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#949 トップダウンとボトムアップの概念構想

総合学習では、子どもたちに「どのような概念的知識を身に付けさせたいか」が重要となる。

総合の「知識・技能」では、特に概念的知識が重要となるのだ。

その概念を構想する際は、2つのアプローチを採用する。

まずは、トップダウンの構想だ。

これは教師が、より大きい概念を想定し、その下位領域を想定していくイメージだ。

「環境」→「海洋における環境」→「日本海における環境」

「福祉」→「高齢者福祉」→「〇〇市における高齢者福祉」

のように、抽象的なものを具体的にしていくイメージである。

これを教師が想定するので、トップダウンと呼ばれる。

次に、ボトムアップの構想だ。

これは子どもがどんな事実的知識をつなげて、より抽象的な知識にするかを、教師が予想していくイメージだ。

このアプローチでは、具体的に子どもが学ぶ内容や、子どもが発言するだろうと思われる内容を想定する。

そして、複数の具体的な内容が集まると、どんな「より抽象的な内容」になるかを想定する。

このようにボトムアップで想定していくと、やがてトップダウンのアプローチとは逆の流れになる。

「環境についての具体的知識1」+「具体的知識2」→「環境についての抽象的な知識」→「日本海における環境」→「海洋における環境」→「環境」

という流れだ。

つまり、トップダウンのアプローチでは、「抽象→具体」という流れになるのに対し、ボトムアップのアプローチでは、「具体→抽象」という流れになるのである。

そして、この2つのアプローチを、教師は両方行うことが重要だ。

トップダウンでは、教師が教材研究を深めることで、「抽象→具体」の流れを想定する。

と同時に、ボトムアップでは、教師が子どもたちの学習を予想し、「具体→抽象」の流れを想定する。

そうすれば、「知識・技能」における概念的知識を確実に想定することができる。

この想定が、より深い「知識・技能」の習得につながるのだ。

総合学習で「知識・技能」の中身を考える際は、このトップダウンとボトムアップの概念構想を活用していきたい。

では。

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