れ値となるほどの値ですが、これが、スーパースプレッディングイベントです。これは、R値自体が2であるにも関わらず、感染様式が全く異なってくるのです。一部の感染者だけが数多くの人に感染し、その他は感染させない、ということからも。しかし、平均値はそれでも2、です。これが、感染流行でどのような意味を持つか、ということには、複雑な計算は必要ないでしょう。旧型SARSの場合は、この不均等性は後から分析してわかっています。いくつか論文がありますから、それは後で取り上げるとして、、、、まずは、分散値について話しましょう

Kですね。

ギリシャ文字のカッパ、のKですが、普通のアルファベットのKでも大丈夫です。分散値ですが、別に他のアルファベットを用いてもいいのです。

散乱パラメータ、ということですね。

散乱パラメータ、というだけで想像するには十分でしょう。散乱パラメータが1の場合、分散は均一です。0の場合は、バラバラです。パラメータが、0、1〜0、7、0、8の間が、現実的な感染流行範囲でしょう。

ちょっと、集中しないと、、、いけなくなりました。 もう一度理解の為に確認ですが、数値が小さくなれば、それだけ、少ない人数が全体の感染に影響している、という事でしょうか。

そういう事です。数値が小さくなれば少なくなるほど、拡がりにばらつきが出ます。大きな数値では、均一に感染が拡がっていく、という事です。旧型SARSでは、後から行った分析で、この分散ファクターが、約0、1と言われています。これは、他の感染症と比べると大変低い数値です。これは、感染者の73%が、1人以下に感染させて、6%が、8人以上に感染させた、ということになります。この少数が流行を持続させていたのですが、旧型SARSの際には、この低い分散ファクターがあった理由には説明ができて、、、旧型SARSウィルスは、肺まで行かないと増幅出来なく、喉では増幅しなかったのです。想像出来ると思いますが、肺に少しでもウィルスが入り込むと、かなり具合が悪くなりますね。普通は直ぐ入院です。入院すれば、そこから感染が拡がる可能性は低くなるでしょう。しかし、肺にウィルスが充満して病気なのにも関わらず、そこまで具合が悪くならないで動き回っている人もなかにはいて、この少数の人達が、歩き回って咳をすることによってウィルスを撒き散らかした。このような状況から、旧型SARSの場合は、分散値の低さと、感染のばらつきに関しては説明がついたのです。肺炎にかかってもまだ動き回れるような強者なら、大勢に感染させることも可能だ。しかし、大多数はそれが出来ない。

今回の新型コロナとは、状況が違いますよね、、、新型コロナは喉で増殖しますし

1月末にわかったその事実は、その後の基礎をつくる新発見でした。因みに、新しい論文もあるのですが、来週にでも話します。そこには、新型コロナが旧型SARSと比べて、喉で増殖する事について書かれています。そのような事もあって、新型コロナの分散は全く異なるだろう、と思われていたのです。通常であれば、喉で増殖するウィルスは、均等に拡がっていくものだからです。感染してもすぐには気付かず、ウィルスが喉にある。そして、比較的早い段階で、症状が出る前にすでに感染力がある事がわかりました。この事実から、感染者が感染してすぐ病気になって家で療養するから人にはうつさない、という現象はないだろう。その反対で、(感染に気がつかないで)殆どの感染者が普通に動き回って感染を拡げるだろう、と。ですから、分散はない。数値は小さくはない。ばらつきはない、と思われていました。

