エッセイ:医者ってね(1)

 「先生助けてください」

 とある患者さんに言われた一言が頭について離れない。世の中の医者への信仰というのはまことに奇妙なもので、我々は患者さんのつらさの原因をすべて理解し対処できるかのように思われている。ぼくもできることならば貴方のつらい原因を突き止めて問題を解決したいんだよとこころのなかで呟くのだが、如何せん神ならぬ人の身ではどうにもならない。ちょうどFGOでは二部の二章も終わりに差し掛かっているときだ。じぶんがスカディ様のようであったらなとは思うのだけれど、思うは勝手だが、やはりどうにもならない。べつに自分の無力を嘆きたいわけではない。医者は神様ではないからどうにもならなくても責めないでねと言いたいわけではない。うそ。ちょっとは言いたい。でも、声を大にしていうのもはばかられる。結局そのかたは自然と良くなってその日はかえっていったのだけれど、これでよかったのだろうかと疑問は残る。今日はそういうことについて徒然なるままに書いてみよう。

ここから先は

1,379字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?