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#62 CLILという学習

CLILという授業をご存じですか?

これは英語科教育法の1つで、「内容言語統合型学習」といわれるものです。ヨーロッパを中心に広まった教育法で、今、注目を浴びています。

この教育法は従来までの「文法訳読式授業」を否定するものです。私たちは「文法訳読式授業」を中心に受けてきており、そのせいか、英語をほとんど流暢に話すことができません。

これは教師から一方的に文法構造を説明され、それを使って、聞いたり、話したり、読んだり、書いたりする授業だが、この授業には問題があるのです。

まず、その文法を使うことありきで授業が設計されています。ターゲットセンテンスが決まっており、その文法を何の文脈もない中で使うことになります。これではいざというときに、英語が出てこないのは当たり前です。

英語を使うときには「目的・場面・状況」があるはずです。そこをすっ飛ばして、文法ありきで授業を受けていたら、英語を使う「目的・場面・状況」が来ても使えないのは明白です。

この問題を解決してくれる1つの方法が、CLILであると私は思います。

これは簡単に言うと、「教科内容を英語という言語を用いて学ぶ学習」というものです。

本来、「英語」というには「日本語」と同じ、「言語」です。つまりコミュニケーションの手段です。目的ではありません。何かを人に伝えたり、理解したりするときに使う「道具」です。

なので、ある特定の「教科内容」について、人に伝えたり、理解したりするために「英語」を使うことが大切なのです。ここには英語を使う「必然性」があるのです。

ではもっと詳しくみていきます。

CLILには「4つのC」という大切な要素があります。

内容

まずはContent(内容)です。ターゲットセンテンスありきではありません。内容がはじめにあります。国語、算数、社会、理科、音楽、図工、体育、家庭、総合、道徳など、いろいろな教科・領域の内容を扱うことができます。英語と関連させやすい内容が適しています。算数だったら「図形の英語での言い方」、音楽だったら「世界の音楽」、体育だったら「オリンピックの英語での種目の言い方」、家庭だったら「世界の料理」など。

コミュニケーション

次はCommunication(コミュニケーション)です。CLILは英語科教育法の一環なので、ただ内容を学ぶだけでなく、英語でのコミュニケーションを通して学びます。ここには文脈がしっかりあるので、コミュニケーションをとる必然性もあります。ターゲットセンテンスを文脈の中で使っていくことができるのです。

認知活動

次はCognition(認知活動)です。思考を伴う活動をします。つまりただコミュニケーションをするわけではなく、グループで話し合ったり、説明し合ったり、議論し合ったり、思考を伴う活動をするのです。思考を伴う活動をする中で、英語でのコミュニケーション能力を高めることができ、教科内容も理解することができるのです。

共同、異文化理解

最後はCommunityとCultureです。認知活動をする際は、グループで活動し、共同体感覚を養います。また「異文化理解」を深めるための内容を選ぶようにします。地球市民の一人として、自文化も他文化も尊重していく心情を育てます。

このようにCLILには4つのCが必要です。これらを意識して、授業を設計することが大切です。

授業構想は正直、難しいでしょう。教師の力量が試されます。

しかしこの学習は、子どもたちに上記4つの力を同時に獲得させることができます。

そして英語を使う必然性があり、より意欲的に学習に取り組んでくれます。

ぜひCLIL授業を展開していきましょう。では。

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