新型コロナでは、ということですね。

そうです。この喉で増殖する性質から、感染も均等に拡がるだろう、と思ったのです。旧型SARSの際にあった疫学的な利点と、コントロールの利点は、今回はないだろう、と。 疫学的な利点と、コントロールの利点とは何か、という説明をすると、、、、その為には、少し計算しなければいけませんが、、、これは、想像上の計算です。 紙にメモしましたが、、さて、ある感染症の感染が拡がるにあたってばらつきがある、としましょう。ここに、感染者が10人、いるとしたら、その中の9人は、次に各自1人、感染させます。Rは、1です。 そのなかで、1人だけ、10人感染させる人がいたとします。この場合、二次感染世代は、10人ではなく、19人です。わかりやすい計算です。一次感染者が10人、9人が1人ずつ二次感染者を出し、1人だけ10人二次感染者を出す。ここで、考えなければいけない事は、この10ケースが其々個別になっているわけではなくて、ウィルスがこの性質、1人に感染させる場合と、10人に感染させる場合がある、という性質を持っている、というところです。しかし、1ケース起こった時、町内や学校などで、感染が起こった場合、これが、1人に1人ではなく、1人が10人へ感染させるほうである、という確率はどの位なのか。確率的にはあまり高くないでしょう。1人が10人に感染させて感染が爆発する可能性は勿論常にありますが、確率的には、1人が1人に感染させるが高いでしょう。これは、罹患期間が、6日だとして、まあ、わかりやすいように1週間にしましょう、これは、架空の感染症ですし、、、1週間目には、感染者は1人です。次の週も1人、3週間目1人。新しい感染者が出ますが、気がつきません。

罹患期間とは、感染から感染の間、ですね

そうです。感染から感染、です。はじめの患者が完治したかどうか、というのはここでは重要ではありません。単純に、毎週何人が感染するか、というのを計算したいだけですので。毎週1人です。この感染のばらつきの数値は実際には1以下になります。そして、自然と感染が止まっていきます。これを絶滅、と言います。自然消滅ですね。これについては次に話しますが、その前に先に進みます。ここでの感染は穏やかです。毎週、1ケース新しい感染が起こりますが、気がつきません。少し、ロシアンルーレット的でもあって、いつか、弾丸、1人が10人に感染させるケースがでます。そこで、突然、一気に10人増える。これも、しばらくの間は、そのまま気付かれずにいくかもしれません。今、ある架空の学校に感染が起きた、としましょう。数週間、毎日1人感染者は増えていますが、誰も気がつきません。突然、10人感染者が出ました。ここでも、気がつかないでしょう。しばらく穏やかに進みます。この10人のなかでも、統計的には、其々1人にしか感染しません。1週間休憩のあと、次の週に、また10人。そして、また10人。勿論、10人のうちの1人が10人に感染させる可能性は常にあるわけです。つまり、10人が19人になる、という。この、19人、まあ、20人にしましょう、この、20人のなかに、また1人だけ、10人に感染させる人が入っています。18ケースと、スーパースプレッダーによる10ケース。これで、28ケースです。殆ど、30です。30にして続けましょう。 10のうちの3人が其々10人に感染させて、28のうちの25人が1人だけ感染させる。10+10+10+25 で、55です。 その次の感染世代は、大体100。ここで爆発です。想像出来るでしょうか。紙に書いたほうがよくわかるかもしれませんが。 初めは、静かに気がつかれないで一定期間続き、場合によっては、自然に終息します。感染者が家で療養するなどと言った要因から感染が持続されない可能性も常にあるからです。このように感染が断ち切られると、、、自然消滅です。この可能性が、感染が不均等な感染症の場合のほうが、均等に全員が必ず2人に感染させるタイプよりも、高い。しかし、R値は双方同じ、2、です。過分散要素がない場合は、指数関数的に拡がっていきます。2、4、8、16、32、64、128 と、です。

これが、今まで、理論で話し合ってきた事ですよね。

そうです。これが、疫学的なエピデミックモデルです。同じR値でも、ばらつきがあると、ダラダラと上がったり下がったり、の流れになるのです。長い間、何もなかったり、自然に消滅したり。しかし、これは、確率論でありますが、(感染力の高い)10人目問題が出てきます。別に、10人目である必要はなく、3人目くらいで来ることもあるでしょうけれど、、、原理的には、箱に入っているビー玉です。赤いビー玉1個と、黄色いビー玉9個。赤いビー玉を、初めに掴む可能性だってあるわけですよね。偶然に。この、赤いビー玉が、10人感染させる感染者でクラスターをスタートさせます。今、10人、それが、19、28、55、101、、、、ここでも、倍くらいに増えていきます。こうなると、通常指数関数的な増加と変わりませんから、介入しないといけなくなります。この状態からは自然と終息する事はありません。

それでは、コントロールという面では、確率論的なスーパースプレッディングの例が重要になるのですね。このようなスーパースプレッディングイベントが起こるのを阻止出来るということでしょうか?

