ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(66)  2020/11/24(和訳)

ベルリンシャリテ ウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン
聞き手 コリーナ・ヘニッヒ

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今週もまたワクチン開発の快挙が報告されました。また月曜日でしたので、月曜日はワクチンの効果の成果を発表する日、としても良いのかもしれません。これが週の頭に起こる素敵な恒例として定着すれば素敵なことだと思います。正確に言うと、2つの成功報告がされています。ワクチンの接種自体も12月から開始されることができるであろう、と連邦の政治家はみています。ちなみに、オーストリアでも同様です。今日も、ベルリンのウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン氏にお話しを伺います。聞き手はコリーナ・ヘニッヒです。

2週間前にもテーマだったワクチンはもちろんのこと、今日は、少し専門的なウィルス学的なことについて、そして疫学的な面からも現状を分析していこうと思います。首脳会議の1日前の今、状況はどうなっているのか。これからどのような感染対策が必要か。そして、パンデミック渦で平常な日常範囲を広げてくれる、と期待が寄せられる抗原テストですが、そのラボのなかものぞいてみたく思います。 まずは、ワクチンについてです。今回も月曜日で、これで3回連続、月曜日にそのような成功報告がされていますが、先生はどのようにご覧になっていましたか?このように週が始まる、というのは素晴らしいですよね。

そうですね。なかなか期待が持てる内容ではないでしょうか。試験で90%の効果が認められた、というのもそうですし、、、私は個人的にはワクチン開発とは関わっていませんので、私にとっても常に新しい情報です。何がどのタイミングでどこまできているのか、というのは私も知りませんので。

先生も私たちと同じ、ということですね。1つの治験では90%、ということですが、少しまとめてみますと、オックスフォード大学と共同開発をしているAstraZeneca社が行なった予防効果の治験によると、全体の治験者での予防効果は70%。これは平均値です。興味深いのは、治験者の一部で、1回目に半分の量を接種され、2回目に100%の量を接種された、とあります。素人的には、ここが不思議な点なのですが、こちらのほうが効果が高く、予防効果が90%である、とされています。製造元からは、科学的な説明がまだよくできない、との発表がでていますが、この現象の説明、推定などはウィルス学の知識を持って可能でしょうか?

いやぁ、これは、まずは、事故であった、ということですよね。治験のなかで、1回目に接種しなければいけない分量の半分しか接種しなかった、というのは明らかな事故で、それ以外に言いようがありません。本来はあってはいけないことです。1回目に半分、2回目に通常の量を接種された治験者での予防効果が90%、1回目と2回目に同じ量の通常量を接種された場合で62%。様々な理由が考えられると思いますが、このアデノウィルスというものはそもそもベクター免疫を持っているのです。というのは、ここではアデノウィルスがウィルスベクターとして使われていますが、これは風邪ウィルスとして存在するウィルスですので、私たちはその免疫を持っています。ですから、ワクチンを接種された際にこの免疫は発動する可能性がある。そして、2回目の接種の際にこのベクターに対する免疫、つまり、ウィルスベクターに対する免疫が発動して効果があまりなくなる場合が考えられます。この可能性は常にアデノウィルスワクチンにはあるのですが、このワクチン、いわゆる ChAdOx、チンパンジーアデノウィルスオックスフォードの略ですが、これにはこのチンパンジーのアデノウィルスが使われていて、人間のアデノウィルスとは違うアデノウィルスを使うことでこの背景的な免疫を刺激しないようにしています。このワクチン治験での詳細はわかりませんが、このベクター免疫も理由である可能性はあります。他の可能性としては、この治験は地域的にバラバラに行われています。というのは、2分の1と普通の量を接種されたグループはイギリス、2回とも普通の量を接種されたグループはブラジルだったのです。ブラジルでの結果はイギリスよりも悪かった。ここに理由がある可能性も考えられます。というのも、半分に対する普通の量の違いはそこまで大きくはありません。通常であれば、このようなワクチン治験で摂取量を変えて試験する際には、10倍の量などでされるからです。

治験が半分にわけられた、ということでしょうか?

そうです。半分が違う、というのは大きな違いです。他の理由も探さなければいけませんが、その中の一つとして、2つの異なる国で異なるチームによって治験が行われた、という点。もちろん、臨床レベルではもっと細かい違いもあったでしょう。接種の際の違いであったり、治験者の遺伝子的な違いも影響があるかもしれません。データを出す際にはまずはこれらを分析してからしなければいけませんが、これに関しては、学者はこの治験結果でかなり頭を悩ませたに違いありません。

つまり、あまりぬか喜びはしない方が良い、と言うことですね。先ほど、これは事故だ、と仰っていましたが、時には突発事故が成功につながる、科学では思わぬ結果が出る場合もあります、しかし、どちらにしてもそのような評価をするだけのデータが足りません。もう一つの可能性を仮定してみたいと思うのですが、先ほど、少しウィルスベクターについてご説明していただきましたが、多分、もう一度基礎的なところを説明したほうが良いのではないか、と思います。 BioNTech社とModerna社のワクチンがありますが、前者はmRNAワクチン、つまり、メッセンジャーRNA、遺伝子技術をベースにしているものです。そして、ウィルスベクターの原理は、弱化されたウィルスを身体のなかに運ぶ手段に使います。

このアデノウィルスワクチンについては、すでに多くの経験値があり、ここで起こったミス、第一回目の接種量のミス、、この治験ではフルスピードで行われていましたし、なんといっても一番はじめのワクチン治験でしたから、、、このミスを除くと、これは成功報告でこのように上手く行っていることは当然に思います。 このワクチンには他にも様々な利点があります。「他のワクチンは、90、95%に比べるとこれは70%じゃないか」ということではなく、このワクチンは、平均値が70%。90%と62%の平均での全体的な効果率です。もちろん、この効果率の詳細を待たなければいけません。、誰に症状がでるのか、というところで、この症状を伴う感染が、基準でした。しかし、どのワクチンが、ウィルスの増殖に対しての防御効果があるのか。どのワクチンが重症化を防ぐのか。さらに、例えば、このワクチンは値段も安い。1個につき2、5ユーロです。他のワクチンは、一個の値段が10ユーロ、15ユーロの域であると聞きました。ワクチンは大量につくられるものですから、今年生産される量でも、100万個から200万個だそうです。来年は、30億個、ということなので大変な量です。このワクチンは南の発展途上国にとっても興味があるところだと思います。これはインドの血清研究所でつくられていて、ここは特に発展途上国へのワクチン供給に力を入れている会社でもありますから、 ノウハウが違います。

そして、そこまで低温で保存しなくても良いのですよね。

その要素もあります。長期間、数ヶ月間冷蔵庫の温度で安定して保存ができる、ということです。これらは、大きな評価点で、小さな違い、小さなコホートでみられた違いはあったとしても、このワクチンは予想外の良い効果をだしています。思っていたよりも、数倍良い結果です。大変良いニュースだ、と言えると思います。

この製造元、 AstraZeneca社によると、このワクチンは重症化を防ぐだけではなく、感染伝播も防止する効果があるかもしれない、ということですので、これはパンデミックに必要なものですよね。

その通りです。治験内でPCR検査もされた、と会見では言っていましたが、私も会見内容の範囲でしかお話しできませんが、、、そこで、予防接種にも関わらず感染してしまった患者のウィルス量は明らかに少なかった。喉で増殖したウィルスの数が少なかった。

BioNTech社もこの間の途中経過報告のあとに最終結果を発表しました。効果率は、はじめに発表された90%をまた上回り、95%に上がっています。この数%の差は大きいですか?

