ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(108)  2022/1/18(和訳)

フランクフルト大学病院 ウィルス学教授、サンドラ・チーゼック
聞き手 ベーケ・シュールマン
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オミクロンが完全に感染のメインとなってきました。同時に7日間の平均発生指数が553、とまた最高値に到達しています。74000人以上の新規感染者、というロベルト・コッホ研究所の発表ですが、これよりも多い可能性がある、とのことです。というのも、PCR検査のキャパが限界に近づいているからです。ドイツ国内の集中治療病床の使用率は下がってきていますが病院の負担がなくなったわけではありません。通常病棟への負担の増加が危惧されるところです。オミクロン感染の疾患経過に関して新たにわかってきたことは何でしょうか。小さな子供達のほうが大人よりもかかりやすい、というのは本当なのでしょうか? 抗原ラピッドテストについても取り上げます。隔離について、そしてこれからパンデミックがどのようになっていくのか。社会全体の動きと個人のリスクについてです。今日も、フランクフルト大学病院、医療ウィルス学教授、サンドラ・チーゼック先生にお伺いします。

今日のポッドキャストは、ここ数週間の間、巷で言われている「体感事実」から始めたく思います。それは、「オミクロンは軽症だ」というものです。これを裏付けするデータはあったり、なかったり、です。まだまだはっきりしないことがたくさんあるわけですが、オミクロンの病原性について新しい情報はありますか?オミクロンによる感染の疾患経過は実際に軽いのでしょうか?

それに関してはもうかなり長い間話し合われていて、このポッドキャストでも何度も取り上げてきていますが、多分まず言っておかなければいけないことはここ2週間ほどはほとんど新しい情報がなかった、というところです。そして、オミクロンの数も増えてきていますが、地域での差がみられます。例えば、ヘッセンや私が住んでいるフランクルフトでは発生指数がほぼ1000です。そのような高い数値になったことはいままでありません。非常に高い数値です。しかし、隣の州、チュービンゲンをみてみるとまだオミクロンが優勢にはなっていないようで、発生指数は200、しかも減少傾向にあります。フランクフルトでは前代未聞の感染状況で、把握されていない数も多い、とみられていますが、集中治療の使用率は下がっていて、外来も病棟、つまり一般病棟の状況も安定しているところです。私はこれからまた上がっていくだろう、とは思っていますが、病院側からみると、今回の流行はいままでの流行とは違う点が多いです。流行にはそれぞれ特徴があるのですが、例えば、今回は知人友人、親戚、同僚など、周りでの感染、しかも2回、3回のワクチン接種をしている場合の感染が起こっています。とくに若年層、中年層でクリスマスから年末にかけて旅行に行っていた人たち。旅行先から帰国した人たちです。スキー旅行は大きな問題となっていました。軽症である、ということはこの間も取り上げましたが、これに関しては様々な要因が考えられ、純粋に生物学的には、細胞中心の感染が起こっている、つまり肺ではなくて気道での感染が起こっている、ということ。そのほかの可能性としては、オミクロンがデルタと比べると免疫の攻撃に弱い、というもので、これは私の研究所でも実験からのデータがあがってきています。さらに、動物実験でもオミクロンの特徴がわかってきていて、最新では南カリフォルニアからのプレプリントで、オミクロン感染者とデルタ感染者の臨床的な疾患経過の違い、それを50000人以上のオミクロン患者と17000人のデルタ患者が比較しています。ここでみられるのは、オミクロン患者で人口呼吸が必要になるケースが少ない、つまり集中治療が必要になるケースが少ない。これは私たちのところでも観察される状況に一致します。入院しなければいけない、病院で治療が必要になるくらいの疾患経過にはなるものの、それでも入院期間は短くなっていますし、デルタに比べると平均で3日、4日ほどの短縮です。一番の違いはやはり集中治療が必要になるかどうか、というところで、人工呼吸が必要になり死に至るケースの減少です。この論文には、さらに様々なデータがつまっていて、ワクチン接種状況であったり、患者の年齢層、年齢による分布なども読み取れますので一見の価値はあります。

患者の年齢層ではどのようなデータがでているのでしょうか?集中治療の患者はいままで通り、高齢者ですか?それとも若い年齢層なのでしょうか?

この論文を読む際に少し気をつけなければいけないことは、ここで対象となったデルタ患者の平均年齢が若干高い、という点です。もう少し深くデータをみていくと、一番入院リスクが低い年齢層はデルタもオミクロンも0〜17歳までで、興味深いことにこれはオミクロンでもデルタでも同じだ、というところです。リスクは年齢とともに上がっていきますが、一番リスクが高いのが65歳以上で、40歳以上からデルタとオミクロンでの違いが出てきて、デルタ感染時のほうが入院リスクが高い。純粋に年齢だけで比較をすればここに違いがみられます。

ワクチン接種者と未接種者での間には違いはありますか?

この論文ではその比較も行われていて、ワクチン未接種者と1回、2回、3回のワクチン接種者の比較です。ここではワクチン未接種者において明らかな違いが出ていて、オミクロンではほとんど2分の1です。つまり、入院リスクはほとんど半減、、完全に半分、というわけではありませんが、、大体そのくらいです。3回接種者においてはほとんど差はありません。

入院率ではなくてウィルス自体をみてみたく思うのですが、ドロステン先生が前回のポッドキャストで仰っていたのは、オミクロンには適応メリットがない。つまり、オミクロン自体が感染伝播能力を上げたわけではなくて、拡大速度は予防接種者にも感染するためにはやくなった、と。

一番大きな要因が免疫回避である、というのはわかってきているところです。感染可能な宿主をみつけることが容易になることによって、デルタよりもより速く拡がることが可能になるからです。デルタの場合には予防接種やブースター接種をしている人にいるとそこでブレーキがかかっていましたが、オミクロンはそうではないようです。これは世帯内調査でもあきらかになってきています。第二次発病率はオミクロンでそこまで高くなったわけではありません。全体的に言えることは疾患的には軽度の経過になっている、という印象ですし、集中治療の使用率からもその傾向はあります。しかし、、ここでまた少なくとも「しかし」と念を押すべきである、と思うのですが、たとえ集中治療が必要にならなくても、人工呼吸されなくても症状がでて罹患するわけです。私の周りの知人友人でも40歳以上で2週間病気だった人が何人もいますし、その人たちは、長い間集中できなかったり倦怠感が残った、と言っていました。これらのケースは全て定義的には重症ではありませんし、入院もしていなければ人工呼吸もされていません。しかし、臨床的にみても明らかに普通の鼻風邪適度の症状ではありません。何週間も、場合によっては数ヶ月、病欠しなければいけないケースもあるでしょう。この点をしっかり自覚するべきであって、今、「軽い鼻風邪だから問題ない」と言われていますが、風邪よりももっと酷い症状になる人も多い、ということです。

オミクロンに罹ったらデルタへの免疫もできるのでしょうか?オミクロンが主流にはなってきていますが、まだデルタも存在します。その点についてはわかってきていますか?

