ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(16) 2020/3/18(和訳)
話 ベルリンシャリテ ウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン
聞き手 コリーナ・ヘニッヒ
2020/3/18
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ロベルト・コッホ感染研究所が、国内でのリスクレベルを「高」に引き上げました。 これは、上から2番目に高いリスクレベルです。 陽性感染者数が2日毎に倍になっています。 この数は検査された感染者数ですが、「数」の解釈には最善の注意をはらわなければいけません。 公に発表されている感染者数と潜在的感染者数、それに対する死亡者数、そして、それがどの時期のものなのか、など。 今日は、ロンドンで発表されたデータの分析をウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン氏にしていただこうと思います。 聞き手はコリーナ・ヘニッヒです。
学術的な話を伺う前に、、、いまだに、すべてが大袈裟すぎる、と主張する人たちがいます。その代表が、政治家で、呼吸器学の医師でもある、ヴォルフガング・ヴォーダルグ氏です。彼はユーチューブ動画や投稿をSNSなどで拡散し、「ウィルス学者は、新しい発見をして喜んでいる。 コロナウィルスなんてものは、昔からあったウィルスで、1種類多くなっただけ。検査をしなければ、統計的にも全く気にもされないわけで、風邪の症状を持つ7〜15%の患者からはいままでもコロナウィルスが検出されている。」と、言っていますが、これについてどう思われますか。
そうですね。 たしかに、コロナウィルスは、昔からあります。 4種類ですね。 これらは、風土病として季節的に風邪などで流行ります。 しかし、これらのコロナウィルスは今回の新型コロナウィルスとは関係がありません。
どこが違うのでしょうか
今回の新型ウィルスは、パンデミックとしてドイツに入ってきました。 どういうことかというと、何もしなければ感染は爆発的に広がるだろう、ということと、同時に多くの感染者がでるだろう、ということです。 新型コロナウィルスが、いままでの4種類のコロナウィルスと同じような感染症状をもたらすものであったとしても、この状態は危険です。 なぜなら、あまりにも多くの人が同時に感染するからです。 しかも、、、今回の新型コロナウィルスの症状は、他のコロナウィルスに比べて、軽くはないのです。
流行風邪や、他のウィルスのパンデミックにみられるような、U字ラインとW字ライン分布、典型的なU字を描くインフルエンザでは、子供と高齢者が多く感染しますが、それがもっとひろがると、中高年層にもひろがってW字を描きます。
死者数が統計に埋もれている、ともいわれていますし、このポッドキャストでもそのような指摘はされてきました。 高齢者の死亡率というものは一定してあるわけですが、イタリアではそうではない状態になっています。
問題なのは、どのくらいの人数が同時に感染するか、です。 他のコロナウィルスでおこる冬季の風邪の流行では、そこまでの人数の感染は同時にはおこりません。 この普通の風邪と新型コロナウィルスの比較をするのは無意味です。 (高齢者などは)新型コロナに感染しなくても死ぬ確率が高いのだから、特に(統計的にみて)死亡率が上がったわけではない、という意見もありますが、たしかに、今の時点ではそうです。 しかし、これから変わってくるでしょう。 今、感染は加速して広がっていっている状態です。 何も対策をしなければ、、、このまま加速して、6月、7月には大変な状態になるでのです。 そのなってしまったら、高齢者の死亡率も上がりますし、統計上だけではなく、病院にも重病者があふれ、全員の治療ができず、死亡するひとがあとをたたなくなるでしょう。 今のイタリアのように。
目を背けたくなる気持ちはわかります。 私もしたくなります。 私にも家族がいますし、(最悪のシナリオなどを)考えたくなくなるときもあります。 もしかしたら、そんなにひどくはならないかもしれない、、、と。
しかし、その逃避したくなる気持ちをおさえて、シュミレーション計算をすると、、、、やはり、最悪の事態がくる、という結果にいたるのです。 本当に酷い状態が来ます。 何度もくりかえしますが、(何も手をうたなければ)そのような状態になるのです。 そうしないために、今、対策が必要です。 阻止しなければいけません。
ドイツは、それをする力を持っています。 しかし、まだ、、、、大勢の人が理解していません。 私はベルリンの中心街に住んでいますが、まだ、、、居酒屋のなかに座っているひとがいます。 もう、良い加減やめなければだめです。 こんな(危機)はなんてない! と公の場で主張するのも、逃避方法の一つかもしれませんが。
ドイツの今後の予測についてもお話いただきましたが、、、イタリアでは、もうすでに、死亡率が、通常の死亡率を超えていますか?
