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ギフトカードスクラッチ機を作る

※これは広告の仕事で作った装置です。でも内容に宣伝は含んでません。でもステマになったら困るので一応書いときます。




みんな〜こんにちは〜

いきなりだけど
『Amazonギフトカードの銀色のとこ削る装置』って作ったことある…?

俺はある!!!!

以下その時の試行錯誤です。

1.機構を検証する

まずこの装置を作るにあたって一番最初に決めなきゃいけないのが
どんな機構(ギミッック)で削るのか?です。

画像18銀色のとこをガリガリ削るには何度も左右に動かなきゃいけない訳で、
「往復する機構」を作る必要があります。


画像2

↑そこで今回この「揺動スライダクランク」って機構で削ってみることにしました。
回転をワイパーみたいな往復に変える機構です。
まずはアイスの棒と画鋲で簡易的に作り、これで銀色のとこが本当に削れるか検証しています。

で、ちゃんと削れました!

さらに、
・10円玉はカードに対して垂直ではなく、傾けた方が1ストロークで削れる幅が広くなる。
・動くスピードがあまりにも早すぎると1ストロークで削れる幅が狭くなる。

ということもわかりました。

画像30

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「いやでもその前に、この揺動スライダクランクっていきなりどっから出てきたの?」って思ったかもしれません。
数ある機構からこれに決めたのには二つ理由があります。

・一点の回転軸を中心に動く
往復機構でシンプルなのは他にも「スコッチヨーク」とか「往復スライダクランク」とかあるけど、それらは左右一直線に平行移動する往復運動です。

画像2

↑以前プリンをプルプルさせた時も「往復スライダクランク」を作りました。(これ誤植で「スライダ」が抜けてますね)
https://fabcross.jp/category/make/20151103_pudding_machine.html

しかし今回の目的の「削る」のような、急に動きを邪魔しようとする強い力が装置にかかる場合、
平行移動だと内部に摩擦がかかる箇所が複数できロックされてしまい、ハンドルが動かなくなってしまう気がしました。

画像20↑スライドする構造だと接する箇所が多い。


そこで「揺動スライダクランク」のような、一点の回転軸を中心にした動きなら多少の力に邪魔されてもちゃんと動くんじゃないのか?と予想し、
「揺動スライダクランク」に一票!となりました。

画像21↑動くのに必要な箇所が一個だしテコでもある。


そしてもう一つの理由が、

・動きに抑揚がある
10円玉の動きを見るとわかるけど、この機構、動くスピードが行きと帰りで違います。
これは僕が手でそう動かしてる訳ではなく、回転は一定だけど往復は行きと帰りでスピードが変わる「早戻り」ってやつです。

検証5スゥ〜…ザッ! スゥ〜…ザッ!

で、この単調じゃない感じ、これって実際に手でコインを持って削る時に無意識にやってる動きに似てると思いました。
似てると何なの?と言われた困りますが、似てた方が作ってて楽しいと
思い、これが決め手となり削る機構は「揺動スライダクランク」に決定しました。

2.動きの比率を計算する

画像28最初の装置イメージ図

そんな感じで「削る機構」が決まりました。
でも今回動く部分はあと二箇所あります。
それが「ギフトカードの前進」「ロゴの回転」です。

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この装置はハンドルの回転で「削る機構」「ギフトカードの前進」「ロゴの回転」の3つを動かすのですが、
ここで決めなきゃいけないのが「削る機構」と「ギフトカードの前進」の動く比率です。

「ロゴの回転」は特にスピードに決まりはなく回ってさえいればいいので、
どこかで分岐すれば問題はありません。

でも「削る機構」と「ギフトカードの前進」の二つの動く比率が合っていないときれいに削ることはできません。

で、色々検証した結果…

画像23『ハンドルを1回転させた時に、削る機構が2往復し、ギフトカードが1㎜前進する』と、きれいに削れることが分かりました。
これがAmazonギフトカードを45°傾けた10円玉で削る際の黄金比です。
間違いありません。

画像24


つまり、どういうことかまとめると、
銀色のとこを効率よくきれいに削るには、削る動きの回数は増やし、削られる方のカードの前進はゆっくりにする必要がある。でもかと言って増やし過ぎてもゆっくりにし過ぎてもだめです。

そこで…
「削る機構」のスピードは2倍に増やし、
「ギフトカードの前進」はスピードを減らし1㎜しか進まないようにするのがちょうどいい比率
ってことです。

画像25↑なんかモコモコしてるけど歯車です。
ハンドル1回転で1㎜しか進まないようにするには回転を約1/39倍にする必要がありました。

3.3Dプリントを注文する


数字的なとこが決まれば後はモデリングです。

画像15

画像16

画像17できました。
歯車をモジュール1.0(というサイズ)より下げられないという制約の中で
なるべく小型化を目指しました。
でかいと3Dプリントの金額が高くなるので。


そしてこのパーツをDMM.makeの3Dプリント造形サービスで注文します。

画像33Dデータをアップロード。

画像4カテゴリは、部品・工具・パーツを選択。

画像9アップしたら数分で自動チェックが完了しましたとメールが来て、素材や個数を選択できるようになります。

画像10

画像5素材はこの中から「ナイロン」の「ナチュラル」を選択します。
一番安いうえに強度と弾性があり、こういった装置に一番向いています。

で、全パーツの合計金額。

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19,101円。
たかっ!!!って思ったでしょ。
でもこれ、3Dプリントサービスではかなりの良心的な金額です。
DMM.makeの回し者じゃないけど、他の会社だともっと高いし選べる素材も少なく発送も遅かったりします。

とは言ってもデータに何かミスがあった場合もう一回注文しなきゃいけないので、何度もデータをチェックして最後の注文確定ボタンを押す時は毎回かなり緊張しています。

画像10そして8日くらいで届きました!

画像28組み立てます。
果たしてミスはしていないか…?

画像29ドキドキ…ドキドキ…

画像12果たして…

画像26果たしてあの検証や計算、試行錯誤は正しかったのか…?

画像27果たしてわざわざ10円玉まで綺麗にした意味はあったのか…?



果たして…





画像14よかった〜!
ちゃんと動いた〜!

画像14これが黄金比だぜ〜!!!

うおおおおおお!!!



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