それに関しては、南アフリカのアレックス・セガールの研究チームから最新データが出たので目を通しましたが、ここでは、ワクチンを打っていない、つまり基礎免疫を持たない人がオミクロンに感染した場合に、そのような免疫応答が起こるのか、ということが調査されています。免疫の一部である中和抗体の比較がされていますが、ここでは明らかにオミクロンに特化した免疫応答がつくられ、デルタに対する中和抗体は極わずか、もしくは全くつくられていません。ということは、この人たちにはデルタに対する免疫はなく、もしデルタが循環していれば感染する可能性がある、ということです。勿論、さらなるデータを待つ必要があります。これはまだ初めに出てきたデータですし、中和抗体しかみていません。そして、現時点ではそうであっても3ヶ月後、6ヶ月はどうなのか。例えば、感染したとしてもオミクロン感染によって形成されたT細胞応答が重症化から守る、という可能性もあります。というのも、デルタ感染やワクチン接種によってできたT細胞応答が新しい変異株に対しても有効で重症化を防ぐからです。このあたりの研究がまだありませんので議論されている点ではあるのですが、デルタに感染することは避けられない、というのは確かですが、重度の疾患経過、集中治療、死亡から守るかどうか、という点ではまだはっきりしたことはわかっていないのです。しかし、その可能性は無きにしも非ず、です。

多くの人が「今、オミクロンに感染したらその後に気兼ねなく人と集まることができる」と期待していたと思うのですが、そうとも言えないわけですね。

そういうことです。後でまたその理由を言いますが、そう簡単なことではありません。

子供のオミクロン感染についてはまだまだわからないことが多いのですが、特に小さな子供が入院するケースが増えています。小さな子供が感染することが多い、と言われていますが現状はどうなのでしょうか?

難しい質問ですね。報告内容もコロコロ変わります。昨日みたことなのですが、クレフェルトでは5歳以下の入院が増えている、と。しかし、これは下痢が原因のようで。勿論、今、不安に思っている保護者も多いと思います。数が多い理由としては、単純にこの年齢層の感染者数が多いために重症患者の数も増えた、という見方もできるでしょうし、これはDGPIの表明のなかにもありますが、とにかく現時点でははっきりとした説明がつかない、ということと、州ごとの比較も困難です。新しいデータとして興味深いものとして、アメリカのプレプリント、、査読されていない論文がありますが、、このワン等の論文では、5歳以下の子供80000人、そのうちのオミクロンに感染した7200人を調査していて、そこではオミクロン感染時のZNAと入院、そして集中治療へのリスクが削減している、という結果がでています。

ZNAとは、救急外来のことですね。

そうです。この論文の興味深いところは、単純に規模が大きい、というところです。オミクロンに感染した子供達の年齢は低く比較コホートと比べると健康児でもあり、黒人の子供が多いのも特徴的です。つまり、オミクロン感染がアメリカのマイノリティに集中している。これは他の変異株でもみられた傾向です。

ポッドキャストでも何回かその話題は出ました。そのような層は社会経済的に不利なためにそうなってしまう、という理由もあります。例えば、医療が行き届いていない、など。

そうですね。この論文を読むとまずは症状が軽症である、というところで、希望が持てる印象です。そこには一理あるとは思いますし、興味深い論文であることは確かです。しかし、研究デザインに難があります。読んでいて驚いたのですが、もう少し注意深くみてみると、これらのデータが診断から3日後に出されたものである、ということです。どうしてそのようなことになったかは不明ですが、勿論これはハンディキャップです。感染から3日後にはオミクロンのほうがデルタよりも集中治療に行く子供の数が少なかった、と言われても、ここから全体の疾患経過に結びつけることは困難です。感染から3日後に集中治療が必要なケースはないでしょう。もっと長くかかります。もしかしたら、アメリカでは診断が感染からかなり経ったタイミングで行われるのかもしれませんが、それにしてもおかしなデザインだと思います。やはり、これは7日後、14日後のデータを比較して、本当にオミクロンとデルタの違いがあるのかどうか調べてほしいところです。これはこれからの査読段階で指摘されるべきところだと思います。それでも大変興味深い研究ですし、期待が持てるデータです。ただ、この研究からの知見にはこのようなハンディキャップがありますのでこのデータから判断することはできません。さらに、フランスのデータでは、小さな子供の入院率が上がっている、というものあります。ここでは、これが副診断の結果であるかどうか、というところも調査されていますが、つまり、別の疾患で入院してスクリーニングの際に偶然陽性が発覚したのか、それともコロナの症状で入院したのかどうか。その結果、入院ケースのほとんどが風邪、感染症の症状が原因での入院で、別に足を骨折した、とかそのような偶然みつかった感染ではない、ということがわかっています。ですから、アメリカからのデータで喜ぶにはまだ少し注意が必要です。もちろん、7日後、14日後のデータも必要です。

子供のオミクロン感染時のPIMS やLong­Covidに関してのデータはありますか?Long­Covidはまだ早いと思いますが。

PIMSは感染から後で発症しますので、今のケースはデルタによるものです。オミクロンのケースが病院でみられるようになるまでにはまだまだかかります。ですから、これに関してはまだ大きな疑問が残っている、と言っておく必要があるでしょう。これも、「軽いから放っておいても良い」とは簡単に言えない理由でもあります。いままでと同じ頻度なのか、それよりも多いのか、わかりません。知見が出るまでにまだ数週間待つ必要がありますし、まずは他の国のデータになると思われます。デルタの時にもPIMSは起こらないだろう、と言われていたのにも関わらず、今、徐々に出てきているのです。PIMSに関しては、CDCで発表された論文と、JAMAに掲載されたものがありますが、どちらもワクチンによるPIMSの発症リスクの削減がある、という結果が出ています。もちろん、これはオミクロンの前ですが、他の変異株ではそうだ、ということがわかったのは重要なことです。1つは12月末のデータで、33名のPIMS患者のうちの28名がワクチン未接種者、5名が1回の接種済みでした。つまり、PIMS患者のなかには2回の接種をした子供は含まれていない、ということです。2つ目の論文では、バイオンテックを2回接種した場合のPIMSへの効果は91%、とあります。つまり、2回ワクチンを打てば、PIMSを発症するリスクが劇的に下がる、ということです。そしてこれも重要な点ですが、100%ではなく91%というところで、予防接種をしていても発症することはあるものの軽症でした。これはどちらにしても子供にとっては大変朗報です。オミクロンでもそうである、という検証がされることを祈ります。

数日前に出てきたデータが物議を呼びました。Covid感染後の子供の糖尿病です。これもオミクロンではまだ調査されてませんが、18歳以下でCovidに罹った場合に糖尿病になるリスクが感染していない場合よりも増加する、と。出された数からは驚異的な印象をうけます。

この論文の一件でも、いかにパンデミックのなかでコミュニケーションとメディアの発信が難しいものであるか、ということが浮き彫りになったように思います。この件だけではありません。ここ最近、ほかにも憤りを感じたことがいくつかありますが、これもそのなかの一つです。また新たに実感したのですが、世間一般にはやはり論文の読み方、分析の仕方、どのように解釈すれば良いのか、ということが理解されていない、ということです。新聞の見出しだけをみれば、子供の糖尿病が増えている!と心配になる保護者が出るのは当然ですし、他の記事では、子供の自殺に関する論文が載っていました。このようなことは科学が意図とするものではありません。研究論文というものは、本来はその専門分野のなかで議論され、解釈されてからメディアを通して一般の目に触れることとなるものです。もちろん、このようなことはセンセーショナルに聞こえることでしょう。学者としては、自分の研究を発表することができる、ということは誇らしいことですし、広い範囲で注目されたい、と思う場合にはツイッターやメディアでも発信する場合もあります。しかし、専門家ではない素人的にはには、、そのような人たちのほうが多いと思うのですが、、専門知識がないと明確には判断することが困難です。それが時に誤解を生む原因でもあります。例えば、検査、抗原テストについてのテーマがあったとして、ある論文だけをとりあげる、など。多分、まずは問題点をはっきりさせるために論文の説明をしたほうがよさそうですね。

はい。お願いします。この研究の弱点、ということでしょうか?

