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花澤香菜に夢中/アルバム『blossom』 レビュー -前編-

寝ても覚めても花澤香菜のことで頭の中が一杯だ。

先日リリースされたアルバム『blossom』はどこを切り取ったとしても、なんかキラキラしているし、可愛らしいしで、ずっと癒されている。去年の自分が見たら「嘘だろ?」って思うくらい花澤香菜に夢中だ。


Twitterの140文字では足りないくらい想いが溢れてくるので、こうしてブログに書き起こしてみる。どれだけ花澤香菜とアルバム『blossom』に夢中になっているのかが伝われば幸いである。


1曲目を飾る『ユメノキオク』はちょっと緊張感のある歌い出しが良い。アルバム1曲目というのもあるが、彼女のとって「再出発」を意味したアルバムという意味でも「どう始まるのだろう......?」という緊張感をあえて持たせているのかもしれない。

でも、緊張するのはほんの一瞬だ。第一声でその緊張感から一気に解放されていく。この瞬間がまずは心地良い。そこから一転して、ずっと疾走感のある曲調にすっかり乗せられてしまう。そして、サビの「届かぁない」のように少しだけキーが上がるのが良い。緊張感だったり、キーだったりの「ちょっとした」変化が耳に残って、この曲を病みつきにさせるのだと思う。

そんな歌声や楽曲の疾走感も良いのだけど、言葉のチョイスも面白い。

夢から醒めた夢の
続きはどこにあるの
(注1)

というフレーズが、この一言だけでも十分に切なくなるからお気に入りなのだけど、ここに『ユメノキオク』のエッセンスが凝縮されているように思う。

まず、夢から目覚めた「私」ではなく、「夢」を主語に置いているところに注目したい。そうすることで、夢から目覚めてしまった「私」が置いてきぼりをくらってしまった印象が強くなり、より夢から目覚めてしまった切なさが増しているように感じられる。このフレーズだけでも良いなと思うのだけど、2曲目の『Don’t Know Why』にもちゃんと繋がってくる辺りが凄い。

そんな『Don’t Know Why』はこう始まる。

だって 夢の中で逢えたって
目が覚めたら現実で
あれもこれも諦めたくないでしょ
(注2)

どんな夢を見ていたのかが明確ではなかったのが『ユメノキオク』だったけれど、『Don’t Know Why』では、それが好きな人と会えていた夢だったことが分かる。色んな「夢」の解釈はあるかもしれないけれど、『ユメノキオク』から『Don’t Know Why』へ「夢」という共通のテーマで繋ぎつつ、そのイメージを拡大していくという見事なバトンパスにやられた。

『Don’t Know Why』は中毒性も非常に強い。ピコピコと打ち込まれたサウンドには何だか懐かしさを感じてしまうし、「ドノワーイ」の可愛らしいコーラスにはすぐ耳が虜になってしまっう。

MVもスパンコールのドレスに身を包んだ花澤香菜とミラーボールのダンサーが踊るちょっと「?」なMVなんだけど、一度見るとこの違和感が癖になる。スパンコールな花澤香菜も好きなのだけど、個人的にはいつもの髪型と雰囲気の違う2番の彼女が好きだ。顔をムッとさせる辺りが堪らなく可愛い。



続く『You Can Make Me Dance』は昨年開催された「HANAZAWA KANA Showcase Live 2021“Moonlight Magic”」からの待望の音源化だ。これから何かが始まるんじゃないかという期待が膨らんでいくのがこの曲だ。



歌い出しは1曲目の『ユメノキヲク』同様にちょっぴり緊張感を感じさせる。違うのは、歌い出しに向けてイントロがしっかり準備されていて、その第一声をじっくりと待っている点だろう。そんな中、待望の歌声が聴こえた瞬間に緊張感がワクワクへと一変する。この瞬間が堪らない。

「なにかがはじまりそうな〜」という歌い出しの歌詞も絶妙にシンクロしているのも良い。そんな流れで1番を見事に歌い切った開放感を感じさせる「シェキナベイビー」が可愛い。こんなに可愛い「シェキナベイビー」は聞いた事がない。

2番の、

まやかしはどこかに捨ててしまおう
(So Nice)
ありのままだっていいね
(注3)

も良くて、ここを聴く度に、心の中に抱えているモヤモヤが晴れていくようでお気に入りの歌詞だ。

そして、曲全体を通してのギターのカッティングが心地良い。ラスサビ前でのギターソロにもやられてしまう。これはライブでのバンドの演奏に期待大。

4曲目は『Moonlight Magic』だが、この曲は個人的にすごく大事な曲だ。というのも、この曲がなかったら、僕はこのアルバムは手に取っていないだろうし、そもそも彼女にここまで関心を持たなかったと思う。

もう既に何度も「可愛い」「可愛い」と書いてきたような気がするが、彼女の曲で「可愛い」がこんなにも凝縮されているのはこの曲以外にはないと思う。 (暫定だけど)

では、何がそんなに可愛いのか?

