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目指す将来像(ビジョン)を明らかにする意義

最近では、小学生のうちから「将来何になりたいのか?」を考えさせるようなシーンが増えつつある日本。
今日は、この目指す将来像(ビジョン)は、本当に必要なのか?について考えてみます。

いま・ここ・じぶん

「私はこれまで、日々のご縁を大切に生きてきた。自分がどうありたいか?なんて考えたことはなく、目の前のご縁に応えようと必死に仕事をしてきて今がある」


以前、仕事で関わった企業の創業社長の言葉です。
「未来を見据えて」ではなく、「今のご縁を大切に」というスタンスでやってきて、結果うまくいった。
というお話です。

このような考え方は、日本ではいまでも多数派なのでは?と思うぐらい、特に中小企業の社長の方々や個人コーチングの場面で接する人たちに多いものです。
このような考え方は、ときに「ビジョン達成型」で物事を考える方から批判されることもありますが、
いま・ここ・じぶん
に集中することを大切にする「禅の教え」にも通ずるものがあります。
良し悪しの話ではなく、あり方の選択の話だな~と個人的にはとらえています。
ただ、この「未来を見据えてではなく、今目の前のことに集中するというあり方」の持つリスクは、気づいたら思ってもみないところにたどり着いてしまった。
というものです。

「僕はね、戦後の日本の中でとにかく必死に働いてきた。とにかく毎日がむしゃらに働いてきたよ。
そして定年を迎えた今思うのは、もっと大切にすべきことがたくさんあったんだということなんだ。
気づいたら、周りに流されて自分が本当に大切にしたいものを大切にしないまま来てしまった。
まさか、こんな未来が待っているとはね・・・。」

20代の頃、仕事を教えてもらった職人さんとご飯を食べているときに、もうすぐ定年ですね~という話になり、その中で出た話です。
この方を尊敬している人は、私も含めてたくさんいたので、この話を聞いた時には非常に驚きました。
もちろん、結果論という面もあるのですが、その方は定年退職までの自分の人生を振り返り、納得がいっていない様子でした。では、なぜ納得がいかなかったのか?と考えてみると、ビジョンのもつ3つの意義が関係していると思います。



ビジョンの意義1:方向性を示す

ビジョンを明確にするということは、カーナビでいう「目的地の設定」に似ています。
「あの場所に行くんだ!」ということが明確になると、そこに近づくための道筋が見えてきます。
「今のご縁を大切に」というスタンスの場合、出会った人や出来事によって、都度、道を選択することになります。

場合によっては右往左往してしまうこともある。なぜなら、進む道は縁次第だからです。
方向性が明確になると、ビジョンに近づくための縁とそうでない縁も見分けがつくようになります。あるいは、方向性が定まらなかったときには気づけなかった縁に気付けるようになります。

ビジョンの意義2:追い風と向かい風が明確になる

自分(自社)の強みと弱み。外部環境の機会と脅威。
これらを組み合わせたSWOT分析というものがあります。
この分析で悩むことの一つが、何が強みで何が弱みなのか?何が機会で何が脅威なのか?という分類の基準です。

例えば
「自分の意思を、誰にでも臆することなくはっきり伝えることができる」
という特性があったとします。一見すると強みと取れるような特性です。
しかし、将来目指しているものが、
「コーチングによって周囲の人々のありたい姿・思いを引き出し、その人らしく生きていく支援をすること」
だったとした場合、自分の特性がその将来像に近づくためには弱みとなる可能性もあります。

すべての、あらゆる状況において絶対的な強みもなければ弱みもない。
外部環境に目を向けても同じようなことが言えます。
世の中は常に変化し、その変化が危機を生みますが、危険なのか好機なのかは、どこに進もうとしているかによって決まる。ということです。
ビジョンが明確になっていると、自分の強みと弱み、外部環境の機会と脅威が定義しやすくなります。
ビジョン達成のための追い風となるもの(強み・機会)と向かい風(弱み・脅威)がはっきりすることで、風に吹かれるままに漂うのではなく、どの風に乗り、どの風に逆らうのか?がわかるということです。


ビジョンの意義3:選択肢を狭め、選択しやすくなる

なりゆきの未来は、
目の前のご縁を大切にしていく=誰かの選択に身をゆだねている。
という状態でもあります。
その結果、自分の望まない場所にたどり着いてしまった場合、自分以外の誰かのせいに、あるいは環境のせいにしたくなる気持ちがわきやすくなります。
ビジョンが明確でない場合、どの道を選択してよいのか?はとても難しいものです。
四方八方に道が伸びていて、どの道もそれなりに続いている。
とりあえず、進みやすそうな南に進んでみると急に道が細くなっている。
では東に進もう!と道を変えたが、こんどは歩きにくそうな砂利道になっている。
その道も避けようと進んでいくと、気づいたら迷子になっている。
というイメージです。ビジョンを明確にすることで、四方八方の状態から、北東に進みたい!ぐらいに絞ることができます。
たとえ砂利道でも細い道でも、その先にたどり着きたい場所があることが分かっていればチャレンジしやすくなります。


「なんで将来のことを考えなければならないの?」
と、小学生の娘に質問されたことがあります。
そのときは、自分の中でもうまく整理できず、
「どうしてだろうね~。一緒に考えてみよう」
と話したのですが、現時点での答えは、どの方向に進むかがわかり、追い風と向かい風が明確になり、選択しやすくなるから。と言えます。

皆さんは自分のビジョンが明確になっていますか?
明確にする必要があると思いますか?
何のためにビジョンを持つのでしょうか?


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今回はサロン内で毎週投稿されるコラムの中から一部分を抜粋しました。

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