まず、第一型糖尿病、これは自己免疫疾患ですから、これがウィルス疾患から誘発されるかどうか、という点を調べることには意味があることです。というのも、第一型糖尿病では、自己抗体がつくられますが、、つまり自分の身体を攻撃する抗体ですが、この場合は膵島、膵臓にあるインスリンの分泌をするβ細胞です。

インスリンがつくられなくなる、ということですね。

そうです。そこが自己抗体によって破壊されます。ここでは様々な因子がわかっていますが、そのなかに環境因子も含まれているものの、遺伝子的な因子もあります。さらに、40年前から、いくつかのウィルス感染が自己抗体を誘発させて、それが第一型糖尿病の原因になる可能性がある、という疑いが持たれていて、すでにいくつかのウィルス、例えば、レトロウィルス、エンテロウィルスなどの下痢ウィルスやインフルエンザがあげられています。これらに関する論文はいくつも出されていて、Long­Covidの研究からも、SARS­-CoV­2も自己抗体を誘発する可能性があることがわかっていますので、ここから膵臓に対する自己抗体について調べること自体は理にかなっていますし、そこから数日後、数週間後に糖尿病に発展するのかどうか、ということです。その他にも、第二型糖尿病、というものもありますが、これは、成人糖尿病、と以前はよばれてたもので、こちらは全く異なる原因から起こるものですので、そういう意味では全く別の疾患です。疾患の名前が似ている、というだけです。どちらも、糖尿病、と呼ばれていますが、原因的には全く異なる疾患なのです。こちらは、膵臓がインスリンをつくらなくなることによるインスリンの欠乏ではなくて、細胞がインスリンを取り込む作用が低下することが主原因になります。つまり、インスリンはつくられるものの、それが届けれるべき臓器、作用されるべきところが作用しない。これは、徐々に進行し、中年以上に多い疾患ですが、若い人でも増えていて、特に、この論文が発表されたアメリカでも増加しています。遺伝的な原因のほかに、例えば肥満であったり、運動不足も大きな影響を与える因子です。つまり、運動不足で肥満の子供や青少年が遺伝的な要素を持っていた場合、この第二型糖尿病になる可能性は高いのです。どうして、今、この説明をしたか、というと、、この論文は、まずはこの違いを理解していないと読み解けないからです。つまり、第一型糖尿病に関しては、SARS­-CoV­2感染との因果関係は想像できますが、肥満などによる第二型糖尿病ではそうではありません。こちらは、ほとんどありえないでしょう。この研究では、感染から30日以降に糖尿病になるリスクを調査していますが、対象の平均年齢は12、13歳です。リスク的には、166%増加。これは2,6倍の増加ですので、パーセンテージでみたほうがより驚異的にみえますが、3倍弱、です。この論文の一番の問題点は、第一型と第二型の区別がされていない、ということです。本来ならば、第二型は入れるべきではない、と思われます。というのも、感染が原因で第二型を患う、という可能性はほとんどないからです。例えば、治療中に血中糖度が高いことが発覚した、ということはあるでしょう。しかし、先ほども言ったようにこれは徐々に進行していく疾患です。原因の多くが肥満と運動不足ですから、急性の疾患ではありません。感染症の治療時に発覚した、ということはあっても、感染が原因でそうなった、とは考えにくいのです。それに対して、第一型糖尿病はそのような可能性はあります。しかし、ここではそこの区別がされていません。ですから、ここで出された2,6倍の増加、という数値も何らかの意味を持つ数値として解釈できません。私の意見としては、第一型だけを調査するべきであった、と思います。私が憤りを感じたのは、多分、そのように調査をすると、1,5倍のリスク増加、というような数値が出て、そこまでセンセーショナルな数値ではない、と判断されたのではないか、という点です。問題は単純に、ここから医師としてどのような判断をするべきであるのか。観察自体は興味深いです。感染後に子供にそのような症状がでてきた場合には、このような可能性がある、ということを考慮して診断をする。頭の隅にこの可能性がある、ということをおきながら診断はするべきで、重要なことだと思います。

医師の知識と情報は多ければ多いほど良いわけですよね。

もちろんです。しかし、これは専門家、専門分野での話であって、保護者が、「子供が感染した!糖尿病のリスクがある!」と考えるべきことではありません。しかし、このような報道があればそう考えてしまうでしょう。ですから、これは正しい発信のかたちではない、と思うのです。もちろん、多くのウィルス感染からそのような可能性はあるのは確かです。先ほども言ったように、リスク因子があった場合には感染がトリガーとなって発症することはあります。感染によってリスクは上がるでしょう。しかし、この論文からはどれだけリスクが上がるのか、ということはわかりません。第一型と第二型の区別がされていませんので。ウィルス感染と第二型糖尿病の因果関係はほとんどない、というところからも、やはり、ここは最低でもこの区別はされるべきである、と思います。

先ほども、プレプリントを査読前にすぐに公表するべきではない、というようなことをおっしゃっていましたが、特にパンデミックにおいては、速攻でデータを出すことは研究者にとっては大変重要で命を救える場合もあると思うのです。そのような場合にはデータ公表を躊躇する、というのは命取りにもなりますよね。

それはその通りです。私は、プレプリントを公表するべきであるかどうか、という点についてはわかりません。しかし、プレプリントというものは通常であれば、専門家、この場合は小児科医が読むものです。それを全くの素人が読んだ場合、、それがたとえ「二年間のパンデミックでもう私は素人ではない」と感じたとしても、、素人には変わりないのです。 ダニング・クルーガー効果というものがありますが、これは、人間には少し何かができるようになると過大評価する傾向がある、というもので、特に初期の段階で起こりやすい現象です。この無知と能力の欠如が一緒になると危険です。全てを理解できる、と思いこんでいても、生物学的な背景などはそこまで知らないでしょうから、正しい理解、というものが困難になり恐怖を覚えることもあるかもしれません。そのような問題点があると考えますし、そんなことになるのだとしたら大変残念なことです。自分の考え、論拠に合う論文を探そうとする人が多くいます。SARS­-CoV­-2が子供にとって恐ろしいものだ、という論拠を探す人もいれば、子供にとっては全く問題ない、ロックダウンは悪だ、という人もいるわけで、そのような姿勢で論文を読んでも中立的な解釈はできません。そして、実際に不足しているのは理解に必要な背景的な知識です。ですから、このような論文がメディアで取り上げられる際には、十分に議論されて解釈がしっかりとされていることが前提になります。それか、恐怖にかられる前に、かかりつけ医に「これはどのように解釈するべきなのか」と聞くのも良いでしょう。世の中の雰囲気は緊迫しています。ここ2週間でさらに実感したことなのですが、このような論文もそれに拍車を掛けているのだと思うのです。子供が絡んだ話題は特にそうです。

メディアも報道の前にこのような論文、プレプリントの解釈を専門家に問い合わせてからする、ということも、不必要なパニックや誤解を避けるためにも必要なことですね。ここから次の大きな混乱が起こった話題に移りますが、ラピッドテスト、です。クリスマスから年始にかけてのことでしたが、アメリカ食品医薬品局FDAが、オミクロンではラピッドテストでの正確な反応がでない、と発表したことからはじまり、ドイツのパウル・エルリッヒ研究所がドイツで承認されているラピッドテストはオミクロンで正確に反応する、としたために、矛盾した情報が飛び交っていました。チーゼック先生、先生もフランクフルトでオミクロンの第一号が発見された際にもラピッドテストを試して反応が出ることを確認されていますよね?引き続き、ラピッドテストでもウィルスの検出が可能なのでしょうか?

