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日日是好日 〜長月〜

海士町に来て、半年。
なにも分からなかった料理の世界に足を踏み入れた半年前。

離島キッチンや留学弁当という実践授業が始まり、少しずつではあるが実力もだんだんついてきたと感じはじめた。

学校は、来年の3月末までしかない。
折り返し地点である9月。
生徒さんと学校を卒業したこの先について話しながら、自分もなにがしたいのだろうと将来について考える。

料理という世界に足を踏み入れてみて、感じたことは「美味しかった」という言葉や「ご馳走様でした」と笑顔で言ってくださる言葉がとても嬉しい。料理は人を笑顔にすることができる。

その一方で、心の中で沸々と感じて来たことがある。それは、家族にも食べてほしいという思いだ。

離島キッチンに来られた方にお料理を提供する時に、ふと「家族に食べてもらえたらな」と毎回思ってしまう。家族と今日あったことなど他愛もない話をしながら、食卓を囲んで自分の作ったご飯を食べてもらいたい。

私は、東京にいた時も少しは持っていたが、海士町に来てからこの思いが強くなっている。
これは、家族に会えないということも関係しているとは思うが、自分の成長を見てほしいという思いもある。その点、海士町に来て自分の感情に気づくことが出来たことはとても良かったと感じている。

夏休み、海士町に私の家族が来た時に、離島キッチンや留学弁当で習ったことをお弁当という形にして家族をもてなすことができた。
「美味しい!」と食べてもらえる姿やみんなの笑顔が何よりも嬉しかった。当初は菱浦にあるご飯屋さんでお昼ご飯を食べようと思っていたが、作って良かったと心の底から思えた。

海士町に来てから半年目、自分の感情に気づくことができ、大きな収穫だったと思う。
残りの半年間、また考えていることが今とは変わるかもしれないが、一日一日をしっかりと過ごしていきたい。

(文:島食の寺子屋生徒 津曲)