どのように計算するかにもよるでしょうけれど、、、 1年の死亡率と、コロナウィルスの死亡率を比較した場合など、、、しかし、どちらにしても、この数週間で多くの人が亡くなったことは事実です。 ここでは、単に、死亡者数だけをみて、多いとか、少ないとか、そういうことではなくて、重症患者が数多くいる、ということ。 呼吸器が必要になっている重症患者が、多くいるのです。 ここで、じゃあ、ちょっと症状が重くなったから病院にいって少し呼吸器をつけてもらって治療してもらいましょう、そういう簡単な話ではありません。 そのようなことを阻止しなければいけません。 呼吸器を使わなければいけなくなるようなケースを未然に防がなくてはいけないのです。 そのために、呼吸器の確保と社会距離戦略を同時に行っていくことが必要なのです。 ドイツ国内での感染を減速させるためにも、必要不可欠です。
(人間に感染する)コロナウィルスには4種類あります。このウィルス感染、いわゆる風邪ですが、その場合にも重症化する、ということはあるのでしょうか。 比較のためにも教えていただけますか。
重症化することはもちろん、普通の風邪でもあります。 さきほどの7〜15%、私的には少し高い数値に思いますが、実際には、5〜10%でしょう、そのくらいの重症化のケースがあります。 集中治療をしなければいけない若い層のひとたちもたくさんいます。 個人的にも、通常のコロナウィルス感染で若い人が亡くなったケースもたくさんみてきています。 しかし、それは、ほとんどが基礎疾患を持った患者です。 例えば、血液系疾患、白血病や、免疫疾患などですね。そして、高齢者も普通のコロナウィルスで死亡したりしますが、、、そこまで多くはありません。
ヴォーダルク氏をはじめとする批判派は、先生と研究チームが開発した、PCR検査薬についても否定的です。 十分な検証がされていない、学術的な裏付けがきちんとされていない、新型コロナ、Sars-Cov-2 のためにつくられた試験薬ではないので、感度が低い、など。
この試験薬が開発されたのは、まだこのウィルスがドイツに入ってきていないときで、研究所にもウィルスのサンプルはありませんでした。 そこで、使ったのが、SARSコロナウィルスなのですが、このウィルスも通常の風邪コロナウィルスとは全く違う系統のウィルスです。 遺伝子的に遠い系統です。
このSARSコロナウィルスと、大量のコウモリのコロナウィルスで数多くのテストをしました。 これらは遺伝子的に近いウィルスです。
そこで、(旧型)SARSコロナウィルスとコウモリのコロナウィルスを比較している間に、新型コロナウィルスのゲノム配列が公開されました。 その配列と、それまでしていたテストのなかで、一番この新型に近かった2つを選び、さらなる検証を重ねたのです。
香港大学と、ロートルダム大学、ロンドンの臨床研究機関と共同で、ものすごい数の検証がおこなわれています。 コンピューターをみてみないと、はっきりした数はわかりませんが、、、莫大な数です。
様々なコロナウィルスを使って、何百というテストをこの検査薬でしましたが、一度も、誤陽性の結果がでたことはありませんでした。 この検査薬は、どの他のコロナウィルスにも、どの他の風邪ウィルスにも、反応しません。
たしかに、、、この検査薬は、旧型の SARSコロナウィルスには反応します。 しかし、SARSはもう16年以来存在しません。 そして、理論的には、コウモリのコロナウィルスにも反応します。このウィルスも人間は持っていません。
例えば、別の風邪コロナウィルスの検査薬は、牛の風邪ウィルスに反応します。 そして、らくだのコロナウィルスにも反応します。(これは、MERSではない別のウィルスです)
ですが、このような(人間以外のウィルス)ことは、医療的な診断や、疫病的検証には、全く意味のなさないことでしょう。 ですから、このPCR検査薬で、人間を検査した場合、陽性反応がでるのは、新型Sars-Cov-2以外にはありません。
Sars-1にも、ですよね
