#1537 いじめ指導のポイントまとめ
今回はいじめ指導のポイントを整理していく。
・いじめの本質:「空気」
※「空気」に「からだ」が支配されること
※「空気」に逆らえなくなること
※外部の視点がもてなくなり,考えるパワーが奪われる
※個々の人間に焦点を当ててはいけない
・いじめに立ち向かうことのできるのは,パワーの残っている周りの人々
①身体的違和感 ②小さなできること探し
※沈黙的思考 →「空気は変わる」という実感
・4つの心
①悪魔の心
②正義の心
③曖昧にする心
④状況を俯瞰的に見て違和感に気づく心
※「曖昧にする心」は加害者,被害者,周りの人々にも働く
・違和感に気づくトレーニング:いじめの認識を深めるトレーニング
※「相手が苦痛を感じていたら」いじめである
(1)自分の置かれている状況が「いじめである」と認識を深める
(2)違和感を抱く
(3)自分のするべき行動を考えて,行動する
・傍観者を脱するためのスキルを身に付ける
※自分が無理なくできる小さなこと
・「カッコいい」の基準を変える ※ピンクシャツ運動
→「いじめを止める・守る」「見て見ぬふりをしない」
ことがカッコいいという空気をつくる
・匿名性の逆利用で相手を励ます →空気を変えていく
・いじめの様態
①言葉によるいじめ
②ネットいじめ(ステメいじめ) ※ダブルバインド
・いじめのパターン
①教育的動機によるいじめ(正義によるいじめ)
→自分たちの理屈で相手を追い込む(周囲もその理屈に納得してしまう)
→被害者が二次被害を受けやすい
※「あなたにも悪いところあるよね」×
※「まがいものの正義」「正しさの怖さ」を教える
※「曖昧化」VS「違和感の研ぎ澄まし」
②快楽的動機によるいじめ
→他者が苦痛を感じるときに自分が快を感じる(全能の自己を生きる)
→「いじめの本質は相互性のないコミュニケーションである」
※相手の苦痛を想像させることは無意味である
※「いじめるのが楽しい」というノリを,
「いじめるのはダサい」という空気に変える
③同調によるいじめ
→傍観者の人数といじめ被害の多さは相関がある
※違和感を大切に表現していくことを奨励する
※小さな行動の積み重ねで,空気が変わっていく
・ポジティブ行動支援:同調行動を破る行動,
空気を破る行動,脱同調を図る行動をポジティブ行動と見なす
※そのような空気を教師がつくっていく
・脱いじめ教育の全体構想
(1)安全・安心を守る2つのルールの徹底
①人を傷つけることはしない,言わない ②人の話は最後まで聞く
(2)基礎能力:
①人間関係力 ②社会性 ③コミュニケーション能力
※スキルトレーニング
(3)いじめの認識を深める
①それはいじめであるかどうか ②その理由は何か
(4)自己内対話:
①悪魔の心 ②正義の心 ③曖昧にする心 ④状況全体を俯瞰する心
(5)脱傍観者教育
①「違和感」+「小さなできること探し」で空気を変える
②ピアサポート(相談),ピアメディエーション(仲介)
(6)気持ちを伝える自分を守るトレーニング
(7)SOSの出し方教育 ※SOSシート(自由記述欄は無しにする)
・脱いじめプログラム
①いじめられた子の傷の深さを知る:
くしゃくしゃにした紙は元に戻せない
②いじめの認識を深める:
「キャラ設定によるからかい」「正義による正当化」
※「これはいじめかどうか」「理由は何か」発問
→ 自死した結末を知らせる
→ 「理由があれば人の心を傷つけてもいいのか」発問
→ 「どんな理由があっても,いじめは絶対にやってはいけない」指導
③4つの心の対話:
自分の中の「4つの心」を見つめ,ワークシートに記入
「悪魔の心」VS「正義の心」,「曖昧にする心」VS「俯瞰する心」
→ 「違和感について」シェアリング
→ 「小さなできること」シェアリング
※「傾聴」と「内側の違和感に意識を向けるフォーカシング」が重要
※どんな小さなことでも安心して話せる雰囲気が重要