いくつかの報告と論文で、抗原テストの多くがオミクロンに反応する、というデータが出ています。オミクロンのゲノムの変異は根本的にテストに影響しない、ということです。しかし、感度に関してはまだはっきりとしていません。つまり、オミクロンがデルタに比べると反応しづらくなっているのか、という点については矛盾点があるプレプリントがいくつかあります。とはいっても、実際には抗原テストで感染が発見されていますし、自宅でやる検査でも反応していますし、学校でも感染が増えているのが、例えば、ヘッセンなどで学校では抗原テストで検査しているわけで、そこでも結果がでていますから、満足のいくレベルでの反応がある、と言えると思います。

感染が発見できない理由として、検体のなかに十分なウィルス量が含まれない、という可能性はありますか?

理由は様々なものが考えられると思います。小学生が自分で鼻からとった検体と、私がとる検体とではもちろん差がありますから、もちろん、検体のクオリティも理由の一つだとは思います。さらに、説明書をきちんと読まなかった、など、やり方が間違っている場合。そして、テストキット自体が良くない場合あるでしょう。全てのテストが同じクオリティか、というとそうではありませんので。もちろん、ウィルス量が十分ではない、ということも考えられます。しかし、このような因子はどのような変異株でも同じよう重要であって、100%のテストキットなどないわけですし、抗原テストとなれば尚更です。もちろん、誤反応が起こった際には原因を突き止めることは大切ですし、複数のテストをすることも重要です。

鼻からと喉からの検体には違いがありますか?

その質問は先週50回以上もらいましたから、今、誰もが疑問に思っていることのようです。報告やレポートでは、鼻よりも喉のほうがはやく検出される、というデータもあります。オミクロンでは、ということですが、ここでも喉、というのはどこをさすのか、ということも重要なポイントです。唾液のことを言っている場合もあれば、頬の内側であったり、咽頭壁をしっかりと拭き取る場合もあります。病院で検体をとる際には、咽頭壁からとりますがこれが正確です。しかし、一般の人には難しいポジションでしょう。学校の例を出しましたが、子供達が自分で咽頭壁から検体をとることはもちろんできません。 これも先ほどと同様に良い例だと思うのですが、、このプレプリントには、唾液のほうが鼻からとるよりも反応が良い、とありますが、これも唾液そのものではなくて、頬の内側のことを言っていますし、しかも対象者は有症状患者でした。ここから、素人が、「これから子供達のテストは唾液でしなければいけない」という判断をするのは間違い、というよりも、そのデータが出揃っていない、と言えます。鼻からとる方法で現時点でも多くの学校での感染が発見されています。有症状の場合には違う方法のほうが適している、例えば喉の痛みがある人の場合には喉からとったほうが良い、などということはあるかもしれません。公の検査場では、陰性の証明を出すわけですから、許可された方法で検査がされなければいけませんし、疑わしい場合には1回ではなく何回か検査をすることも重要です。もし、例えば、喉からとったほうが、鼻よりも6時間早く反応する、ということになったとしても、それがはたして学校での検査には重要なポイントなのかどうか、というところも考えていくべきです。重要なのは、数回検査することと、疑わしい症状が出ている場合にはPCRをすること、です。

自宅で検査できるラピッドテストは、喉から検体をとる方法では承認されていませんよね?喉からとるようになっているテストキットで喉からの検査はできるのでしょうか?

ここでは、医療的な面と法的な面での区別をするべきだと思います。承認されているのは説明書に書かれているように、鼻から、です。それは正しいですが、素人が行う際には鼻のほうが簡単で確かだから、という理由からでもあります。基本的にはテストキットのほとんどが技術的には喉からとっても反応するようにできています。病院ではそのようにされることも多いです。問題点としては、注意しなければいけないところがいくつかあって、私は素人が行う、というところでさらに注意深くなるのですが、例えば、幼児、特に5歳以下、3歳以下の場合に、スワブを喉に入れた際に喉に詰まってしまっては大変です。これは大変危険です。喉に綿棒が入ってしまったケースを何度かみています。ですから、経験が少ない一般人がしなければいけない場合、特に幼児の検査には十分注意が必要なのです。自信がなければ、自分でするよりも病院でやってもらったほうが良いでしょう。しかし、追加として喉からもできる範囲でとる、というのは可能です。唾液や頬の裏はあまり意味がないと思います。やはり、喉の奥、咽頭部までいかなければいけなく、それは鼻からでも喉からでも同じです。しかし、一般人がやる場合には、えずいたりしますのでできない場合も多いでしょう。技術的には理論的には可能です。もちろん、スワブもよくみることが大切です。一般用と病院用では違うことも多いので。

まとめますが、、オミクロンでは、感染からどのくらいの期間に検査するべきなのでしょうか?十分なウィルスの量、という面で、ですが。

それにお答えするのは難しいですね。その人によってかなり差ががありますし、抗原ラピッドテストの品質も様々です。NBA、バスケットボールチームでの新しい論文が出ましたが、ここではPCRの結果を鼻と喉で100弱のオミクロン感染と100のデルタ感染で比較しています。ここからオミクロンでは中央値で9,87日間陽性反応が出て、デルタでは10,9日間でした。デルタのほうが若干オミクロンよりも短い、という結果ですが、RNAのピーク、ウィルス量のピークはオミクロンでCt値23,3、デルタでCt値20,5です。抗原テストの多くはCt25までしか反応しない仕様なので、オミクロンでは数回テストしないとこの域での反応がない、ということも起こり得ますから若干難しい、と言えると思います。このNBAのプレプリントをみると、どのタイミングでの検査が適しているのか、という感覚がつかめます。Ct25に反応がでる抗原テストを使用する場合には、3日から5日後、Ct30であれば2日後でも反応が出ると思われます。とはいっても、やはり個人差はあります。濃厚接種があり疑わしい場合には、何度かテストしてみるのが良いでしょう。つまり、毎日抗原テストをする、ということです。そうすることによってウィルス量のピーク時にあたるチャンスが増します。

今、どんどんブースター接種を終えた人が増えてきています。それも何らかの影響がありますか?ブースター接種をしている人ではテストの反応が鈍いなどですが、そのような報告がリスナーからも届いています。

それに関してはまだもう少し調査が必要です。まだ明らかにはなっていません。私が個人的に知っている範囲で話すならば、きちんと陽性になったブースター接種者ケースもたくさんありますし、抗原テストは正確に反応しています。もちろん、言っておかなければいけないことは、病院では毎日大量の検査が行われている、ということ。検査をする医療スタッフは熟練しています。一般の人はそこまで頻繁にはしないわけですから、そこの差もあるでしょう。確かに、ブースター接種者の疾患経過が短い可能性はありますから、反応する期間がもっと狭く短いのかもしれません。そのようなことを考えると、そうである可能性もありますが、基本的には抗原テストの反応はそう悪くはありません。私の病院での経験ではそのように思います。

感染回復者ではどうですか?