大きいです。 簡単に計算することができますが、まず、大きな治験、大勢の治験者で試験されて観察される規模のもので効果がある、というのはまずは良い予測的なインフォメーションです。簡単に計算すると、100名の治験者グループ、比較のためのグループでプラセボを与えられた人たちのなかかた100名感染した、としましょう。そして、こちらは予防接種をされたグループでは、効果率が90%の場合は、10名感染し、95%の場合は5名のみです。つまり、90%の場合には、95%に比べると倍の感染者がでます。予防接種をしているのにもかかわらず、です。5%だけの差ですが、感染者数は倍の違いになるのです。

つまり、絶対数ですよね。このメッセンジャーRNAワクチンは、 遺伝子工学の技術でつくられますが、もう少しで承認されるところまできていますよね。これがとても新しい技術であるために、安全性を心配する声も聞こえてきます。ここでは、RNA、リボ核酸を使って情報が取り込まれることによって、ここからウィルスタンパク質をつくり、それに対抗する抗体もつくられます。リスナーからも、「このmRNAワクチンは細胞がウィルスタンパク質を自分でつくるために、接種者の遺伝子を変えてしまうのではないか。」という質問が多々寄せられるのですが、これは、根拠のある不安でしょうか?

違います。そうではありません。この mRNAは、染色体のなかに入りこんで細胞の DNAの一部になるわけではありません。これは、タンパク質をつくるための助けをするだけです。その工程はいつか終わります。つまり、メッセンジャーRNAは細胞内で分解されます。

分解されたら、タンパク質の製造も終わる、ということでしょうか?

そうです。タンパク質はなくなります。

ということは、調整は自らしている、ということですね。

そういうことです。いつか終了します。

希望のテーマに戻りたく思いますが、まずは現状から。ロベルト・コッホ研究所のデータをみてみたのですが、最新では13550の新規感染で、先週よりも千人少ない数となっています。ピーク時と比べると一万人現象しました。この比較、というのは常に時差があるために難しいのですが、それでも慎重にではありますが、対策の効果が少しでてきた、とみて良いのでしょうか。

そうですね。悪くない状態だと思います。先週の段階では、ちょうど検査戦略が調整されたばかりだったので、このことについてお話しするのが難しい状態でした。つまり、優先順位を明確に症状が出ているケースにする、というものですが、それが何を意味するのかが曖昧でした。これによって、検査数は12%減少しましたが、同時に陽性率が同じ位の割合で増加していますから、プラスマイナスゼロでしょうか。. しかし、先週から変化はしていないのにも関わらず、軽い減少傾向がみられますから、これは喜ばしいことです。それを願ってきました。まだわからないのは、この減少の速度が十分であるか、というところで、今現在では、集中治療を含む病院のキャパ、そして通常病床の負担を軽くするまでの減少には至っていないからです。

どこのレバーを引かなければいけないのでしょうか?どのように評価されますか?対策はまだ甘いのか、それとも、個人の行動で調整されるべきなのでしょうか?

この部分的なロックダウンの見本としたのは、アイルランドのロックダウンでした。アイルランドではかなり早い段階で実行され、大変良い効果が出ています。詳細ではアイルランドとドイツでは異なります。例えば、アイルランドでは、テレワークに関する厳しいルールがあり、多くの職場は部分ロックダウン中は使われていない状態です。ドイツではそうではありません。公共交通機関はアイルランドでは大きく制限され、かなり早い段階で25%の利用率に減少されています。部分的ロックダウンにもレベルシステムが使われて、そのなかに公共交通機関の利用率の減少、というものも含まれているのです。もちろん、ドイツでも首脳会議が行われ、調整されるか、どこを調整するか、ということが決められるでしょう。メディアでも調整の必要性が報道されていますが、どの部分を調整すれば良いのか、という点で、個人的には全く不明です。どこの部分で意味があるのか、という点で、です。

どこを改善していくか、制限をこのままにするか。接触制限はこのまま実行されるようですが、研究などのデータからもみていけるかもしれません。どこで実際に多くの感染伝播が発生しているのか、ということの解明と、それを防ぐためには何をしなければいけないのか、というモデリングがあり、これはスタンフォード大学のもので、ネイチャー誌に掲載されました。ここでは、アメリカの20の大都市の移動性データ、携帯からのデータが分析されましたが、ここで驚いたのは、これが大変細部までにわたるものである、ということです。プライベートな周囲、自宅から公共へ、ここではそう呼ばれていますが、Points of Interest、これは、レストラン、店舗やスポーツジムなどです。春のロックダウン期間中のデータから、この期間中にレストランや販売店舗が引き続き営業していたとしたら、パンデミックにどのような影響を与えていたか、というモデリングをしたのです。遡って、ということです。この結果から何か参考になることはありますか?

そうですね。これは参考にできる科学的なデータだと思います。しかし、注意しなければいけない点は、どこが、Caveats(警告)であるか、というところです。つまり、どこの部分を見直すべきなのか。短く説明しますが、、これは、スタンフォードの論文で、観察期間は3月1日から5月1日まで。これは第一波の時です。この時期には、アメリカでもドイツと同じように、まだ地理的、そして年齢層的に発生率が均等には行われておらず、ちょうどウィルスが拡大していった時期でした。第二波では、ドイツでもみられるように、全土に満遍なく拡がってきてます。これが第一波と第二波の違いです。これが、第一の注意点、「この状況と今では直接的には比較できない」と見るべき点です。この第一波では、かなり細かい伝播モデルがつくられました。これは、感染可能な人と、完治した人と、感染者の行動を観察し、感染者の増加を時間の経過と共に分析するものです。携帯データから近隣地域の分析を行いこれを、「„Census Block Group」とここでは呼んでいます。つまり、地理的な近隣、住んでいるエリアです。そして、「 Points of Interest」これは、社会的な目的地、例えばスーパーであるとか、人々が行くところです。そこも含まれています。どのくらいの時間でどのくらいの頻度でこの Points of Interestが訪問されるのか。頻度です。このモデルは、パラメーターに分けれ、この各パラメーターの一部はシュミレーションによって改善されています。近隣エリアでの伝播率、住んでいるエリアとPoints of Interestの範囲内での行動、つまり日中にどこに行くのか、ということが考慮されています。そして、スタート時点での発生率、そして、実際の感染数の状況をみながら、モデルのパラメーターを調整することによって、人々がどのように行動し、感染状況の変化がどのようにこの行動に影響されるか、ということが分析されています。ここからでた結果は今後の対策を討論する際に参考にできるでしょう。でた結果の例をあげると、どのくらい移動性が減少したのか?ということに関しては、在宅を推奨し、移動しないようにする。これはとても効果があることです。大変重要です。早い段階でそのような対策をとる。これが出た結果で、重要なのは早期のタイミングだけではなく、 頻度の縮小です。言葉を変えると、2日に一回買い物に行くのではなく、1週間に一回にする。日常生活の具体例としてはそのようなことがあげられるかと思います。他の興味深いところは、例えば、シカゴの例がでています。 Points of Interestの10%、つまり、目的地、市場、カフェなどですが、そこでの感染が全体の85%をしめる、というものです。

そして、レストランやスポーツジムがリストの一番上にのっていますよね。

その通りです。ここには様々な Points of Interestのカテゴリーが載っていますが、このなかのたった10%が、全体の感染伝播の85%である。大変な割合です。 これも、スーパースプレッディングとクラスターでの感染拡大の特徴といえます。

スポーツクラブ、がキーワードです。以前にも話題にあげたことがありますが、激しい呼吸からのエアロゾル、レストランでは滞在時間が長い。これらは、重要なパラメーターです。しかし、このシュミレーションでは、他の対策、例えば、マスクの着用や衛生対策については配慮されていませんよね。