④4つの心の対話について,グループでロールプレイ
⑤脱傍観者教育:「違和感を味わう」→「言葉で表現する」
→「自分にできることを見つける」→「実行する」
※「その場の空気に水を差す」「空気をやわらかくする」
⑥ピアメディエーションのスキルを学ぶ
⑦いじめから自分を守るトレーニング
「冷静になる」→「アサーティブに気持ちを伝える」
→「話し合い,統合する」→「ダメなら逃げる」
⑧SOSの出し方教育:
できるだけたくさん,具体的な相談先や相談方法を伝える
※「つらいことを聴き合う」エクササイズ
※援助希求の意味,どんなことが起きるかを教える
・さかなクン「魚の涙」が教材として使いやすい
・学級開きでは「いじめは絶対に許さない」宣言をする
※子どもたちに協力を求める
・どんな理由があっても,
「被害者の悪いところ・いじめられる理由」を話し合ってはいけない
・「たった一人の子どもを守り切る」ことこそが,
全ての子どもを大事にすることになる
・いじめ被害者に行ってはいけない禁句
①「あなたにも悪いところがあるよね」
②「あなたが気にしなければすむことでしょ」
③「あなたがもっと強くなりなさい」
④「あなたの思い違いじゃないの?」
・いじめ被害者との面談
※その子の気持ちになりきり,一つになる
※ジャッジしない,先入観をもたない,その後の指導を考えない
※その子自身が「話したい」と思ったときに聞く
※自分の被害を否定したら教師の判断を話し,「外部の視点」をもたせる
①相談してくれたことをねぎらう
②つらい気持ちをそのまま受け止める
③「あなたは悪くない」と伝え,「絶対に守る」と宣言する
④事実を確認する
⑤援助を求めてくれたことをねぎらう
※本人の希望に沿うかたちで事後対応をとる
※一時的に学校を休むことも提案する(転校もできる)
※事実を確認してから保護者に連絡をとる(曖昧に答えない)
※「保護者と教師で協力して子どもを守ること」を確認する
※保護者に支援チームに入ってもらう
・いじめ加害者を「別室登校」にする措置もできる
※いじめ防止対策推進法 第23条
①被害者の安全確保のため
②加害者の「冷静に自分を見つめる時間」を確保するため
→加害者が「事の重大さ」を自覚する
※この方針を保護者にも伝えておく
・トラウマインフォームドケア:
支援者全員が子どものトラウマに関する知識や対応を
身に付けてから対応する
・加害者から被害者への謝罪
①被害者が加害者の謝罪を望んでいるか
②加害者が心から謝罪したい意思をもっているか
③二人を合わせることでフラッシュバックが起きないか
・いじめの加害者も「援助が必要な子ども」であるという姿勢をもつ
・いじめ加害者との面談
※その子の気持ちになりきる(事後指導を考えない,ジャッジしない)
※「客観的事実」「事実をどう捉えたか」「その子の感情」を分けて聞く
※リーダーではない子どもから順に話を聞く(口裏合わせをさせない)
※事実確認を穏やかに淡々と行う
※加害者が次の被害者にならないように守る(絶対に守る安心感を与える)
※加害者のもつ「負の感情」を否定しない
※行動のコントロールの仕方を共に考える
※保護者には「いじめ」というワードは使わず,事実を淡々と伝える
・いじめの基準は「被害者の気持ち(苦痛)」である
※被害者が「いじめではない」と言い張った場合でも,
「苦痛を感じていればいじめである」ことを認識させる
※被害者本人の自尊心が「いじめ」を見えづらくする
・いじめ加害者への措置
①出席停止 ②転校 ③別室登校
※「加害者が学校に通い続け,被害者が学校から去る」というのは理不尽
※いじめられた子どもが安心・安全に学校に通えるようにすることが優先
※「被害者と加害者を同じ空間に居させること」は普通なら考えられない
以上、いじめ指導をする際に活用していきたい。
では。
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