その場合も同様です。まだデータが十分ではありません。ここでも、疾患経過が短ければウィルスの量が減っていくタイミングは速いわけで、それによって反応する期間が狭まる可能性はあります。しかし、まだデータは足りません。

このオミクロンとラピッドテストの議論の際に別の論点も出てきました。それは、ラピッドテストのクオリティについてです。ドイツでは、約600種類の抗原ラピッドテストが市場にでていますが、そのなかには検証評価がされていないものもあります。先ほど、検査キットはパウル・エルリッヒ研究所の管下だと言いましたが、市場に出回っている検査キットの多くはチェックされ検証されています。そのなかの245のうち46が品質に難あり、という評価がされていて、ネットでその一覧が確認できるようになっていますが、素人目には大変わかりづらいと思うのです。しかし、使うのは素人である一般人です。先生はキットを購入する前にこのリストをご覧になってから購入されたのでしょうか?というより、どのような基準で検査キットを選んでいらっしゃいますか?

これには、「イエス」か「ノー」かで答えることはできません。もちろん、まずは感度と特異性は確認します。それから、治験データ、論文をみますが、公的機関が注文する際には規模が大きいわけでまずは見積もりを出してもらうことになります。例えば、州が学校用に調達する際には入札、ということにもなるでしょう。様々な会社が価格と商品を提出しますから、こちらが好きな商品を購入することはできないのです。公的機関ではそのようにはいきません。そうはいっても、品質を重視しますし、実績がある製造元を優先したりはしますが、そのようなキットの品質は悪くありません。言っておかなければいけないことは、検体のクオリティも重要だ、というところです。薬局にいって説明をしてもらう、というのも良いアイデアだと思いますし、2ユーロ多く払って品質が保証されているものを買う方が不確かな安物を買うよりも安全です。しかし、発表されているデータをみることはおすすめしますし、一番安いキットを買うのではなくて、検証の評価で選ぶほうが良いです。私は唾液での抗原テストではなくて、意図的に鼻からのテストを選んでいます。というのも、鼻でのテストのほうが常に検証結果が良かったからで、これは、鼻のなかのウィルス量が唾液よりも多い、ということではなくて、唾液のなかに抗原テストの反応に影響を与える成分があり、それが感度を下げる原因になる、ということが考えらるからです。

どうして、全ての抗原テストが検証されないのでしょうか? 今のシチュエーション的には必要だと思いますが。

それはそうですが、全てをチェックするのは不可能だと思います。パンデミックにおいては他にもやらなければいけない課題がたくさんありますから。私の研究所での例をだすならば、もうすでに毎日の検査の診断でキャパはいっぱいで、それプラス欠勤スタッフも出ますし、優先順位的には研究が先、です。そこに、抗原テストの検証、ということをする、となると、、そのような余裕はないのが現状です。抗原テストを調べるよりも重要なプロジェクトがある、と言わざる得ません。

抗原ラピッドテストで陰性が出ても、100%の保証にはならない、ということを各自が常に自覚するべき、ということですね。「大丈夫だ」と思って不注意な行動をしないように心がけなければいけません。

心がけとして良いと思われるのは、まず、疑わしい場合にテストをして陽性だった場合には、かなりの確率で感染している、ということ。そうなった場合にはそのように行動すべきです。疑わしいのにも関わらず陰性だった場合。引き続き検査を数回して注意深く行動する。陽性かもしれない、ということを前提に人との接触を避けてください。特にワクチンによる保護がない幼児や基礎疾患がある人、高齢者には最善の注意を払うべきです。

しかし、今、テストによって待機期間の短縮が可能になっています。陰性証明はPCRではなくて抗原テストでも良い、ということになっていますが、ドイツ臨床検査専門医会は、抗原テストだと数日後には全て陰性反応となってしまい間違った安全保証になる危険性を指摘しました。先生はどう思われますか?抗原テストは待機期間の短縮に使えるものなのでしょうか?

抗原テストはパーフェクトではありません。それについては先ほどもお話ししましたが、ただ、数日後に陰性反応しかでなくなる、という点に関してはこれは正しくはありません。同僚から聞いたケースでも、8日後にも陽性反応が出ています。もちろん、どうするべきなのか、ということについては考えていかなければいけないのですが、PCRのキャパには限りがあります。いままでにはなかった規模の新規感染者が出ていますし、これからも増えるでしょう。ドイツで行うことができるPCRの限界にはもう少しで達します。有症状の新規感染者以外にさらに待機期間の短縮のためのPCRを行わなければいけない、となると単純に不可能な話なのです。ですから、実践可能、という面から考えると、「抗原テストは手に入れやすいがパーフェクトではない」しかし、スクリーニングツールとしては使えますし、少なくとも、ウィルスが十分に喉や鼻にあれば反応します。ここで100%を求めることはどのみち不可能なことです。

PCRのキャパですが、PCRで感染をみつける、ということが今現在でも重要なことだということでしょうか?

そうですね。今、症状が出ている人に「待機期間を短縮したい人がいるからあなたのPCRはできない」と言わなければいけない状況になっては意味がないです。優先順位、というものはあります。

隔離と待機期間の短縮ですが、連邦が先日規定の改正をしました。感染者と濃厚接触者は7日後にPCRか抗原テストで期間を短縮することが可能です。それをしなければ、10日間です。さきほどのNBAプレプリントでは、9日後にも感染性であったケースがありました。本当に10日間で良いのでしょうか?

CDCはもっと大胆です。10日から5日に短縮しましたので。NBAのデータをみても、約半分、いや、半分以上ですね、半分以上が5日以降も感染性を持っていました。Ct値のCut­-offを30にした場合、6日後に25%、7日後にまだ13%です。アメリカがしていることは怖いもの知らずだと言えるでしょう。他にも、これは日本の論文ですが、半数が3〜6日目に陽性反応がでていて、10日後にはほとんど感染性を持たなくなっている、というデータがでています。7日後に陰性を証明できれば、、きちんと検査がされたことが前提ですが、、比較的確かだと思います。もちろん、例外はあるでしょう。それは常にそうです。しかし、10日はどちらにしてもアメリカの5日よりは良いことは確かです。

3ヶ月以内に3回目のワクチン、つまりブースター接種をした人たち、もしくは基礎免疫がありCovidに感染した人たちは隔離されなくても良い、ということになっています。

