マガジンのカバー画像

読みもの

27
アジア各地のアーティストたちによって、演劇作品が変異しながら長い旅をするプロジェクト「テラジア|隔離の時代を旅する演劇」。その旅の道中を、みなさんと共有します。
運営しているクリエイター

#インドネシア

テラジアインタビュー vol.9インドネシアチーム:ラウェ・サマガハ(音楽家)

伝統音楽と現代音楽を接続する「僕は元々、ジャカルタのスタジオで絵を勉強していました。そのスタジオに訪れたある方が音楽をやっていたんですが、音楽とスピリチュアルを結び付けた思考を持っている方で。話すうちに僕も音楽をやってみたいなと。それで、2000年頃にソロ(別名スラカルタ)に行き、コンテンポラリー音楽・現代音楽を学び、作曲の勉強をしました。」 スピリチュアルなものと音楽の結びつき。そこに興味を持ったのがきっかけだったとラウェは話す。 「1994年からインドネシア拳法のシラ

テラジア アーティストインタビュー vol.7 インドネシアチーム前編:ユスティアンシャ・ルスマナ(舞台芸術ディレクター)

社会共同体へのリサーチからインタビュー前編は、ジャカルタを拠点にするユスティアンシャ・ルスマナ(以下、ティアン)。パフォーマンス作家として多様なアーティストらと協働し、また映像・アート・グラフィックデザイナーとしても活動している。まずは彼の活動のベースを聞いた。 「普段の活動は、リサーチ活動が多いです。リサーチ対象は地域住民や社会、社会共同体の人たちで、彼らとの関係を大切にしています。リサーチを、芸術という形にどのように変換したらよいだろうかと模索し、さまざまなメディアを扱

儀式の夕べ 〔RITUAL NIGHT〕とは何だったのか

国際芸術祭「Sua TERASIA」第1期は、2024年1月12日(金)〜20日(土)に開催されました。儀式の夕べ 〔RITUAL NIGHT〕は、プログラム:創造の発表のステージとして上演されています。 「Sua TERASIA」のサイトによると、儀式の夕べ 〔RITUAL NIGHT〕は、的で芸術的な即興セッションと説明されています。加えて、このセッション自体が参加者全員への問いかけでもある、ともサイトに書かれています。 その問いかけは、「私たちの身体のなかには、まだ

テラジアアーティストインタビュー Vol. 6: ナルモン・タマプルックサー(愛称ゴップ)

日本発『テラ』 の最初の感染地はチェンマイ取材日、現地は夕方だったが、直前まで学生の試験監督をしていたとか。母校のチェンマイ大学で演劇を学ぶ学生を教える常勤講師をしながら、演劇人として活動し、その上合気道の師範として道場も運営と、まさに八面六臂の忙しさである。 「フルタイムの教員になって生活が一変しました、学生と年に4本、大学内の劇場で上演する作品を作っています。これまで大小含めて30作品以上。学生たちはそれぞれの文脈で作品を作っていて、面白いです。今、彼らと試みているのは

インドネシア滞在レポ TIM

滞在したホテル 今回、私たちテラジアメンバーが泊まったのは「IBIS Budget Cikini」というホテルでした。チェックインのためにロビーに向かう途中、楽しげな市民プールが眼前に広がります。水着を持ってくればよかった…と早速後悔。 お部屋はこんな感じです。 近くに打ち合わせできるカフェが複数あります。 ホテルから徒歩1分の煌びやかなアートコンプレックス このホテルが選ばれたのは、ずばり立地が良いから。ジャカルタのチキニという繁華街に位置し、徒歩圏内にレストラン

インドネシア滞在レポ テアター・クブール

墓地の中に劇場? 今回の旅を語る上で欠かせない場所のひとつが、テアター・クブール(墓地劇場)です。私は事前に「ジャカルタの墓地に劇場がある」「身体能力の高い人たちがそこを拠点に活動している」という断片的な情報を教えてもらっていました。しかし行ってみるまでは全く想像がつきません。墓地劇場とは一体、どういうことなんでしょう? 1983年旗揚げの劇団 こちらはテアター・クブール主宰・演出家のDindonさん。劇団を創立したのは1983年。劇団はまもなく40周年を迎えるのだそう

インドネシア滞在レポ はじめに

つづきを読む>> こんにちは。私は坂田ゆかりといいます。普段は東京に住んでいます。いろんな仕事をしているのですが、今日は、テラジアの演出家のひとりとして、このレポ記事を書き始めました。 テラジアって何? …ということが気になる方は、続きはさておき、こちらのイベントにジャンプして来てください。私たちは今、11月に行う「テラジア オンラインウィーク 2022+オンサイト」というミニフェスの準備をしているところです。演劇・音楽・トーク満載で、「これがテラジアか!」ときっとご納

「テラジア オンラインウィーク2022+オンサイト」開催決定!

会期は 2022年 11月4日(金)〜13日(日) 「テラジア|隔離の時代を旅する演劇」は、2020年、世界規模のコロナウイルスの流行とともに始まった、アジアのアーティストたちによる4年間の国際協働プロジェクトです。  3年目となる2022年11月、日本、タイ、ベトナム、ミャンマー、インドネシアのアーティストたちによる作品やトーク映像をオンラインで連続公開する10日間のミニフェス「テラジア オンラインウィーク2022」を開催します。 今年はアジア各地でオンサイトイベント

TERASIAに外部観察者として関わるとはどういうことか?

Text by 田中 里奈(興行研究者/明治大学 助教) 序に代えて  「テラジア オンラインウィーク2021」への寄稿は打ち合わせから始まった。最初、「テラジア隔離の時代を旅する演劇」(以下、「テラジア」と略記)というプロジェクトが、演劇研究者の視点から見てどう思われるかを文章化してみないか、と坂田ゆかりさんからお話しを頂いた。それは坂田さんからたびたび問われてきたことだったので、一度言語化するべきとは思った。だが、いま「演劇研究者の視点」で語れるほど、私はプロジェクトと