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音は無くならない

・・

遠くトラックか
駐車場のアイドリングか
山に反射する大通りの流れか

目覚め、たのか

猫は眠っていて
壁を登る何かも
天井をつたう小さなものもいない


イビキ
夢の音

冷えた夜に
誘い出される
眠りの外

覚えている夢半分が蘇り音を成す
ひかりが違いてヘッドライトが走る
無音という音韻が外耳にぶら下がる

トーイどこかの
古い旅館の老いぼれた暖房機が動き出す
次の眠りがやってくるまでの隙間
音が割れ目を通って沁み入ってくる

大寒の夜
雨じゃない
雪でもなく

それは腰骨を触れずに冷やす寒気の夜で
暗闇の奥から見える光の様でも有る
頭の重さ、質量が枕を押さえ込む

音のないキーボード
光が動いていく音色
カーソルの点滅は続き

止まった内臓は既に消化を終え
自重を支える足さえもまだ横たわるばかりで
欲という欲が鎮まった時
周りの雑なる声は
ぞうなるこえは

観音ネンピの力に抑え込まれ迎えられる

しかし、ゾウなるコエは決して消えそうにない


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