それは、介入の次の次のステップです。

先を急ぎ過ぎました、、、

大丈夫です。しかし、同じR値であっても、1人、そのような人が例えば学校などにいた場合に、感染が爆発す可能性がある、という事は理解できたかと思います。若しくは、大きな分散がある場合、アウトブレイクが起こる必要はなくて、1ヶ月、2ヶ月、静かに感染が進む事も考えられます。誰も気付かないで。勿論、この架空の学校の生徒全員をPCR検査したとしたら、この1人をみつけることができるでしょう。しかし、それは現実的には不可能なことです。 そういう用意できませんので、、、実際には、みつける事は出来ない、といいことになります。とはいっても、クラスターが出来てしまったら、、、何も手を打たなければ、クラスターが拡大します。

感染経路が、爆発的に拡がる、ということですね。

そうです。ここで、違う大切な事があります。コントロールの段階は、分散度と関係があります。簡単に言うと、先程の赤いビー玉、この高い感染力を持つ1人が、感染状況をつくるわけですね。この人がいなければ、Rは、1か、それ以下です。自然になくなる感染経路もありますから。と言う事は、この赤いビー玉を、コントロールすれば良い。初めから、どの感染者が高い感染力を持っているか、ということがわかれば、、、、簡単にコントロールできるのです。それができたら、アウトブレイクをすぐにストップさせる事が出来ますし、パンデミックの心配などしなくても良い。

でも、、、それが、わからないのですよね

問題は、その感染者に目印などがついていない、と言う事です。これは、大きな問題です。ここで考える事は、、もう一つ、スーパースプレッディングイベントを引き起こす要因、です。この、1人で10人に感染させる人は、ウィルスの量が特別に多いから感染力が多い、というわけでもないでしょう。それが理由である可能性もありますが、他の理由も考えられて、例えば、社会的な状況、多くの人と接触して感染させる機会が多くある、など。そういう要因もあるでしょう。そのような機会を奪う事が出来れば、それによっても、スーパースプレッディングイベントを阻止する事が可能なのです。この高い感染力持つ人が自宅隔離するなど。

この間のポッドキャストでも仰っていましたが、いくつか論文がありまして、例えば、アメリカ、カナダとオーストラリア研究チームが、確率論的に分析し、確率計算をしています。ここでは、爆発的に拡がる可能性のあるイベントを4つのカテゴリーに分けています。私達も知っているような、合唱、豪華客船、職場、屠殺場、宿舎、そして、社会的な行動様式です。多くのコンタクトがあったり、同時に沢山のグループに参加している場合など。例えば、 合唱団の一員で、サッカーチームにも入っていて、豪華客船で旅行する人。最後には、生物学的な要素、この中では一番まだよくわかっていない、個のファクターです。

そうですね。ここでひとつ言っておきたい事があって、、、選んだ論文のなかで、特に、参考にしたのは、サイエンス誌に掲載された、カイ・クッファーシュミットの素晴らしい研究です。

素人にもおススメの論文ですよね。

間違いなく、ドイツが誇る最高の科学ジャーナリストの1人でしょう。サイエンス誌に沢山の記事を書いていますが、、、この複雑なテーマについて素晴らしくまとめていて、無料で公開されています。

そのリンクもつけたいと思います。私も読みましたが、素人でもとてもわかりやすくて、参考になる論文も沢山出てきますし、、、、ジャーナリズムのお手本です。

誰にでもわかりやすく書いてあるのにも関わらず、きちんと科学的なところも押さえています。まあ、また話を戻しましょう。基盤的な研究が、ロイド・スミスのチームから2005年にネイチャー誌で発表されてましたが、ここに、とても興味深いコントロールに関しての考察が載っています。これは、数学的なモデリングによって、現実のシチュエーションに近づけよう、という試みですが、ここでは、そのようなシチュエーションをみつける事は可能だ、としています。特定の機会に関して、そこに集中すれば、スーパースプレッディングイベントを阻止する事が可能です。患者のどこかについている感染の目印を探す事は出来ませんが、社会的なシチュエーションのなかで感染機会を阻止する事は出来るからです。何故なら、私たちがコントロールしたいのは、感染、であって、感染性ではありません。コントロールの対策は、基本的に、、、

