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河童を探して 山口県

山口県は本州の西の端っこ。九州の天気予報では九州山口とセットにされる。戦国時代に勢力を持っていた毛利氏が関ヶ原の合戦で負け領地を減らされて残ったところ。幕末に長州藩が活躍するまでマイナーな地域。テロにより徳川幕府から政権を奪取したのちは現在まで多くの総理大臣を輩出する。

平家が滅亡した壇ノ浦があり、壇ノ浦に沈んだ安徳天皇が下関の赤間神社に祀られている。観光の看板に笑顔でenjoy下関とかかれた安徳天皇のイラストを見ると胸がキュッと締め付けられる。安徳天皇とともに三種の神器のひとつ草薙剣が壇ノ浦沈んだとされるがまだ発見されていない。日本中にはその時沈んだ剣を祀っていると言われる神社がいくつかあるが真偽は定かでない。いずれ参ってみたいと思う。平家物語に登場する那須与一が射った矢を拾い上げ祀ったという神社もあるらしい。あゝ神社の商魂の逞しさよ。

山口県の美祢市に秋吉台というところがある。石灰岩の台地で鍾乳洞が多くみられる。鍾乳洞のひとつが有名な秋芳洞。日本で最大級の鍾乳洞だ。その入り口、土産物屋が多く並ぶ通りに河童の像が置かれている。像の名は禅師河童。坊主の周りに多くの河童が集っている。

日照り続きで村人は困っていた。そこで地元の禅師が雨乞いの祈祷を行った。禅師は川のほとりで祈祷を続ける。そこに河童が悪戯にくる。河童がどんなことをしても禅師は意に介さず祈祷を続ける。ある日その禅師が川に身を投げると大雨が降り出した。村人は喜んだが、河童は禅師がなぜ命をかけてまで村人の願いを聞いたのかわからない。河童は考える。考えに考えて河童は悟りを開く。河童は以後禅師河童と呼ばれる。

というような話が、名物瓦そばを食べに入ったお店の壁に貼られていた。地元のヤンキーが熱血教師の影響を受けて教師になるような話だ。話が伝わるうちに道徳的な要素が入っていったのだろう。何万年もかけて作られた鍾乳洞のように、河童の話もまた長い年月をかけて結晶していくのだ

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