見出し画像

アート独り言。(シスコ・パラダイス~かかずにはいられない!人生絵日記@岐阜県美術館)

二人展が終わり、まだ片付けもままならないがようやく少し落ち着いてきたのでずっと行きたかった美術館へ。
塔本シスコ展「シスコ・パラダイス」を観てきた。
展覧会に来てくださったお客様からシスコ良かったよ!と聞いていたのでとても楽しみにしていた。

チラシやポスターを見る限りとても元気な絵。一体どんな絵があるのだろう?
入口入ってすぐ、いつもの美術館の雰囲気とは随分と違っていた。岐阜県美術館は割と静かで落ち着いている。
それが、入ったとたん小さな子の声や、大人たちも楽しそうに会話している。(迷惑にならない程度の小声)

絵に集中したい人には気になるかもしれないけれど、私にはとても新鮮な光景だった。子供が小さい時に来た、やなせたかし展の時でも静かだったから。

3歳ぐらいの男の子が
「これはなーに?」と1つずつ聞いて、ママがタイトルを答えていた。なんとも微笑ましい光景に心が和む。

46歳で夫を亡くして体調を崩し、病気のリハビリを兼ねて独学で絵を描き始め、91歳で亡くなるまでずっと描き続けていた。

とても鮮やかな色彩、制作年度は1970年代。サイケデリックが流行していた時代でもあるけれど、見事な色彩感覚に驚く。
一つ一つの描きこみからは溢れんばかりの愛情が伝わってくる。

「絵描きたい!絵大好き!お花大好き!」

という言葉が聞こえてきそうな絵ばかりだった。

点描部分を見て私はGOMAさんを思い出した。GOMAさんは日本のディジュリドゥ奏者。事故によって高次脳機能障害となり、今まで描いたことのない絵を突然描き始める。とても規則正しい点描で自分でもわからないけれど何故だか描くと落ち着くらしい。TVの特集で海外では同様に脳に損傷を負った人が今までピアノに触ったこともない人が、病気になったとたんピアニストのようにピアノを弾き始めたケースもあると放送していた。

シスコさんは脳溢血で倒れたということもあり、脳になんらかの刺激が加わったのか、もしくは生まれつきその才能があったのか、とても気になる。

「私にはこのように見える」
その言葉に、シスコさんの頭の中は常にカラフルで大好きなものが溢れているのかな、と思った。

途中、キャンバスではなく段ボールに描かれた作品もある。その保存状態に驚く・・・
段ボールの作品は1990年代制作。岐阜県美術館の館長、日比野克彦氏が1980年代に発表していた段ボールに影響を受けたのかな?と思った。数年前に福祉施設で撮影したワークショップで、真っ白な紙に描くよりはある程度色が少しついた段ボールの方が取り組みやすい、絵を描きやすいと聞いていたので、自由にのびのびと段ボールに描かれた作品を見て、私もリサイクルに出す前に一度描いてみたいなと思った。

自分の身近なものや何気ない日々、まさに巨大絵日記であった。
自然と笑顔になってしまう。元気を沢山もらった気がした。

その後、10人ぐらいの方からおすすめされた所蔵品展に展示されているパレスチナの映像作家の映像作品を見た。そのことはまた改めて。

6/26まで。観てない方は是非。(シスコパラダイスのチケットで所蔵品展も見れます。)

散財した。猫可愛い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?