基本的、ということは、接触を減少させる対策、ということでしょうかr。

そうです。100人、コントロール対策したとして、そのなかの対策の半分を以っても感染力が高いグループの20%しか把握できなかった、とします。想像できますね。全てを把握出来なくて、全体の感染の30%しかコントロールできなければ、それは完璧な対策ではありません。完全にではなく、感染状態の30%を排除しただけです。

例えば、大きな集まりを禁止するとか、店の一部を閉める、とか。

そうですね、それとマスクの着用、とか。この30%のコントロール手段が、20%の一番危険な感染状況を防ぐ。ここには、考えがあって、これは、例えば、スーパースプレッディングイベントの際に常にマスクを着用していた、としたらどうなるだろうか。R値が3で分散ファクターが0、1だったとしても、因みに、これは、旧型SARSの数値ですが、、それでも、流行を止める事が可能なのです。 ここでは、とても遠回しに書いてありますが、どうして、あの時、香港でSARSを終息させる事が出来たのか。スーパースプレッディングのリスクがありそうな状態で、マスクがつけられていた、と。

マスクと、この30%を同じとみなすのは、現実的ですか。

いえ、それは現実的ではありません。そういう事ではありません。しかし、インサイダー、精通している専門家にとっては、これが当時重要なパラメータであった事は事実です。SARSのエピデミックをあれだけコントロール出来た理由を、モデル計算で、現実的な定量と数値で出しています。Rが3で、分散ファクターが0、1の状況で、コントロール対策が30%の実行効果率であっても、その半分をスーパースプレッディングイベントに投資した。そして、終息したのです。注意しなければいけないのは、新型コロナも同様である、という証拠は全くない事です。SARSの数値は分かっていますが、新型コロナの分散ファクターはわからないからです。多分、実際には、0、1以上だと思われます。SARSと同じである可能性は低いでしょう。

そう簡単にはコントロール出来ない、という事ですね。

そうです。ここでは、この論文で丁寧に説明されている考案を説明したかったのです。ここから、新型コロナの場合について考えていく事が出来ると思います。ここで、ちょっとページをめくって確認しますが、、、ある論文のメモをしたので。 ここには、新型コロナの分散ファクターの計算が試みられていて、かなり初期段階でされたものなのですが、、ベルンのモデリング計算です。武漢のデータの再分析の結果、0、3〜0、6の間で、平均値は0、54、いう結果になっています。 これは、早い段階での推測で、当時興味持って参考にした専門家もいましたが、次第に分散への期待も薄れていきました。 当時、1月末に、2つの大きな科学的研究結果がでて、1つ目は、喉で増殖する、ということと、症状が出る前に感染する、という事。2つ目は、推測される分散ファクター平均値が0、5。 この数値では、コントロールは容易ではない、というを意味します。 その後の違う論文、ロンドンからですが、ここでは、0、1〜0、3と言われていて、10%が、80%の感染を引き起こしている、と。 もし、そうであれば、コントロールするのは簡単です。いままでこれに気づかなかった、ということになりますが、しかしこの論文には問題点もあって、著者も指摘しているところですが、、、基となるデータです。彼らは、統計のプロで、最高の統計方法で数値を出していますが、ベースとなるデータが不安定で、ばらつきがあり不確かなのです。このような場合、最高の統計方法を持ってしても、結果には疑念が残ります。 この点については、初めのほうで私達のウィルス濃度研究でも言いましたが。ここでは、中国以外から入ってきたケースをベースに、その後の感染経路はどうなったか、終息するか、という点が分析されているのですが、私達もわかっているように、中国からの情報の偏り、1月、2月の段階のデータの不確定さ、という点は著者も指摘しています。全ては、どのくらいの信憑性がデータにあるか、というところにかかっていますから。この頃は、まだ殆どの国で検査をする体制が整っていなかった訳で、、この推測が正しくない可能性はあります。それでも、研究方法的には素晴らしく、論文として発表される価値はあるでしょう。まだ、今はプレプリントの段階ですが。
他の論文は中国のものです。ここでは、0、45と出されていますが、分散ファクターはこの論文では副次的なものです。違うイスラエルの論文では、違うベースからの分析で、配列の進化面から推測しています。これも、ひとつの方法です。ウィルスの配列の系列樹における多様性を分析することによって、感染経路を推測することができますが、それによると、1〜10%が、二次感染の80%を引き起こしている、と。ここでも、著者が率直に指摘していますが、データは、212のウィルス配列でしかなく、見落とす可能性も高い。それに加えて、このウィルスの進化はそこまで速くなく、感染毎に変異を確認するまでにはいたらないのです。他の、RNAウィルスではそうで、感染する毎に少なくとも変異が一箇所みつかりますので、誰が誰に感染させたか、ということが一目瞭然です。