そうですね。この時は、、、特にアメリカではマスクの着用はほとんど普及していませんでした。この点は考慮しなければいけませんし、他にも気をつけなければいけない点は、アメリカで、Points of Interestとしてあげられているものは、、読み上げます。レストラン、スポーツクラブ、ホテル、教会、病院、スーパー。これよりも重要度が下がるスポットは、おもちゃ屋、ホームセンター、自動車整備場、自動車販売店、ガソリンスタンド、薬局とデパートです。ここから政治的な推奨はできませんし、ドイツでも同じだ、と言い切ることもできません。一つ取り上げるとすると、アメリカに行ったことがある人は知っているでしょうけれど、アメリカのレストランはエアコンディションが完備されています。ドイツではそうではありません。今は、この簡易エアコン設備はウィルスを室内に充満させてしまう、ということが、精肉工場でのアウトブレイクの一件ではっきりしましたので、このエアコン設備があるアメリカのレストランとドイツのレストランを比較できるのか。ここも怪しくはっきりしません。興味深い学術研究であり、方向性において参考にできる内容 ではありますが、細部はそれぞれ別に評価していかなければいけません。

モデリングは、構造であって、パラメーターを変えることによって変化しますので、現実に置き換えるテンプレートではありません。先ほどの理由からも、です。しかし、そうとは言っても、この論文で大変興味深く思ったのは、レストランの再開のシナリオが計算されていることです。シカゴの例で計算されていますが、レストラン内の5分の1のテーブルが埋まっていた場合、計算上は80%ウィルスの感染伝播が少なくなる、ということですね。

その通りです。これは、レストランだけに限られたことではなく、全てのPoints of Interestで共通します。例えば、スーパーであるとか、ドイツの政治的な規約は考慮せずに中立的にみた場合ですが。ここで興味深い考察があります。誰もがスーパーに買い物にいかなければいけませんね。ここで、それを減少させたければどのように分散させれば良いのか。まずは、全体の%を減らす、ということも考えられるでしょうが、ピーク時の上限を下げる。これはもうすでに実行されていることですが、最大収容人数を制限する、ということで第一波の時にもされていました。これは効果が大きいです。理想的な絶対数にするにはマックスになるのを避ければよいのです。このことによって、訪れる客がまんべんなく分散され、ピークを回避することができます。日常に置き換えると、土曜日の11時に買い物に行く人が多くてレジには長い列ができる、ということがわかっているのであれば、違う日の晩、もしくは、午前中や午後に行くようにすると並ばなくてもすむでしょう。そのように人が集中しないようにできます。この分散は効果があります。レストランでも同様です。テーブル数を制限すれば、人々は違う時間帯に行かざる得なくなります。しかし、これを実行するのは容易ではありません。ディナーを午前中に変更することはできませんし。それはその替わりにはなりませんね。

しかし、20時よりも少し遅く変更したり、その前にしたり、、、ということは可能ですよね。それによって、レストラン側の経済的なダメージも少なくすることができるように思います。スーパーの例は納得です。日常にも取り入れれます。私の行きつけのスーパーには入り口に整備員がいて、時間帯によっては、外で列になって並ばなければいけないことがありますが、その向かいのスーパーでは外には列はありません。しかし、その結果、店内に人が溢れ、レジには列ができています。エアロゾルはそちらのほうが多いです。どのように分散させるか、ということですが、美術館によっては、パンデミック以前に混雑を回避するためにされていた対策があります。そこでは、オンラインでどの時間帯が混雑するのか、という情報が公開されていて、一定時間に人が集中しないようにしているものですが、そのような行動の分散、という点が現在の対策に欠けているように思います。グループを分ける、混雑を回避する、などです。

そのような方法も可能です。しかし、もうすでにどのくらいの診療所でこれが実行されているのか、というところで、つまり、どこをもっと強化することができるか。これは政治も頭を抱える点なのですが、もうすでに実行されているところはどこか。実行されているところをもっと強化しても効果はしれています。どこがまだ何もされていないのか。下のほうに下がってなっている実から収穫する、という原理ですが、例としては、職場環境です。今、よく聞くことは、職場の人数は多少減らされてはいるが、給湯室ではまた沢山の人が集まっている。そのような詳細のルールをもう少し見直す必要はあると思います。アイルランドの成功例を参考に、テレワークを強化するなど。そして、出張などです。そこは本当に減らされているのでしょうか? キーワードは公共交通機関の利用の回避、ですが、列車を使った出張はいまだにされています。そして、大学。これは国内でかなり差があって、ベルリンでは、大きな集まりや講義はされていませんが、一定のマスタークラス、美大などは許可されています。かなり少人数で、ですが、こればかりはオンラインでは不可能ですので。それから他の例ですが、自然科学分野の研修は、研究所のラボなどで行われますが、換気システムが完備されている、つまり、1時間で室内空気量の6倍の空気交換で換気がされているところなどでは、全く心配はいりません。理想的です。このような環境では、研修の許可がされても大丈夫です。しかし、大きな講堂での講義は禁止され、オンライン講義に切り替えられていますが、州によってまだ大変ばらつきがあるのです。ここでの調整はできるでしょう。そして、学校ですが、特にギムナジウムの高等科、そして、職業訓練系の学校でのオーガナイズは考えていかなければいけません。もちろん、自宅隔離、というテーマもあります。夏に、Zeit紙にて提案したように、5日間のフェードアウト隔離をクラスで実行する、などです。

このポッドキャストでもお話いただきました。

そうですね。固定されたクラスがある場合、ですが。ここでのジレンマは、皆、学校を開けておきたい、と思っています。これは、社会全体で一致していることです。しかし、生物学的な感染は、子供も大人も同じだ、ということもわかっています。学校での対策をしなければ、校内での感染は爆発します。これは科学的に明らかな事実であって、様々な国での観察例かもはっきりとしています。ドイツでは幸い大きな問題にはなっていませんし、マスクの着用義務もありますし、学校内でもいまのところ、感染を抑え込むことに成功しているようですが、はっきりとしたシグナルと、弱いシグナルとがあるのです。 全体と比較すると、学校内での感染増加は小さい。部分的ロックダウンが実行されている今、大人はロックダウンの影響がありますが、学校にはありません。ですから、学校での感染が増えてきてもおかしくはないのです。しかし、爆発的に増えては困ります。途中経過の段階から判断するならば、学校はまだ崩壊していない。なんでもかんでも論争に持っていく、ということはそろそろやめなければいけないでしょう。

理想論ですね。

その通りです。そうではなくて、前向きに考えた場合に何が起こる可能性があるのか、ということ予測すること。今現在、学校では、感染は起こっています。周りの知人友人からそのようなケースを聞いたことがあるかと思いますが、重要なのは、それをどう対処するのか。ここでも、またドイツ国内では州ごとの差が大きい。保健所によっては、感染ケースをきちんと把握し、追跡しています。接触トレーシングをして隔離を言い渡して、、といったようにです。しかし、それができなくなっている保健所もあります。もうそれをする余裕がないので、学校に任してしまう。しかし、任されても学校はどう対処した良いのかわからないわけです。そこから、クラスに一人感染者がでたら学級閉鎖をして14日間の隔離。そうかと思えな、2人感染者がでた際に、となりに座っているクラスメートだけを隔離する。両方とも学校でのシチュエーションですが、場所が違います。このようなバラバラな対応をしていたら、混乱を招くだけです。ここではこう対処して、ここではこう対処される。誰も正しい対処方法がわからなく、争いが起こる。これではだめです。これから冬の間に、きちんとしたルールなく続行した場合学校で起こりうることは、同時に保健所の負担も大きくなるわけなので、とりあえず大事をとることを最優先した学級閉鎖で14日隔離、という選択がされていくでしょう。 これでは、アウトバーンを走るようなものです。アウトバーンでは速度制限がありませんので、誰もが高速で走ることができますが、途中に工事現場が点々としていれば、結局のところ、平均的に40キロでしか走ることができずに、苛立ちます。理論的には無制限で走れますが、実際には障害がある。これを学校に置き換えると、次々と学級が閉鎖されていくことを阻止する必要があります。保護者の間の論争は激しくなり、理解も少なくなってきている。では、どうすれば、生産性があり前向きな解決をすることができるのか。例えば、隔離を的を絞って短くする。保護者も対象か、対象にならないか。保護者も隔離されなければいけないのか、というのも根本的な点です。クラスをこのように短期間隔離した際には、診断はこの時点では行われていません。目的は接触を断つことですから、保護者は接触の接触ということで、本来は隔離されなくても良い。しかし、この隔離の期間、最終的に検査するかどうか、保護者も隔離対象になるか、など。保護者のなかには、「子供の面倒をみたいので、自分も隔離の方が良い」という人もいれば、「仕事にいけないと困るし、子供の世話は違うかたちで解決している」もしくは「子供は年齢的に世話が必要ないので1人で大丈夫」このような話は、個別では落ち着いて話せるでしょうけれど、実際にはそのように個別に解決している時間などないのです。皆が必要としているのは、方向性です。コンセプトが必要で、どの方向で、場合によっては法的裏付けも、です。こでは、最終的には政治のレベルで決められなければいけません。今、その圧力が政治にかかっていますが、正しい道を選ぶのは困難な状況ではあるでしょう。

