見出し画像

島から発信する食の学び場

ずっと前からやってみたかったことが一つ形になった。それは、寺子屋に来る前から校長に「いつか家庭料理を伝えられる人になりたい」と言っていたことがきっかけでオンラインにて料理を教える機会を与えてもらった。

SRAyouthという食のサスティナビリティをテーマに活動している方達に向けて、論理的に食の未来を考えていくことも大事だが、実際に手を動かし五感を使い料理をしながら食のことを一緒に考えてみようというのが趣旨である。

画像6

今回のテーマとしては“島食でフードロスを楽しむ”

島で採れたもので料理をつくるということ、また食材の使い分け(古いものや傷んでいるものをどう活かすのか)。

寺子屋ではおすそわけや学校の畑でとれる野菜など自然の流れで生まれてくる沢山の自然の恵みをどのように料理という形にしていくかということが大きなテーマの一つであると思う。都会のように使いたい時にいい状態のものを買うことはできない。だからこそ素材の状態に応じてどう料理してその特徴を活かすのかを考える。

画像7

そこで思いついたのが“玉葱”である。それは、実際に私が寺子屋の畑で採れた土の入った(育ちすぎた)玉葱と、岐阜の農家さんが作った玉葱を切ってみた時に同じ玉ねぎでも全然違う!!という驚きの感覚があったから。

ということで寺子屋ファームの玉ねぎとムラーズファームという農家さんが作った玉葱を生のまま食べ比べて素材そのものの味を味わうという切り口から料理を始めた。

画像7

そして、寺子屋の少し土臭さがあるけれど食べられる。この玉ねぎを飴色になるまでひたすら炒めて玉ねぎの甘さコクを作り出す料理に。真っ白で綺麗なムラーズファームの玉ねぎは塩もみだけして生のままで食べる料理に。

一緒にみんなでカメラ越しで作った。

画像9

そしてこのことを通して私は、傷んだ野菜でも料理の力で、ひと工夫加えるだけで美味しく食べれるようになることはもちろんだけれど、不良品で流通されていないが実際は食べれるものがあるということを伝えたかった。綺麗な野菜がスーパーに当たり前のように並んでいる裏にはこういう玉葱が商品ではなくなりどこかに消えていっているという現実がある。

また一緒に料理をするという体験を通して、料理って難しくない!(おもしろい!)という感覚を共有したかった。

玉ねぎを塩と油で炒めてくだけで色が変わり、味も甘みがでてコクが詰まったものになったり、塩もみするだけですこし辛味があった玉ねぎが食べやすくなったり、特別な調味料を揃えなくても塩と梅だけで味付けができたり、、、こういう感覚を手を動かしながら、玉ねぎが色が変わっていくのを目で見て、煮詰まっていく音をきき、香ばしい香りを嗅いで、舌で味の変化を追う。

画像8

これは頭で考えてわかることではなく自分の揺るぎない感覚としての食との触れ合いである。それは言葉にならなかったとしても一人ひとりに体感として身体に刻み込まれて残るものだと思う。

この感覚こそがこれからの日本の食の未来を考えていくときに、ささやかだけれど揺るぎない半歩、あるいはきっかけになればいいなと思った。

画像11

画像12

(文:岡村)