初めての監査調書レビュー///実践編///【監査スタッフ向け】
監査調書レビューで見るべき具体的なポイントをチェックリストにしました。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。
前回のてりたまnoteでは、監査調書レビューのコツとコメントの伝え方をお話ししました。
今回は実践編として、具体的にチェックするべきポイントを挙げていきます。
このチェックリストの使い方
調書レビューでチェックする項目は多岐にわたりますが、次の3つに整理しました。
Level 1 形式的なチェック項目
Level 2 表面的な準拠性チェック項目
Level 3 監査判断のチェック項目
これは、例えばシニアスタッフのレビューでLevel 1をチェックし、マネジャーがLevel 2をチェック、ということではありません。
最初にレビューする人がシニアスタッフであってもパートナーであっても、すべてのレベルをチェックします。
ただし、もしLevel 1に問題が多い調書だと、なかなかLevel 2や3のレビューに手が回りません。また、Level 2の問題が多いとLevel 3のチェックは十分にできないことがあります。
結果として最初にレビューする人はLevel 1のコメントが中心になる、ということはよくあります。
Level 1 形式的なチェック項目
最初のレベルは形式的なところができているか、です。
調書作成者サインはあるか
結論は記載されているか
前期調書からの更新漏れはないか(数値、日付、会社担当者名、帳簿やシステムの名称など)
使用した資料は名称が正確に、網羅的に記載されているか
コメントは網羅的に付されているか(金額の横に「*3」などと付しているのに「*3」の説明がどこにもない、ということがないか)
運用評価手続や詳細テストでのサンプルテストでは、チェックするべき帳票類がすべてチェックされているか(表形式でまとめている場合、表のすべての項目が埋められているか)
文章は途中で終わっていないか、日本語として意味は通るか
一部に特別な書式設定をしている場合(文字のフォントや色、エクセルのセルのハイライトなど)、それは必要な場合に限られているか
Level 2 表面的な準拠性チェック項目
監基報への準拠性をチェックしますが、監査判断までには至らない表面的なものを集めています。
全般
全体として調書の内容は必要十分でムダはないか
計算式は適切か
企業作成情報は適切に識別され、検証されているか
会計や監査の基準へのリファレンスは適切か
調書間の数値リファレンスは適切か(数値は一致しているか、意味のあるリファレンスか)
そのほか、他の調書と不整合はないか(例えば、ほかの調書で内部統制に不備を識別しているのに、内部統制が有効であることを前提とした実証手続になっていないか)
実証的分析手続
期待値は適切に算定されているか(これだけでチェックするポイントがたくさんあります)
分析の結果算定された差異は適切に評価されているか
運用評価手続や詳細テストでのサンプルテスト
サンプル抽出は適切に行われているか(これもチェックポイント多数)
逸脱事項があれば適切に対応しているか
Level 3 監査判断のチェック
最後は監査のコアな部分、監査判断を取り扱います。
調書は目的を達成しているか(例えば実証手続であれば、リスクに十分に対応した手続が実施され、完了しているか)
監査判断が必要なところでは、適切に判断しているか(白黒付けずに判断をあいまいにしていないか)
監査判断は必要十分な監査証拠により裏付けられているか
調書のどの部分で批判的な検討を行っているか
考慮されていない情報はないか(当期に重要なトピックがあるのに考慮されていない、といったことがないか)
おわりに
チェックリスト形式にしましたが、実際に調書をレビューするときに、いちいちこれをチェックしていくのはとても非効率です。
ざっと眺めて頭に入れたうえでレビューしていただくのがよいと思います。
実はレビューで見るべきポイントを網羅的にリストし、分類するのに結構苦労しました。もし「重要な点が抜けてるんじゃない?」と思われたら、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします🙇♂️
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま
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