という事は、遺伝子分析で、感染経路を調査できる、という事ですか。

そうです。ここから、何人感染したか、ということを数えることが可能です。しかし、これは、このウィルス(新型コロナ)では出来ません。ですので、統計という回り道で数値を出すしかないのですが、、、データの偏りがあると、推測も不確かなものになります。著者は、意図的にはっきりとした分散ファクターを出しておらず、1〜10%から二次感染の80%が引き起こされている、と。推測としては低い数値です。 ここで、またガブリエル・リェンの研究です。

香港ですね

そうです。彼は今回のエピデミックでは、疫学者として第一人者ですが、旧型SARSの時も素晴らしい研究をしていました。彼のやり方は違って、はるかに体系的です。多くの香港のクラスターのなかから、条件にあう53件が選ばれています。これらは、国外から入ってきたケースだけではなく、香港に入ってきて、そこからクラスターになったケース、そして、香港で起こった、単独ケースからなる集団感染ではなく、本当のクラスターです。1人が、1人感染させても、クラスター、とは呼びません。ここでのクラスター分析は正確に分析されています。

1人がグループ全員を感染した、とか

そうです。クラスターには統計を出すために必要な最小サイズがあります。ここで出てきた推測も、20%が80%の二次感染を引き起こす。ここでは、分散ファクターも出されていて、0、45となっています。これは、比較的高い数値で、この数値からも、「もう安心。ロックダウンで押さえ込んだから、これから自然と終息するだろう。」などという、お祭り気分にはなれないことがわかります。そう簡単には残念ながら行きません。しかし、分散という性質を利用することもできるのです。ここから、重要なガブリエル・リェンの論文からの学びですが、どのような感染隔離をすればクラスターを防ぐことが出来るのか。香港でも、かなり厳格にコントロールされました。疫学的な研究と、観察、そして同時に疫学的な介入は、本当に注意深く実行されなければいけないのですが、ここでは、大変良くまとめられています。そして、重要な事に気づいています。それは、隔離の遅れ、つまり、クラスター内の感染者の確認が直ぐにできなくても、クラスターは拡がらない、ということです。

それはどういう事でしょうか。

まずは、良い知らせに聞こえますよね。クラスターを隔離するのに急がなくてもいい。そう聞こえますが、そうではなくて、そう理解してしまっては間違いです。実際にはその反対、もし、直ぐに検査をして陽性確認してから隔離したとしても、、、その時点でもう遅い、ということなのです。クラスターでは、検査での時間稼ぎができないのです。

