見出し画像

道路は車のもの?人のもの?

コロナによる社会変容ing

コロナの影響によりソーシャルディスタンスが話題になっています。

そこで、飲食店の店内での席の距離を取ろうという動きが広がっているようです。

しかし、これは実質的に席数を半減させることになり、店舗としてはそれだけで売り上げ半減ベースで考えないといけなくなります。実際は客足がないのでそれ以上ですが・・・。

そこで、少しでも売り上げを増やすためにテイクアウトを始めるお店が出てきて、これを「地域でタッグを組んでやろう」という動きなども増えてきました。

商連「テイクアウト大作戦」(伊勢原)
https://www.townnews.co.jp/0405/2020/04/17/524917.html

このような状況の中、店先を利用できる方法が出てきています。以下は国交省の動きの記事になります。

店舗の路上利用に伴う道路占用基準を緩和、国交省が新型コロナ対策で
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/061001587/


なぜこれまで道路利用が進まなかったのか?

道路の利活用については2000年頃より話題には上がっていたことであり、道路占有許可などの手続きをちゃんとやればできるという話だったのですが、実務的にはなかなか敷居が高く、実施されてるケースは限られていました。

一部の専門知識のある個人や団体は、手続き書類作成や交渉スキルがあるので実施してきていますが、素人の住民や商店の店主ではこれらは難しいですので思ってもなかなかできないわけです。

これは、道路の多くは道路管理者、つまり行政マターであることが多く、安全性に対して責任が自分たちに及ばないようにしようとする思惑が働くため、警察の許可もなかなか下りないことがその根底にあります。

ところがここにきて、道路(と言っても主に歩道ですが)にテーブル・椅子を出して客席として利用していく流れを行政側でも前向きに捉えられはじめました。

既に社会実験という形で話題になっているところも出てきていますが、どれくらい各地でアクションが起き、それが継続していくかで定着するかどうかが決まってくるかと思います。


昔の道の使い方を振り返る

一昨年、神奈川県建築士事務所協会の景観・まちづくり特別委員会の活動で道と景観の調査をした際に、道の利活用についていろいろ調べたことがありましたので少しご紹介したいと思います。写真は手元の物があまりないので、参考にそれらしい写真があったリンクを貼りますのでそちらでみてください。
(そのうちリンクが切れちゃうかもしれませんが・・・)

自動車が広く普及する以前、道は交通の空間というだけでなく広場や道端、空き地等はこどもたちの遊び空間であり、地域の人びとがたまったりイベントを行っていました。当時の浮世絵などでも風景として描かれています。

例えば 職人尽絵詞(しょくにんづくしえことば)などを見ると、道で行商をしている風景がたくさん描かれています。

https://www.benricho.org/Unchiku/edo-syokunin/04syokuninzukushiekotoba/index.html

伊勢原文化財サイト「芳虎 「金川ヨリ横濱遠見の図」 万延元(1860)年」にも屋台の様子が描かれています。他の絵でも見つけることができるかと思います。

https://www.city.isehara.kanagawa.jp/bunkazai/docs/2014012200097/

これが明治維新を経て、明治・大正・昭和と時代が進むにつれて、徐々に道は自動車や路面電車等交通主体に重きが置かれていきました。
ヤフーで画像検索するとそれらしい当時の写真がみられます。

https://search.yahoo.co.jp/image/search?ei=UTF-8&fr=lmd_poi&p=%E6%98%AD%E5%92%8C%E6%99%82%E4%BB%A3#mode%3Ddetail%26index%3D33%26st%3D917

しかし、いわゆる路地などの生活道路は生活の活動の場であり、中には線路まで遊び場にしていることもありました。

http://everyday-kosodate.blog.jp/archives/2379283.html
https://www.sankei.com/photo/daily/news/150423/dly1504230001-n1.html



どうしたら道をいろんなことに使えるのか?

道を多目的に使うことのあれこれについては、書くと長くなるので住宅地の記事の方で述べるとして、では道の現在は?というと、多くの道路は交通のための道であり、人は遠慮をしないといけなくなっています。これが安全という名の元に住宅地内の生活道路にまで及んでいます。なぜなら、事故があると道路管理者である行政の責任が問われる可能性があるからです。大変わかりやすいですね。

昔、道路で何かをするときは、地域のコミュニティで管理をして責任をもち、ある意味自由に道の空間を使ってきていました。

しかし、現代社会においては都市計画法や道路法などの法整備が進み、地域の責任で地域が利用できる道の空間を所有・管理ともに行政に移行しているので扱いづらくなってしまったといえます。

つまり、道路の所有は行政マターのままだとしても、利用責任を地域が請け負うから使わせてということができればもっとスムーズに道の利活用は進むといえます。

ですので、商店街のコミュニティや、住宅地などにおける地域コミュニティなどを再構築をし、活動する側に管理権限が持てるようにする(責任をちゃんと持つ)ことで、道の空間活用や空き家・空き地の地域活用などのベースになっていくといえるかと思います。


最後に

今回のコロナの影響により、いろいろな形で地域が繋がりはじめています。旧態然とした年齢の序列やおかしな組織が、強制的に変化し出してもいますので、世代が変わらない限り無理と思われていたことが変えられるチャンスも出てきているかと思います。

うちの前に公園があるのですが、学校が休校の間、子供たちの遊び場となっていました。そして、しばらくすると子供も大人(子供を見守っているので一緒にいる)もつながりができたようで、学校が始まっても下校後公園に来て変わらずに遊んでいるようになりました。

おかげで大変賑やかなため、ZOOM会議中は窓を閉めています(笑

移動販売車もくるようになり、路上で販売を始めると、近隣の人が買い物に来て会話をしています。これはいずれもコロナ前は見られなかった光景です。

感染症の拡大は、人の命を奪い、大きな経済的ダメージを私たちに与えていますが、一方で、人とのつながりは何か?経済優先で生活が貧しくなってはいないか?といった疑問を顕在化させ、「人とのつながりの大切さ」や「本当の暮らしの豊かさ」などを気づかせてくれているように感じます。

まだまだ、感染リスクや医療体制など予断を許さないようですが、社会のしくみやコミュニティが良い流れに変容することを期待して、みんなでいろいろと「考え」「行動する」ことで、LOQ(生活の質)がガラッと変わるのではないでしょうか。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
寺本勉

よろしければサポートお願いします。頂いたサポートはまちづくりの活動や情報発信の活動費に使わせていただきます。

よければシェアもお願いします!
6
株式会社TERRAデザイン一級建築士事務所代表 http://terradesign.co.jp 一級建築士、インテリアコーディネーター、福祉住環境C(二級) ライフスタイルアドバイザー 源流釣りや映画鑑賞、風景写真を撮るのが好きです。 http://bit.ly/35mcuZ8