それでも、先生の見解からすると、、、学校で、先ほどの例にもありましたが、クラスに1人感染者がでた。それ以外の感染者はまだ確認されていない、という場合、その生徒と隣に座っていた生徒が隔離され、その他の生徒は引き続き学校にいく、となれば、リスクになるのではないでしょうか?他の生徒もそれぞれ接触がありますし、そこから感染が爆発する可能性はないのでしょうか。

もちろんです。これは大変難しい問題で、基礎データから判断していくしかない、ということしか言えません。しかし、これは今現在、公表されていないデータです。保健所で集められているものなのですが、、現在、保健所ではそのような余裕がありませんから、このデータを処理することができないのです。もう少し、公共保健機関と科学研究所の間で公式な協力体制を取り決めることができれば、と思います。しかし、これは、今、このパンデミックの真っ最中にすることではありませんから、そのような協力体制は、落ち着いた時期にしか決められません。イギリスにはこのような公的な協力体制があり、すばらしいモデルです。ドイツでもそのようなものを導入することを考えても良いのではないかと思います。研究の援助の一環から保健機関のサポートをし、データの共有と、合同研究など、です。それができれば、負担は少なくなるでしょう。しかし、今は今あるものでやっていかなければいけません。それは、根本的なところでの認識であるとか、ウィルス量はどこでも同じである、といった点でです。もうかなりの数の研究から、生徒のウィルス量が(大人と)同じ量である、ということはわかっています。ここから考えていく。つまり、当然ながらウィルスの放出はあるわけです。そして、エアロゾルが発生するのも当然です。そこからクラスターになるのも当然なことです。今の時点ではあまりよく記録されていないかもしれませんが、ここからはじめて先を考えていく。今現在の研究の結果をまずは事実として信じることからはじめなければいけません。そこから何を考えていなければいけないのか。これは、純粋に科学的に理論をベースにしたクラスター対策を学校にあてはめたものですが、粗データをみていくのは興味深いと思います。生物学的に、ウィルスが放出されることはわかっています。しかし、クラス内で、マスクをした場合としていない場合の違い、ということはわかっていません。学校でのシチュエーションではまだわかっていないのです。今、学校でのマスクも推奨され、着用されていますが、これによってウィルスの拡大様式が変わり学校でのクラスター感染が少なくなる可能性だってあります。そうなれば良いと思っていますが、そのようなことも記録に残していかなければいけないことで、科学の課題でもあります。

スタンフォード大学のモデリングを取り上げましたが、そこには移動性のデータの欠如から学校は入っていません。幸いなことに、これは生徒たちが常に携帯を持ち、授業中も携帯をいじっている、ということがないからだとは思うのですが、そういう意味では、理論としての計算もデータがないためにできない、ということですよね。

そうですね。良く聞くのが、他の国との比較ではなく、ドイツの学校を直接見なければいけない、という意見ですが、もちろん一理あるとは思います。アメリカや南ヨーロッパの学校にはエアコンがついてますし、ドイツにはありません。この違いの意味はどこにあるのか。自分のところのシチュエーションをみなければいけない、というのは正しいと思います。

ヨーロッパのなかでもスカンジナビアでは、1クラスの大きさがドイツよりも小さいですよね。これもグループの大きさ、という点での違いだと思うのですが。

そうです。全てをそのまま比較する、というのはそう簡単ではありません。データが足りません。ここでの課題は、どのように実用的に解決していくか。ここで大切なのは実用性とルールのわかりやすさ、です。現在、保健所の負担が大きすぎて学校のことまで手が回らない状態にあり、学校側、保護者、家庭医や小児科医の間のパワーバランスに委ねられている。そのような場合には特にわかりやすい規約が必要です。勿論、理想的なのは、発生率が下がって保健所の負担が少なくなることであることは、誰もがわかっていることです。しかし、それまでの間、負担が大きい機関での解決方法もなければいけないのです。幸いなことに、今のところ学校ではうまくいっているようですが。これも常につけくわえなければいけないことです。 

いまだに、少しわかりづらいように思います。ジャーナリスト的にもそうで、明確な結果を発表する調査も多々あるからです。例えば、サクセン州は、かなり高い新規感染者数を抱える州ですが、そこで生徒と教師を対象にした抗体調査が行われました。これで2回目です。結果は、2000検体のなかから、12件の抗体がみつかった、ということで、学校が過大評価されている、と、このデータは、正しく理解したならば、秋休みの前、ということでした。

このサクセン論文には、会見文がついていますが、それは私も読みました。このような場合、常に忘れてはいけないのは、このような研究の際には、常に途中経過報告、というものがある、ということです。

これはドレスデン大学、ですよね。

多くの場合、まだ今の時点では何も結果がでない、ということもあるのです。しかし、このような研究は大掛かりなものですし、途中でもその結果を報告しなければいけない。ここでの問題は、それをメディアがどのように報道するか。メディアは常に何かを報道したいわけですし、見出しに、「何も新しい情報はありませんでした」とあったら、読む人は誰もいないでしょう。そのような理由から、偏った伝え方になることがある。「学校は、感染に関係ない」といった報道になるのです。もう一度、内容を分析すると、ここでは、学校から2000の検体が集められ検査されています。対象は、サクセン州の生徒と教師です。一番はじめの調査は、5月末、6月頭で、2000のなかから、12ケースで抗体がみつかりました。それから、秋休みの前ですから、多分、9月末から10中旬でしょう、もう一度同じ数がみつかっています。ここからも、研究者はそこまできちんとした数を把握しようとしていないのがわかると思います。詳しい数はこれから発表される論文にでるのではないかと思いますし、これは途中結果です。同じ数、というところをどう解釈したら良いのか。半年以内に、この12人の抗体陽性者のなかで、大体4人、これはこのくらい、という予測ですが、抗体力価が少なくなるはずです。ここで、2000名の治験者から4人新しい陽性者がでた、2000に4です。サクセン州での調査期間時の発生率は、10万人の46。ということは、2000人で計算すると、0、92です。2000人の0、92。しかし、先ほどの調査では、2000人に4。ということは、把握されていた州内の感染よりも4倍の率だったのか?ということも言えるわけです。つまり、学校の感染は通常の住民の4倍なのか?これに関しても、勿論メディアが記事にすることもできるでしょう。同じように意味がないことです。全体的には、ここからはどの方向にも導くことはできない、ということです。ですから、重要な首脳会議の1〜2日前には、そのような記事は書かない、ということのほうが賢明でしょう。もしかしたら、そのようなタイミングだったからこそ書かれたのかもしれませんが。残念ながら、パンデミック渦では、そのようなことは日常茶飯事です。