そうですね。これは勿論あまりよくない、もしくは無意味なこです。正直なところ、臨床的にもウィルス学的にも理解できません。これは、何というか、、報酬原理、というか、、「ブースターをすれば隔離されないよ」もしくは、インフラを持続させるための案なのか、、よくわかりません。しかし、このような人たちも感染します。「感染しても重症化しないのであれば良いだろう」というのは間違いですし、感染を抑える、という面でも無意味なこです。最新のデンマークからのデータでは、現在の感染のほとんどが40歳以上のブースター接種者である、とあります。多分、40歳以上のブースター率が高いからだと思いますが、とにかく、重症化は免れるにしても、ブースターをしても感染することは明らかです。この辺りが巷ではごちゃごちゃになっていると思われます。イスラエルでもそうです。イスラエルではもうかなりの数がブースターをしていますが感染者は増加しています。ロベルト・コッホ研究所のディルク・ブロックマン先生がこの間テレビのトークショーで話していましたが、ご自身もブースターした後にクリスマス期間中に感染した、と。そのようなケースは増えています。私はここに矛盾がある、と感じていて、隔離による病欠、欠勤を心配する、というのも理解できます。病院は大変重要なインフラ機関です。その一方で、「ブースター接種をすればもう大丈夫だ」と言われる。この2つは相反することだと感じます。ブースターをすれば大丈夫なのであれば、病欠がでることも心配しなくても良いはずですよね。病院内の医療従事者はほぼ全員ブースターを打ってますから。研究は常に進歩していますので、新しいデータがどんどんでてきます。もうすでに、1名以上、4回目のブースター、つまり2回ブースターをした、ということですが、それでもオミクロンに感染したケースがでています。ここからも、接触があれば100%感染を阻止することは不可能だ、と言えると思います。やはり、取り込んでしまうウィルスの濃度、ウィルス量の問題なのだと思われますし、ウィルスの量が多ければ、4回目のワクチンを打ったとしても完全に感染を防ぐことはできません。勿論、重症化はしませんから、その辺りはきちんと分けて考える必要があります。感染自体を完全に防ぐことができないが、重症化は防ぐことができる。保健機関のスタッフで4回目のワクチンを接種した人たちのデータがありますが、まだあまり人数はいません。ほとんどの場合がCovid専門病棟で働いている人たちですが、、

かなり早期に予防接種された人たちですね。

そうです。ブースターをもうすでに夏にした人たちです。ここでは、ブースターが抗体力価を4倍から11倍にあげることがわかっています。イスラエルのデータも似たようなデータです。抗体の増加はありますが、3回目の接種ほどではありません。さらに、中和抗体をみてみると、デルタに対するものはかなり増加するものの、オミクロンに対しては4回目の接種の後でも力価的にはギリギリのところです。ただ、ここで調査された人数は8名ですから、多くはありません。しかし、いまのところ、2回ブースターを打ったケースは他にはありません。ここでは、オミクロン力価が1対10なので、かなり最低値である、と言えます。中和抗体はあるものの、かなり少量なのです。そして、2名はブースターにも関わらず感染しています。この第一のデータを見る限り、あまり効果は期待できない、感染を阻止する効果は得られない、という印象を受けます。

それは、いままでのワクチンでのブースターですね? オミクロン用のワクチンはこれから出てくるのでしょうから。

そうです。ですから、ここでの問いは、「待った方が良いのか?」というところです。多くの場合にはそれで十分だと思われます。まだ調査されていないのは、T細胞で、4回目の接種でここもしっかりと刺激されるのかどうか。どちらにしても、調査されたのは若くて健康な若年層です。このあたりも忘れてはいけませんが、いまのところ、4回目のワクチンはあまり意味がない、と言えます。勿論、免疫不全であったり、高齢者の場合にはまた別な話で、そのような人たちは、60歳、65歳以下の人たちとくらべると免疫が良く機能しません。どちらにしても、これは今一番初めに出てきたデータです。「2回ブースターをすればオミクロンに感染しない」という期待はこのデータで少し薄らいだ、と言えると思います。

ここで気になるのは、これからパンデミックはどうなっていくのか、というところです。感染とどのように向き合っていくべきなのか。WHOからはオミクロンの急激な感染拡大に対しての警告が出されました。それによると、これから5〜6週間の間にヨーロッパの半分がオミクロンに感染するだろう、と言うことです。確かに、今年の初めの数週間ですでにヨーロッパでは700万人のCovid­19ケースが登録されています。これをパンデミック全体で考えると、「このまま全員が感染したら、パンデミックは終息する」とみることはできるのでしょうか?もう少しで終わる、ということは考えられますか?

難しいですね。ここで何らかの予想を出す勇気は私にはありません。もちろん、 WHOがヨーロッパの半分、と言ったのは知っています。それによって少なくとも、まだドイツに存在する免疫の穴が感染によって埋まることになるだろうと思われます。私の周りでも感染が増えている実感はあります。知人、友人の間でです。発生指数も高いですから、ワクチンを打っていても感染する可能性があってどこで罹っても不思議はない状態です。それでも、冷静に行動することに努めています。私は予防接種をしてブースターもしているので、重症化などのリスクは可能な限り削減したことになりますから、接触も全てなくするのではなく、可能な限り少なく、そして優先順位を決めることにしています。何が重要なのか。どこを制限したくないのか。感染のリスクを冒してもしなければいけないことは何か。それとも後回しにしても可能なことなのか。例えば、職場では、今また厳重な対策がとられています。徹底したマスクの着用とテスト回数の増加、可能な限りオンラインでコンタクトを取る。濃厚接触があったり、コロナアプリが赤表示になっても自宅待機にはなりませんが、外にでなければいけない場合にはFFP2マスクを着用します。私は公共交通機関を避けていますし、基礎疾患がある人と接触しなければいけない場合には最前の注意を払います。それでも、子供たちはできるかぎり普通に生活させてあげたい、と思いますから、そこまでがんじがらめの制限はしないように工夫はしています。そのように私は私なりに決めて行動しています。話を戻すと、たとえ疾患経過が軽いとしても、まだまだオミクロンにははっきりしないところがあります。Long­Covidの頻度がデルタと同じくらいなのか、ということもわかりませんし、PIMSについてもわかりません。そして、この軽症だ、といわれているのも、本当にみんなに当てはまることなのかどうか。どのくらいの個人差があるのか、ということもまだわからないのです。ですから、私は常に、自分に対して「大切なことは何か」「何をするべきか」「何をしないほうがよいのか」と自問することにしています。これからどうなるのか、という問いですが、、難しいですね。これから数週間引き続きこのような状態で行くことは確かですし、夏にはまた落ち着くでしょう。そして秋には感染者が増える、と思われます。とはいっても、ウィルスがこれからどんなサプライズを持ってくるのか、というのは誰にもわからないことです。オミクロンが出てくるなどとは誰も夢にも思わなかったわけですし、デルタもそうです。私も思いもしませんでした。

先ほど、個人がするべきことと、パンデミックが全体的に早めに収束する可能性が出ましたが、個人的には今感染するのはタイミング的にはよくありませんよね。病院がいっぱいだからです。個人のリスクとしてオミクロンはどのようなものだとお考えですか?

