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私たちが人材紹介会社を利用しないたったひとつの理由

上記の題材については、いつかは書きたいと思っていた内容。実は、4事業を運営する私たちにとって、人材の確保はもっとも重要かつ継続的に検討していく必要のある課題のひとつ。支援者は、全員正職員で採用していることもあり、「無駄な人材」は一切採用することはできないし、たとえ採用に失敗したとしても、簡単に切り捨てることはできない。採用した以上、すくなくともいち職員として業務に従事できるようにすることが、私たち法人に求められていることでもあるし、そのためには、今いる職員もしっかりと従業員としての自覚を持ってもらわないといけない。だから、採用には最大限の注意を払っている。

そんな私たちがはっきりと言えるのは、今後も、私たちは一切、『人材紹介会社は利用しない』ということだ。「ハローワークから来る応募はロクな人が(応募に)来ない」「連絡もなく無断で面接日をすっぽかす」「シワだらけ、修正液で訂正された履歴書を持ってくる」「結果は1週間後と伝えているのに、翌日から結果を教えろと連絡を何度もしてくる」などと、同じ経営をしている仲間達からも苦情ともいうべき話をよく耳にするが、それでも私たちは、求人活動には「ハローワーク」を選択する。もちろん、応募はたくさんの方に来てもらいたいし、いろんな人材を採用したいと思っている。これまでも、無料求人サイトや人材紹介サイトなどを利用したりもしたが、現在は、やはりハローワーク(公共職業安定所)のみの求人を中心に行なっている。

わかっていると思うが、人材紹介会社から紹介されてくる人を採用すると、紹介会社に対して数十万というお金を払う必要がある。例えば、保育士に対して20万〜50万払う必要がある。もちろん、採用された人に対しては、紹介会社が採用された登録者に対して数万円の祝い金が支給されるというが、もともとそのお金を払っているのは、採用した私たちである。人材に困っている人たちからすれば、のどから手がでるほど欲しいのかもしれない。しかし、私たちが人材会社から採用しないと徹底しているのは、採用面接時の私たちが、相手に対して「品定め」をしてしまっている自分たちに気がついてしまったからである。

面接しているときに、私たちが面接者に対してまず思うのは、例えば『この人に40万払う価値があるのか?』ということだ。きっと、ハローワーク経由なら採用しているだろうと。でも、40万払ってでも採用したいかといわれたら、その採用に向けた決心ができなくなるのだ。「もう少し待てば、ハローワークからも良い人材がくるのではないか?」と。30万、40万という金額は、私たちにとって簡単に生み出せる金額ではない。利用している利用者さんから頂いた大切な対価であり、その対価を払うのは採用するときではなく、働いた職員に出すべきものである。もちろん、良い人材に出会うことは重要なことだが、私たちが出会いたいのでは、すでに『できる人』ではなく、共に働きながら『一緒に成長できる人』なのだ。しかし、採用の現場で私たちが思っていることは、「面接者にそれだけ払う価値があるか」ということだからだ。

私たちは、障がいを抱える人を支援する仕事をしている。最近では、発達障害などの特性を理解した上で、業務効率化やイノベーションをもたらしてくれるといった評価もあるが、それはあくまで一部の人たちであって、多くの障がいを抱える人たちは、そういうわけにもいかないことが多い。そんな中で、私たちが「人材をお金という物差しで測ること」は、民間企業では問題なくても、福祉にいる私たちは、少しでも抵抗したい気持ちになってしまう。

やはり、私たち自身が、人材紹介会社に頼らなくても、応募したいと思ってもらう企業になることが重要だと思っている。採用するにも、周囲に認められる企業になるにも、最短な道のりはないのだと思っている。だからこそ、私たちの企業理念や哲学は、採用場面でも徹底したいと思う。

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