感染が、同時に進んでいるからでしょうか。

もう既に進んでしまっている。もう、そうなってしまっているからなのです。例を出すならば、合唱の練習で、80人中60人が感染した、というケースでもよくわかると思います。 ウィルスは症状が出るまでに既に感染性を持っているので、スーパースプレッディングイベントでは、PCR検査をした時点でもう何人もの感染者が出ている。 この合唱団では、殆ど90%が感染しました。スーパースプレッディングイベントではそのようなことが起こるのです。ですから、この事実をしっかりと念頭に置いておくことが必要です。特に、これから、ドイツの未来を決断する際、今後の検査体制、保健所やRKIがガイドラインや生活指導などをする場合、にです。検査数を増やすだけではなく、効果的に使うべきである、というのは大切なポイントです。新しい情報が入ってきた今、クラスターでの感染がわかった今、感染ケースが発覚した際には、その周囲を注意深く調査しなければいけません。接触を調査して、クラスターにはなっていないか、スーパースプレッディングイベントではないか。 つまり、誰かの感染が確認されたら、2〜3日前、、症状が出る前がいつだったかは確認できますから、、この人物はどのような社会的接触があったのか。スーパースプレッディングの可能性はあるか。

スポーツジム、とかもそうですよね。

例えば、そのような事です。そして、もし、そのような怪しいシチュエーションであれば、全ての接触者を感染者とみなし、隔離する。検査結果を待たないで、です。先程、スポーツジムの例が出ましたから、そこの例で言うと、、、ジムで接触した20人をまずは検査しましょう。結果が出るのを待って、陽性の人を隔離しましょう。そのように、今まではしていたでしょうが、そうではダメです。戦略を変えて、この20人は検査なしでとりあえず陽性として隔離する。勿論、後から全員を検査することはできます。それは間違ってません。しかし、重要なのは、検査を待たずに、至急隔離しなければいけない、ということなのです。この情報が出て、10日、1週間ですが、根本的なところでの戦略を変えていかなければいけないと思っています。確認される感染ケースがクラスターのリスクを含んでいるシチュエーション、、、それは学校や保育施設です。

接触トレーシング、学校や保育施設だけではなく、、、それが重要になってくる、という事ですね。アプリにせよ、行く先々にきちんとデータを残す、という事も、感染経路を把握して警告する為にも必要ですね。

絶対必要です。特に、電子的なコンタクトトレーシング、以前の回でも話した、サイエンス誌に掲載された、クリストフ・フレーザーのモデル計算にもあるように、特定のシチュエーションの把握が重要になります。そのなかの一つがクラスターですが、アプリの場合も、今までの、「あなたはクラスターに含まれている可能性がありますので、検査をしに行ってください」というメッセージではなく、「クラスターに含まれますので、陽性だと思って隔離してください」という警告に変更するべきです。

アプリでの、コンタクトトレーシングに頼るだけではなく、個人の生活行動も重要ですよね。サイエンス誌のカイ・クッファーシュミットの論文にも、良い例が載っていましたが、屋内、屋外については、もう既に取り上げました。室内での激しい呼吸、はリスクが高い。例えば、スポーツなどです。ズンバのコースはリスクが高く、ピラティスは比較的低い。これは、ゆっくりと呼吸をするからですが、、このように行動様式に当てはめていくことはできますか。合唱練習を外でする、など。

正直言って、、、私には、、ズンバもピラティスも、、何なのかよくわかりません。

片方は激しい動きで、もう片方はゆっくり、です。

あぁ。なるほど。そうかもしれません。誰もが、何がスーパースプレッディングイベントになる可能性があるかは想像できると思います。今までの対策でも、多くのスーパースプレッディングイベントの阻止はできていた、と思っています。先程言った発言は、、、もしかしたら、少し悲観的な響きがあったかもしれませんが、そういう意味で言ったのではなくて、どちらかと言うと、楽観的な内容で、私達が、今現在、社会全体でしている事、緩和をしている最中でも、リスクは抑えられている、という事を言いたかったのです。多くの分野で緩和はされてきていますが、スーパースプレッディングイベントに繋がるようなシチュエーションはまだ許可されていません。勿論、例外はありますから、そこは改善しなければいけませんが。まだ、見落としていたところはあると思うのです。かなり、1、5mの距離と、室内、というところに集中していましたし。そう簡単ではない、ということです。再調整が必要です。