今現在の感染リスクは、パンデミック初期よりも高い、と思います。単純に発生指数が高いので。先ほども言いましたが、フランクフルトではほとんど1000です。そんなに高かったことはいままでありません。どんどん周りで感染していく人が増えていっている状態です。最高値、そして免疫回避変異株。感染リスクは大変高い、と言うしかありません。ここで少しポジティブなことをあげるならば、パンデミック初期には、重症化して集中治療が必要になり死に至るリスクもありましたが、今は予防接種をしてブースターしていればオミクロン感染時のそのようなリスクはいままでで一番低いわけですから、これは少なくとも大きな安堵です。それでも、もう一度言いますが、「どうせ罹るなら今でしょ」という考えは賢くありません。「今、ブースターを打ったから感染しても大丈夫」などという安易なことは本当に考えるべきではありません。先ほども、医療システムの負担が大きい、とありましたが、ひとりひとりが感染しないように心がけること、病院に行かないようにすることが医療を維持するためにも必然なことです。かかりつけ医が監視しなければいけなくなるのも同様です。単純に考えて、わざと感染することは本当に馬鹿げたことです。C型肝炎の治療が進んでいるから、といって、わざと感染する人はいないでしょう。予防接種をしてブースターをすれば、軽症の疾患経過になる環境は整っているものの、それをわざわざ意図的に引き起こす、というのは良いアイデアではありません。

感染からどのような後遺症が起こるか、ということもまだはっきりとしていません。ハンブルグ・エッペンドルフ大学から新しいデータが出てきていますが、ここでは、軽いCovid感染でも臓器にダメージがある、とあります。軽症の症状が出ていた443名と感染していないケースでの比較をしたところ、、付け加えますが、感染した人たちは全員ワクチンを打っていませんでした。比較をしたところ、軽症でも臓器にダメージが確認されましたが、どのようなダメージだったのでしょうか?

この研究は大変興味深いものです。大変詳しく調べられています。例えば、MRIで心臓と脳などみる、ということは普通の人ではされないことですが、そのような検査での肺や腎臓のデータをまとめて論文として発表されました。自覚症状もほとんどない軽い感染で、93%が入院もしていなかったのに、その後に心臓と肺にダメージが残った、と聞くと、多分、これもぱっと見には、素人目にはかなり絶望的に思うと思うのですが、ここでも少し整理する必要があります。パニックになる必要はありません。この研究のリーダーもそう書いていますし会見でもそのように発表していました。この試験では、パンデミック前の1000人のデータを比較として用いています。これは、SARS­-CoV­-2感染を絶対にしていない人たちのデータだ、というところで大変重要です。そうなのですが、同時に、パンデミック前、2016年、2017、2018年の状況と、パンデミック下のロックダウンの心臓や肺への影響はどうなのか、という疑問もあります。ロックダウン、というとネガディブに聞こえますが、、、パンデミック全体の影響です。

あまりスポーツができなかった、とかそういうことですよね。

そうです。そのようなパンミック渦の国民の健康状態を考えると、、私の個人的なケースをとっても、運動量も減りました。あまり出歩かないですし、ずっとコンピューターの前で作業をしていると視力も低下します。そのような面での研究もしたら大変興味深い結果がでるのではないかと思いますが、、この論文に戻りましょう。ここでの対象は45歳から74歳で、45歳以下は含まれません。中年層以上、ということになります。そこでは、肺活量が3%低下、心臓の拍出量の低下は1〜2%です。さらに、深部静脈血栓症のリスクは2倍、3倍に上がり、腎臓機能が2%下がりました。脳に関しては全く変化はなかった、とありますから、これは良いニュースです。一番の危惧するべきリスクは、深部静脈血栓症だと思います。とはいっても、これも運動不足からくる可能性もあります。それ以外では、この1%や2%肺活量や拍出量が低下する、というのは何を意味するのか、というところをみていく必要があります。

どういうことなのでしょうか?一見、大した違いではないように思えますが、そのような機能が1〜3%下がるとどうなりますか?

まず、このような傾向があった、ということが重要です。ここから読み取る限りは、低下がみられ不安定だった、と。しかし、3%の肺活量はトレーニングで回復可能な範囲です。呼吸筋などのトレーニングですね。急性疾患から回復後、エレベーターではなく階段を使うようになったり、風船を使ってもトレーニングすることはできますし、ダイエットをして体重管理もできるでしょうし、禁煙も重要です。負荷トレーニングなどを定期的にすれば肺活量を30%くらい上げることがあのうですので、健康な生活を送って体を動かせば問題ありません。例えば、喫煙者で、たばこをやめずに吸い続けたり、喫煙量を増やしたりしたならば、この3%で心配する必要などなくて、別のリスクについて考えたほうが良いです。ですから、重要なことは、健康な生活を送る、ということです。もし、感染後に肺活量や1〜3%拍出量の低下の心配するする人がいるならば、それをモチベーションにスポーツをしたり生活習慣を見直してみると良いのではないか、と思います。これ自体はほとんど問題ではありません。

臓器の中期的なダメージ、ということをよく聞きますが、この「中期的」とは何を意味するのでしょうか?

これは調査された期間のことです。長期的、と言えないのは、試験期間をそこまで長くすることができないからです。パンデミックが終わるまでには、また平均的な運動量も増えてまた正常値に戻る可能性も高いですが、それもはっきりしません。とにかく、限られた期間のなかでの観察、という意味で「中期的」という言い方をしているわけで、「短期的」なものではない、という意味での中期的、です。数ヶ月後、でのデータですので。

この調査は2020年の半ばから行われています。ここでの感染はオミクロンによるものではありません。それでも、オミクロン感染による軽い疾患経過にも共通点があると思われますか?

この対象者たちは、予防接種もしてなかったですし、オミクロンでの感染でもありませんでした。別の変異株です。しかし、基本的には似ているのではないか、とは思います。勿論、この論文では調査はされていませんし検証もできませんが、可能性的にはあるでしょう。それはまた調査されなければいけないことです。

またパンデミックに戻りますが、どのような対策が重要になってくると思われますか?全ての感染ケースを追跡するのは重要なことでしょうか?

これはどちらかといえば対策をたてる政治側への質問ですね。ウィルス学者への質問ではないでしょう。それでも、大きく分けて2つの方法があると思います。1つ目には、「オミクロンは軽いし、予防接種もしている。予防接種を希望した人たちのほとんどはブースター接種済みだ。予防接種者とブースター接種者の感染は許容できる。一度に感染しないように対策はとられるべきだが、徐々には仕方がない。集中治療の負担も少なくなるだろう。」こちらを選べば、感染を全て阻止することは不可能ですが、現在の状況はこちらに近いのではないでしょうか。つまり、感染の一部は許容して、そこまでの制限はせずにブースター接種をしていれば隔離もしなくてもよい。これも一案です。もう一つのほうは、「オミクロンはまだわからないことが多い。パンデミックにおいては様々なサプライズが起こってきた。オミクロンでもまだ新しいことが出てくるかもしれない。PIMSや Long­Covidのケースなどがはっきりしてくるまでもう少し待つべきだ」こちらのほうは、オミクロン対応のワクチンが出るまで、国民のかなりの協力が必要になると思われます。