それでも、このような研究結果は興味深くないわけではありませんよね。他にもまた記事になっていたのは、病院の受付スクリーニングの調査で、子供も含まれています。病院に別の病気で行った場合に、全員新型コロナの検査もされたのですが、この結果をバイエルンの医師が発表しました。ここでは。110000の青少年の検体が分析され、その結果は、0、53%の子供と青少年が陽性だった。しかし、これは記者会見だけで、論文は発表されていません。

また、大きく新聞に記事が載りましたが、これも偏った方向に解釈されがち内容です。記事の書き方もそうでした。子供はあまり感染しない、と。取りこぼしなどもない。しかし、ここでも似たような計算をしてみたいと思うのですが、、検査された子供のなかで0、53%が陽性だった。これを10万人で計算すると、10万人の530。これを24週で割ります。半年間の観察期間、とのことでしたので。因みに、これはかなりざっくりなやり方ですが、ここでは気にしないことにします。大雑把に計算してみると、調査期間中では、1週間の発生率は、10万人に対して22で、夏の間の半年、ということになります。そこから10月末、11月頭、です。この期間でのドイツ国内の発生率をみてみると、これよりもはるかに低い数値でした。これによって、実はかなりの取りこぼしがある、ということをこの調査で確認した、ということが言えるでしょう。記者会見で発表された内容とは真逆です。私が正しく理解していないのかもしれませんが、会見からはあまり具体的なことはわかりませんでした。偏った記事から、きちんとした分析をするのは困難です。しかも、大きな政治的な決断がされる1〜2日前であれば尚更です。

しかし、ここの背景にある考え、子供や青少年に限ったことではありませんが、大人の場合でも、病院でのスクリーニングを指標として使うことに対してはあまり賛同できませんか?

病院でのスクリーニングが国民の感染状況の指標として使えるかどうか、ということですか?

そうです。

どうでしょうね。問題は、国内で安定した発生率がおこっていなければいけない、ということと、どのような患者が来院するのか?症状別になっているのか?ここでのスクリーニングが良い方法であるかどうかは疑問です。集中的に凝縮してスクリーニングを行っていくとよくはなっていくでしょうが、夏の時点ではそのようにはされていませんでしたので。

つまり、簡単な計算から正しい解釈をしたりするのは危険で、データはきちんと揃わないと判断できず、研究もどのようなデザインのものなのか、その限界や限定される部分をしっかりとみていかなければいけない、ということですね。

その通りです。しかも、これは研究ではありません。それは発表側も言っています。これは、現時点での測定です。このような調査はされても別に良いとは思いますが、ここから偏った解釈がされて特定の方向や別の方向に誘導するようなことになるのは問題です。

対策という大きなテーマから学校や子供の話になっていましたが、テーマを締めるにあたり、対策強化について。グループの大きさについては話し合ってきましたが、例えば公共交通機関などでもですが、そこでの改善については考えることができるとおもいます。キーワードは文化分野です。グループを小さくする良いコンセプトはあるのだろうか。どのようにそこまで行くのか。これは、給湯所の例にもありましたが、劇場内の観客数は少ない方が良い、とされていますが、地下鉄では大変混雑しています。これでは、せっかくの効果も台無しです。これらの対策をコンビネーションする、というのが長い目でみても重要で、それぞれの分野にもダメージが少なくなる、と思うのですが。

それはそうですね。公共交通機関問題は、文化的な面だけではなく全てに関係があることです。これについては個別にみていかなければいけないでしょう。特に大都市では、公共交通機関が他のところよりも使われますが、代案も必要です。はじめから、公共交通機関は25%の利用率しか許可されていない場合、アイルランドのような場合には自然と多くの人が自転車を使うでしょう。これも実行可能な方法です。文化分野では、、少し範囲が広くなります。文化分野のなかには、運営規定を決めるのが難しい分野もありますしが、換気システムなどでもうすでにかなり良いコンディションになっているところもあります。特に、オペラや演劇などでは、固定された座席で距離がとれますし、エアコンディションが完備されていて換気もされている。これは衛生コンセプトにもつながります。このような分野での制限は早い時点で緩和されても良いと思いますし、それを期待します。

劇場のフラストレーションでもありますよね。劇場内でのコンセプトは出来上がっていて、これから再開しよう、という矢先にまた制限されてしまいましたので。ここから、違いテーマに移ろうと思いますが、これはこれまでにもこのポッドキャストで取り上げたことがあるテーマです。それは抗原テストですが、これは検査戦略のなかでもかなり重要な部分であり、このポッドキャストではもう少し論文などから学術的な面からもみていきたく思います。まずは、根本的なところでの簡単な説明ですが、、、リスナーから、実は、このポッドキャストの科学的なレベルが高すぎる、というメールもいただいているのです。ですから、定義などは、もう一度説明することにしようと思います。抗原テストは、早くその場で検査ができるテストで、基本的には妊娠検査薬のようなものです。PCR検査のようにウィルスの遺伝子を検出するテストではなくて、ウィルスタンパク質に反応します。基本的には、PCR検査ほどの感度はありませんが、ウィルスの量は認識しますので、感染性があるかどうか、という見極めをするのに適している検査方法です。ドイツでは、現在、Point-of-Careテストだけが認められていて、これは、医療従事者によってのみ検査が許可されている、という意味です。国によっては、広範囲での大量スクリーニングにこのような抗原テストが使用されています。ドイツでもそのようなことは考えられますか?

スロバキアで、抗原テストを使って国民を全員検査した際の良い図式があります。これは週末2回にかけて行われましたが、投票所のような会場を設けた途端に発生数が減少した。 これは、抗原テストのせいなのか、部分的に抗原テストのせいなのか、それとも、抗原テストと同時に起こっただけなのか。というのも、スロバキアではこの時期にはもうすでにロックダウン対策、部分的なロックダウンが実行されていましたが、発生率が大変高かったので、この国民全員を検査する、ということに踏み切ったのです。これは、一応、強制ではなく自主的なものでしたが、それは表向きなだけで、実は純粋に自主的、というわけではなかったのです。というのは、検査をすると、結果は陽性か陰性のどちらかですね。陽性反応が出た場合は、1週間自宅で隔離。ここまでは良いです。陰性だった人は、、、もちろん、陰性です。そうなのですが、検査をしない人たち、これは基本的には自主的なものですから、検査をしたくない人だっているわけですが、そのように検査をしない人たちは、自動的に1週間の自宅隔離にされました。検査をしなかったからです。この自宅隔離を守らなければ、罰金1600ユーロが発生。ということは、これがそういう意味では自主的なものではなかったことがわかります。つまり、国民のなかで陽性反応がでた人たちと、検査をしなかった人たち、多分、1週間家にいることができた人たちやどちらにしても家にいる人たち、高齢者などが含まれると思いますが、並びたくない、といかそのような理由もあるでしょう。私の理解が正しければ、そのような人たちは1週間の隔離になりました。1週間家から出るな、というのは大変厳しいロックダウンです。スロバキアのような小さな国では、これだけでも発生率を抑え込むことができたでしょう。ですから、抗原テストがどのくらいの効果を発揮したのか、ということはあまりよくわかりませんが、イギリスの専門家の表明が大変興味深いです。イギリスでも、このような検査がリバープールでされています。これは、British Medical Journal誌に掲載されたものですが、このような抗原テストに反対する意見の内容です。そこには、抗原テストには弱点があり、まずそれは、特異度の弱点である。つまり、ざっくりと言うと、100分の1の確率の偽陽性反応があり、これは、100人検査した場合に、1人、感染はしていないのに陽性反応がでる人がでてくる、ということです。

つまり、99%の特異度ですね。

まあ、そのくらいですね。そして、感度にも弱点がある、と。

つまり、反応感度ですね。どのくらいの感染者を検証できるのでしょうか?