室内でのスポーツとかですね。

そうです。それから、時間の長さも重要です。室内でも、10分の滞在の意味と、沢山の人がいるシチュエーション、沢山の人が2時間滞在する、というでは違います。 滞在時間も重要なポイントです。幸い、持続されるロックダウン対策が、今後も、スーパースプレッディングクラスターが発生する事を阻止するでしょう。これは、良い新情報です。他の新情報は、もっと喜ばしくて、、、私はもしかしたら、このような対策をもってすれば、ワクチンがなくても、穏やかに秋、そして冬に移行できるのではないか、と新しい希望を持っています。つまり、死亡数が爆発する第二波を阻止する、チャンスがある、という事です。
これから、スーパースプレッディングイベントを防ぐ為に、対策の再調整が必要になってきます。これを言う理由は、その実践例が既にあるからです。その先例が日本です。昨日、サイエンス誌に掲載されたのですが、日本での発生統計は長い期間をかけてゆっくりと下降のカーブを辿っています。日本のロックダウン対策が、他のアジア諸国に比べて大変緩かったのにも関わらず、です。そして、日本では、スウェーデンのように、全てを自主性に委ねる事もしませんでした。それとも違います。かなり長い間、日本の対策は疑問でした。日本側からは積極的な情報提供もなく、皆、不思議に思っていたのです。日本の人口は、ドイツより少し多い。そして、都市部に密集して生活しています。その日本起こったことは、他の国では起りえないことです。日本の政治的な疫学責任者は、旧型SARSの強烈な体験しその時代に勉強した学者なのですが、基本的にこの経験を強引とも言えるかたちで、今のシチュエーションに押し込めた。そして、我々はこの方法でいく、と決めたのです。検査分析はクラスターだけに集中させる、と。クラスターが発見されたら、検査はせずにクラスターメンバーを感染者と認識し隔離する。日本の対策の核はここなのですが、結果があらわれているようにみえます。

死者数が非常に少ないですよね。

そうです。感染者数もゆっくりですが減少してきています。 これは、他のロックダウンを実行した国に比べると劇的な減少ではありませんが、ゆっくりと、少しずつ、少しずつ、減ってきています。どうして、そして、どのようにこの対策に踏み切ったのか。 これが今になって少しずつわかってきました。このようなことは他の国では不可能だった、と考えられます。これを実行する為には、データに精通していない人物が一人で、独自の経験と意見をだけを持って、今回もSARSと同じであろう、という決断をしなければいけません。それを彼はしました。結果、良い方向に行ったかもしれませんが、もしかしたら全く逆の結果が出ていたかもしれない。データの裏付けは全くありませんでしたから。私が推測するには、彼は、初期に観察した日本の状況から方針を決めてそれを信じたのでしょう。とても勇気のある決断だったと思いますが、うまくいったようです。
将来に向けて、一例として検討していく必要性を強く感じます。何度も繰り返しますが、これから、夏に突入します。この少し落ち着いた期間に対策の調整していかなければいけないのです。例えば、学校や保育施設の再開へ向けての準備など。夏休みまで、1ヶ月ちょっと、実際問題、また強制的に落ち着いた期間が来るまでに。もし、何かがそのなかで上手くいかなかったとしても、、、このクラスターの早期発見と隔離、という事を念頭に対処していけるでしょう。 つまり、先生が感染したとしたら、ここ数日、どのクラスで授業をしたのか。そのクラスの生徒は全員、1〜2週間自宅謹慎です。私は1週間を推奨しますが、実際の感染性がある期間が初め思われていた期間より短いので。しかし、その為に学校を全て閉鎖する必要はないと思われます。

日本の先例からも学びとることが出来る興味深い研究テーマです。日常でのウィルスの理解を深める為にも、分散というテーマについてこれからも取り扱っていきたく思います。またよろしくお願いいたします。



ベルリンシャリテ
ウィルス研究所 教授 クリスチアン・ドロステン

https://virologie-ccm.charite.de/en/metas/person_detail/person/address_detail/drosten/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?