中間財務諸表会計基準をサクッと解説
2024年3月22日に「中間財務諸表に関する会計基準」が発行されました。時間のない皆さんのために、軽く解説します。忙しい人は、見出しだけでも見て行ってください。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。
企業会計基準委員会(ASBJ)より「中間財務諸表に関する会計基準」が発行されました。(以下、「中間会計基準」、同適用指針を「適用指針」と呼びます)
とっとと本題に入ります。
中間会計基準について押さえておくべき点
四半期報告制度の見直しの復習
中間財務諸表の話に入る前に、制度の何が変わるか、念のための復習です。
必要な方のみご覧ください。
四半期会計基準から変更なし
新しい会計基準ができたものの、これまでと何も変えないでおこう、という方針で作られています。
これまでの第2四半期と同じ、と考えていただいて構いません。
比較情報としての前期の損益計算書、キャッシュ・フロー計算書も中間会計基準により開示
当期から適用になりますので、比較情報をどうするかが問題となります。次の3つのパターンが考えられます。
a 前期数値は新しい中間会計基準による
b 前期の第2四半期累計期間を参考情報として出す
c 比較情報は出さない
結論はa。新しい会計基準による、です。
「え、作り直さないといけないの?」
ご安心ください。前項でお話ししたように、結局何も変わらないので、前期のままでよいはずです。
特定事業会社(銀行、保険など)の中間財務諸表は引き続き中間作成基準等を適用する
これは関係のある会社は限られるので、興味のある方だけ。
第1四半期、第3四半期のレビューが義務付けられる場合がある
冒頭で、レビューが強制されるのは第2四半期のみと書きました。
しかし、中間会計基準からは外れますが、イレギュラーな場合に第1四半期、第3四半期でも義務付けられることがあります。
最初に適用されるのは12月決算会社
中間会計基準をもって決まったわけではありませんが、12月決算会社が最初に半期報告書を提出することになります。
監査上の留意点は…
適用指針の経過措置により、第1四半期に適用した切放し法を中間でも戻さない会計方針としている場合で、第1四半期は任意のレビューを行わない場合、監査人として注意が必要なことがあると思います。
それは、第1四半期の切放し法に対してどれくらいの手続を実施するか、ということです。
参考資料
ASBJ
企業会計基準第33 号「中間財務諸表に関する会計基準」(2024年3月22日)
企業会計基準適用指針第32 号「中間財務諸表に関する会計基準の適用指針」(2024年3月22日)
企業会計基準公開草案第80 号「中間財務諸表に関する会計基準(案)」等に対するコメント(2024年3月22日)
「企業会計基準公開草案第 80 号『中間財務諸表に関する会計基準(案)』等 の概要」ASBJ専門研究員 山田正顕(2023年12月21日)
その他
株式会社東京証券取引所「金融商品取引法改正に伴う四半期開示の見直しに関する上場制度の見直し等について」(2023年12月18日)
https://www.jpx.co.jp/rules-participants/public-comment/detail/d1/bkk2ed0000003yy1-att/bkk2ed0000003z02.pdf企業会計審議会監査部会(第55回)事務局資料(2023年12月14日)
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/kansa/20231207.html日本公認会計士協会「四半期開示制度の見直しに関する留意点vol 1 ~レビュー編~」(2023年12月22日)
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20231222fst.html
おわりに
金商法の改正が遅れたため、中間会計基準は相当バタバタの中で作られたようです。
実務への負担を考慮して何も変えない、と割り切って突貫工事を行い、それゆえに検討が不足していた点はパブコメから拾って補い、何とか間に合わせたというところだと思います。
関係者の皆さま、お疲れさまでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま
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