実際にどのくらいの漏れがあるのかどうか、ということを確認するのは容易ではありません。このテストをどこに重点をおいて使うか、ということでも変わってきます。多くの専門家の推奨は、私もこのなかに入りますが、基本的に抗原テストは、数少ない例外を除けば、症状重視の検査方法であるべきである。つまり、このような抗原テストをする際に、まず、患者に症状はでているか?もしでていたなら、何日前からでているのか?抗原テストをする最適の時期は、症状がで初めてからはじめの5日間です。感染症の症状がではじめたばかりで、抗原テストが陰性だった場合は、大きな確率で別の疾患でしょう。このような場合には抗原テストは適しています。しかし、国民での広範囲における検査では、この反対です。単純に健康な国民を片っ端から検査します。陽性者がいるかどうか、やってみようじゃないか、という感じです。隠れた陽性者もみつけたい。ここでの問題は、このような検査をした場合には、比較的多くの人たちを間違って隔離することになる、ということ。偽陽性者です。ここで考えてもらいたいのですが、どのくらいの本当の陽性者を国民のなかからみつけることができるのか、ということと、偽陽性者の確率を対比しなければいけない。国民のなかの1%の陽性者を予測したら、これはもうすでに第二波のはじまります。大勢の陽性者がゾロゾロいる、というのではなく、1%の陽性者でもうこれは高い発生率です。抗原テストで、感染の波を抑え込もうとした場合、1人陽性者がいれば、1人偽陽性者がでる。隔離された人たちの半分は、隔離されなくてもよかった人たちな訳ですから、ここから訴える、訴えないに発展するでしょう。

そして、コストもかかりますね。

勿論です。かなりのコストがかかります。証明書も必要になり、欠勤の人が多く発生します。経済的なダメージは莫大なものです。このところを考えなければいけないのです。この間違いから発生するコストも、です。国民の50%が陽性だったら。最悪です。 50人中で1人の偽陽性はまだ大したことはありませんが、1対1の割合だと、、大変です。今現在、ドイツでは1%の発生率ではありません。つまり、ホットスポット、特定の地域で感染が爆発していることがはっきりしている場合は、投票所にテストキットを持っていって、その地区を週末に全員検査する、というのはドイツでも実行する意味があるでしょう。しかし、違う目的でのドイツ国内全員の検査は、、、ありえません。まず、検査キットが足りません。人口8300万人のなかで、たぶん、来週あたりまでには、1000万か、2000万個くらいのキットしか調達できないでしょう。スロバキアのような小さな国ではもちろんそのようなことは可能ですが。

しかし、学校などでは広範囲に検査するアイデアはありますよね。たとえば、校内で感染がみつかった場合など。

それは可能でしょう。これは先ほども言った、例外のなかにこれが含まれると思います。ここでも言っておかなければいけませんが、ドイツ国内にはかなりの数の学校がありますので、1ケースの感染がみつかった際に全員検査するだけの抗原テストはないのです。少なくとも、抗原テストキッドを調達して持っていく、ということは困難です。そして、検査をしなければいけない教員もそのための訓練をしてもらわなければいけません。今の時点で現実的であるかどうか、、 どうでしょうね。このテストは医療従事者によって行われる場合は問題ありませんが、、、勿論、今後長い目で見て、そのようなことも考えていけることは確かです。しかし、今のところは、、先ほどの話に戻りますが、特異度、特異度の理由です。

偽陽性ですね。

そうです。もう一つの問題は感度にあります。もし、国民で自主的な検査をしたとしたら、実際に感染が起こっているところまで全て網羅することができるのだろうか、という疑問は残ります。つまり、本当にすべての感染をみつけることができるのかどうか、ということです。これは、問題です。自主的な呼びかけをした場合、メディアから情報を得ることがなく、もしかしたら語学的なハンディキャップもあるような層、文化的な違いもある人たちは、なかなか検査のために並んではくれないでしょう。ですから、この対策は初めから効果が限定されてしまっています。今の時点で、とても魅力的なことだ、ということは認めます。2回、週末に国民全員を検査しましょう、というのは。しかし。ドイツでは、完全な自主的な計画というものは、、、不可能であるでしょう。

ハーバードの疫学からの考察で、抗原テストを家庭でも使えるようにする、というものがあります。これは、パンデミックでは意味があることではないかもしれませんが、個人的には興味深い点です。ここでの偽陽性はどうなのでしょうか?そのような検査キットを1パッケージ買ってきたとして、陽性反応がでたら、もう一度検査してみたりするでしょう。そのように偽陽性をフィルターすることは可能でしょうか?これは、論理的でしょうか?

論理的ではあるのですが、残念ながら、私たちが検証試験で得た経験上、このテスト形式では、偽陽性反応がかなりの頻度で繰り返される、というデータがでています。偽陽性の少なくとも半分のケースでは、検査を繰り返しても偽陽性反応がでてしまう、ということです。

それは、検査は同じものに反応する、ということでしょうか?反応してはいけないものに反応しているために、繰り返しても同じ結果がでる。

その通りです。それはその人によって違います。テストが反応するものとして、鼻の中の特定の細菌が考えられています。この細菌の表面にある成分が、偽陽性を導いてしまう。これは、持っている人と持っていない人がいますので。

つまり、常にそこにある、ということですね。別に病気ではなくても。

そうです。これは常在菌です。レンサ球菌とブドウ球菌が疑われています。これは、どのように偽陽性反応がおこるか、という仮説ですが、このような理由があるとすれば、繰り返し検査をしても解決にはなりません。

先ほど、偽陽性の際に、先生はこのテストの検証試験をされた、と仰っていました。この際に、他の4種類のヒト風邪コロナウィルスはどのような位置付けになるのでしょうか?このウィルスにも抗原テストは反応するのでしょうか?

それはありません。試験の際に、100名の他の風邪ウィルスに感染している患者で試しました。ここではコロナウィルスだけではありませんでしたが、これらのウィルスに反応したケースは1つもなく、つまり、交差反応はでませんでした。念の為に、細胞培養されたコロナウィルスでも試してみましたが、この純粋に培養されたウィルスですら反応はおきませんでした。ここにはリスクはありません。

その試験について少しお伺いします。これはまだ査読されてはいませんので、まだ公開されていないものですので、通常であれば、「まだ、それについて話はできない」とおっしゃるということはわかってはいます。まずは、他の科学者に査読されなければいけないのはわかっているのですが、それでもちょうどテーマ的にぴったりだと思ったのですが。

もうすでに、多くの科学者がめを通していますが、評判はすこぶる良いです。

それは素晴らしいですね。しかし、私たちはまだ読むことはできませんでした。私たち、つまりその他大勢、ということですが。

ツイッターでレビューをみることができますが、、、まあ、まだそれについてはやめておきましょう。

先ほど引用した、ハーバードの疫学は、「これは、抗原テストの マスタークラスである」と言っていますね。

そうですね。

これは先生のチームに対するかなりの賛辞ですよね。先生は、7種類の抗原テストの検証試験を行なって、つまり、ラボで分析した、と言えるでしょうか。このセレクションについてですが、、ここには、経済的な目的も背景にあるように思うのですが、、というのも、コロナウィルスの専門研究所のクリスティアン・ドロステンが、当社のテストを良いと評価したら、、それは、お墨付きのようなものです。どのように選ばれたのでしょうか?

