#1855 ターゲットフォーカシング
教師は子どもたち全体に話をするときに,「話を届けたい誰か」を想定せず,漠然と全体に伝えてしまう。
しかしこれでは,「伝えたい対象」が明確ではないので,結果的に誰にも届かなくなってしまう。
本当なら,「一番この話を伝えたいあの子」「一番この話で変わってほしいあの子」に伝えたいはずである。
しかしその本心を忘れ,ついつい,ありもしない「教室全体」に向けて話をしてしまうのである。
これでは,結果的に,誰の心にも響かない話になってしまうのだ。
そこで必要なことは,「話を届けたい相手を絞り込む」ことである。
ターゲットを明確にして,その子ども1人に届けるつもりで,話をするのである。
特にターゲットにしたい子どもは,「一番伝えたい,一番変わってほしいあの子」である。
それは,一番成長がわかりやすいからだ。
そして,その子どもに向けての話を構成するときは,「マイナスからプラスへの変容」という要素を入れるようにする。
どんな映画や物語にも,「マイナスからプラスへの変容(逆も然り)」が存在する。
そのギャップに心が揺さぶられ,人は感動するのである。
この原理を教室でも応用する。
人は,自分がもつ短所や失敗経験に対してネガティブ感情をもっている。
それを避けたり,隠したりもする。
しかし内心では,「成長したい」「変わりたい」「成功したい」と思っているはずである。
ここに「人の心が動く要素」が秘められている。
教師はその人の価値や成長を見逃さずに,肯定的なフィードバックをする。
そうやって,思いもよらない形で自分の価値や成長を認めてもらうと,「ストーリー」が生まれ,人は感動するのである。
これにより,「納得」や「共感」が生まれ,感動が伝播し,意識や行動の変容につながっていくのだ。
そして,感動が伝播すると,周りの人たちにもプラスの影響が波及し,変容が拡大していくのである。
「たった1人の心に届く言葉」は,結果的に「たくさんの人の心に届く言葉」になるのだ。
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