可愛さのポイントはセリフと擬音語にある。

まずはセリフから。これはラスサビ前の「もう私は好きなんだけど、君は私とどうなりたい?」のことを指す。書いていて気持ち悪いと思われるかもしれないが、それも承知で書こうと思う。

このあざとさ全開の台詞に僕みたいなやつは簡単にやられてしまう。「もう私は好きなんだけど、君は私とどうなりたい?」ってズルくないか。こちらから好きって言いたいのに、そんな逆王手をかけてくるなんてズルいよ。そんなこと言われたら、好きっていうしかないじゃないか。

ちょっと妄想が入ってしまったが、そんな事が毎度頭に浮かぶので、このセリフを聴く度に可愛いと思っている。

続いて、擬音語について。この曲では「ドキドキ」が多用されていて、それが恋に落ちた時のときめきだったり、輝きだったりを言葉以上に分かりやすく伝えてくれている。加えて、コーラスでも「ドキドキ」を入れてくることで、より胸のときめきが加速しているようにも聴こえる。

実は、この曲を初めて聞いた時に、真っ先に浮かんだのが吉澤嘉代子の『綺麗』だった。サウンドの雰囲気も近いものがあるし、『Moonlight Magic』の「ドキドキ」同様に『綺麗』でも「きらきら」「ぴかぴか」という擬音語を多用しているのを思い出した。これはちょっと別で書いてみることにする。

少し話は逸れたけれど、いつ聴いても胸の「ドキドキ」が止まらないこの曲は、僕が花澤香菜を語る上では欠かせない座右の曲になっている。MVのダンスも可愛いので、そちらも是非。


そんな高揚した気分を「ちょっと休まない?」と落ち着かせてくれるのが『GSSP』だ。

アルバムが始まって、ずっと癒されているのだけど、癒される次元がちょっと違うのがこの曲だと思う。というのも、この曲だけASMR用のマイクで録音されているんじゃないかと思うくらい歌声が心地良い。ささやき声と歌声のギリギリの絶妙なラインに痺れる。

一番心地良いのは、

アナタノココロニハナシカケテイマス…
アナタノココロニハナシカケテイマス…
(注4)

のパートで、耳を通じて心の中にすっと染み込んでくるその声にホッと落ち着く。このアルバムを眠る前に聞くとよく寝落ちしてしまうのだけど、大抵記憶が無くなるのがこの曲辺りから。それくらい聴いていて心地が良い曲だ。

そんなうっかり寝落ちしてしまう曲こそ、ベッドルームミュージックと言いたい。

眠りへと誘う『GSSP』を乗り越えた先に続くのは、『Miss You』。こちらも「HANAZAWA KANA Showcase Live 2021“Moonlight Magic”」からの待望の音源化だ。


パッと聴いた時の疾走感も好きなのだけど、特に気に入っているのがそんな疾走感を損なわない言葉の置き方だ。

無言のI love you,so I wait for you
そう、我愛你
祈りの夜 ただ
I miss you,and a tear for you
伝う 涙が
I love you,so I wait for you
我・想念你 目が覚めても
夢の中に一人 ああ
(注5)

歌い出しの歌詞を抜き出してみたが、「我愛你」や「我・想念你」のように、英語と日本語の間に中国語が挟み込まれている。歌詞カードを読んだ時に、そうしないと気付かないくらい中国語がメロディにかっちりハマっているのが面白いと思った。

また、この中国語を訳していくと、

我愛你→あなたを愛している
我想念你→あなたが恋しい

となり、この曲のテーマにもぴったりハマっているのも凄い。メロディーに対して違和感なく中国語を聞かせて、言葉の意味もしっかり曲のテーマに当てはめていくこと。この疾走感と心地良さが癖になって何度もリピートしてしまう。ライブで盛り上がること間違いなしのこの『Miss You』は早くライブで聴きたい。

→後半に続く

▽注釈
注1 花澤香菜『ユメノキオク』 作詞 藤村鼓乃美・北川勝利
注2 花澤香菜『Don't Know Why』作詞 北川勝利・藤村鼓乃美
注3 花澤香菜『You Can Make Me Dance』作詞 矢野博康
注4 花澤香菜『GSSP』 作詞 大河内航太
注5 花澤香菜『Miss You』

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