ここで言っておきますが、抗原テストの検証をしている研究所は私たちの研究所だけではありません。そして、評価も、良いテストもあれば、悪いと評価されるテストもあるわけです。製造元は検証前にはその結果はわかりません。その点では、私たちは中立的な立場です。9月半ばにこのような検証試験を行うことを決めました。その時にちょうど、一番はじめの会社が会見をして、月末には市場に出す、と。その際に、私の研究所が、その検証調査を申し出たのですが、同じように他の会社も記者会見をし始めて、同時に、他の1、2個別のテストとももうすでに市場に出ていることも知っていました。これらはもう試してはみていました。ドイツには、診断コミュニティのようなものがあって、つまり、診断ラボにいるプロの集まりですが、彼らは市場も、製造元もよくわかっています。怪しい会社なのか、信頼が置ける会社なのか。注目されるためだけや、予約販売を開始するために会見されたのではなく、その商品が実際に存在する、ということ、2〜3ヶ月後にはちゃんと市場で買えるようになる。そのような経験上からこのセレクションになりました。いくつかの会社には、電話をしてキットを頼まなければいけませんでした。まだ市場にはでていませんでしたので。「検証試験を行いたいのですが、今つくっている分を送ってもらえますか?どうでしょうか」と。そのようにしたのですが、あの時、9月末、10月はじめには、この7つのテストしかありませんでした。もっと多くのテストキットを試したかったのですが、他の2つの会社、名前はここでは言いませんが、試験をしようとした際に、あちらのほうから、「残念ながら完成が少し予定よりも遅くなりそうです。」と連絡があり、それらのテストは入れずに開始しました。どちらにしても、実践的で経験上からの決断です。何か他の意図があったわけではありません。そして、なんらかの方向性がこのリストにあるわけでもありません。リストは BfArM(連邦医薬品医療器研究所)にあります。

とても長いリストになりましたよね。

そうです。今は長くなっています。あの当時はこのリストはまだありませんでした。

200種類あります。数えてみたのですが。因みに、BfArMは、連邦医薬品医療器研究所の略です。どのようにこのテストキットを検証したのでしょうか?この7つですが、先細胞培養でも検査した、とおっしゃっていましたが、詳しくはどのようにされたのでしょうか?

形式的におこなりました。重点は、このテストの分析性質です。感度度合いとも言えるでしょうか。大まかな感度の規定の違いを区別することはできるのか。まずは、いわゆる臨床的な感度です。ここに、100人本当に感染した患者がいるとします。そしてその人たちを検査した際に、90%の感染を発見することができたなら、それは90%の臨床感度です。その他の単位としては、分析感度があります。分析感度はパーセントではなく、濃度です。感度の上限がミリリットル中〇〇ウィルスである、もしくは、1スワブにつきどのくらいか、などと使います。この感度量を設定し、全てのテストキットで比較しました。なぜそのようなことをしたかというと、この試験を開始した時点ではまだ発生率が低かったからです。

新規感染者が少なかった、ということですね。

感染ケースが少ない時期でした。そのような時期に治験者をつかった試験をする場合に、PCRが陽性だった場合、この抗原テストを使って、この検査方法でも同じように陽性反応がでたかどうか、という確認を同時に行います。ここから、臨床感度をだすことができますが、問題は、大変時間がかかることである、ということです。陽性者の数が少ないですから。そして、患者にも大変違いがあり、多くが初期の症状がでている患者ではなかったり、というのも、発生率が低い状態では感染していることに気がつくのが遅く、症状が悪化するまで病院にいかないひとも多くいるからです。この試験では、2週間目の患者は必要ありません。先ほども言いましたが、このテストでは症状がでてから5日以内に絞りたいので。このような条件での試験は、この発生率が低い期間内では大変困難です。ですから、比較をするのも難しいですし、ここで臨床感度を定めるのも意味があまりありませんでした。結果が偏ってしまいますので。偶然に入り込んでくる因子もありますし、コントロールがききません。こちらのテストでは、6日目の患者を使い、別のテストでは3日目の患者を使う、ということにもなりますし、そもそも患者の多くはいつから症状がで始めたのか、ということがわからない人も多いのです。このようなファクターを取り除きたかったのです。

このテストキットは無症状者や症状が出る前の人たちでも使えるのでしょうか?この間、それに関してはまだはっきりしない、と聞きましたが。

私たちが検証したかぎりでは、そこの違いはありませんでした。このテストが測定する点は、どのくらいのウィルスがあるか、ということであって、患者に症状があってもなくても関係ありません。議論点は違うところにあって、無症状者のウィルス量は基本的に少ないのではないか。というところなのです。この疑問はまだあるでしょう。しかし、これはこの抗原テストの検証試験では関係のないことで、どちらかというと臨床的な経過観察です。データでは、初期の段階での、症状がある患者と無症状とのウィルス量は比較的同じである、ということになっています。確かに2週間後からは違いがでてくる可能性はありますが、この抗原テストで使う期間(1週間目)においうては、同じなのです。ですから、この部分に関しては問題はありません。無症状者の問題点というのは常に、感染初期の段階で検査しているのかどうか、ということがはっきりしない点であって、つまり、適切なタイミングで行われているのかどうかがわからない、というところなのです。

つまり、抗原テストは、今、この瞬間の結果、ということになりますね。ということは、例えば、介護施設の玄関で抗原テストをして面会に入ったとしても、明日もそうであるとは限らない。明日の状況は違う可能性もある。

その通りです。この時間の枠を狭くしている間は大丈夫です。無症状者を検査するのも何の問題もありません。ここで陰性であれば、ウィルスがない、ということですので、症状があってもなくても関係ありません。

この7つのテストキットの試験結果をまとめると、特異度、つまり他の病原体との交差反応においては差がでています。2つのテストキットでは、100%の特異度ですが、なかの一つでは88%です。しっかりとみなければいけませんよね。先ほども仰っていたように、検査環境にも関係はするかもしれませんが、つまり、どれだけの感染がその時に国内にあったのか。感度は十分なのでしょうか?

この結果は、偶然の一致なのですが、ここでは、分析感度を決めました。品質の良いテストキットは、10の6乗、つまり、100万ウィルスコピー、1スワブにつき、10の7乗、1000万ウィルスコピー。ここに調整ファクターが加わりますが、これは論文内で詳しく説明されています。

感染性の閾値ですね。

そうです。これは全て大まかな数値です。しかし、十分です。大体の把握ができていればよいので。100万〜1000万ウィルスコピー、 RNAのコピーですが、その量が1スワブごとにある。つまり、この濃度の場合に陽性反応がでる。上限からみると、これ以下では陰性反応がでます。興味深いのは、このウィルス濃度は、典型的な症状経過において1週間の最後の量に等しいのです。つまり、感染性が終わる時期、ということですね。これは素晴らしいことです。ここから、この抗原テストは、感染性を確認できるテストである、といえるからです。陰性反応がでれば、その時点では感染性がない。例えば、軽症の場合などです。しかし、感染したてで感染性があり抗原テストで陽性反応が出た場合、数日後には陰線反応がでます。この時点で、その患者は感染性がない、ということになり、職場に復帰しても良いと言えます。しかし、念のために、きちんとマスクはしてくださいよ、と言わなければいけませんが。たくさんのシチュエーションで便利になるでしょう。例えば、入院患者の退院の際などで、まだPCRでは陽性反応が出る場合があります。その反応が、残留ウィルスによるものであって、感染を起こすにはは量が足りない、ということは皆わかってはいますが、この抗原テストでは、はっきりと陰性がでる。これによって、PCRではまだ残留的に陽性だが、抗原テストでは陰性である。感染性はない。特に、もうすでに何週間も入院していた患者であれば、なおさらです。

つまり、検証試験から、期待されていた効果はこの抗原テストで得られる、ということですね。

私は、この抗原テストがパンデミックにおいて、新しい、そして大変重要な武器となると思っています。これから、政治的、手続き的、科学的なレベルで、この実用化にむけて全力を尽くさなければいけません。そうしないと、冬が終わってしまいます。今、必要なのです。