Sars-1 ウィルスはもう存在しません。
記述的な検証も高い水準で行なっています。 これは、すでに1月に発表していますが、この論文のなかで明記されている検証内容を読んだ世界各国の研究機関が、新型コロナの検査につかう方針にしましたし、WHOもすぐに、内容を公に発表し全世界の保険機関が使えるようにしたのです。
そして、1月中旬には、検査薬を世界中に配布しました。 無償で、です。 この研究はヨーロッパの研究プロジェクトで、EUの研究補助団体から援助をもらっていますが、その援助は、検査薬を発送するスタッフの援助です。 受け取った機関からは、私たちへではなく、マルセイユ大学が仕切っている研究プロジェクトに、送料を支払ってもらうことになっています。
報酬はもらっていない、ということですね。
私たちのところには一銭もはいりません。 それどころか、お金がかかっています。 幸い、EUの研究補助団体からとビル&メリンダゲイツ財団からの補助金はありますが、これは、この研究のためだけの補助金で、他の研究には使いませんし、結局、梱包費用の補助だけになります。
本当に、一銭の儲けもなくて、はじめは補助金もありませんでしたから、すべて、自腹でやっていました。 そうしないと、誰もしなかったでしょうから。
研究所は、請求書を発行したりもします。 検査は医療サービスですから。 ラボで行われた検査の報酬は、国民保険であれば、保険機関と研究の間でやりとりされますが、ここでも研究所に直接入ってくる報酬はありません。 プライベートの保険であれば、請求書を(個人宛)に発行します。 その請求書には私の名前が書いてあります。 責任者ですからね。 医師によっては、個人の報酬がある人もいるでしょうけれど、私の契約はそうではないので、すべて研究所にいき、これと私の給料とは別物です。
個人的な報酬となる収入源も実はあるのですが、、、あえてすべてオープンにお話していますけれど、、ここの報酬は、すべて研究所の研究員に渡しています。
誰かが、私を批判しようとしているのであれば、、、それはお門違いです。 どこにも隠しているところなどありませんから、どうぞ、調べたいのであれば調べるといいでしょう。
研究だけではなく、そこにも透明性がありますね。
新しい研究について、話題をうつしましょう。 インペリアル・カレッジ・ロンドンが論文を発表しました。 シュミレーションと計算ですね、感染率、死亡率、今後の対策、などについてのモデルです。イギリスとアメリカ内で、となっていますが。 そのなかに、60歳以上は、4人に1人が重症化する、という数がでていますが、先生と他の学者の方々はどうお考えでしょうか。
うーん、他の学者の意見はわかりません。 これはまだ発表されたばかりで、まだ読み込む時間はなかったと思います。 私は、大変重要な論文だと思っています。 政治的な決断をするにあたっても大変重要な内容でしょう。 イギリスでも、ドイツと同様に、しばらくの間専門家の意見をきき、専門家も客観的なデータを提示する努力をしていたと思うのですが、、最終的に下ったのは政治的な決断です。
もちろん、それは正しいです。 今は政治的決断をして、手遅れになるまえに先手を打ち、学術的な分析はその後でして修正してけばよいでしょう。
さて、この論文ですが、、、これらの数値は、想定です。 シュミレーションではすべてのことを正確に計算することは不可能ですので、想定の数をだしていきます。 このモデルでは、とても、繊細に細かく分析されていると思います。 細かい詳細のデータが盛り込まれてプログラミングされていますが、すべて、想定、です。
この想定を、少し現実にあてはめていくと、、、
まず、平均的潜伏期間が、5、1日となっていますが、これは、私もこのくらいだと思います。
感染から症状がではじめるまでの時間が12時間、これも、このくらいでしょうね。 ちょっと、保守的な見方のようにも思いますので、私は1日、にしたいと思います。 ミュンヘンケースで観察したデータによると、、そのくらいですから。