幼児用のワクチンも、ですよね。今は守る術がありません。

そうですね。勿論、5歳以下の子供を守るためにも必要です。2つ目の方法だと、今の対策とは違ったものをとっていく必要があると思います。しかし、、これは私の感じていることなのですが、、今の流れだと、リスクを前提とした1つ目の案のほうを選ぶ人が多いのではないか、と思うのです。ここではっきりと言っておかなければいけないことは、そうなれば個人のリスクは上がる、ということです。仕方がないでしょう。それでも、医療を逼迫することなく実行することは可能だと思います。もちろん、犠牲になるのはワクチンでの保護効果を十分に収得することができない人たちです。免疫不全の場合や5歳以下の子供たち、ということになりますが、免疫不全の人たちに関してはもう少し治療薬が出てくればまた状況は変わってくるとは思います。その点では今はかなり厳しい状況で、医薬品は承認されているものの、まだ市場にでていなく手に入りません。現時点はほとんど使えるものがなく、新しいモノクロナール抗体が出るのが1月末、パクスロヴィットに関しては市場に出るのを待っているところです。それまでにはまだ数週間かかるでしょう。私的には、この2つの道が考えらますが、そのうちの一つは安全を重視するゆえに制限も多くなる。そのような道を選びたくない、もう制約されたくない、と思う人は個人のリスクの自覚がないのだと思いますのですが、今の流れ的には、この第一の道、医療の負担をコントロールしつつ、意図的に予防接種者とブースター接種者を感染させる、という方向にいっていると思います。

これから誰ものがいつかウィルスと接触することになる、ということになっていくとしたら、、一斉に、か、徐々にの違いがあるとしても、、誰もが接触することになります。そうなればウィルスはエンデミックになります。これは今、誰もが話題にしていることですが、エンデミックとは正確にはどのような意味なのでしょうか?定義的な説明をしていただけますか?

まず、、パンデミックとは何か、ということから始めます。パンデミックとは、世界規模でのエンデミックのことです。これは期限付きで世界中の多くの地域で拡がる疾患です。エンデミックは、小さな地域に限られていて時間的な制限はありません。エンデミックの例としては、マラリヤやコレラがあげられますが、これらは典型的なエンデミックです。ちなみに、語源である「En Demos」は、「民衆の」という意味で、つまり病原体、疾患は常に起こり、病気になるひともいますが特定の地域に限られていたり、特定の集団で起こります。ですから、今日の明日で起こる、という理解は間違いです。「7月2日の金曜日からパンデミックからエンデミックに変わる」などということはありません。日付ではないのです。これは徐々にそうなっていくプロセスであって、長くかかる可能性もあります。何がされるか、どのような対策なのか、ということにも関係がありますが、それはSARS­-CoV-­2を否定したり、軽くみる、ということではありません。そのような理解も間違いです。エンデミックになるかもしれませんが、それでも毎年、100人、1000人、1万人が感染するでしょう。重症患者が少なくなるのは、人々がすでに感染したことがあるか、予防接種によって重症化が阻止されるからです。定期的に起こる感染流行は、他のコロナウィルスでもいままでにも起こっていますが、ほとんどが軽症です。Covidは多分、どちらかといえば、インフルエンザに近いものになる可能性が高く、特にハイリスクは定期的に予防接種をしていかなければいけなくなるのではないか、と思われます。そして、中には重度の疾患経過になる場合もあり、感染も何度もすることになりますが基礎免疫によって軽症ですむ。エンデミックの状態である、と言えるのは、成人が全員なんらかのかたちでウィルスとの接触を経験した後です。それは、感染によるものなのか、ワクチンなのか。そのどちらかですが、そのような状態にはまだ程遠いです。

スペインが、Covidをインフルエンザのように扱っていく、と発表しました。ということは、スペインでは近々エンデミックの宣言をすることできる、ということになるということです。先ほどもおしゃったように、宣言することができるものなのかどうか、ですが。

これは最終的には社会全体のアグリーメント、つまりどのくらいのCovidの死者を許容できるのか。社会としてどこまで許されるのか。そして、重要な要素、これは、何度も言っていることですが、50代、60代のどのくらいの割合が予防接種をしているか、ということも大変重要です。この年代が重度の疾患に至る可能性が大きく守られるべき年齢層だからです。スペインでは、60歳以上のワクチン接種率は高かったはずです。そのような決断をする、ということは、PIMSやLong­Covidはどうなのか、どのくらいの感染がいままであったのか、そのような点も重要だと思いますが、スペインでの接種率も総感染者数もドイツよりも高いのだと思います。

WHOは、オミクロンによる感染のほかにも、新しい変異株に対する警告も出しています。オミクロンが拡がれば拡がるほど、新しい変異株が出てくる可能性が上がる、と。そのようにWHO の緊急対応を担当するキャサリン・スモールウッド氏は発言していましたが、そのような可能性はあるのでしょうか?これは、感染伝播の数が増えれば複製エラーの数も増えて変異株が出る確率が上がる、ということなのか、それともオミクロン株が新たな危険な変異株に発展する何か特徴を持っている、ということなのでしょうか?

私は、両方のコンビネーションだと思います。純粋にウィルス学的にみると、、ウィルスの複製が起これば起こるほど変化が起こる確率は上がります。複製する際に偶然起こる遺伝子内のエラーによって変異がおこるわけですから、複製がされればされるほどエラーは発生します。とても大さっぱな説明ですが。このエラーのなかにウィルス的にメリットももたらすものもあれば、そうでもないものあります。オミクロンは強い免疫回避を持つ変異株です。しかし、これは何度も議論されたことですが、そこまで重症にはならない変異株でもあるようです。そのオミクロンにさらなる変異が起こった場合。そこに重症化の要素が加わる可能性もある、ということをWHOは言いたいのだと思います。ですから、これも何度も言っていることですが、、パンデミックは世界規模のものですから、、世界規模でしか闘うことができません。そして、私たちのグローバルなライフスタイルには常に新しい変異株が発生するリスクが潜んでいるのです。もし、ドイツ国内でのウィルス循環が少なかったとしても、どこか別の国からまた旅行者を通して入り込んでくるからです。

先生は、オミクロンをパンデミックから脱出するウィルス、つまり社会全体で、ということですが、そのように解釈されていますか?個人のリスクについては、さきほどお話いただきました。それとも、そこからまた感染力がアップした、病原性が上がった変異株が出てくる可能性があるものなのでしょうか?どちらだと思われますか?

私の勘的には、オミクロンがかなりの人数の感染者を出すことによって、ワクチン免疫の穴を無理やり、、それを意図するかどうかとは関係なく様々なダメージも与えつつ、、埋めていくのだと思います。それが最終的にはパンデミックから脱出する結果に向かっていくことになるでしょう。私からのアドバイスは、今日も話したように、メディアの見出しにいちいち挑発されることなく、パニックになることなく、冷静にもう一度読むことです。特に、基礎疾患がある人たちにとっては困難な状況であることも確かですから、引き続き、危機感を持って慎重に行動すること。マスクの着用はマストですし、各自がどのように行動していくのか。全てを自粛することなくどのようにしていくべきなのか。誰もがわかっているように、そのようなことは長期にわたっては不可能です。そして、ワクチン未接種層をなくすことは重要です。今日も話しましたが、もちろん、ワクチンを打てば感染しない、ということではないので引き続き注意は必要です。そしてどの程度実際に重症化を阻止することが可能であるのか、という点もみていかなければいけないところだと思います。

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