先ほどのお話から思ったことなのですが、良いテストキット、という面では、BfArM、連邦医薬品医療器研究所のリストには200のテストキットが載っていて、すべて市場にでています。データももちろん載っていますが、それは製造元からのデータです。これらは、先生のチームがされたような基準では検証はされていません。義務化はありませんので。抗原テストは医療器であって、医薬品ではありません。ですから、実用化される際には、検証される義務がないのです。これは少し困った点ではないでしょうか?テストキットによってはかなりの差がありますから、よく調べないで介護施設などがあまり品質のよくないキットを使ってしまう、ということも考えられます。

そうです。そこが問題です。これだけの数がリストに載っている、というところで驚きです。製造会社がヨーロッパのどこかで申請し、承認されたら、それはヨーロッパ全体で実用化されることになります。多くの商品はアジアのもので、多くが中国製ですが、ほかのアジア諸国でもつくられていたりします。取扱説明書には、感度やその他のデータも明記されてはいますが、経験上、正しいデータではないことも多いのです。感度もそうですが、特異度に関しても、本来ならばもう一度検証しなければいけない。中立な検証がされる必要があります。少人数で試験をするなどして、テスト自体のクオリティを高くみせるために結果を調整することなど簡単です。ですから、私たちがしたような、外部の専門研究所での公平な検証試験がとても重要なのです。今現在でも、注意深くみていくことが大変重要です。そして、他の点、在庫、供給状況、なども不明ですし、承認されたということと、今、注文すれば手に入るかどうか、ということはまた別です。今かなりグローバルマーケットは雑然としています。今、医師として薬局に問い合わせたとしても、多分、「申し訳ありませんが、、今、かなり順番待ちリストが長くなっており、、販売できる商品がございません」それか、「この商品だけは2週間かかりますがお届けできます」という感じでしょう。これが現状です。ですから、このリストは、お買い物リストではない、ということです。これは、EU圏内で承認されたテストの一覧です。

純粋な承認習得リスト、ですね。ヨーロッパにも、効果や効能をチェックする機関はありません。医療器、なので。プロテーゼみたいな扱いで、咳止めとは違います。このリストをみていくと、ドイツでの販売元が必ずしも製薬会社ではないことが目につきます。広告代理店であったり、家庭用電気機械器具会社やアパレル会社もあります。ここからテストの品質は判断できませんが、条件が例外的であると思うのです。保健省に確認してみたのですが、このリストはいまのところ、こうだ、という返事でした。しかし、パウル・エールリッヒ研究所は、このリストのテストを順番に検証し比較するべきである、と発言していますが、それがいつになるかはまだはっきりとしません。

それは必要なことだと思います。学術的な試験もできますが、それをまとめる機関というものが必要になってきます。パウル・エールリッヒ研究所はそれに最適な機関です。

先ほど、薬局に医師として行く、というお話をされていましたが、個人ではいまのところ薬局に行って、抗原テストの在庫があるのであれば、購入したい、というのはできません。個人的な使用、例えばクリスマスなどに使いたい、というのは想像できる用途ですが、5キット買って、私と夫、そして3人の子供達を検査する。今の時点での結果ですが、クリスマスイブに祖父母に会いに行くのには十分です。このようなことが可能になる可能性を保健省は否定していません。もちろん、いつになるか、ということはわかりませんが。国の監視が必要になりますよね。

これは、手続き的な問題です。実際に、今のところ、医師であればこのようなテストを購入することができます。医師は今現在、知人友人の間で大変な人気です。しかし、家庭医には誰もがいけるわけですから、ここが重要なインフォメーションです。これについては、どのようにオーガナイズすることが可能であるか、ということを、かかりつけの家庭医に相談するのが良いと思います。これは、家庭医学の領域でもありますから。と、勝手に思いついたことを言いましたが、家庭医の医師の皆様からも賛同していただけることを祈ってます。

しかし、在庫問題がありますよね。どちらにしても。

そうですね。しかし、これから数週間で改善されるとは思います。

しかし、検体採取の問題もありますし、特に子供の場合は難しいです。先生は、シャリテで、代案の検証もされています。そこでは、採取を鼻の先端部ですることができる、というものですが、この論文もまだ査読が終わっていません。それでも、少しこれについてお話していただけるでしょうか。このような方法も可能だ、というところで。

短く言いますと、このアイデアは上手くいきそうなのです。鼻がつまっていてもいなくても、鼻をかんだら少し鼻水がでてくるでしょう。その後ですばやく鼻の前のほう、鼻の穴のところですね、そこから採取します。鼻をかんだ際にでてきて鼻のなかの壁についていてるこれを採取したいのです。これは、鼻の奥からでてきたものですので。この方法からは、この研究時だけではなく、別のデータからも、かなり良い結果が出ています。

ドロステン先生、最後にもう一度個人的な領域での質問です。もしかしたら、ウィルス学者の周りの人たちはそうではないかもしれないのですが、 私の周りでは、「喉と頭が痛いんだけど、新型コロナじゃないと思うの。熱と咳がでていないから」とか、「風邪を引いたけど、お医者さんは絶対に新型コロナではない、と言ってる」などという話をよく聞くのです。症状がでたら、まずは自宅待機、という事がまだあまりきちんと理解されていないように思うのですが、先生の周りでもそうでしょうか?

私もよくみます。私の場合はちょっと違うタイプで、「ちょっと、ささっと検査してくれないかな?」というものですが、、、、自己診断で、勝手にちょっと喉が痛いだけだ、などと言っているのはよく目にします。その後も外に出て、出勤もして、何もなかったかのように行動していたり、 「家庭医に言ったら、『多分、なんでもないと思うので、診療所には来ないでください。検査はしません。』」と言われた、などという話を聞くとちょっと不安になりますね。もちろん、RKIの改善された推奨からこのような解釈もできるかもしれません。ここでははっきりとした症状がでていること、つまり、肺炎であるとか、典型的な症状、味覚の欠如など、がでていることが条件ですから。そして、呼吸器の症状、感染しやすいシチュエーション、もしくは、周りに感染伝播をしてしまう、職場の同僚などに、ということが挙げられています。しかし、ここには幅広い解釈域があって、多くの医師が、「これは私はこう解釈します」とするでしょう。患者は来なくていいし、検査もしない。これは場合によっては判決のようなものです。医者が検査をしない、と言った。しかし同時に、検査をされなくても症状が出ている場合は家にいなければいけないのです。病気の状態、具合が悪い仕事に行ってはいけません。たとえ、家庭医が、検査はしない、と言ったとしても、です。この家庭医のやり方が正しいかどうか、というのはまた別の問題です。とにかく、今現在、症状がある場合は社会的な接触はするべきではありません。それが少しの喉の痛みや鼻水であったとしても、です。

それも、典型的なクラスターのシチュエーションにいなかった、としてもですよね。バスに乗ったり、職場に行ったりしていたわけなので。つまり、今の数値では、どこでも感染する可能性がある、ということです。

もちろんです。多くの人が、感染をどこでしたか、ということを断定できません。ですから、このようにするしかないのです。症状が出ている場合、このようなシチュエーションが抗原テストの出番が期待される状況ですから、本当に近々で、このような一般人で軽症の症状が出ている場合に使えるようになることを願うばかりです。家庭医や救急で、など。そのようなオプションはあります。地域で異なりますが。今は承認をする機関にかかっています。重要なのは、きちんとした決済がされることです。家庭医がボランティアで検査する、ということはありえませんから、きちんと請求率が決められなければいけませんが、ここになかなか一般的には理解されない問題点が多々潜んでいるのです。開業医は、自営業、会社であって、このような考慮も重要です。患者は誰でも来て良いですよ、とした場合のリスク、待合室も分けなければいけないでしょうし、その他にも手間がかかるでしょう。そのような点での報酬も配慮されなければいけません。

今日はこの辺りにしたいと思います。また2週間後によろしくお願いいたします。それまでには2回月曜日が来ますから、、またワクチンの分野でも良いニュースがあるかもしれません。いままではいつも月曜日でしたので、、期待は持ち続けたいと思っています。どうもありがとうございました。




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