ちょっと、、、自分でもメモをとりますね。 私も今朝、読んだものですから、、、全ての箇所をチェックしたかどうかがわからなくて、、、
全体の3分の2に自覚症状があり、残りの3分の1が自覚症状のない無症状での感染である、
少し、喉が痛い、くらいですか
そうですね、ほとんどわからないくらいの症状です。
ということは、3分2が、検査とは関係なく、自宅隔離になるということです。 この場合、自主的なものでも、医者からの指示でも、検査をしてるかしてないか、も関係なく、です。
感染死亡率、は、、、、これは、潜在的感染者数なども配慮しての数ですが、、、0.9%
これは、自覚症状のない、潜在的感染者数もいれてでしょうか。
潜在的感染者も重要なファクターですから。もっとも、3分1かどうかはわからないのですが。
このように、こうやって数値をだす、ということは勇気がいることですし、とんでもない悪影響を最終的なシュミレーションに及ぼすこともあります。
これは、常にシュミレーションにつきまとう問題点です。 学術的な研究自体はとても専門的で複雑なのにも関わらず、数カ所ではずさんな数字をはめこまれることもあります。
先をみていきましょう。
自覚症状がある感染者が全体の3分の2。 死亡率が0、9%
他のグループが発表したなかには、0.6%と書いてありましたので、、、この辺りが想定内で、3〜4%というのは、特殊な状況で検査環境が整っていなく医療が崩壊した場合、となってますから、この辺りだとおもわれます。
入院率が、4、4% そうかもしれません
でも、これは集中治療、ではありませんよね
違います。普通の入院です。
そして、その入院したなかの3分の1が呼吸器が必要になるだろう、と書かれています。これは、、、、かなり、高い、、と思いますが、この計算でいくと、全体の感染者の1、3%でしょうか。 まあ、そのくらいかもしれません。
ここには、イギリスの教授が出した予測数値だ、と書かれてあります。
集中治療で呼吸器につながれている50%が死亡する、とありますが、、、、この数値は、イギリスの年齢分布と関係しています。
ドイツでの率は、、、、ちょっとわかりませんが、友人の集中治療科の医師がもつ膨大なデータを借りると、、因みに、呼吸器での治療は高い技術とノウハウが必要な分野ですが、、、ドイツでは、30〜40%だと思われます。 50%ではないでしょう。
次は、家族での自宅隔離です。 これは、家族全員が14日間、自宅に隔離されている状態ですね。 これについては、隔離になったケースの50%が守った場合、となってますが、これは、厳しい想定ですよね。 保健機関が、自宅隔離を言い渡した状態で、それを半数が守らない、というのは、、ちょっと、、考えられません。
死亡者数については、、、どうでしょうか。 これは簡単には計算できないことは承知の上での質問なのですが、、、この計算からドイツの予測もできるのでしょうか。
このシュミレーションの計算でいくと、、、かなり厳しい数字がでてきます。 率直にいうと、、、ドイツにも当てはめることができるとは思います。 イギリス人とドイツ人はそこまで違うとは思いませんので。 もちろん、医療システムに違いがありますが。
ここも、ドイツにはあてはまらない点ですが、ケース隔離と家族隔離のコンビネーションの効果、というところです。 これは、陽性になった場合に、自宅隔離になりますが、家族隔離では家族も全員隔離になります。 そして、70歳以上の社会的距離対策です。 70歳以上は外出を控える、というものですが、それ以外には、学校の閉鎖、などの対策はありません。
この対策、つまり、70歳以上の高齢者だけが、外出自粛、陽性感染者を隔離、家族も自宅隔離、そのほかの対策(学校閉鎖、社会距離対策など)は一切しない状態で、、、存在する呼吸器数の8倍の重症者がでるだろう、という計算です。 これは、イタリアの状況です。 こうなってしまうと、重症患者のなかで、どの患者に呼吸器を使うか。優先順位を決めなくてはいけないことになります。優先順位とは、生存率の確率、生きて退院できる確率がどのくらいその患者にあるか、です。
医療が崩壊するシチュエーションですよね、、、
リスナーもそこが知りたかったのですが、70歳以上の高齢者を隔離して、その他の世代に集団免疫をつけさせる、というシナリオが、良いアイデアなのかどうか、、、でも、この計算をみていると、意味がないように思います。
はい。その通りです。 このようにはできません。
何も対策をとらずに、感染者と感染者の家族だけを隔離、70歳以上の高齢者は外にでないように自宅待機にする。 それを、3ヶ月続けるのです。 これは意味がないでしょう。 もし、イタリアのようになってもかまわない、というのであれば、話は別ですが。
次にいきましょう。 次のシナリオは、もう少し対策をする、というタイプですが、、、、まずは、自宅隔離ですね、これは、新型コロナの陽性結果がでていても、でていなくても、です。 もうそろそろインフルエンザの季節は終わりますから、これから風邪のような症状がでたら、ほとんど新型コロナだと思って良いでしょう。
喉の痛み、でもでしょうか。
そうですね。 もちろん、診断、検査をしてもらったほうがいいでしょうけれど、まずは、感染しているだろう、ということで、自宅隔離です。そして、社会的距離対策ですね。高齢者だけではなく、全員です。それは、もうすでにドイツでは実行されていますね。 もちろん、外出禁止令までにはなっていませんが。 在宅勤務も多くなっていますし、学校が閉鎖されていることによって、自宅にいる大人も増えています。 そして、家族隔離ですが、、これも、もう実際にはそうなっています。 保健機関は、高リスクの接触者の隔離、としていますが、家族は高リスク接触者ですから。 そして、このイギリスの論文に書いているところが興味深いのですが、選択肢として、学校と大学の閉鎖、とあります。
しかし、長期間での、でしたよね。
そうです。 5ヶ月間の閉鎖、です。
このようなシュミレーションでは、学校や大学の閉鎖は分けて計算できるでしょう。
ということで、この2つのバリエーション、学校の閉鎖あり、なし、の対策では、感染速度は減速させることができます。 感染カーブを低くする、ということですね。 そして、学校と大学の閉鎖はもっと効果的です。 これは、この論文のなかでも、かなり議論されています。 このような学術的論文は、前半に厳格な計算モデルがあり、最後には議論がされます。 その最後の部分で、学校の閉鎖は、自宅隔離よりも効果的である、とあるのです。自宅隔離はもうすでに実行されているのですから、、、、ここには書いてはいないものの、行間を読むとすれば、、、、未解決の問題は、学校閉鎖をするか、しないか、という点でしょう。
この点においては、とても慎重に距離をおいた意見を述べています。 同じスタンスを先週の時点でドイツの学者もとりました。 慎重になる理由は、インフルエンザのようなしっかりとしたデータがまだないこと、経済的なダメージが極めて大きいこと、そして、これを継続的に実践することが難しい、という点です。 ドイツでも、もうすでに子供達が(自宅に待機せずに)うろうろしていますし。
最後に、、これを全て実行しても芳しい結果を得ることができなければ、学校閉鎖も考慮する、という隠れたメッセージを読み取ることができます。
それ以上に重要な点は、この対策を5ヶ月間続ける、というところです。 この長期間持続することは、非常に難しいと思います。
そして、5ヶ月が終わって、日常生活に戻ったときに、、、冬に感染が再開するでしょう。 そうなってしまったら、ただ単に冬まで時間を稼いだだけということになってしまいます。
時間を稼ぐことに意味があるのは、、その期間内に、解決策をみつけることができる場合だけです。
解決策、とは、治療薬やワクチンのことですが、、、、もし、その準備がその期間中にできない場合は、、、違う方法を考えなければいけません。
例えば、全ての対策を一定の期間する。 それによって、感染者の増加が緩和する。 そこで、また解禁して日常生活に戻る。 そして、また感染者が増えるような状態になったら、また対策をする。
集中治療の患者数をカウントしていれば、この数は目安になりますから、その目安で、システムをオンにして、またオフにする。
これによって、感染者数を一定に保つことはできるのですが、、、、これを2年間は続けなければいけません。
2年間は、、、大変長い期間です。 そんなに長い期間、続けていくのは不可能でしょう。
ということは、この方法ではない対策をしなければいけないのです。
現在の対策で、夏まで感染者数を抑えて、医療が崩壊しないように務める。
そして、できるだけはやく、ワクチンをつくらなければいけません。 そして、高齢者にわたせるような治療薬です。
国民全員に行き渡るようなものでなくてもいいのです。 ハイリスクと高齢者にまず使えればいい。
これは、私の個人的な意見です。 ほかの学者はきっと違う意見でしょう。
ここ数日、このことについて、ずっと考えていました。 政治家から聞かれても、自分でもまだ考えがまとまっていなくて、、アドバイスできませんでしたが、何度も計算しなおして、シュミレーションしなおして、、、そして、出した答えは、、、もし、私たちが、社会を維持し、高齢者の死亡率をあげたくないのであれば、、、ワクチンを通常よりもはやくつかえるようにしなければいけないのです。
どこで近道ができるか。 例えば、すでに研究されていたもの、臨床試験が終わってるものとか、、新型コロナ用のワクチンで臨床試験が終わっているものはまだないですが、昔のSarsの時のものを、、掘り出して、とかですね。 あの時のデータで使えるものがないかどうか、みてみたりして、、、緊急事態ということで、通常よりもはやくつかえるようにしたいのです。
緊急事態、というところで、少しのリスクがあっても、、、ということですね。 副作用などの
そのようなリスクについては、国も責任を請け負わなければいけませんし、様々な問題もあります。簡単なことではありません。
私も、承知で今、ここで話していますが、このような可能性を、専門家、研究機関も考え始めなければいけない時にきていると思うのです。 もし、このシュミレーションが正しければ。 私は、この数字は間違っていないと思っています。 もちろん、このようなシュミレーションは想定です。 シュミレーションでは、繊細に計算されることもあれば、とても雑な数値が突然でてくることもありますから、基本的には、私は疑い深く読み取るようにはしています。 しかし、今の疫学的シュミレーションは、15年前くらいにしたような、大きな過ちは犯さないであろう、と思うのです。 あの、イギリス全土がBSEに感染するだろう、というような。 あれは、間違いでした。 あの一件によって、疫病学的シュミレーションの信憑性がなくなってしまったのも事実ですが、、、
あれからかなり経ちましたし、進歩もしています。 学者としては、(この数字を)真剣にうけとります。
この数値はいままでのなかで一番だと思います。 そして、アメリカだけではなく、イギリスにもあてはめていて、イギリスとドイツは似ていますから。
このシュミレーションが示す未来予想図は、、、すざましいです。
しかし、これを受け止め、解決に向けて話しあわなければいけません。
しかし、もうすでにかなりの解決の可能性をしめしていただきました。 政治家への宿題となることでしょうし、学者は、ワクチンなどの治療の解決方法を模索しなければいけませんね。
今日もどうもありがとうございました。 また明日よろしくお願いいたします。
ベルリンシャリテ
ウィルス研究所 教授 クリスチアン・ドロステン
https://virologie-ccm.charite.de/en/metas/person_detail/person/address_detail/drosten/
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